【3歳~】家族会議で子どもの本音を引き出そう!頻度の目安やメリット
この記事を書いた人
小原宏美
- 保育士
大学で音楽療法について学び、卒業後は児童養護施設で4年間勤務。
大学での実習や卒業後の仕事、また自身の子育てを通じて、0歳から高校生まで幅広い年齢の子供達と関わってきました。
現在はWEBライターと並行して、子育てと自分育てのために心理学を勉強中です。
特技はピアノと歌うことです。親子で歌ったり、楽器を演奏する時間を楽しんでいます。
子育てや仕事で毎日忙しくしていると、子どもとゆっくり話す時間が取れないと頭を抱えている方もいるのではないでしょうか。
子どもに「今日保育園どうだった?」と聞いても「別に」とはぐらかされてしまい、本音がわからないという悩みの声も聞こえてきます。
そこで、取り入れて欲しいのが「家族会議」です。月に1回、10分で開催でき、続けていくと子どもが気持ちを話してくれるようになったという家庭もあるようです。
今回は、親子で行う「家族会議」の進め方と、子どもの本音を引き出すコツについてくわしく解説します。低年齢の頃から「家族会議」を習慣にすれば、子どもが思春期に入ってからも親とのコミュニケーションが円滑になる傾向があります。ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1.家族会議とは?
「家族会議」と言っても堅苦しく考える必要はありません。まずは親子で気楽にテーマを決めて、会話を楽しむことを目的にしましょう。ここからくわしく解説していきますね。
1-1.家族全員で行う話し合いのこと
ベネッセ教育情報によると、家族会議とは「問題を解決し、より楽しく快適に過ごすために家族みんなで開く話し合い」のことです。
親子とは言え、違う人間です。ひとつ屋根の下で暮らしていれば、気になることも出てきますし「○○を買って欲しい」などの要望も出てくるでしょう。毎日仕事や子どもの習い事で忙しいと「気になるけれど、まあいいか」と話す機会を失ってしまうこともありますよね。
家族会議が定期的にあれば、気になることを話し合う機会ができて、より意思疎通がスムーズになります。
1-2.テーマは親子で自由に決められる
家族会議は、親子で自由にテーマを決められます。子どもの進路に関わる重要なテーマはもちろん、日常の些細な疑問でも問題ありません。
例えば、以下のようなテーマが挙げられます。
- 今度の休みに行きたい場所は?
- 習い事を続けるか、やめるか
これ以外にも、例えば親の悩みを取り上げても良いですね。
- 家事を手伝って欲しい
- 誕生日に食べる夕飯のメニューを皆で決めたい
最初は何を話していいか分からない子どもも多いので、親の方からテーマを提案すると話しやすいですよ。
2.親子で家族会議を開催するメリット
親子で家族会議をすると、短い時間でも子どもの意外な本音を聞ける可能性があります。また、親子ともに言葉で自分の気持ちを表現する力が養われますよ。
他にも家族会議によって得られるメリットがあるので、ぜひ参考にしてくださいね。
2-1.毎月10分程度の頻度で開催できる
家族会議は毎月10分程度の頻度で開催できるので、忙しい家庭でも取り組みやすいです。
余裕があるときは30分と長めに時間を設けたり、急ぎで話し合いをしたいときは緊急会議を開くと、より会話が深まりますよ。
家族会議は、家庭ごとにルールを決められる柔軟性も魅力のひとつです。臨機応変に時間を決めてくださいね。
2-2.3歳頃から親子で始められる
家族会議を始める年齢に決まりはありません。
『子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(玉居子泰子著)によると、3歳から家族会議を始めたという家庭もあります。
「今日何して過ごそうか?」との親の語りかけに対して、子どもが「~したい」と答える形で進めていったそうです。
3歳頃からでも親子で家族会議はできますよ。
「まだ〇歳だから」と子ども扱いせずに、子どもを一人の人間として接するのがポイントです。
一方で、小学校中学年頃になると子どもは親との会話に照れくささを感じる傾向があります。小学校低学年頃までに家族会議を習慣化しておけば、年齢が上がっても親子で話しやすくなるでしょう。
2-3.自己表現力が養われる
家族会議では、言葉でお互いの気持ちを伝え合うことにより自己表現力が養われます。ときには、子どもが自分の気持ちを伝えられなかったり、自分の主張が通らなかったりして不貞腐れてしまうこともあるでしょう。
そのような「思い通りにいかないこと」も大切な経験です。「不貞腐れているだけじゃ希望は通らないんだな」と子ども自身が気づくことで、自分の気持ちを素直に表現できるようになっていきます。最初から上手に自分の気持ちを言葉にするのは難しいので、親は長い目であたたかく見守りたいですね。
2-4.話を聞くことで本音に気づける
家族会議では、お互いの話を遮らず最後まで聞きます。すると、今まで気づかなかった子どもの本音に気づけることがあるのです。
最初は「別に」しか話してくれなかった子どもも、話し合いを重ねていくと「実は怒っていた」「本当は寂しかった」と、ぽろっと話すことがあります。親は子どもの話を最後まで聞いて、ぽろっと出た言葉を見逃さず「そう思っていたんだね」と受け止めてあげましょう。
親が子どもの話を聞いて気持ちを受け止めてあげると、子どもは親の真似をして「聞く力」も養われていきます。
3.親子で行う家族会議の進め方
ここから、親子で行う家族会議の進め方を解説しますが、あくまで基本的な流れになります。細かいルールは家庭ごとに決めて問題ありませんので、リラックスして行ってくださいね。
3-1.開催日と時間を決める
最初に、開催日と時間を決めましょう。学校や仕事が休みの日など、家族が集まりやすい日が良いですね。また、定期的に行うことで習慣化しやすくなるので「毎月〇日」「第3日曜」など、日にちや曜日を決めるのもおすすめです。
開始時間も「夕食後」など、大まかにでも決めておくと予定を立てやすくなり、開催忘れも減らせます。
3-2.話したいテーマを決める
開催日までに事前に話したいテーマを各自で考えておくと、スムーズに話し合いに入れます。例えば、リビングにホワイトボードを置いて、話したい内容を思いついたら書いてもらうのも手軽で良いですね。
子どもが「話したいことが何もない」というときは「最近嬉しかったこと」など、親がお題を決めてしまうのも一案です。
3-3.家族会議で話し合う
家族会議の日時が来たら、家族で集まって事前に決めておいたテーマについて話し合います。定期的に開催している場合は、はじめに前回話し合った内容の振り返りをすると、次に立てる目標がより意義深いものになりますね。
1回10分で会議の時間を設定している場合は、結論を急ぐ必要はありません。まずは焦らず、時間内でお互いの気持ちをじっくり聞くことから始めてみましょう。
3-4.話した内容をノート等に記録する
家族会議で話し合った内容をノートなどに記録すると後から見返せて、忘れても思い出せます。インターネットで「家族会議 テンプレート」と検索すると、無料でダウンロードできる記録シートが見つかりますよ。
自分の家族が使いやすい記録シートを手作りしても構いません。
家族が順番で記録係を担当し、ひらがなが書ける年齢の子どもなら親がサポートしながら子どもにも記録係をお願いしましょう。話し合った内容を手書きで分かりやすくまとめることで、記憶の定着率も高まると言われています。
手書きするのが大変なときは、スマートフォンの録音アプリで話し合いを録音するのもおすすめです。紙ではなくホワイトボードに書き込む場合は、話し合いの後ホワイトボードを撮影すれば簡単に記録できますよ。各家庭の状況に合わせて、柔軟に記録しましょう。
4.家族会議で子どもの気持ちを引き出すコツ
家族会議をしている家庭からよく伺うお悩みに、以下のものがあります。
- 子どもが「別に」「何もない」しか話してくれない
- 子どもが話し合いに飽きてしまう
いずれもちょっとした工夫で、子どもから話してくれるようになることも多いです。くわしく解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
4-1.子どもの話を怒らず最後まで聞く
子どもの話を聞いていると「それ、駄目じゃない」「違うでしょ」と口を挟みたくなるときもありますよね。
一方で、子どもは「否定された」と感じて傷ついていることもあるのです。そして「これを言ったらお母さんに怒られるかも」と想像して、親が質問しても「別に」としか言わなくなるケースもあります。
解決策としては、まず「家族会議では何を話しても怒らない」「話を最後まで聞く」というルールを徹底することが大切です。
子どもが話してくれたときは、口を挟みたくなってもぐっと堪えて最後まで聞きましょう。すると、子どもは「話を聞いてもらえた」という安心感を得られて、気持ちを話しやすくなりますよ。
親の意見を伝えたいときは、子どもの話を聞き終わってから伝えると、子どもも受け入れやすくなります。
4-2.お菓子などを用意し、楽しい時間にする
家族会議の空気感が緊張感のあるものになってしまうと、子どもは話しにくくなります。居心地悪く感じて「早く終わらせたい」と思う可能性もありますよね。
親が率先して「家族会議は楽しい」というイメージ作りをしていきましょう。好きなお菓子を用意するなど和やかな雰囲気にすれば、子どもも「ちょっと参加してみようかな」と興味を持つかもしれません。
親自身も肩の力を抜いて、気楽に話す時間にしてくださいね。
4-3.子どもが飽きたら途中で止めても良い
小学校低学年頃までの子どもが集中できる時間は「年齢×1分」とされています。
子どもが家族会議に飽きてしまうのは親側の問題ではなく、年齢相応の集中力による場合もあるのです。
子どもが話し合いに飽きたら、キリの良いところで終わらせて翌月に持ち越して問題ありません。飽きたときに無理やり参加させようとすると「家族会議=苦痛なもの」と認識されてしまい、逆効果です。
年齢が上がると集中できる時間も伸びる傾向にありますので、まずは家族会議を習慣にすることを目標にしましょう。
4-4.1回の話し合いで解決させようとしない
1回の家族会議で解決させようと焦ってしまうと、お互いの本音が出てくる前に結論を出してしまい、余計にモヤモヤが残る恐れもあります。
複数回の会議でじっくり解決していく方が、お互いの深い気持ちが聞けて納得できる結論が出やすいです。
親子で家族会議をする基本的な目的は「お互いの気持ちを伝え合い、子どもの本音を引き出すこと」です。解決を急ぐあまり本来の目的から外れてしまわないよう気をつけましょう。
4-5.盛り上がらなくても半年程は続けてみる
家族会議を始めて間もない頃は、話が盛り上がらず子どもも話してくれないことは珍しくありません。このとき「やっぱり我が家に家族会議は向いていないのかも」とすぐ諦めてしまうのは、もったいないです。
そもそも「自分の気持ちを言葉にして伝えること」は経験が少ない人が多く、慣れていないだけという原因もあります。最初は全く盛り上がらなくても、根気よく3~4か月ほど続けていくと、徐々に子どもが話してくれるようになった家庭も多いです。
一度家族会議を始めたら、半年程は続けてみてくださいね。
5.家族会議は短時間でも効果あり!親子で楽しく話し合おう
家族会議は、子どもだけでなく親自身の気持ちを見つめるきっかけにもなります。毎日忙しく過ごしていると、つい親の気持ちが置き去りになってしまうこともあるのではないでしょうか。
忙しい家庭こそ家族会議を取り入れてみましょう。親子がお互いの気持ちを大切にして受け止め合うことで、悩みに対するより良い解決法が浮かぶこともありますよ。ぜひ、親子で楽しく会話する時間を設けてみてくださいね。
主な参考サイト
・PRESIDENT Online「10分間散歩した後、誰かに教えるつもりで、手書きでノートにまとめると、絶対に忘れない」
・東洋経済ONLINE「子どもの本音をあぶり出す『家族会議』の効果」
・学研教室「子どもの集中力はいつまで続く?集中力を高めるコツとは」
関連トピックをご紹介!
・子どものコミュニケーション能力を伸ばそう!具体的な方法や発達目安を紹介
・親子の散歩はメリットいっぱい!好奇心を育むコツと現役ママの体験談を紹介
・短時間でも大丈夫!「スキンシップ」で親子の絆を深めよう!