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インターナショナルスクールのメリットやデメリットを現役保育士が徹底解説!

この記事を書いた人

山科ケイティ 山科ケイティ

山科ケイティ

  • 保育士

台湾の国際幼稚園で日本語教師を9年務める。

帰国後はインターナショナルプリスクールで保育士をしながら、英語で保育をするベビーシッター、ライターとしても活動中。

保育士歴9年目。SNSでは保育に役立つイラストも発信しています。

「インターナショナルスクールに通わせたいけど、どんなところなの?」
「そもそも日本人も入れるの?」
「実際の学費はどれくらいなの?」
インターナショナルスクールに興味があるけれど、まわりに通っている人がいなくて聞けない。なんてお悩みはありませんか?

この記事では3、4歳までのお子さまが、インターナショナルスクールに通うメリットやデメリット、学費、卒業後の進路などの疑問点を解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

1.インターナショナルスクールとは

日本のインターナショナルスクールには大きく分けて2つあります。「インターナショナルスクール」と「インターナショナルプリスクール」です。
どんな違いがあるのか詳しくみていきましょう。

 

1-1.インターナショナルスクール

インターナショナルスクールとは、さまざまな国籍の子どもたちが学ぶ施設です。

ほとんどの場合、日本に駐在している家庭の子どもたちが通います。スクールによって帰国子女や両親が日本人でも受け入れる場合もあります。

「スクール」とついていますが、日本の法律では「学校」としては位置付けられていません。

学校教育法第一条によると「この法律で、学校とは、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする。」とされていて、インターナショナルスクールの多くは「各種学校」と分類されます。

入学時に英語力を求められることが多く、英語を使ってさまざまな教科を学ぶという特徴があります。

 

1-2.インターナショナルプリスクール

日本のインターナショナルプリスクール(以下プリスクール)は、大きく分けて2つの意味合いがあります。
ひとつ目はインターナショナルスクールに通う前の、3〜5歳くらいまでの未就学児の施設で、英語環境の幼稚園や保育園です。

インターナショナルスクールに併設されている場合が多いです。

ふたつ目はネイティブスピーカー講師とバイリンガル日本人保育士が、英語で保育やレッスンをする保育施設です。

認可外保育施設や企業主導型保育園など、形態は園によって異なります。

条件を満たしていれば補助金が支給されることもありますよ。
保育を通して英語を自然に学べるため、日本人の比率が高いことが多いです。

この記事ではふたつ目の日本人向けの施設を、プリスクールとして解説していきます。

 

2.インターナショナルスクールの学費はどれくらい?

インターナショナルスクールに通わせたいと思っても、実際にどれくらいの費用がかかるか気になりますよね?
ここでは日本の小学校と比較しながら詳しく解説していきます。

公立校に通うよりは高額に

文部科学省の「平成30年学校種別の学習費総額」小学校の年間費用で比較してみると、公立に通う場合は約32万円で私立が約160万円です。
インターナショナルスクールは約200〜300万円かかりますので、日本の学校に通わせるよりも高額になります。

また授業料の他に入学金や教材費、施設費、スクールバス代、ランチ代、クリスマスパーティーやチャリティーなど別途費用がかかることがあります。

入学を検討している場合は総額でどれくらいになるのか確認しておくと安心ですね。

各スクールのホームページで確認できない場合は、学校見学や説明会、資料請求などで直接問い合わせてみてください。

プリスクールはインターナショナルスクールよりは安くなりますが、それでも年間100万円〜250万円かかります。

認可外保育施設などのプリスクールの場合は「幼児教育・保育無償化」で補助金が支給される場合もあります。詳しくはお住いの自治体にご確認ください。

 

3.インターナショナルスクールに通うメリット

生きた英語を学ぶうえで、インターナショナルスクールは選択肢の1つではないでしょうか。
ここではインターナショナルスクールに通うメリットを4つご紹介していきます。

 

3-1.英語力が身につく

毎日英語に触れることによって、高い英語力が自然に身につきます。
筆者が今まで務めてきたスクールでは緊急事態を除き、ネイティブ講師や保育士は英語で子どもに話します。

入園したばかりや低学年の場合、英語で自分の気持ちや状況を説明するのは難しいですよね。
子どもが日本語で話す場合は、言いたいことを英語の表現に変えて伝えます。

何度かくり返すうちに言い回しを覚え、英語を使って表現できるようになるので心配はいりません。

また、英語での指示内容がわからなくても、お友だちの受け答えや動作から推測をして、理解につなげることができます。

先に理解したお友だちが教えてくれることもあるのです。そのような経験をくり返していくうちに英語が上達していきます。

母国語以外の言語を学ぶときのメカニズムなどを科学的に研究している「第二言語習得論」では、言語を習得するには2000〜3000時間かかると定義されています。
たとえば1日5時間で月に20日とすると、1年で1200時間ですね。

3歳で入園したら5~6歳くらいである程度のコミュニケーションが取れるようになるのです。

 

3-2.国際感覚が養われる

インターナショナルスクールには多国籍で、さまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちが通っているとお伝えしました。

国籍や文化、宗教が違うお友だちがまわりにいることで、自然と異文化を経験していきます。

たとえば

  • 保護者が自国の物語を読み聞かせたり、文化を紹介したりするイベントを開催する
  • 宗教や信条によりお肉を食べないお友だちについて話し合う
  • 年に数回フランスの日やフィリピンの日など外国の日を設定し、食事や文化を体験できる日をつくる
  • 祖国にいる親戚とクラスとのビデオメッセージの交換を行う

このような幼いころからの異文化交流は、偏見や差別にとらわれることなく、国際感覚を身につけられる機会になります。

 

3-3.自主性が育つ

インターナショナルスクールの多くは「自分で考え、行動し、答えを出す」探求型スタイルを採用しています。

自分の考えを相手に伝えるディベートやディスカッションを行ったり、自分で考えたことを発表するプレゼンテーションの場もあります。

筆者の務めていたスクールでは、たとえば「地球を愛そう」のテーマで展示会を実施したことがあります。

あるチームはリサイクル廃材でオブジェを作ったり、ほかのチームは廃材ダンボールで巨大迷路を作ったり、展示する内容はチームによって様々です。

展示会に招待する方たちのために招待状を作り、当日は受付や案内役、進行役など全て自分たちで行いました

幼いころから自主性を育て、国際社会でも十分通用するような自信やスキルを身につけられるのは、インターナショナルスクールならではのメリットです。

 

3-4.海外に進学するチャンス

幼いころから英語で学び、異文化に触れてきているので、高校や大学で海外に進学するケースも多いです。
英語のスキルだけではなく国際感覚が身についているため、海外での生活もなじみやすくなります。

将来グローバルに活躍したい場合には大きなチャンスでしょう。

 

4.インターナショナルスクールに通うデメリット

インターナショナルスクールに通うことは「英語が話せるようになった」といったメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。

入学した後で「こんなはずじゃなかった」と後悔しないようにデメリットを3つご紹介します。

 

4-1.学費が高い

インターナショナルスクール、プリスクールのデメリットは学費が高いことでしょう。
前述のとおり、インターナショナルスクールで約200〜300万円、プリスクールでも約100〜250万円かかります。

保護者の経済的負担が高く、ご家庭の経済状況などの考慮が必要になります。

 

4-2.卒業後の進路に注意

はじめにお伝えしたとおり、多くのインターナショナルスクールは学校教育法第一条に定められている「一条校」ではなく、「各種学校」として位置付けられています。

各種学校では義務教育を受けたことになりません

一条校ではないインターナショナルスクールの小学部を卒業後、または中学部途中から一条校の中学へ受験や編入する場合は注意が必要です。

対策として以下に3点あげます。

  • インターナショナルスクール小学部の卒業前に、一条校に転校して卒業資格を得る
  • 帰国子女を受け入れている中学校へ受験する
  • インターナショナルスクールと公立小学校にダブルスクール

IBと呼ばれる国際バカロレア機構が認定するインターナショナルスクールや一条校で、高校に相当するディプロマプログラムを受け、試験に合格すると国際的な大学入試資格が与えられます。最終的に日本の大学に進学する場合は、この制度を採用している学校に通うのもひとつの選択肢です。

日本ではインターナショナルスクールの小学部に入学するまでは問題ありませんが、中学、大学入学時に日本の法律によって希望する進路に進めなくなる可能性があります

子どもの将来に関わってくるので、ある程度進路の予定を立てておくことも大事です。

 

4-3.日本語や日本文化を身につけにくい

インターナショナルスクールで生活すれば「英語漬け」の日々を過ごし、英語の上達も早くなります。

一方英語のみの環境や、多国籍のお友だちや先生と過ごすわけですから、日本語を学ぶ時間が少なくなります。

基本的な日本語や国語力に加えて、日本の文化や伝承遊び、歌、昔話などを知る機会は減ってしまいます。

将来海外に進学したり国際的に活躍したい場合は、自分の母国語やルーツを知っていることも強みとなるため、ご家庭での日本語教育やサポートが必要となるでしょう。

 

5.インターナショナルスクールの疑問点を解説

ここまでインターナショナルスクールに通うメリットやデメリット、学費についてご紹介してきました。

ここからは実際に通わないとわからない、4つの疑問点にお答えしていきます。

 

5-1.英語が話せるようになる?

通うスクールの質や子どもの母国語の発達状態にもよりますが、ほとんどの場合英語は話せるようになります。

英語力ゼロの状態でプリスクールに通い始めた1歳半のお子さまの実例ですが、はじめは先生の話をじっと聞いているのみでした。

しかし、慣れてくると色や動物の単語、数字などをポツポツ話すようになっていきました。

先生の言葉かけや、歌、絵本のフレーズをまねて2語、3語と文章が長くなっていき、4歳になった今では自分の感情や要求、周りの状況など英語で表現しています。

お友だち同士の会話も英語です。

毎日たくさん英語を聞いてインプットから始まり、徐々にアウトプットができるようになっていきます。

すぐに話せるようにならなくても、焦らないことがポイントです。

 

5-2.家で日本語を話しても大丈夫?

家で日本語を話すと英語が上達しないのではないかと、心配になるかもしれませんね。
日本で生活をしていて、両親も日本人の場合、どうしても日本語を話す時間が長くなります。

全てが英語の環境よりは時間がかかりますが、前述したとおり、スクールで毎日英語に触れることでゆっくり上達していきます。

英語を使ってコミュニケーションができてくると、スクールでは英語、家では日本語と切り替えられるようです。

海外移住や受験などで時間が限られている以外は、特に気にする必要はないでしょう。

逆に英語に触れる時間が長く、英語で考えるクセができると日本語がとっさに出てこなくなる場合もあるようです。

筆者の経験上、日本語が話せなくなった子どもはいませんが、まれに日本語のアクセントに特徴があったり、日本語で表現することが苦手な子どももいました。

家庭での日本語を強化したり、絵本や歌に触れてみたり、工夫してみてください。

5-3.保護者の英語力は必要?

保護者の英語力が必須のスクールも、特に問わないスクールもどちらもあります。

しかしお知らせメールや、先生とのやりとりが全て英語で行われる場合が多いです。

そのため、英語力があった方が安心ですが、翻訳アプリなど使ってみてもいいですね。

プリスクールでは日本人の保育士がサポートしてくれるので、そこまで英語力は問われないでしょう。

事前に見学できる場合は聞いてみてくださいね。

 

5-4.どんな行事があるの?

インターナショナルスクールにもさまざまな行事があります。

日本と同じような行事だと運動会やお遊戯会、クリスマス会、遠足などです。

一方インターナショナルスクールならではの行事にはイースターやハロウィン、サンクスギビング、チャリティーイベントなどがあります。

長期休暇中にはサマースクールやウィンタースクールがある場合もあるので、入学前にチェックしてみましょう。

日本にいながら海外の文化に触れるのは、貴重な経験になりますね。

 

6.インターナショナルスクールはひとつの選択肢

ここまでインターナショナルスクールに通うと英語力がつき、国際感覚が養われるなどのメリットがあることや、学費が高く日本語や日本文化を学ぶ機会が少なくなるなどのデメリットがあることをお伝えしました。

インターナショナルスクールに通おうかどうかお悩み中の方は、メリット・デメリットを照らし合わせ、お子さまにとってメリットが高い場合は入学を検討してはいかがでしょうか。

インターナショナルスクール以外にもキッズ英会話や学童向けのアフタースクール、オンライン英会話など、英語を学べる場所は他にもあります。

お子さまに合った選択ができるよう、この記事が参考になれば幸いです。
 

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参考文献
『学校教育法』,文部科学省
『平成30年度子供の学習費調査の結果について』,文部科学省

 

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