木育って何?保育士が薦める「木のおもちゃ」と遊びを広げるコツ
この記事を書いた人
なな
- 高等学校教諭
- 保育士
早稲田大学在学中に放課後等デイサービスでアルバイトとして勤務。
一般企業に就職後、子どもの人生に関わる仕事がしたいと思い、保育園で働きながら保育士資格を取得しました。
現在は保育士として勤務しています。
「子どもと一緒に楽しむ」ことを大切に、子どもと接しています!
「木のおもちゃってなんとなくよさそうだけど、実際どうなんだろう」
「すぐに飽きてしまうのが不安で、高価なおもちゃに手が出せない」
「木育を取り入れたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」
そんなお悩みはありませんか?
この記事では、木育が子どもにもたらす効果や、おすすめの木のおもちゃ、遊び方のバリエーションについてご紹介します。
現役の保育士が実際に保育園で遊んでいる木のおもちゃの中からおすすめをセレクトしました。ぜひ、子育てに「木育」を取り入れてみてくださいね!
目次
1.木育ってなに?
「木育」という言葉を聞いたことはありますか? 木のおもちゃや家具は見たことがあっても、「木育」は初めて耳にするかもしれません。
まずは、木育の意味や始め方についてご紹介します。
1-1.木育とは
木育とは、木を使った工作や自然に関する正しい知識を伝えることで、「木とふれあい、木に学び、木と生きる」ことを目指した取組みのことです。2004年から北海道で広まった活動で、現在は農林水産省や他の自治体でも活動が推進されています。
日本は国土の67%が森林である一方で、人と自然とのつながりが希薄になっています。1枚の紙や木製製品などから、それらの素材となる「木や森」を想像できる人は少ないのではないでしょうか。
木育はそうした問題意識から生まれ、近年では、環境教育や文化理解の観点から注目されています。
1-2.木育の始め方
木育は、普段の生活でも気軽に取り入れることができます。
例えば、木製のお皿やお箸、スプーンなどの小物や雑貨を使うことも、子どもが木に触れ、興味を持つきっかけにつながります。普段使うものを「木製の製品」に替えるだけであれば、忙しい方も取り入れやすいのではないでしょうか。
子どもの月齢・年齢や興味に合わせて、木や自然に関する本を読むのもおすすめです。森に行くのは難しくても、絵本や木製のものを使えば、森や自然、木とのつながりをお家でも手軽に感じることができますよ。
2.木のおもちゃのメリットや知育効果
「木育」の中でも取り入れやすいのが「木のおもちゃ」です。ここからは、木のおもちゃを取り入れる効果やメリットについてご紹介します。
2-1.五感を刺激する
木には、プラスチックにはない温もりや香りがあります。
例えば、木のつみきは、木目や香り、手触りなどが少しずつ違いますよね。ちょっとした違いが脳を刺激し、活性化することで子どもは成長していきます。
また、あかちゃんが木の香りを嗅ぐと、心拍数が下がったという実験結果もあります。木の香りを嗅ぐと安眠効果や免疫力を高める効果があると聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
あかちゃんや子どもも、木の香りによってリラックスすることができるのです。
2-2.丈夫で壊れにくい
小さなお子さんは、おもちゃをうまくつかめず落としてしまったり、遊び方がわからず投げてしまったりすることも多いです。
落としたり投げたりしたときの衝撃でおもちゃが壊れ、割れた破片で怪我や誤飲につながる恐れもありますよね。
木のおもちゃは丈夫で壊れにくいものが多く、安心して使うことができます。高価であっても壊れにくいので、コストパフォーマンスも高くおすすめです。
2-3.安心して遊べる
最近は低価格の均一ショップでも、子供用のおもちゃをよく見かけるようになりました。安価で手に入るのは嬉しいですが、小さなお子さんが使うおもちゃは、安全面での配慮が必要です。
特に、生まれてから3歳頃までのお子さんは、目に入った興味のあるものをなんでも口に入れたり、舐めたりします。口に入れる行為は、発達において重要です。ものの形を確かめたり、味やにおいを感じて味覚を鍛えたりしています。
化学的な着色を施しているものやプラスチック製のおもちゃは、なめると人体に有害な物質が溶け出す危険性も否定できません。
一方、日本に流通している「木のおもちゃ」は、自然素材のため安全性が高く、おもちゃに使われている塗料についても、厚生労働省が定める「食品衛生法」の厳しい安全基準をクリアしており、舐めても安心なものが多いです。
木製に限らずおもちゃを購入する際は、パッケージの裏面に製品の安全性を保証する「CEマーク(欧州の安全基準マーク)」や「STマーク(日本の安全基準マーク)」などの表示があるかを確認しておくとより安心ですね。
3.長く使える、おすすめの木のおもちゃと遊び方
「木のおもちゃを使ってみたいけれど、お店で子どもが興味を持たない」「高価なイメージがある」などの理由で、木のおもちゃに敷居の高さを感じていませんか?
キャラクターなどが描かれたおもちゃに比べて、木のおもちゃは「子どもに人気がある」とは言えないかもしれません。値段も高価なため、なかなか手が出しにくいですよね。
しかし、木のおもちゃは、シンプルで子どもが自分で遊びを広げやすく、長く遊べるという魅力があります。保育現場でも、はじめは木のおもちゃに興味を持たないお子さんでも、一度ハマると夢中になって遊ぶ姿をよく目にします。
ここからは、現役保育士が実際に保育園で遊んでいる木のおもちゃと遊び方をご紹介します。
3-1.カプラ
15㎝ほどのシンプルな木の板で、遊び方は無限に広がります。
1歳くらいのお子さんは、2枚のカプラをたたき合わせて音を確かめて遊んでいます。大人が積み上げたものをお子さんが崩して遊ぶのもおすすめです。軽くて「カラカラ」と良い音がするところが、他の木の積み木にはない魅力です。
お人形のお家にしたり、電車の線路にしたり、他のおもちゃと組み合わせて遊ぶこともできます。自分で積み上げられるような年齢になってからは、動物や大きな家などの大きな作品を作ることもできますよ。
大人にもファンが多く、大会も開催されており、親子で長く楽しめるおもちゃです。
3-2.プラステン
プラステンも、1歳ごろから小学校低学年まで長く遊ぶことができるおもちゃです。
1〜2歳のときは、土台の棒に刺したり、並べたりしながら、指先を上手に使う練習になります。色がカラフルなので、色の概念を覚えるのにも役立ちます。
年中さんくらいになると、自分たちでルールを作ってすごろくなどのゲームにしたり、ひも通しとして遊んだりすることもできます。10のかたまりになっているので、足し算、引き算などの算数学習にも使えますよ。
>>プラステン
3-3.アーチレインボー
アーチレインボーは遊びを広げやすいおもちゃの一つです。
さまざまな大きさと形のパーツがあるので、順番や色の概念を知るきっかけにもなります。ざらざらした加工がしてあるため滑りにくく、斜めに積み重ねることもできるので、「倒したら負け」などのゲームも楽しいです。
もちろん並べて模様を眺めたり、おままごとの一部として使ったりするのもおすすめですよ。
>>アーチレインボー
4.木のおもちゃで遊べる施設
「木のおもちゃを購入するにはハードルが高い」「大きな木のおもちゃで遊んでみたい」という方には、おもちゃ美術館もおすすめです。
全国に10か所以上あり、廃校になった木造の小学校を活用するなど、特色のある魅力的な施設です。
たくさんの木のおもちゃが用意されているので、木のおもちゃとお子さんとの相性をみることができます。
おもちゃ学芸員と呼ばれるスタッフが一緒に遊んでくれたり、木に関するワークショップが開催されていたりなど、お家ではできない木育経験もできますよ。
参考サイト
・東京おもちゃ美術館
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5.赤ちゃんから小学生まで、木育を始めてみよう
木育の始め方や木のおもちゃの知育効果についてご紹介しました。
木育を始めるのに、特別な道具は必要ありません。お家の中にある「木製のもの」を探したり、普段使う食器やスプーンを木製に替えたりするだけでも、木や自然とのつながりを感じることができます。
木のおもちゃはシンプルだからこそ、様々な遊び方ができるのが魅力です。乳児期から小学校になっても年齢に合わせた遊び方で、長く使うことができますよ。木育を通して、子どもたちの情緒や五感を育んでみませんか。
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