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【5歳・6歳】書き順がめちゃくちゃ!直すべき?元小学校教員が効果的な教え方も紹介

この記事を書いた人

りけ りけ

りけ

  • 高等学校教諭
  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭
  • 司書教諭
  • 中学校教諭

大学卒業後、海外の日本人学校や国内の小・中学校にて5年間勤務。

現在は、3歳と1歳の子どもの子育てに奮闘中のママです。

絵本の読み聞かせや知育玩具を手作りして遊ぶのが得意です。

小学校入学前の、5・6歳のお子さんをお持ちの方へ。
文字が少し書けるようになってはきたものの、お子さんの書き順がめちゃくちゃなことに悩んでいませんか?

この記事では、元小学校教員の筆者が、小学校での書き順指導の実態を踏まえた上で、書き順を意識するメリットや家庭でできる書き順の教え方を解説しています。

「めちゃくちゃな書き順は小学校入学前に直した方がいい?」
「家庭でもできる書き順の教え方を知りたい!」

そんな方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

 

目次

1.書き順がめちゃくちゃでも大丈夫?

小学校入学前の段階では、書き順は「間違っていても問題ない」というのが私の回答です。

現在の小学校教育では、書き順の習得についてはそこまで重要視されていません。
小学校の学習指導要領や、実際の具体的な指導例をもとに詳しく解説していきます。

 

1-1.学習指導要領の定めでは?

全国どこの小学校でも一定の水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程の基準「小学校学習指導要領」(平成29年告示)解説の国語編によると、書き順指導の必要性について小学校低学年では明記されていますが、中学年以降では明記されていません。

つまり、小学校中学年以降は、書き順指導が必ずしも必要とされているわけではないのです。

また、小学校低学年でも書き順指導の必要性は書かれているものの、その目的は正しい書き順を覚えることではないのです。
それでは下記で詳しく見ていきましょう。

第2節「国語科の内容」の第1学年及び第2学年については、以下のように書かれています。
学習指導要領では、書き順は「筆順」という言葉で表現されています。

「筆順に従って」という言葉があるように、低学年では書き順の指導が必要とされていることが分かります。しかし、上記でご紹介した(イ)の定めの中には、以下のようにも書かれています。

つまり、小学校低学年では正しい書き順の指導が必要とされてはいるものの、「読みやすい文字を丁寧に書こうとする態度を身につける」ことが、より重要視されていると言えるでしょう。

 

1-2.小学校入学後でも書き順は直せる!

小学校入学前に書き順がめちゃくちゃでも、入学後に正しい書き順に直すことは可能です。

1年生では、最初に学ぶ平仮名は特に時間をかけて丁寧に学びます。ワークやプリントなどを用いて練習するのはもちろん、その後も繰り返し何度も練習する機会があるので安心です。

筆者は小学校1年生の担任をした経験がありますが、入学当初、書き順がめちゃくちゃなお子さんは意外といます!

しかし、書き順を一から学び繰り返し練習するうちに、ほとんどのお子さんが正しい書き順に直せていましたよ。

 

1-3.書き順が間違っていてもテストで×にはならない

お子さんが間違った書き順で文字を書いても、テストで×をつけられることは絶対にありません。

小学校入学後すぐにテストをすることは基本的にありませんが、万が一、文字を書くテストでお子さんがめちゃくちゃな書き順で文字を書いても、形が合っていれば〇になります。

さらに、小学校で書き順がテストに出ることはほとんどありません。

書き順を間違えやすい漢字について問われたテストは見かけたことがありますが、平仮名や片仮名の書く順番を暗記するようなテストはこれまで見たことがありません。

つまり、現在の小学校教育では正しい書き順の指導はされるものの、習得についてはそこまで重要視されていないのが現実です。

 

2.書き順を守るメリット

入学前に書き順が間違っていても大きな問題はありませんが、正しい書き順で書けるのであればそれに越したことはありませんよね。
ここからは、正しい書き順で書くメリットを順に紹介していきます。

 

2-1.書くことが好きになる

文字を正しい書き順で書くお子さんほど、書くことに抵抗感なく取り組めるため、書くことが好きになるお子さんが多いです。

正しい書き順で文字を書けると、学校などで自然と褒められる機会が増えます。

書くことが自信になると、進んで書くことに取り組むようになり、結果さらに褒められより書くことが好きになる、そんな良い循環が生まれているお子さんを教員時代に何人も目にしてきました。

 

2-2.テストの点数が高くなる傾向がある

正しい書き順で文字を書くと、バランスの整った読みやすい文字を書くことができます。
その結果、テストの点数が高くなる傾向があるのです。

フロリダ国際大学のローラ・ダインハート准教授の研究によると、文字がうまく書けることと、学力が高いことに相関関係があると言われています。

その理由としては、「文字が上手だと教師にとって読みやすいからいい点数をもらいやすい」ことや、反対に「文字が上手く書けないと、文字をきちんと書くことに意識が集中し、自分が書く内容に注意が向かない」ことを挙げています。

正しい書き順がテストの点数にも影響するのであれば、書き順を守るメリットは大きいのではないでしょうか。

 

2-3.文字を覚えやすい

例えば漢字を学習する際、同じ形を持つ漢字を複数覚えますよね。
部首が同じであれば、新しい漢字を学習するときも「同じ部首でパターンが違うだけ」と考えることができます。

そのため、書き順を知っていると漢字が覚えやすくなります。
文字の書き間違いやミスが減ることも期待できますよ。

 

2-4.速く書ける

正しい書き順で書くと、止め・はね・はらいなどの動きがスムーズになるため、文字を書くスピードが速くなります。

文字を速く書けると、その分先生の話をしっかり聞いたり自分で考えたりする時間が長くなりますよね。

もちろん、初めはゆっくり丁寧に書くことを意識することが大切ですが、ある程度の速さで文字を書く力も今後重要になってくる力です。

 

3.書き順の教え方

とは言っても、書き順ってどうやって教えるの?と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここからは、家庭でお子さんに書き順を教える具体的な方法について紹介します。

 

3-1.書き順の原則を教える

書き順には一定のきまりがあり、正しい書き順を覚えれば文字を覚えるのも早くなります。

小学校学習指導要領(平成29年度告示)解説「国語編」では、書き順の原則について以下のように書かれています。

“学校教育で指導する筆順は、「上から下へ」「左から右へ」「横から縦へ」といった原則として一般に通用している常識的なものである。”

 

「上から下へ」、「左から右へ」、「横から縦へ」という書き順の原則を初めに教えておくと、文字の書き順を覚えやすくなるのでおすすめです。

しかし、小学校入学前のお子さんにこの原則を伝えても理解するのは難しいですよね。そんなときは、「上から始めるよ」「左に書いてから右だよ」と隣で声をかけながら一緒に練習すると良いですよ。

「ま」と「ほ」や「ね」と「わ」など、形が似た文字をまとめて練習するのも効果的です。

 

3-2.声に出しながら書く

小学校では、書き順を声に出しながら練習することが多いです。
例えば、小学校で文字を学習する際は、子どもと一緒に「いちー!」「にー!」などと言いながら書き順を練習することがあります。

声に出すことで記憶が定着しやすくなるメリットがあると考えられているからです。

家庭でも、お子さんと一緒に書き順を声に出しながら練習することで、正しい書き順がお子さんの記憶に残りやすくなることが期待できますよ。

 

3-3.繰り返し練習する

正しい書き順は、繰り返し練習することで定着していきます。
ただ、ひたすら書き順だけを練習させるのは、お子さんが飽きてしまったり嫌になったりするデメリットも考えられます。

そこで、教えた文字を使って、言葉や手紙を一緒に書いてみるのはいかがでしょうか。

正しい書き順で文字が書けているかを時々確認し、できたことを褒めることで、お子さんの自信を育んであげましょう。

間違っているときには、優しく指摘してあげるのがおすすめです。

 

4.書き順を訂正すると不機嫌になるお子さんへの対応

書き順の間違いを指摘や訂正すると、不機嫌になってしまうお子さんに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、お子さんが不機嫌になったときの対応についてもまとめました。

 

4-1.無理に訂正しない

お子さんが不機嫌になってしまったときには、無理に訂正しないことが大切です。無理に訂正したり怒ったりすると、「書く」ことへの意欲も低下してしまう可能性があります。

書き順を守ることも大切ですが、小学校入学前の段階であれば「書く」ことを楽しむ方が大切です。お子さんが不機嫌になってしまうようであれば、多少の間違いには目をつぶり、一緒に書くことを楽しむ経験を増やしてみましょう。

お子さんの中には、文字を「形」として捉えてしまうことで書き順に覚えにくさを感じているお子さんもいるので、書き順を覚えることが苦手なお子さんは、正しい書き順を教えるよりも、文字を「形」として捉えやすくする工夫をしてあげることが大切です。

場合によっては、専門家の方へ相談したり、入学前に学校の先生に相談するのがおすすめです。

 

4-2.市販のドリルを活用する

お子さんの好きなキャラクターやイラストを用いた市販のドリルを活用するのもおすすめです。

市販のドリルでは、正しい書き順を楽しく学べる工夫がされています。

お子さんと一緒に本屋へ行き、実際にページを見ながら楽しく学べるドリルを選んであげると、お子さんのやる気UPにもつながりますよ。

 

5.書き順にこだわるよりもこの時期に大切なこと


最後に、この時期のお子さんにとって、書き順にこだわるよりも「今」大切にして欲しいことをまとめました。

 

5-1.書くことを楽しむ

正しい書き順を意識しすぎることで、書くことが嫌いになってしまうのは本当にもったいないこと。

入学後は、ノートやプリント上に文字を書く機会がたくさんあります。
そのため、書くことが嫌いになると学習意欲も低下してしまうことがあり、結果学校の勉強を楽しめなくなると本末転倒です。

一緒に手紙を書いたりノートで言葉遊びをしたりするなど、まずは楽しく書く経験をたくさん作ってあげてみてくださいね。

 

5-2.マス目の中に文字を書く

入学前にぜひ練習して欲しいのが、マス目の中に文字を書くことです。

1年生では、マス目のあるノートを使って文字を書く練習をすることが多いです。
初めてマス目のあるノートを使うお子さんは、文字がマス目から大きくはみ出したり、反対に小さくなりすぎることもあります。

マス目の中に文字を書くには、練習が必要なんですよね。

もちろん、入学後にしっかりと指導をしてもらえるので、完璧にできるようになる必要はありません。

しかし、正しい書き順を教える前にマス目の中に文字を書く練習をしておくことで、結果バランスの取れた丁寧な文字が書けることにもつながるのでおすすめですよ。

 

5-3.丁寧に書く

記事の前半でもお伝えしたように、小学校の学習指導要領でも重要視されているのが、文字を丁寧に書こうとする態度です。

正しい書き順を教える前に、まずはお子さんが一画一画を丁寧に書こうとしているのか、ぜひ確認してみてくださいね。

文字を丁寧に書こうと意識することで、お子さんの集中力も自然と高まりますよ。

 

6.書き順を意識しすぎないで、まずは書くことを楽しもう


今回の記事では、お子さんの書き順がめちゃくちゃなときの対応方法を解説しました。

小学校入学前の時期では書き順を無理やり直す必要はありませんが、正しい書き順を覚えることはお子さんにとってのメリットも多く、大切なことです。

今回紹介した、家庭でできる書き順の教え方やお子さんへの対応などを参考に、お子さんと一緒に文字を書くことを楽しんでみてくださいね。
 

こんなお悩みはありませんか?

・発達がゆっくり…?
・〇歳でこれくらい出来ていて普通なの?
・調べてもよくわからない

 

主な参考文献
・文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説【国語編】
・東洋経済ONLINE「「手書き」が上手い子は、学力も伸びやすい

 

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