新1年生の小学校入学準備~親&子ども編~【元教師が解説】
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yurinako
- 司書教諭
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 子育て支援員
小2と年長の娘のママ。
小学校教員として15年間勤め、小学1年生から6年生までの担任を経験し、
のべ1500人以上の子どもたちを指導してきました。
小学校教諭、幼稚園教諭、司書教諭、子育て支援員の資格を持っています。
親子で一緒に、本やダンス・料理を楽しんでいます!
年長さんは、あと3か月ほどで小学校入学を迎える時期になりました。
「楽しい小学校生活を送ってほしい」とママパパの誰もが思っていることでしょう。
初めての小学校ですから、わからないことだらけなのは当然です。
親としてできるだけの準備をしておきたいけれど、何から取りかかったらいいのか迷う方も多いですよね。
『小1の壁 前編』では、入学半年前から3か月前頃にやっておきたい準備をご紹介しました。
今回は、新一年生の子どもを育てる保護者の方に向けて、小学校入学までの残り3か月の準備について、元小学校教員のライターがお伝えします。
ギリギリになって「時間がない!」「準備が間に合わなかった!」ということがないように、早めにチェックしておきましょう。
目次
1.新1年生は目の前!入学直前のスケジュール
まずは、入学までの大まかなスケジュールを見ていきましょう。
ざっくりとスケジュールを把握しておくと、「入学する学校の予定を確認しておかなきゃ!」「仕事の予定を調整しておいたほうがいいかも」など、見通しをもつことができますね。
1-1.入学までのおおまかなスケジュールを把握しておこう
【入学準備スケジュール:1月〜4月】
・1月:就学先の決定(入学する学校が決まり、教育委員会から決定通知が郵送されます)
・2月頃:新1年生保護者会、学童の説明会など その後、学用品準備、卒園行事等
・4月1日から:学童の受け入れ開始
・4月6日前後に:入学式
お住まいの市区町村によって、時期に若干の違いがありますので、お住まいの地域ではどんなスケジュールになっているか、確認しておきましょう。
2.新1年生の小学校入学準備【親がやること】
まずは、ママパパが準備することを確認していきます。
新1年生保護者会が終わると、準備することが多く、慌ただしくなることが予想されます。
また、これが卒園の時期とも重なるため、要注意です。
学用品の買い物や銀行等への手続きなど、入学準備のための時間を作れるように工夫していきましょう。
2-1.新1年生保護者会へ参加する
「新1年生保護者会」は、入学予定者の保護者のみが参加するものです。
学校の理念や取り組み・入学までに家庭で準備する物・必要書類・入学式についての説明など、実務的な説明ばかりですので、参加は必須です。
家庭で準備する文房具や体育着などの実物を見ることができたり、給食費・教材費の口座振替・通学路のルートの説明があったりします。
わからないままだとお子さんが困ってしまうこともありますので、不明なところはその場で質問して確実にしておくのがおすすめです。
どうしても開催日の参加が難しい場合は、できるだけ早く入学先に連絡しましょう。
新1年生保護者会は、1月後半から2月前半に行うのが一般的です。
説明を担当してくれるのは、そのときに1年生や2年生の担任をしている先生たちであるケースが多いようです。この時点ではまだ入学後の担任は決まっていませんので、説明会で顔を合わせた先生が我が子の担任をしてくれるわけではありません。
2-2.学用品の準備をする
新1年生保護者会で説明のあった学用品を、入学までに準備します。
多くの学校で準備が必要になるものは以下の通りです。
【入学までに準備が必要な学用品(例)】
・ランドセル
・防災頭巾
・上履き、上履き袋
・体育着、紅白帽、体育着袋
・レッスンバッグ(荷物をまとめるためのもの)
・ランチマット、ランチマット袋
・筆箱、えんぴつ、赤えんぴつ、消しゴム、定規
学校によって準備する物に違いがありますので、説明会の資料で確認してくださいね。
また、道具箱(はさみ、のり、色鉛筆、クレヨン)やノート、絵の具セット、鍵盤ハーモニカは、入学の際や入学後に学校で一括購入することが多いようです。
【先輩ママが悩んだのはここ!】
学用品の準備について、先輩ママたちが悩むポイントが大きく3つあります。
① レッスンバッグなどの袋ものを購入するか、手作りするかです。子どものお気に入りの絵柄で手作りしてあげたい気持ちもありますが、手間と時間がかかるのが悩みどころ。近所のショッピングモールで購入すると絵柄が友達とかぶってしまって、子ども同士で取り違えることもあります。
② どこで買うかです。特にランチマットや防災頭巾は大きさの指定があり、保育園のものを使いまわせないこともあります。ネットで購入される場合は、早めの購入をおすすめします。3月半ばになると売り切れてしまうこともありますので、ご注意ください。
③ 記名です。準備したもの全てに、“ひらがな フルネーム”で名前を書きます。みんなが同じようなものを持っていますので、落としたときに誰のものか分かるように、消しゴムの本体とケースにも忘れずに書きましょう。
2-3.学納金振込の口座手続きのため、銀行へ行く
新1年生保護者会では、給食費や教材費の引き落としなどに使う口座振替の書類も配布されます。
自治体によって方法は異なりますが、保護者が銀行や郵便局に行って手続きをしなければならない場合もありますので、注意しましょう。
フルタイム勤務の方だと銀行に行く時間はなかなか取りにくいですよね。その割に、学校への提出期限は早いことが多いのです。
先輩ママの中からは「新1年生保護者会のために休暇を取った直後、銀行に行くためにまた休暇をとらなくてはならず、職場の方に申し訳ない思いだった」という声もあります。
銀行に行く必要があるかどうかだけでも把握しておくことで、早めに仕事の調整をしたり、ママパパで分担したりと対応策を考えられそうですね。
2-4.生活リズムのシミュレーションをする
小学校に入学すると、幼稚園・保育園のときとは生活リズムが変わるご家庭が多いでしょう。
幼稚園の登園時間と比べると、小学校の登校時間はかなり早いです。また、バス通園だった子にとって、歩いて通うのは大きな変化です。
保育園の場合は、小学校よりも早い時間から登園していた子もいますよね。「保育園より遅いから大丈夫…」と油断していたら、時間ギリギリになってしまった!というお子さんもいるようです。
お子さんの登校時間によって、親のルーティンも大きく変化します。
忙しい朝の家事のリズムを変えるだけでもエネルギーが必要ですが、出勤時間や通勤に使う電車の時刻が変わることもあります。
また、きょうだいがいるご家庭では、下の子の登園時間を調整する必要があることも。親の仕事の状況・きょうだいの生活リズムなども合わせて、シミュレーションしておくと安心です。
また、4月の初めから学童に通わせる場合には、お弁当に関する準備も必要です。保育園ではお弁当を作る機会が少なかったと思います。必要なものが不足していないか確認し、お弁当箱・お手拭き・おはしセットなどを準備しておきましょう。
3.新1年生の小学校入学準備【子どもがやること】
次に、お子さんの準備を見ていきましょう。
『小1の壁 前編』では、学校生活にポジティブなイメージを持つこと、着替え・トイレ・食事を自分でできるようにすること、時間を意識して行動すること、ひらがなを読めるようにすることの4つをご紹介しました。
今回は、入学直前までにやっておくよいこと、できるようになっておくとよいことをお伝えします。
3-1.学用品を自分で扱えるようにしておく
小学校では、たくさんの学用品を使います。どれも新しいものばかりで、子どもたちはワクワクです。
入学前に購入したものについては、おうちで使ってみて、慣れておくことをおすすめします。
基本的な使い方をご家庭で練習しておくと、学校では学習に集中できます。
例えば、体育着をたたんで袋にしまう、ランドセルに荷物を入れて閉じて背負う、鉛筆を使ったら筆箱にしまう、消しゴムのカスは自分で捨てる、などです。
【自分の持ち物を扱えないと、こんなことに…】
筆者が小学校で1年生の担任をしていた際には、「先生、ランドセルを閉められません」「体育着のズボンがどっかいっちゃった!」「ハンカチをポケットに入れられないの…」という困りごとがたくさんありました。
小学校は、30人超の子どもに対して先生は1人ですから、一度に何人も来られてしまうと先生は対応しきれません。なくし物と忘れ物への対応だけで、授業の半分が過ぎてしまったこともあります。
また、小学1年生に意外と多いのが「これ、自分の物って知らなかった…」という言葉。新しい学用品が多すぎて、お子さんが自分の物を把握できていないのです。
忙しさのあまりお子さんの見ていないうちに、親がランドセルに入れたりすると、「誰のか分からない。僕のじゃないと思う」ということになるようです。
3-2.通学路を確認しておく
入学式までに、親子で通学路を確認しておきましょう。
入学式は親子一緒に登校できますが、翌日からはお子さん一人での登校です。道を覚えることはもちろん、横断歩道や車がよく通る場所などをチェックしておきましょう。
通学路は、それぞれの学校で推奨しているルートがあります。一斉集団下校の際にはそのルートを使って帰ることになりますが、決められたルートが、自宅から学校までの最短経路ではないこともあります。
危険が予測される道を避けたり、私道は通らないように定めたりしているのです。新1年生保護者会のときの説明や資料を確認してみてください。
3-3.学校で使う言葉を知っておくと安心
初めてのことに慣れるまで時間がかかる子、先の見通しをもっていたほうが安心する子は、“学校でよく使う言葉”をあらかじめ知っておくことをおすすめします。
幼稚園・保育園では使わなかった道具の名前や、教科の名前、お子さんが使うお部屋などです。具体的には、黒板、国語・算数、消しゴム、教科書・ノート、保健室などが挙げられます。
学校のイラストや絵本を使うと、分かりやすいです。
「国語は、ひらがなや漢字をやったり、お話を読んだりするお勉強だよ」「保健室は、けがしたときに手当してくれたり、具合が悪い時に診てもらったりするお部屋だよ。保健の先生がいるんだよ」と、どんなことをするのか、何に使うのかを話しておくとお子さんがイメージしやすいですね。
【行動が遅れる原因がこんなところにあった!?】
筆者が1年生の担任をしていた際に、「次の時間は算数だから、算数の教科書とノートを机の上に出しましょう」と声をかけても、なかなか準備できない子がいました。
「どうしたの?」と聞くと「“きょかしょ”はどれかわかんなかった…」とのこと。大人は当たり前のように使っている言葉でも、1年生の子には初めて聞く言葉がたくさんあるのです。
3-4.字を書くことに慣れておくと、学習に抵抗感なく取り組める
“1年生と言えば、まずひらがな”と言えるほど、1年生の生活に欠かせないひらがなの学習。入学した4月からさっそくひらがな学習が始まります。
小学1年生の中には「勉強いやだ」「学校が大変」と学習に抵抗感をもつお子さんもいますが、その原因の1つに、「書くことが多い」ことが挙げられます。
園での生活と比べて、書く作業が圧倒的に多いので、子どもたちが疲れてしまうのです。
そんな抵抗感・負担感を軽減するには、字を書くことに慣れておくとよいでしょう。
必須ではありませんので、“余裕があれば”“本人がやりたがっていたら”取り組む、という程度で無理のないようにしてあげてくださいね。
既に、市販のドリルや無料ダウンロードできるプリントなどを活用して、ご家庭でひらがなの練習をしているご家庭もあると思います。
ただ、コツコツ練習するのは難しいお子さんもいますよね。そんなときは、家族でお手紙交換をするのはいかがでしょうか。お子さんは“練習している感”を感じず、文字を書く機会になります。また、お友達の名前や好きなキャラクターの名前を書き出すのもおすすめですよ。
4.新1年生直前!プレッシャーを感じすぎないための心の準備
入学に関して出回っている情報には、「やるべきこと」「やっておくと良いこと」がたくさん書かれています。
しかし、それらを全てやろうとすると、ママパパにとって負担になったり、お子さんにプレッシャーを与えてしまったりすることもあります。
まず大切なのは、お子さんが楽しんで学校に通うこと、そしておうちの方が安心して送り出せること!
親子とも無理せず、プレッシャーを感じすぎず過ごすためのヒントをご紹介します。
4-1.予想外の事態も、「子どもの成長の証」と考える
どれだけ準備していても、予想外のことや初めての事態に出くわすことがあります。
親子とも、環境が大きく変わるときなので、「そんなときもあるか」と大きく構えられるといいですね。お子さんが成長しているからこそのハプニング、と捉えると少し楽になるかもしれません。
また、子どもが“小学生”という新たなステージに上がるということは、親も“小学生の親”という新たなステージに上がるということ。親にとってもステップアップの機会ですね。
4-2.お子さんの気持ちを大切に
お子さんが小学校で困らないように、しっかりと準備しておきたいと思うのが親心ですよね。
しかし、「あれもこれも!」と事前にやらせすぎてしまって、学校に対して「大変そう、いやだな」とネガティブな印象をもってしまうお子さんもいるようです。
大切なのは、お子さんがワクワクしながら通うこと。入学前は、お子さんに無理させない程度に教えておくことを意識したいところです。
「学校っておもしろそう」「楽しみ」という気持ちをもっていると、入学した後のやる気や自信につながっていきますよ。
4-3.まだできないことがあって当たり前。焦らなくて大丈夫
“小学生”というとぐっと大きくなったように聞こえますが、まだまだ幼い6歳です。
できないこと、難しいことがあって当たり前です。周りの子や“一般的な1年生”と比較する必要はありません。
今できていること、少しでも成長したことを認めて、一歩一歩進んでいきましょう。
入学後は、学校と一緒に子どもを育てていくような気持ちで、情報を共有していけるといいですね。
5.早めの入学準備がお子さんの安心につながる
お子さんの入学まで残り数か月。後で困ることのないように、情報収集や準備をしておくと安心です。
それが、お子さんが安心して通うことにもつながります。
お子さんの入学に関して、わからないこと、困ったことがあれば、入学前でも学校に質問することができます。「こんな小さいことで学校に電話していいのかな…」と感じるかもしれませんが、初めてのことは分からないことだらけで当たり前ですから、遠慮なく確認してみましょう。
また、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんがいるママ友さんなどがいれば、気軽に聞きやすいかもしれません。
お子さんの小学校入学は、ライフワークの中でも大きな節目になります。親子とも無理をしすぎず準備を重ねて、心地よく入学を迎えましょう。
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