【小学校低学年向け】読書感想文が書きやすい本の選び方!おすすめ本もご紹介<前編>
この記事を書いた人
yurinako
- 司書教諭
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 子育て支援員
小2と年長の娘のママ。
小学校教員として15年間勤め、小学1年生から6年生までの担任を経験し、
のべ1500人以上の子どもたちを指導してきました。
小学校教諭、幼稚園教諭、司書教諭、子育て支援員の資格を持っています。
親子で一緒に、本やダンス・料理を楽しんでいます!
もうすぐ夏休み。保護者会では夏休みの宿題についてお知らせがあった学校も多いですよね。
夏休みの宿題の中でも、「読書感想文」に親子共々疲れ果ててしまった…という声をよく聞きます。
1年生だと、まだひらがなを学習し終わったころですから、文章を書くなんてまだまだ難しいですよね。2年生だと本を読むことには慣れてくる子も増えてきますが、作文用紙を目の前にすると、何から手を付けていいかわからない…という子が多いでしょう。
そこで今回は、元小学校教員であり司書教諭である筆者が、読書感想文を書く上での本選びについてご紹介します。
子ども向けの本は多々ありますが実は、読書感想文に向いている本とそうでない本があります。
そもそも低学年の読書感想文とはどんなものか、お子さんの興味関心に寄り添って本を探すコツなどにふれながら、低学年向けのおすすめ本もご紹介します。
目次
1.小学校低学年の読書感想文を書く上で大切なこととは?
筆者が小学校教員をしていたときには、「読書感想文を書くためには、文章力が最も大切!」と捉えている保護者の方に多く出会いました。
確かに、文章力も大切なことの1つですが、最も重要なのは「子どもの心が動くこと」だと考えます。
まずは、低学年の読書感想文とはどんなものなのか、どのようなことが求められているのか、確認していきましょう。
1-1.読書感想文で大切なのは、「子どもが考えたこと」
「読書感想文」と聞くと、ストーリーのあらすじや「○○がおもしろかったです」などの感想をイメージする方が多いですよね。
実は、読書感想文の目的は、「本を読んで、決められた文字量の文章を書く」ことではなく、「その本を通じて考えを深める」ことです。
核となるのは、「子ども自身の考えたこと」なのです。 この「自分が考えたこと」という部分をどう捉えるかが重要なところ。
「おもしろかったです」「たのしかったです」という全体を総括した感想よりも、「こんなことになるなんて思わなかった!」「私だったらこう言ってあげたいな」「ぼくもこの気持ちわかる!」のように、物語に入り込んだ感想を具体的に書けると良いでしょう。
1-2.お子さんの心が動く本を選ぼう
読書感想文を書くには、上に示したような具体的な感想を持てるような本を選ぶことが重要です。
単行本はもちろんのこと、絵本を選んでも構いません。
また、文字を読むことに慣れていない、本があまり好きではないお子さんなら、読み聞かせから初めることも視野に入れましょう。まずはお家の方に読んでもらって耳からお話を楽しみ、その後に自分で読んでも良いのです。
子どもの心が大きく動くような本、読書感想文を書ける本の選び方のポイントを、以下で紹介します。
2.読書感想文を書きやすい本とは?
低学年のお子さんは「表紙の絵がかわいい」「字が大きくて読めそう」「お友達が読んでいていいなと思った」という理由で本を選ぶことが多いです。
しかし残念ながら、それが必ずしも読書感想文に向いているとは限りません。
ここでは、読書感想文を書きやすい本の特徴についてご紹介していきます。
2-1.ストーリー・起承転結がわかりやすいもの
まずは、物語や絵本など、ストーリーが明確なものです。
起承転結がはっきりしていて、お子さんが驚いたりホッとしたりと、心を動かされる場面のあるものがおすすめです。
また読書感想文には、ある程度のあらすじを記載するのが一般的です。物語ならば、「いつ・どこ・誰・何・どうした・どのように」という5W1Hが、お子さんにとって分かりやすいものが良いでしょう。
2-2.登場人物に自分を重ねやすいもの
2つ目は、登場人物の一人に自分を重ねて読みやすいものです。
登場人物と自分を重ねると、より具体的でリアリティのある感想を持つことができます。
「この気持ちわかる!」「ぼくだったらこうするのになあ」「私にはこんなことできない、主人公の子はすごい!」など、自分が物語に入り込んだような感覚で読み進めることができる本がおすすめです。
例えば、お子さんと同じ年の子が主人公のお話、小さい妹や弟がいるなら兄弟のお話などが挙げられます。
2-3.自分の体験を思い出せるもの
3つ目は、自分の体験を思い出せるものです。
「ぼくにもこんな経験あるなあ」「あのときの私に似てる!」と思えるような本です。
本を読みながら、自分の気持ち・体験を振り返り、今後に活かせるような考えをもてるとさらに良いでしょう。
例えば、「私も今度は勇気を出してやってみよう!」「ぼくも次のときは、もっとみんなの気持ちを考えてみたいな」などです。
2-4. ▲読書感想文にはおすすめできないジャンル
お子さんが選ぶ本の中には、楽しくて学びが深まるのですが、読書感想文にはおすすめできないジャンルがあります。
それは、学習漫画、図鑑、なぞなぞや迷路、言葉遊び、ハウツー本です。
図鑑、なぞなぞや迷路、言葉遊びの本は低学年のお子さんに大人気のジャンル!純粋に面白いですし、パラパラとめくって好きなページだけ読むことができます。
ただ、読書感想文を書くにはあまり向いていません。
自分事として考えることが難しいジャンルなので、感想を求めても、「面白かった」以上の言葉が出にくいのです。 また、漫画で読書感想文を書くことは、認めていない学校が多いので注意しましょう。
3.読書感想文を書く本はどうやって見つける?
読書感想文に使う本のポイントが分かったところで、実際にどうやって見つけたらいいか考えてみましょう。
本選びを任せられるお子さんもいますが、中にはお子さんに任せると図鑑ばかり借りてくる子もいますよね。
そんなときは、お子さんの興味関心や学校の推薦本をもとに、読書感想文向けの本を探していきましょう。
3-1.子どもの好みを中心に考える
お子さんの興味関心が明確なら、それをもとに本を選んでいきましょう。
①以前に読んだことのあるもので、印象深いもの
読書感想文を書くために、新たに本を読み始める必要はありません。
今まで読んだものの中でお気に入りの1冊を選んで良いのです。
ただ、あまりに小さい頃の絵本だと内容が少なく、書きにくいことがあるので注意しましょう。
②「子どもが好きなこと」をキーワードに選ぶ
好きな物事が明確なら、それに関連する本を選びましょう。
サッカーが好きな子には「サッカー少年が奮闘するお話」、乗り物が好きな子には「いろいろな乗り物に乗って出かけるお話」、食べ物が好きな子には「パティシエが出てくるお話」などです。
③子どもが好きなキャラクターと同じ作者のもの
普段からテレビやゲームが好きで、本はあまり読まないというお子さんもいますよね。
そんなお子さんには、好きなキャラクターと同じ作者の物を選んでみてはいかがでしょうか。
例えば、Eテレの「はなかっぱ」が好きなら、同じ作者である、あきやまただしさんの「たまごにいちゃん」などがおすすめです。
3-2.学校が推奨するものを中心に考える
学校や文科省が推奨するものから選ぶのも方法の1つです。
国語で学習している内容と近いレベルの物が紹介されていますので、お子さんの学年ではどの程度の読書力が求められているのか把握するのにも役立ちそうですね。
①課題図書
毎年行われている「青少年読書感想文全国コンクール」課題図書です。
全国学校図書館協議会・毎日新聞社が開催しています。低学年・中学年・高学年・中学生・高校生の5つに分かれており、それぞれ数冊ずつ紹介されています。
その年の課題図書はもちろん、過去の課題図書も良いでしょう。
2024年度「小学校低学年の部」の課題図書は以下の4冊です。
『アザラシのアニュー』
アザラシの赤ちゃんの成長&冒険物語。巻末にはアザラシの生態を解説した図鑑ページも収録されています。
『ごめんねでてこい』
「ごめんね」という言葉の重みや大切さを感じられます。低学年にやすい文章量も選定理由です。
『おちびさんじゃないよ』
体が小さい主人公・テンの行動力に勇気をもらえる1冊です。他者を見た目で判断しないことの大切さも伝わります。
『どうやってできるの?チョコレート』
チョコレートはどうやって作られるのか、カカオはどうやって日本に来るのか。美味しいチョコの、見えない裏側を知ることができます。
②国語教科書に掲載されている物語と同じ作者のもの
お子さんの国語の教科書には、物語文が必ず掲載されています。
1,2年生の国語教科書には「はなのみち」「おおきなかぶ」「くじらぐも」「スイミー」「ミリーのすてきなぼうし」などがあります。
それらと同じ作者の作品には、低学年が読みやすい作品が多い傾向があります。
実は低学年のお子さんは、日ごろから音読の宿題でお話を読むうちに、作者の名前をなんとなく記憶している子が多いのです。
「あのお話と同じ名前の人だ!」と感じると、子どもも読みやすく感じるでしょう。
③国語教科書で参考図書として紹介されているもの
実は国語の教科書には、おすすめの本が紹介されていることをご存知ですか。
国語教科書の巻末には、「こんな本も読んでみよう」といろいろな本が紹介されているのです。
その学年の子どもが読みやすい文章量のもの、国語で扱った内容に関連しているものが多いので、そこから選ぶのもおすすめです。
3-3.子どもの読みたい本も尊重しつつ、感想文向けの本も読ませる
図鑑・なぞなぞ・クイズなどの本が好きなお子さんに対して、「それじゃなくて、こっちを借りなさい!」とは言いにくいものです。
しかし親としては、「その本じゃ読書感想文は書けないのではないか…」と不安に思うこともありますよね。
そんなときは、子どもの読みたいものも尊重しつつ、感想文向けの本も準備しましょう。
例えば、親子で図書館に行くとします。お子さんに自由に選ばせる本もありますが、「この本にも虫が出てくるみたいだから借りておくね」と言って、感想文が書けそうな本もいくつか借りておきましょう。
4.低学年向け 読書感想文おすすめ本6選
ここまでの内容を踏まえて、元小学校教員であり司書教諭である筆者が、低学年のお子さんにおすすめの本を選びました。
興味関心や、普段読んでいる本と照らし合わせながら、お子さんがじっくり読める1冊を見つけられたらと思います。
・1.「ありがとうともだち」
・2.「1ねん1くみ1ばんサイコー! 」
・3.「いもうとガイドブック」
・4.「むしたちのうんどうかい」
・5.「うそつきに かんぱい!」
・6.「中を そうぞうしてみよ」
1.「ありがとうともだち」内田 麟太郎
あらすじ
「ともだちや」が有名な「おれたち、ともだち!」シリーズの1冊。心優しいきつねと、ぱっと見は怖いが情に厚いオオカミの出てくる絵本です。
小学校に入って、新しいお友達ができた1年生にとって、共感できるところがたくさんあるシリーズです。
文章量も少なめなので、読書に慣れていないお子さんにもおすすめです。
2.「1ねん1くみ1ばんサイコー! 」後藤 竜二
あらすじ
まず、「1ねん1くみ」というタイトルで、1年生の子は「自分の事じゃん!」と惹かれること間違いなしのシリーズです。
クラスメイトの転校をきっかけにした、小学生たちのお話です。
大きめの挿絵がたっぷりで、登場人物の心の動きも分かりやすいです。絵本から単行本も読めるようになってきた1年生におすすめです。
3.「いもうとガイドブック」ポーラ メトカーフ
あらすじ
妹をもつお姉ちゃんが主人公の絵本。
「いもうとがいるってたいへん!」というお姉ちゃん・お兄ちゃんの気持ちを代弁したような物語です。読み終わったら、兄弟や姉妹への見方が変わるかも!?
自分を重ねながら読みやすい1冊です。
4.「むしたちのうんどうかい」得田 之久
あらすじ
とにかく昆虫が大好きな子におすすめの物語です。
虫たちが原っぱで運動会をするのですが、それぞれの虫の特性を生かした動きで競技に参加していきます。
虫好きな子なら思わず「こんなときカブトムシはね…」と語りだしたくなりそうです。
文章量も控えめなので、読書に抵抗のある子でもどんどんページをめくれます。
『むしたちの~』シリーズには、『むしたちのえんそく』『むしたちのおんがくかい』もあります。
5.「うそつきに かんぱい!」宮川 ひろ
あらすじ
2年生の男の子が主人公の物語。
起承転結がはっきりしていて、主人公の心の葛藤や揺れ動く様子に自分を重ねながら読むことができます。
登場人物の気持ちをしっかり想像しながら入り込めるので、お話を読んでイメージを膨らませることが好きな子におすすめ。
『かんぱい!』シリーズは、2年生や3年生の子どもたちの日常に寄り添ったテーマのものがたくさんあります。ぜひシリーズで読みたいですね。
6.「中を そうぞうしてみよ」佐藤雅彦・ユーフラテス
あらすじ
どうしても最後まで物語を読み切れない…というお子さんには、こんな本はいかがでしょうか。
Eテレの『ピタゴラスイッチ』を監修している佐藤雅彦さん・ユーフラテスの写真絵本です。
一見しただけでは分からない、身近なものの“なか”に焦点を当てた1冊です。読み終わったらきっと、身の回りのものの中を調べたくなるはず。
自由研究のきっかけにもなりそうですね。
5.お子さんの心が動く本を見つけよう
読書感想文を書くには、まずは子どもが楽しみながら本を読めることが大前提です。
デジタルネイティブ世代の子どもたちですが、本にたくさん触れ「本で初めて知った!」「本って面白い!」と感じられる経験を重ねましょう。
そして次に大切なのは、本を読むことが、心が動く(何かについて考える)体験となることです。「楽しかった」だけではなく、自分のことに引き寄せながら考えられることが重要です。
文章にする(形にする)作業は、大人がたくさんサポートできますし、サポートしてあげてよいものです。
ただ、「感じる」「考える」ことはお子さんにしかできないこと。そんな心の動きを一番大切にしてあげたいですね。
お子さんの感想を引き出すコツ、実際に読書感想文を書く際のサポート方法については、後編の記事で紹介しています。
▼後編はこちら
【小学校低学年】読書感想文の書き方や構成、親のサポート方法とは?<後編>
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