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3歳|「保育園行きたくない!」と大暴れ…その理由とスムーズに送り出す方法【お悩み相談】

この記事を書いた人

中川さくら 中川さくら

中川さくら

  • 保育士
  • 児童指導員

学生時代に障害児福祉を学び、小学校の特別支援教育支援員や療育施設の保育士、学童保育、小学校などで、子どもたちやそのご家族と関わる仕事を約10年ほど経験しました。

今は、保育園に通う1歳の息子がいます。

昔バックパッカーだったので、いつか家族で世界を旅することが夢です。

保育園や習い事に、行った後は楽しく過ごしているのに、行く前に毎日激しく嫌がってしまう…
そんなお子さんの姿に困っている方はいませんか?

CONOBASの読者の方からも、3歳のお子さんの登園しぶりのお悩みが届きました。
「姿が見えなくなったら泣き止んでいますので」「楽しく遊んでいますよ」
先生からはそんなふうに言われるので、大きな問題はないのかなと思う一方で、毎朝の大泣きに困っている相談者様からのお便りです。

 

 

今回は保育士、児童指導員の資格を持ち、療育施設や小学校などで多くのお子さんやご家族のサポートをされてきた中川さんにお話をお伺いしました。

(CONOBAS 編集部)

「保育園に行かない!」「ママがいい!」と大泣き…

現在3歳2ヶ月になる息子がいます。3歳になった頃から保育園に行かないママがいいと大泣きし現在も毎朝連れて行くのが大変です。先生の話では姿が見えなくなると泣き止んでいるとの事ですし、迎えに行くとまだ遊びたいと言います。

習い事のスイミングが親子スイミングから一人に変わったり、英語も一人で行くようになり(そちらも行く時は大変で中に入っちゃえば人一倍楽しんでいます)離れる時に感じる不安があるんだろうなと思いながらも、戻ってくるよと伝えたり約束事をしたり色々やっていますが、あまり効果がなく、毎朝の大泣き大暴れに私も辛く涙が出るくらい悩んでいます

いつまで続くかわからず先生方も大したことのないという雰囲気なのでなにか問題があるとは思わないのですが、また明日も大変かなと思うととても憂鬱になってしまってます。
どう改善してけばいいのかアドバイスもらえたら嬉しいです。

「ママがいい!」と大暴れの我が子と向き合っていると、無理に連れて行っていいのか、どうしたら良いのかわからず、徐々に心の余裕を失ってしまうのは当然ですよね。
「これからもずっと続くのかな…」と終わりの見えない日々に憂鬱になり、朝を迎えることが辛く感じてしまうこともあるでしょう。

 

3歳ごろの発達の特徴を整理しながら、スムーズに朝のお別れができる方法を具体的に考えてみましょう。

毎日お子さんのためにがんばっている、ママやパパにとってのヒントになったら嬉しいです。

 

目次

 

1.保育園や習い事に「行きたくない」理由とは?

まず、「行きたくない」という言葉に隠れた、お子さんの本当の気持ちを想像してみましょう。

ここでは、大きく4つのポイントに分けて考えてみます。

 

1-1.「ママがいい」3歳児の発達から考える「母子分離不安」

母子分離不安とは、愛着のある人から離れる際に強く不安を感じることを言います。

主に乳児期に現れる正常な発達過程で、2歳頃までが1番強く現れると言われていますが、3歳以降も現れることや、一時期落ち着いていたのにまた復活した、なんてこともあります。

相談者様の場合は、「3歳になった頃から『ママがいい』と毎朝泣くようになった」とのこと。
3歳の成長というのはとても著しく、さまざまなことを理解できるようになっていく時期ですよね。

2歳までは、ひとりで好きなことをして遊ぶことが多いのに対して、3歳を過ぎると、お友だちと関わったり遊びや順番のルールが出てきたり、先生やクラス、環境の変化に気づいたりする理解力もグンと増していきます。

乳児期の「ママと離れたくない」という分離不安とは少し違い、3歳児の分離不安はさまざまな混乱や怖さ、緊張、心配を理解できるからこそ、大好きな人にそばにいてほしいという気持ちだと考えられます。
これが「ママがいい」や「行きたくない」に隠れている、お子さんの本当の気持ちなのではないでしょうか。

 

1-2.人生で初めての「環境が変わる」という経験

入学、卒業、就職、転居など「慣れ親しんだ環境から新しい環境へと移行する」という出来事を「人生移行」と言い、ほとんどの人が人生の中でこの出来事を繰り返し経験します。

ちょうど3歳頃に訪れることの多い、入園や進級、初めての習い事などは、幼い子どもたちにとっての「初めての移行経験」と言えるでしょう。
そのためお子さんたちは「環境が変わること」のイメージが持ちづらく、未知の場所・変化の場所で不安を抱えながらも、「家とは違う生活」を自分なりに理解しようと、もがきながら向き合っています。

始まってしまえば目の前のことに夢中になるけれど、「どうして今日の習い事にはママが来ないの?」「どうして保育園のお部屋が違うの?」など、お子さんの中では理解できなかったり「明日はどうなるの?」という不安があったり、それを言葉で表現できないのかもしれません。

また、第一子の場合はママパパにとっても初めての「家庭の外へ子どもを送り出す移行経験」とも言えます。
悩んで、気持ちが揺れ動くのは当然のことであり、お子さんと一緒にその経験を乗り越えようとしている証拠なのです。

 

1-3.園や習い事で「嫌なこと」がある場合も

おしゃべりが以前より上手になってきたとはいえ、自分の気持ちを的確に伝えるのは、3歳の子にはとても難しいことです。

保育園や習い事から帰ってきたら、その日の出来事を話しながら、それとなく「何か嫌なことがないか」聞いてみるのもいいでしょう。
深刻に問い詰めると萎縮してしまい、本当の気持ちが話せなくなってしまうかもしれません。

「今日はどんなことをして遊んだの?」「○○くんはどう思った?」など、自然な会話の中でヒントを探すのがポイントです。

お友だちトラブルや、苦手な活動、給食など、「ママと離れたくない」以外の理由があるかもしれません。何か原因がわかった時には、先生に共有して一緒に方法を考えてもらいましょう。

離れている間に嫌な思いはしていないかな?と、我が子を心配に思うママの気持ちも当然のことです。ひとりで抱え込まず、頼れる人には頼っていきたいものですね。

 

1-4.「行きたくない」気持ちを受け止めてほしい

私たち大人も、仕事に対してネガティブな気持ちになることはありませんか?
やりがいもあるし好きな仕事をしている人もいるかもしれません。それでも、やっぱりお休みは嬉しいし、時間を決めずに好きなように過ごしたいものですよね。

保育園や習い事がどんなに楽しくても、行きたくないと思う気持ちに折り合いをつけることは、幼い子どもにとっては大人以上に大変なことです。

そんな時は「行けば楽しいよ!」「好きなおもちゃがあるよ」など励ます前に、共感してあげましょう。
「行きたくない!」と言ったら「行きたくないね」と同じ言葉で共感し、「家で過ごしたいよね、わかるなぁ。」「ママもお仕事行く前は、嫌だなって思う時あるよ。」など、お子さんの気持ちを代弁してみてはいかがでしょうか。

「嫌だって思ってもいいんだ」「ママと同じ気持ちなんだ」と、ありのままを受け止めてもらえる経験が積み重なることで、「行きたくない」と葛藤する気持ちを落ち着ける安心材料になり、「よし行ってみよう」という勇気に変わっていきます。

 

2.登園時にスムーズにバイバイする方法

登園を嫌がる理由がわかっても、毎朝の大泣きは大変です。気持ちを受け止めるのも、心と時間に余裕がないと難しいのが現実ですよね。

それでは、大泣きの日々から脱出するための方法をご紹介します。

 

2-1.ママパパとの「おまもり」を作ろう

お子さんが好きな物で、園に持って行っても問題のない物はありませんか?
「ママと離れたくない」気持ちを少しでも解消できる「おまもり」になる物を作ってみましょう。

おもちゃやぬいぐるみを持っていくわけにはいきませんが、たとえば折り紙で折った物を毎日1枚ずつ、カバンに入れていくのはどうでしょうか?
「お部屋で開いてみてね」と伝え、折った折り紙を開くと、お子さんとママの顔や好きな絵が描いてあったり、キャラクターのシールが貼ってあったりするといいですね。
字が読めなくても、ママからのメッセージを受け取ることができます。

そのほかにも、手などいつも見える所に小さなマークを描いたり、「お着替えの時に見てね」とお洋服のタグに絵を描いておく方法もあります。
ママやパパと一緒に選んだハンカチをカバンに忍ばせておくなど、お子さんが気にいる方法を探してみると、効果があるかもしれません。

「離れていても大好きだよ」「おうちでまた会えるね」とお子さんが思えることで、寂しくなった時や嫌なことがあった時に「よし、だいじょうぶ」と安心できる心のおまもりになってくれますよ。

 

2-2.明日のことをお話ししよう

帰宅後や就寝前に、その日の出来事を振り返ったり、明日の楽しみをお子さんと考えたり、予定を確認する時間を作ってみましょう。

習い事や保育園の中で、お子さんが好きなことは何ですか?
滑り台や音楽遊び、ブロックで車を作ることや給食のメニュー、ご褒美のシールなどどんな小さなことでも大丈夫です。
わからない時は先生にも聞いてみましょう。

明日の楽しみが1つできると、行きたくない憂鬱な気持ちを軽減できるかもしれません。

また先ほど述べたように、3歳頃のお子さんは、新しい環境へのイメージを持ちにくいことが不安に繋がります。

その不安を解消するため、「明日の習い事はママと別々だよ。終わってから会えるよ。」など、普段と違うことがあればなおさら、事前に伝えておくと心の準備ができるでしょう。

 

2-3.睡眠時間をしっかりとろう

当たり前のことのようですが、実はこれがとても重要なポイントです。

体調がすぐれない時にグズるのと同じように、睡眠がしっかり取れていないと、どうしても朝の機嫌が悪くなってしまいがちです。

毎日なるべく決まったリズムでお布団に入り、余裕をもって起きるようにしましょう。

遅刻しそうになると親は焦るもので、行動を急かしたり、言葉がきつくなったり、雰囲気が悪くなってしまいます。

「保育園に遅れちゃう!仕事にも遅れたらどうしよう!」そう思うと朝からピリピリイライラしてしまうその気持ち、筆者もよくわかります。

まず睡眠リズムを整えることは、スムーズにバイバイするための必須条件といえるでしょう。

 

3.「保育園に行きたくない」と言われたら…できれば避けたいNG対応

ここではついついやってしまう「できれば避けたいNG対応」をお伝えします。

もちろん完璧な人はいないので、「やってしまっていたかも…」と思ってもご自身を責める必要はありません。
少しずつNGを減らしていけるといいですね。

 

3-1.「保育園(習い事)=行きたくない場所」と思わせる言葉

登園をしぶるお子さんに、「行ってくれなきゃママがお仕事できなくて困る」や「がんばって行ってね」と言ってしまう時はありませんか?

親も人間ですから、本音がポロッと出てしまうことはありますよね。
しかし、日頃のなんてことのない言葉がけが「保育園はママのために行かなくちゃいけない場所」「がんばって行く所」という印象を与えてしまうことがあります。

逆を言えば、ママと先生が笑顔で挨拶をしたり、楽しくお話ししたり、仲良くしている姿をお子さんに見せることで、「ここはママが好きな場所なんだ」と安心させ、園や習い事に対して良い印象を与えられるようになります。

「がんばってね」よりも「楽しんできてね!」や「今日何をしたか教えてくれるの、楽しみにしているね」と伝えられると良いですね。

 

3-2.感情的に叱る

お子さんが大泣き大暴れの時には、大人も余裕がなくなり、つい口調が強くなってしまうことがありますが、それは逆効果になりやすいのです。

3歳児はまだまだ、自分の感情を言葉で表現しきれないので、思い通りに行かなかった時や自分の気持ちを伝えたい時に、激しい行動で現れることがあり、それは自然な成長の過程です。
「わがまま言わないで」と叱ったり、「他の子は泣いていないでしょう」と比較したりすると、余計に激しくなってしまいます。

そんな時は、穏やかな口調でお子さんの気持ちを言葉にしてあげると良いですね。

いつも冷静に対応するのは難しいことかもしれませんが、その方が癇癪が早く落ち着きやすいので、結果的にママの負担も軽減されるでしょう。

 

4.「離れる」不安はいつまで?これからの成長の見通し

4-1.分離不安は成長と共に変わっていく

乳幼児期の心の発達を研究した、マーラーの「分離・個体化理論」というものがあります。
生まれてすぐの「母子一体」という感覚から、徐々に「母親と離れても大丈夫」と心が段階的に自立していく過程を理論づけたものです。

これによると、3歳頃に向かって、母親が目の前からいなくなっても、イメージを自分の中に保持することができ、「本当にいなくなったわけではない」と理解できるようになります。
この感覚が安定してくると、自分の中にあるママのイメージを持ち続けることができるので、親と離れている時間も、お子さんは安定した気持ちで過ごすことができるのです。

理論上は3歳頃と書かれていても、環境や性格の差によって前後することはあります。

しかしおおまかに「こういう発達を辿ること」「今は成長過程のこのあたりにいること」を知ることで、少し心を楽にしてくれるのではないでしょうか。

 

4-2.言葉で気持ちを表現できるようになる

子どもは経験や成長の中で徐々に言葉を獲得し、泣く、暴れるという行動ではなく、「これが嫌だ」「悲しい」「怒っている」など、より具体的な言葉で気持ちを伝えられるようになります。「こう言ったら伝わった」「わかってもらえた」という経験をして、感情のコントロールができるようになっていきます。

また、4歳頃の言葉の発達の目安として「言葉で思考できるようになる」「順序立てて話ができる」「経験したことを思い出して話す」とあり、園でのできごとや自分の気持ちを、3歳の時よりもさらに上手に、ママやパパへ伝えられるようになっていくことが考えられます。

登園をしぶる理由をお子さん自身で伝えられるようになると、親や先生はそれを取り除いたり、お子さんと一緒に解決策を考えたりすることができ、楽しく通える手助けができるでしょう。

 

5.がんばっているママパパへ

今回の相談者様のように、「行けば楽しんでいる。たいしたことないと思われている。」とママが感じる状況だと、相談しにくくなってしまったり、本音を吐き出しづらくなってしまうかもしれません。

周囲から見たら「たいしたことない、心配ない」ように見えることも、直面している本人にとっては大きな問題です。
子育てに休みはないのですから、心も体も休まる暇がありません。

それでも、お子さんが思ったままに感情を表現できるのは、いつも受け止めてくれるママやパパに心を開いている証拠です。
お子さんが本音を押し殺してしまうよりもとても大切なことで、そんな信頼関係を築いてきた自分の子育てを、時には褒めてあげても良いのではないでしょうか。

また、「がんばって」と言われるより「つらいよね」と共感してくれる人の存在は、子どもと同じように大人にも必要ですよね。
ママとパパの心を守ることが何より大切です。
本音を吐ける相手や休憩できる時間を作って、少しでも心が楽になれることを取り入れてみてくださいね。

 

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主な参考文献
・藤崎春代(2017)子どもが家庭に持ち込む園生活が親に与える影響 昭和女子大学生活心理研究所紀要 15 33-44
・藤崎春代幼児の園生活理解の発達過程:家庭での様子からの検討 科学研究費補助金研究成果報告書

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