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子どもの「なわとび」は何歳から?保育士がやる気になる教え方のコツも解説

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宮先惟之 宮先惟之

宮先惟之

  • 保育士

保育所や子ども園にて15年間勤務。

主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。

2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。

子どもの「なわとび」は何歳から始めるのが効果的なのでしょうか?

また「縄跳びってどんな効果があるの?」「どうやって教えたら上達するの?」などの疑問や悩みはありませんか?

子どもの発達に縄跳びは体幹を強くしたり、体力がついたりと、良いイメージを抱いている方も多いでしょう。

そこで運動能力のほかに、縄跳びで期待できる具体的な効果を解説します。

本記事を読めば現役保育士が実践する「子どもが縄跳びにやる気を出す」ような教え方のコツもわかるので、無理なく、楽しく上達できる方法をぜひ試してみてください。

それではまず、縄跳びはいつから始めたらいいかお話していきますね。

 

目次

1.幼児期の縄跳びは何歳から?

まず、いつから縄跳びを始めるかですが、何歳からでも縄跳びで遊ぶことができます。ただし、年齢によって楽しめる遊び方が異なります。

ここでは大きく、幼児期における「2~3歳」と「4~5歳」の2つの年齢に分けておすすめの遊びを紹介しますね。

 

1-1.2~3歳におすすめの遊び

この時期は、親が持つ縄を跳び越える遊びを楽しめます。

縄の片方を柱やフェンスなどに結んだら片方をおうちの方が持って地面に近いところで揺らします。「縄に当たらないようにね!」と声をかけると、子どもは縄をまたいだり、跳んだりしますよ。

また、跳ぶだけではなく、縄の下をくぐることも楽しめます。縄を子どものおへその高さにピンと張ると、自然と体を曲げてくぐろうとするでしょう。

子どもが縄を持つ機会も大事です。グリップをもって走ったり、回したりする中で、縄跳びに親しみが持てるといいですね。

おうちの方は、危険がないように見守ってあげてくださいね。

 

1-2.4~5歳におすすめの遊び

4歳~5歳頃(年中・年長)になると、「自分で縄を回して跳ぶ遊び」が楽しめるようになります。

縄跳びは、「回す」と「跳ぶ」の2つのことを同時におこなうため簡単ではありませんが、跳べるようになると自信がつきます。

まずは、前に回して跳ぶ「前跳び」や、走りながら跳ぶ「走り縄跳び」にチャレンジしましょう。跳べるようになったら、何回跳べるか回数を数えても楽しいですよ。

また、跳び方や縄の回し方を工夫することで、他の跳び方も身につけられます。いろいろな跳び方ができると、おもしろいですよね。

ところで、縄跳びは子どもたちにとって楽しい遊びだけでなく、様々な面で成長を育みます。

どんな効果が得られるのか、くわしく見ていきましょう。

 

2.子どもが縄跳びで期待できるメリット5選

続いて、縄跳びで期待できるメリットを解説します。

 

2-1.体幹が強くなる

体幹とは、胴体の中心部分であり、腰回りやお腹、背中などを指します。

縄を回してジャンプする動きは腹筋や背筋を使うため、着地する際に体をコントロールする力が働きます。

たくさん遊ぶと体幹が強くなり、姿勢や体のバランスがよくなるでしょう。

保育の現場でも、背中が丸まった状態で縄を跳んでいた子どもが、上達するにつれて真っすぐ立つようになる姿はよく見かけます。

姿勢がよくなると椅子に長く座ることもできるため、就学してからの授業でも集中が長く続きますよ。

 

2-2.心肺持久力が高まる

心肺持久力とは、一定の運動を長く続けることができる体力や粘り強さのことです。

縄跳びは広いスペースがなくても、1人で長い時間続けられる遊びですね。

跳び続けていると、肺や心臓の働きが強化されることで毛細血管が発達し、筋線維への血流量が多くなります。その結果、酸素をとり込んで運搬する能力が高まり長時間のエネルギー供給が可能となります。

心肺持久力が高まると、体力もつき疲れにくくなりますよ。

参照サイト
・厚生労働省「心肺持久力(しんぱいじきゅうりょく)」

 

2-3.全身の筋力が鍛えられる

腕で縄を回してジャンプする中で、脚の筋肉はもちろん、腕や背中、お腹の筋肉など全身の筋力が鍛えられるでしょう。

腕は、縄を回す動作やグリップを持つことで握力がつき、脚は、太ももの筋肉やふくらはぎの筋肉が鍛えられます。

また、びわこ成蹊スポーツ大学スポーツ学部の研究「ジャンプ力向上のための縄跳びを使用したトレーニングの効果」では、縄跳びがジャンプ力向上につながる実験結果も報告されています。

全身の筋力を鍛える方法に、縄跳びはもってこいですね。

 

2-4.リズム感が良くなる

縄跳びは、上達すると一定の速さで縄を回してジャンプができるようになります。たくさん跳べるようになると、自然とリズム感が育つでしょう。

全身を使ってゆったりと跳べると良いですね。

保育の現場では、「1、2、3」と膝を使ってリズムを刻みながら跳ぶ姿もありますよ。

まれに、自分でタイミングをつかんで跳ぶ子もいますが、大人がそばでテンポ良く数を数えてあげることがリズムをつかむきっかけになるので試してみてください。

また、大人が跳んで見せるのもおすすめですよ。

 

2-5.記憶力がアップする

縄跳びで記憶力がアップするのは、意外ですよね。

ジャンプの着地後に両足の骨に衝撃が加わり、骨からオステオカルシンという特殊なタンパク質が分泌されることが、米国コロンビア大学などの研究で明らかになりました。

また、日本薬理学会が発表した「オステオカルシンとインスリン分泌」によると、脳の発育・発達の調節等に、オステオカルシンとは重要な役割を果たしているとも書かれています。

参照サイト
・日本薬理学会「オステオカルシンとインスリン分泌」

縄跳びは運動面だけではなく、知的な側面でも発育につながるのですね。

さて、今度は現役保育士が縄跳びを始める前に気をつけるポイントを紹介します。

「跳びやすい縄について」や「子どもの意欲を引き出す方法」など、縄跳びを始める前におさえておきたい情報ですよ。

 

3.子どもが縄跳びをはじめる前にチェックしたいポイント

続いて、おすすめの縄跳びの種類や、子どもが取り組みやすい環境についてお伝えします。

一言で「縄跳び」と言っても、様々な種類の商品があります。子どもが跳びやすい縄跳びを用意できると、効率よく上達しますよ。また、遊ぶ場所や時間帯も大事なので、それぞれ確認していきましょう!

 

3-1.跳びやすい縄跳びを用意しよう!

お子さんは、どんな縄跳びをお持ちですか?

縄跳びは、ポリウレタン、布、チューブ、ワイヤーなど様々な素材で作られたものがあります。それぞれ重さが異なり、回る速さや扱いやすさが変わってきます。

以下の理由から、筆者はポリウレタン素材で作られたasicsの縄跳びをおすすめします。

  • 長さの調節が簡単
  • 軽くて操作しやすい
  • 縄にクセがつきにくい
  • グリップが持ちやすい

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どれも大事なポイントですので、チェックしてみてくださいね。扱いやすさは、大人が跳んでみて判断するのもおすすめですよ。

 

3-2.縄の長さを子どもに合わせよう!

縄の長さを簡単に合わせる方法を紹介します。

  1. 縄跳びのグリップを持ち、縄の真ん中を踏んで立つ。
  2. 脇を90度にしめるか、少し腕が上がる状態にする。
  3. このときに、縄が胸の位置まできていたらOK

あくまで目安ですので、実際に子どもが跳ぶ様子を見ながら調節してくださいね。

 

3-3.子どもがチャレンジしやすい環境を作ろう!

4歳~5歳の子どもは、上手くできないことを恥ずかしく感じ、周りの視線も過度に気になる年齢です。周りと自分の違いに気づくといった発達の特徴ですが、そのことを理解しつつ遊ぶ環境を用意しましょう。

例えば、日中に人がたくさんいる公園で縄跳びをするのと、家の前で行うのでは、子どもにとってどちらが取り組みやすいでしょうか?

筆者の娘は、人が通るだけでも気になる様子がありましたので、夕方に「家の前でちょっとだけ練習しようか」と声をかけるとやる気になっていました。

子どもの気持ちを汲み取りつつ、前向きに励ましていきましょう!

 

4.子どものやる気を促す!縄跳びの教え方

子どものやる気を促すような、縄跳びの教え方のコツを紹介していきます。実践しやすく、縄跳びのポイントを押さえたサポートをご紹介するので、ぜひお試しください。

 

4-1.【STEP1】跳びやすい縄跳びを用意しよう!

縄跳びが難しいのは、「回す」と「跳ぶ」の2つの動作を同時にしなくてはいけないからです。最初から2つ同時にしようとせず、1つずつやってみましょう。

まずは、「回す」にチャレンジです。縄跳びのグリップを両方まとめて片手で持ち、前跳びをするように連続して回してみましょう。

回す感覚を体感できるのに加え、おもしろいと子どもは感じます。保育の現場では、笑顔で「エイ!ヤー!!」と声を出して取り組む子どももいましたよ。

縄跳びは、手首を上手に使えるに越したことはないですが、初心者は腕を大きく動かし、縄が回っている感覚をつかめるようにしてください。

左右両方の手でチャレンジすることをおすすめします。

 

4-2.【STEP2】歩き縄にチャレンジ!

「回す」ことを楽しんだら、次に「歩き縄」にチャレンジしましょう。

歩き縄は、両手を使って縄を回す感覚が身に付き、回ってきた縄を越えることで「跳ぶ」イメージができます。

こちらの写真のように、歩きながら自分のタイミングで縄を体の前に回してきます。体の前に来た縄をそのまま歩きながら越えて、もう一度縄を回して……と繰り返しましょう。

立ち止まったままで縄を回すと力加減が難しく、縄が速く回ってくるため跳ぶタイミングが合いません。また、動きが止まることが多いことから、「上手くできない」と子どもが感じやすく、やる気が下がることもあります。

歩きながらおこなうと力が程よく抜けてゆっくり縄が回せますし、速く縄が回ってきた場合にも歩く中で自然と越える(跳べる)こともありますよ。

歩き縄をたくさんした後には、静止した状態から縄跳びをしてみてください。回した縄が体の前で止まることもありますが、それを飛び越えられたらバッチリです。

 

4-3.【STEP3】跳べた回数を数えよう!

最後は、跳べた回数を数えてあげてください。

子どもにとって跳べた回数は分かりやすい成果です。子どもは跳べた回数が増えれば増えるほど、上達していると感じ、嬉しくなるでしょう。

嬉しくなればそれがきっかけとなり、「もっとやってみたい!」とたくさん跳んだり新しい跳び方にチャレンジしたりしますよ。

 

5.子どもと一緒に縄跳びをして体と心の育ちを支えよう!

縄跳びは、様々な効果が期待できる遊びでしたね。

縄跳びの教え方のコツで紹介したように「上手くなった!」を積み重ね、子どもの成長を楽しみながら見守っていきましょう。

子どもにとって縄跳びは、体だけでなく心も育つ遊びのひとつです。保育の現場や家庭でも、上達すると自信がつき、表情もたくましくなりますよ。

大人にとってもいい運動になる縄跳びを、ぜひお子さんと楽しんでくださいね。

 

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主な参考文献
・厚生労働省「心肺持久力(しんぱいじきゅうりょく)」
・山元紗彩 (2014) 「ジャンプ力向上のための縄跳びを使用したトレーニングの効果 : バレーボール選手に着目して」卒業研究抄録集 : びわこ成蹊スポーツ大学スポーツ学部 164
・日本薬理学会「オステオカルシンとインスリン分泌

 

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