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【3歳】子どもがおもちゃを貸せない?その理由と貸せるようになるヒントとは

この記事を書いた人

榊原なつき 榊原なつき

榊原なつき

  • 心理カウンセラー
  • 中学校教諭
  • 小学校教諭
  • 保育士

小学校教諭として2年間勤め、現在は放課後等デイサービスに勤務

保育士・小学校教諭・中学校教諭・心理カウンセラーの資格をもち、大学では教育社会学を専攻。

ひとりひとりの個性に合った教育や療育を目指しています!

「我が子が公園で遊んでいる時、別の子におもちゃや遊具を譲れない」
「以前は貸すことができていのに、最近は“いや!”と言って貸さない」
というお困りごとをもつ親御さんは少なくないのではないでしょうか?

「周りの子に悲しい思いをさせるのは申し訳ない」
「わがままばかりで、これからお友達と仲良くできるだろうか?」
「優しい子に育ってほしいけれど、どうしたらいいのだろう?」
と心配が尽きないかもしれません。

実は、3歳ごろのお子様の「おもちゃを貸せない」という行動は、この時期のお子様の発達の特徴によるものです。

まずはこの前提を知ることで、親御さんのサポートのもと、お子様がお友達に優しくできるようになります。

今回は、3歳頃のお子様がおもちゃを貸せない心理的背景と、お子様がおもちゃを貸せるようになるための4つのヒントを解説します!

 

目次

1.おもちゃを貸せない3つの理由

「おもちゃを貸せない」という行動は一見するとネガティブなものに見えますが、実はお子様の心と体が発達してきた証拠でもあります。

その成長について知ることで、「今、我が子は成長したからこそ、“いや!”と言えるんだな」と気づくことができます。

 

1-1.自己中心的な世界で生きているから

2歳から7歳くらいの子どもには「自己中心性」という特徴があります。 これによって子どもは常に、自分の視点を中心にして周りの世界を見ています

また、自分と他者の違いも明確ではありません。 「貸す」という行為が的確に理解できておらず、「手元からなくなる」という認識であることもあります。「また戻ってくる」ということの理解は、3歳以降に少しずつできるようになってきます。

この時期は、自分と相手が違う気持ちや考えを持っている、ということに気づくのがまだ難しいと言われています。

「自己中心性」は「わがまま」とは違い、相手がどのように考えているのかを知る術を持ち合わせていないために起こるという特徴があります

 

1-2.好き嫌いを伝えられるようになったから

子どもが3歳くらいになると、自分のしたいことや好きなことを認識できるようになり、興味関心のあることには自分から耳を傾けることができるようになります

また言語力がかなり発達し、相手の言葉を聞いて理解し行動に移したり、自分の思いを言葉で伝えたりできるようになってきます

そのため、「まだ、このおもちゃで遊んでいたい」「自分のおもちゃを手渡したくない」という思いも率直に表現できるようになります。

 

1-3.自立心が育ってきたから

3歳頃のお子様は、自分で考えて自分の力で成し遂げようとする力が育ってきています

おもちゃで遊んでいる時に 「ブロックを全部積み上げたい!」 「こんなふうにしたらどうなるのかな?」 「もっとこのおもちゃで遊んでいたい!」 と考える力や気持ちが高まってきます。

一方で、考えながらその動き(行動)を変えることはまだまだ難しい年齢でもあります。つまり、考えられるようになったからこそ融通が利かないことも増えてくるといえるでしょう。

また、「〜しなさい」などのというような声掛けは、お子様の「自分で決めたい!」という気持ちを否定することに繋がり、かえって行動に移すことを嫌がる可能性もあります

 

2.保護者の方が心がけるとよいこと

このように、少しずつ理解できることが増え、言葉をたくさん吸収するなど成長途中にある3歳のお子様は、「おもちゃを貸す」という行動も理解できるようになってきています。

そのため、親御さんが介入しすぎず、まずはお子様の気持ちに寄り添う姿勢が、お子様の自発的な行動を促すことに繋ります。

 

2-1.お友達に「おもちゃを“貸して”」と言われる経験をさせる

3歳頃の子どもは、自分の「〜したい!」という気持ちが強くなる一方で、「〜するべきだ」という周りの状況を見て考える力も育ってきます。

最初は自分の気持ちを優先しておもちゃを貸すことができなくても、周りの人の気持ちを知る機会を重ねることで、少しずつ「お友達に優しくしよう」「お友達に喜んでもらいたいな」という気持ちが高まっていきます

「貸して」と言われる経験を積む中で、自分の気持ちと折り合いをつけてお友達に貸せるようになり、その時の嬉しい気持ちを獲得できるようになれば大丈夫です。

 

2-2.貸すことを無理に促さなくてよい

お友達におもちゃを譲れない我が子の様子を見ると、親御さんとしては「貸してあげなさい」とつい言いたくなりますよね。

しかし、無理やりお子様におもちゃを貸すように促すと、「お母さんに言われたから渡す」「貸したくないのに貸さないと怒られる」というように、他者の言葉に決断が左右されてしまう恐れがあります。

つまり、お子様が気持ちの折り合いをつける練習の機会を奪うことに繋がってしまうリスクが考えられるでしょう。

お子様が主体的に考えられるように、親御さんは、「お友達が貸してほしいみたいだけど、どうする?」とお子様がどうしたいかをまずは聞くようにしましょう。

お子様が「まだおもちゃを使いたいけど、お友達のために貸してあげたいな」という気持ちが少しずつ芽生えるように少しずつ思えるようになることが大切です

 

2-3.お子様の気持ちに共感する

お子様がどんな反応を示しても、お子様が思った気持ちは本当のものです。

「もうちょっと遊びたかったんだね」「自分のものが取られちゃうのが嫌だったんだね」など、お子様がおもちゃを貸したくない理由を言葉にしてあげましょう

「自分の気持ちを分かってもらえた!」と思えるだけでも、気持ちを整理したり切り替えたりする手助けになります。

このことが次第に、おもちゃを貸せるようになることへと繋がっていきます。 その時はお友達に対して「嫌だよ」「今、使ってるからあとでね」と言うようになれるとよいでしょう。

ただし、お子様が自分ではまだ言えないなと思った際は、親御さんからお友達に「今、使ってるいるから後からでもいいかな?」と聞いてみましょう。

お子様も親御さんのやり取りを聞いて、伝え方を学ぶんでいくことができます。

 

3.子どもがおもちゃを貸せるようになるための4つのヒント

今はまだおもちゃを貸せなくても、ステップを踏むことで少しずつお子様自身からおもちゃを貸せるようになっていきます。

親御さんのちょっとしたサポートがあることで「おもちゃを貸せた!」「お友達に優しくすると、自分も嬉しくなるんだ!」とお子様の成功体験に繋げることができます

 

3-1.おもちゃを複数用意する

初めは、お子様がおもちゃをすぐに貸せなくて大丈夫です。その代わり、おもちゃを複数用意しておきます。

例えば、お友達がお子様のおもちゃを欲しがった時に、お子様に「お友達に貸してあげられる?」と聞きます。ここでは、お子様が「いいよ」「いやだ」の意思をしっかり出せることが重要です。

貸せない時は、用意しておいた他のおもちゃをお友達に渡してあげます。そこで仲良くあそび始めることができれば、「お友達と一緒に遊ぶことが楽しい」という感覚を掴めるでしょう。

その経験が積み重なることで自然と、お友達の気持ちを考えたり、おもちゃを譲ったりすることができるようになります

 

3-2.満足するまで遊ばせる

大人でも、集中して取り組んでいることをその場で取り上げられるのは悲しいですよね。

その気持ちは、子どもも同じです。お子様が夢中で取り組んでいる時は、無理に貸す必要はありません。

「遊び終わったら貸してあげてね」と伝えておき、お子様が満足するまで遊ばせてあげましょう。

満足した際は「もう終わりにする?」「お母さんにも貸してほしいな」と伝えて、自分自身のものを相手に貸す練習をしてみましょう

上手に貸すことができた時には、「ありがとう!」「自分で決められたね!」と、その行為を褒めてあげるといいですね。

 

3-3.時間を区切る

貸すということに抵抗感が減ってきた時や、公園の遊具のように一つしかないおもちゃの場合は、時間制限を設けて交代する練習をしましょう。

「3回やったら交代しようね」「10数えたら終わりにしようね」と伝えると、終わりを意識して遊ぶことができます

「お友達が遊んだ後にもう一回遊べるよ」と伝えて、一回貸してもまた遊ぶことができるようにすると、スムーズに貸せることもあります。

「一回手放しても、また返ってくる」という経験を積むことにも繋がります。

 

3-4.貸せた時には思いっきり褒める

おもちゃを貸すことができた時は、お子様を思いっきり褒めてあげましょう。

「お友達に優しくできたね!」「一緒に遊べて嬉しいね!」など、おもちゃを貸すことでお子様自身も嬉しくなることを伝えてあげましょう。

別のおもちゃの貸し借りの場面で「もっと遊びたいけど、お友達に喜んでほしいから貸そうかな」と、お子様から主体的に考えて行動できるようになります。

 

4.3歳頃おもちゃを貸せないのは成長の証拠。成長を見守ろう!

3歳頃のお子様がおもちゃを貸せないのは、決してわがままだからではありません。

とはいえ、おもちゃを貸すことができると、お友達に優しくできたり仲良く遊んだりすることができ、お子様の社会性を育むきっかけになります。

親御さんは、お子様の成長を見守りながら、おもちゃを貸すことの喜びを少しずつお子様に感じてもらえるようにできるといいですね。

 

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