子どもが遊びのルールを守れない!その理由と解決策を現役保育士が紹介
この記事を書いた人
宮先惟之
- 保育士
保育所や子ども園にて15年間勤務。
主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。
2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。
子どもとゲーム形式の遊びをしていると、「どうしてルールを守れないの?」「最後までルールを守って遊んでほしい」と思うことはありませんか?
自分勝手に遊びを進める姿がもどかしかったり、心配にもなりますよね。
本記事では現役の保育士である筆者が、遊びのルールが守れない子どもへのおすすめの関わり方を、保育現場や自身の子育ての経験を踏まえながら分かりやすくご紹介します。
子どもが、遊びのルールを守れない、守らない理由や解決策は、子どもの気持ちに寄り添い、様々な視点からアプローチすることで分かってきます。
さらに「遊びのルールを守る経験」は、子どもの成長に大きく関わってきますよ。
まずは、子どもが遊びのルールを守れない理由からみていきましょう!
目次
1.なぜ?遊びのルールを守れない理由をチェック
ルールが守れない理由は、大きく分けて4つあります。
どれに当てはまるかが分かると、解決に近づきますよ。
1-1.ルールが難しい
遊ぼうとしているおもちゃやゲームは、子どもにとって難しくないですか?
ルールが多く、複雑な思考や判断を必要とする遊びだと、子どもは混乱してしまいうまく遊べません。
絵合わせカードやかるた、簡単なすごろくだと分かりやすく3歳頃からでも楽しめますが、トランプやUNO、ボードゲームなどは、どうでしょう?
理解が難しいと遊び方がイメージしにくく、結果的にルールが守れなくなります。
1-2.ルールをうっかり忘れる
会話しながら遊んでいたり、別のことに気をとられていると、ついついルールを忘れることもあるでしょう。
遊びの時間が長いと集中も切れ、ルールを間違うこともありますね。
また、集中して遊んでいても、トランプの7並べでは数字は見ているがマークを見落としていたり、UNOでは出せるカードを出していった結果、英語のカードが残ったりなど、うっかりルールを忘れることもあります。
悪気があって、ルールを守らないのではありません。
繰り返し遊ぶと遊び方が分かってくるので、忘れることも減ってくるでしょう。
1-3.負けたくない気持ちが強い
遊びの途中で子どもが自分に有利なルールを追加したり、ズルをすることってありませんか?
このままだと自分が勝てないと子どもなりに考え、気持ちを抑えきれなくなりルールを守れなくなるのでしょう。
ルール自体は分かっているが、自分の気持ちをコントロールできるかがカギになります。
1-4.自分が思うように遊びたい
勝ち負けにこだわっていないが、ルールを守れないケースがまだありますよ。
それが、ルールにとらわれずに、自分の思うように遊ぶですね。
例えば、オセロだとどこでもコマを置いても良い、神経衰弱だと2枚ずつひいていたところを4枚ずつひいて良いなどです。
始めは、通常のルールで遊んでいるにも関わらず、「こんなふうにしてみたら楽しいのでは?」といった思いつきで、新ルールが追加されたことはありませんか?
好奇心にかられた行動ですが、遊びの途中で急にルールが変わると驚きますよね。
2.おすすめ!ルールを守れるようになるコツ5選
では次に、これまでお話した理由を踏まえながら、ルールを守れるようになる方法を5つ紹介します。
簡単に実践できるものもありますので、お子さまとの関わりを楽しみながら実践してみてください。
2-1.短い時間で完結する簡単なルール遊びを用意しよう!
短い時間で完結する遊びの良さは、子どもが見通しを持ちやすいため、集中して遊びきれるところです。
また、簡単なルールだと分かりやすいので、気持ちに余裕をもって遊ぶことができますね。
例えばすごろくだと、3歳児にはゴールまで50マスもあっては途中で疲れてしまいますが、30マスなら楽しい気持ちで終えることができます。
オセロだと、初めから全ての盤上を使う必要はありません。半分の枠の大きさで遊ぶことでも、十分に楽しめますよ。
どの遊びも楽しく遊び終えられるように調節するのがポイントです。
慣れてきたら、広く使ったり、ルールを増やして遊びましょう。
2-2.ルールを変えると周りの人が困ることを伝えよう!
子どもに合わせて遊び方を工夫することも大事ですが、ルールを勝手に変えることで周りの人がどう思うかを注意したり、考えさせることも大事ですよ。
保育現場では、ルールを守らない子どもには、「ルールを守らないと周りの人はどう思うだろう?」と尋ねます。
聞かれた子どもは、自分なりに考えて相手が困ることに気づくでしょう。
どう思うかがはっきり分からない子どもには、「みんなどんな顔(表情)しているかな?」と聞くと効果的ですよ。
「怒っている」、「嫌な顔している」など感じたことを話してくれます。
家庭では、兄弟や親がなぜそんな表情をしているかは、大人が知らせましょう。
さらに、「周りの人が困るからあなたはどうしますか?」と聞けると、ルールを守ることに意識が向きます。
突然、新しいルールを追加したい子どもの意見があったときにも、周りの人がそれでもいいのかを尋ねたり、次に新しく始めるときに考えたルールで遊んだりと、周りのことを考えられるような言葉をかけるといいですね。
2-3.公共のマナーやルールを守ろう!
遊びに限らず、ルールを守ることは大事です。
そこで、公共のマナーやルールを守る経験に注目しましょう。
公共のルールを守ることは当たり前といえばそうですが、子どもが守れたときは積極的に褒めて、認めてあげるといいですよ。
「信号守れたね」「電車の中で静かにできたね」と伝えることで子どもは嬉しくなり、ルールを守る大切さ、心地よさを感じます。
生活の決まりを守れるようになると、遊びのルールも同じように守れる子どもがほとんどですね。
体験したことが、遊びにもつながるのでしょう。
2-4.勝ち負けを経験する中で、子どもの様々な気持ちに共感しよう!
子どもは遊びを通して、勝って嬉しかったり負けてくやしかったりと、様々な気持ちを経験します。
おうちの方は、お子さんの気持ちに共感していますか?
子どもは自分の感情を理解してもらえると、自分自身の思いを受け入れることができ、少しずつ気持ちのコントロールの仕方を学んでいきます。
共感するためには、子どもの気持ちを聞き出したり、代弁することが大切ですよ。
例えば、「負けるとくやしいよね」と、子どもたちが感じていることを言葉にして聞いてあげましょう。自分で気持ちを切り替えようとする姿が、見られるかもしれません。
親が「負けても、次は頑張ろうね」と励ますことも大事です。
子どもは、前向きな気持ちになれるでしょう。
2-5.親もルールを知って守る姿勢を見せよう!
子どもは、親の姿をよく見ています。
そこで、私たちが見本となり、子どもが自然とルールを守って遊べるように導いていきましょう。
新しいおもちゃや、ルールがあやふやなおもちゃで遊ぶときは、どうしていますか?
知らないことを知って学ぼうとする親自身の姿勢や、知った上でルールを守って遊ぶ姿を子どもに見せることは効果的です。
親の姿に刺激をうけた子どもは、同じように新しいことを受け入れ、知ったことを守って遊ぶ経験ができるでしょう。
一緒に遊び方の説明書を読んで、ゆっくりやってみるのもいいですね。
ルールを確認しながら遊ぶことで、遊び方も定着します。
保育現場では、子どもが自分から進んで知ったルールだとしっかり守り、さらには友達に教えたりといった姿も見られますよ。
3.どんな効果が?ルールを守って遊ぶことで身につく力3選
続いて、ルールを守って遊ぶことでどんな力が身につくのでしょうか?
具合的なメリットを見ていきましょう!
3-1.相手と信頼関係を築く力
ルールのあるおもちゃやゲームで遊ぶときには、相手がいることがほとんどですね。
自分も相手もルールを守って楽しく遊べると安心して仲良くなれますが、反対にルールを守らない人は信用できないので、仲良くなれません。
子どもは、4歳頃から相手の気持ちを考えられるようになります。
ルールが守れなかったときには、相手の気持ちを考える機会をおうちの人が意識して持つと、子どもが成長できるきっかけになるでしょう。
また、遊びを通して協力しながら取り組むことで、信頼関係が深まることもあります。
5歳頃になると、鬼ごっこでは鬼同士で協力してはさみうちをしたり、ドッジボールではチームで作戦を考えたりといった姿も見られますよ。
3-2.気持ちをコントロールする力
「やった!勝ちそう!」「このままだと、負けちゃう。くやしい」など、遊んでいると様々な気持ちを経験するでしょう。
筆者の4歳の子どもは、負けそうになると「絶対負ける!」と涙ぐみ、途中でやめようとします。
このような姿ってよく見かけませんか?対応が面倒だなと感じることもありますよね。
ところがこの場面、実は子どもが自分の気持ちをコントロールする力を身につけるチャンスです!
私は、途中でやめようとする我が子に「やめてもいいけど、遊びが終わるよ。もしかしたらこの後に勝てるかもしれないけど、いいの?」と尋ねます。
すると、子どもなりに迷うんですね。
こういったやりとりは何度もありましたが、回数を重ねるたびに気持ちをコントロールできるようになってきました。
いろいろな感情と葛藤する様子を見ると、じれったいと感じることもあるかもしれませんが、我が子の成長を楽しみにしつつ、温かく見守っていきましょう。
保育現場では、5歳頃になると気持ちに折り合いをつけられるようになる子どもが増えてきますよ。
・強い意志で未来を切り拓く!子どもの自制心を鍛えるコツを保育士が紹介
3-3.考える力
ルールのある遊びは、思考力を育てます。
保育の現場では、2歳児クラスの後半(子どもが3歳になった頃あたり)に簡単な絵合わせカード(10枚くらいの神経衰弱)で遊べるような環境を用意します。
3歳頃から順番の概念が分かったり、簡単なルールを理解することができるようになってきますよ。
絵合わせで遊ぶ様子を見ていると、前に引いたカードを覚えていたり、ペアがそろったらもう1度ひけることが分かっているなど、年齢が小さくても考える力が育っていることを感じます。
5歳児になると、トランプで大富豪やスピードといった複雑なルールの中で、自分が勝てるような道筋を考える子どもも増えてきますね。
トランプなどは、遊びを通して数字の理解につながることを実感しました。
4.ルールのある遊びを楽しんで、社会性を育もう!
遊びのルールを守れない理由と、解決につながるおすすめの関わり方を紹介しました。
さらに、遊びのルールが守れると社会性が育つことも分かりましたね。
子どもは、遊びからたくさんのことを学びます。
子どもがルールを守らないから困るといった状況は、ポジティブにとらえると、相手の気持ちを考えたり自分の気持ちをコントロールすることを学べるチャンスです。
1度や2度関わったからと言って、子どもの姿が劇的に変わるわけではありませんが、丁寧な関わりは確実に成長へとつながります。
ルールのある遊びを楽しみながら子どもの社会性を育んでいきましょう!
「遊び」の中で育まれる力はほかにも色々!おすすめの記事はこちら
・【5歳児】論理的思考力を育む!おすすめの知育パズル5選をご紹介!
・子どもの選択肢が広がる!空間認知能力とは?高める遊びや知育ゲームを紹介
・効果的な左右の覚え方!現役ママが実践する声かけも紹介します