おもちゃを片付けない…「片付け習慣」はどうつける?~子どものやる気を引き出すコツ~
この記事を書いた人
宮先惟之
- 保育士
保育所や子ども園にて15年間勤務。
主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。
2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。
「おもちゃが散らかって困る」「子どもに片付けの習慣をつけたい」「部屋が片付く良い方法を知りたい」と思ったことはありませんか?片付けは、どの家庭でも考えることですね。
本記事では、現役の保育士である筆者が、子ども自ら片付けをしようと思える部屋のアイデアや接し方を紹介します。
子どもの気持ちを理解し、力を引き出すことができれば自然と片付けの習慣も身に付くでしょう。どれも保育士として効果を実感できた方法ですので、チェックしてみてください!
目次
1.子どもがおもちゃを片付けない理由
そもそも子どもはなぜ、おもちゃを片付けないのでしょうか?
まず、お子さまの気持ちを考えてみましょう。
- もっと遊んでいたい ・作ったものを置いておきたい
- どこに片付けるか分からない
- 片付けるのが面倒
このように、いくつかの理由が挙げられます。
子ども側に立ってみると、気持ちが分かる点もありますね。しかし、散らかったままではよくありません。
そこで、お子さまが前向きに片付けに取り組める方法を「部屋の工夫」と「子どもへの接し方」に分けて紹介します。
2.片付けを習慣化!部屋のアイデア5選
はじめに、片付けやすい部屋の工夫を解説します。どれも家庭で実践しやすいものですので、ぜひ試してみてください。
2-1.おもちゃの量を見直そう
まず、遊ぶ部屋のおもちゃの量はいかがでしょう?少しずつおもちゃが増えるなか、遊んでいないものがそのまま残っていませんか?おもちゃが多ければ、その分片付けが大変になりますので、遊ぶ部屋に置く量は調節しましょう。
4歳頃になると、「これは使う。これは使わない」と自分で判断ができるので、お子さまに問いかけながら整理するのがおすすめです。自分で考えて決めると、「言われてする片付け」から「自分でする片付け」に変わります。
2-2.子どもと一緒に片付ける場所を決めよう
片付ける場所を決めるのは、多くの方が実践しているのではないでしょうか?ここでのポイントは、「誰が決めたか」です。
子どもの片付ける場所をご両親が決めてしまっていませんか?「これはここに置く」とお子さま自身が決めたら、子どもは自然と片付けに前向きになれます。
もちろん、全て意見を聞いて決めるのは難しいので、子どもの話を聞きつつ、パパ・ママが「人形はここに戻すようにしようか?」と提案して決めていくといいでしょう。
自分で決めると場所も覚えているので、おもちゃをきちんと元の位置に戻すようになります。
2-3.「その他」入れを用意しよう
ブロック、ままごと、電車のおもちゃ…とグループを分けた時に、どのグループに入れたらいいの?と迷うおもちゃが出てくるでしょう。
細かく分けるほど、ケースや棚が増えて、片付けが複雑になります。
そこで、大きなグループで分けたもの以外を入れる、「その他入れ」を用意しましょう。
筆者の娘を見ていると片付けの際に、まずブロックやままごとなどを戻し、残った物をその他入れにしまうといった姿がありました。
以前は、おもちゃを手に持ってどこに入れるか考えたり、同じ所を何度も往復したりと時間がかかっていたので、改善されて良かったです。
2-4.蓋はなくして、おもちゃが見えるようにしよう
おもちゃの収納は、蓋や扉のないものを使いましょう。開け閉めの手間が省け、片付けやすくなります。
また、遊ぶ時に蓋や扉を閉じた状態だと、使いたいおもちゃの置き場所が分かりにくく、探しているうちに他のものまで出して散らかることがあります。中身がはっきり見えていると、必要以上のものを出すことはありません。
おもちゃを出しやすい環境は「片付けやすい環境」でもあります。
2-5.おもちゃ置き場には高さの余裕を持とう
おもちゃの大きさによって直接棚に置いたり、まとめてケースに入れてしまったりしますよね。
そこで注目してほしいのが、おもちゃやケースを置いている「空間」です。棚にしまう場合、棚とおもちゃやケースの間に10cm以上高さの余裕があると、簡単に片付けることができます。
ぬいぐるみやままごとのグッズなどは、簡単にケースにしまえるので便利です。
またブロックや積み木なども片付ける時にケースから出してくる必要がありますが、ケースを元に戻す際にはスキマがあることで余裕をもってしまえるでしょう。
3.片付けを習慣化!子どもとの接し方5選
片付ける環境が整ったら、次は接し方のコツを紹介します。
お子さまがじっくり考えられるような時間や、楽しんで片付けができるような関わりを重ねていきましょう。
3-1.片付ける理由を考えさせよう
お子さまに「片付けって何ですると思う?」と聞いてみてください。
お子さまは、何と答えるのか気になりませんか?答えはそれぞれだと思います。
保育の現場では、おもちゃが落ちたままになっていることが続いた時には、みんなで考える機会を持ちます。
「落ちていると踏んで危ない」「なくなったら困る」「次遊ぶ時、なかったら遊べない」など、いろいろな意見が出ます。
対象の年齢が低い場合は、大人が「なくなったら困らない?」など問いかけます。
片付ける理由がはっきり分かれば、自分から行動することが増えるでしょう。
3-2.片付けの次にすることに楽しみを持たせよう
「片付けしようか!」と「片付けしたら公園で遊ぼうか!」では、どちらが早く片付けようという意欲がわくと思いますか?
片付けの後に、楽しいことが待っている方がやる気がでますよね。
楽しみの持たせ方は生活の場面によって変わりますが、「片付けが終わったら」の後に以下のように伝えるのはいかがでしょう?
「おいしいご飯(お子さまが好きなメニュー)だよ」「おやつを食べようか」「○○(水に濡れても大丈夫なおもちゃ)とお風呂に入っておいで」など、お子さまに合わせた言葉を掛けられると効果的です。
3-3.時間を決めて、メリハリをつけよう
片付けに時間がかかりそうな時におすすめの言葉掛けは「よし、時計を見て。長い針が8になるまで片付けを頑張ろう!」です。
時間が区切られたことで、お子さまは見通しがつくためやる気が出るでしょう。
さらに「長い針が8までに終わりそうだよ」と伝えると最後までやりきれたり、「長い針が7までに終わったらすごいよ!」と、ゲーム感覚を持たせたりすると意欲的に取り組む姿が見られます。
3-4.片付ける姿勢を褒めよう
子どもは、応援されたり褒められたりすることで力を発揮します。
ところが、つい子どものできていない所に目がいき、叱ったり注意したりすることが多くなっていませんか?
片付けをしている時には、何も声はかけず、手が止まったら注意をするといったことも同じですね。
やろうとしている時に褒めるとお子さまは嬉しくなり、やる気をもって取り組めるでしょう。
3-5.ものを大切にする気持ちを育てよう
片付けをする時に、おもちゃを投げる姿はありませんか?そんな様子があった時には、ものを大切にすることを伝えるチャンスです。
「投げたらおもちゃは、どうなるかな?」「おもちゃは(投げられて)嬉しい?」と尋ねてみましょう。
ものを大切にする気持ちが育てば、おもちゃをきちんと元の場所にもどすなど、丁寧に扱う姿も見られます。
4.子どもの片付けを親は手伝う?
次に、筆者が保育現場で勤務する中でよく聞かれる「親は片付けをどう手伝えばいいですか?」という質問について解説します。お子さまとの接し方の参考にしてください。
4-1.子どもの声を聞いてから手伝おう
まず片付けを手伝うのは、お子さまの「手伝ってほしい」という言葉を聞いてからにしましょう。
親がすぐに手伝っていては、子どもは片付けを「自分がするもの」といった意識が持ちにくくなります。
しかし手伝わないと終わらない時もありますよね。
そんな場合は、お子さまの様子を見ながら「一人でできそう?」と尋ねてみましょう。お子さまご自身が、自分でどうしたいか言えることも大事です。
4-2.元の場所にしまうようにサポートしよう
片付けにおける手伝い方のポイントとして、親は散らばっているおもちゃを集め、子どもが元の場所にしまうようにすることが挙げられます。
お子さまが自分で元の場所にしまうことで、最後まで自分で片付けたという達成感や満足感を得ることができます。
一方で親が棚におもちゃをしまい、いつの間にか片付けが終わっていた場合では、子どもは達成感を感じにくいでしょう。
片付けの後、「自分でキレイにできた。気持ちがいい!」と思えると、次の機会も自然と片付けができます。
5.子どもの「片付けの習慣」が身につくまで長い目で見守ろう
片付けの習慣は積み重ねが大切ですので、環境を整えたからといってすぐに身につくわけではありません。
通っている園で、「自分で片付けしていますよ」と聞き、家庭との違いに驚かれたことがあるかもしれません。
しかし、家庭ではお子さまの甘えたい気持ちがあるため違って当然です。
「園ではできてるんでしょ」と言ってさせるのではなく、家庭での会話を通して、お子さま自身が「自分から片づけをやってみよう!」「部屋が片付くと気持ちがいい!」と感じられることが大切です。
自分で考えて行動できる力を育みながら、片付けの習慣が身に付くよう、見守ってあげてくださいね。
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