
【年長】子どもの知的好奇心を伸ばすアイデア10選と接し方の注意点とは
この記事を書いた人


多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「新しいことをどんどん知りたい」「なんでこうなるのか理由を知りたい」などのように、「知る」ことに対してワクワクする気持ちが知的好奇心です。
知的好奇心は、意欲を持って積極的に学び行動する原動力になります。
そのため生きるためのビタミンなどともいわれ、生きがいや生きる原動力にも大きく影響する大切な力です。
とくに物事の原因や理由を不思議がり、「なんで?」「どうして?」という質問が増える年長さん。この時期に子どもの知的好奇心を伸ばしてあげたいと思っても、具体的な方法が分からず困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「室内遊び」「外遊び」「部屋作り」という3つの場面に分けて、知的好奇心を伸ばす具体的なアイデアを紹介していきます。
また知的好奇心を伸ばすメリットや、知的好奇心を伸ばす際に注意したいこともあわせて解説します。
目次
1.年長さんの時期に知的好奇心を伸ばしたい理由
新しいことへチャレンジする意欲や「どうしてこうなるのか知りたい」という探求心の源である知的好奇心を育むのは、実は年長さんの時期がピッタリなのです。理由を2つご紹介します。
1-1.未就学期は脳の発達が著しいから
神経・リンパなど人体の器官や機能は、それぞれ個々に発達していく順番やスピードが異なります。
その中でも脳が発達する時期は早く、6歳ごろまでに大人の脳の9割近くまで成長を遂げます。
脳が急激に発達する未就学期にたくさんの経験をして知的好奇心を伸ばすことは、脳の働きをさらに活性化させることに繋がります。
1-2.子どもの文字への興味・関心も伸ばせるから
子どもは、自分の興味のあることに対して大人でも驚くような学ぶ力を発揮します。
子どもの知的好奇心を刺激することで、「もっと知りたい!」「どうしてこうなるの?」という気持ちが芽生え、本や図鑑で調べる機会も多くなるでしょう。
すると、文字と接する機会も増えるため、自然と文字への興味・関心を伸ばすことができます。
厚生労働省が保育所における保育の基本となる考え方を定めた保育所保育指針では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」を挙げています。(引用:厚生労働省「保育所保育指針」)
また、就学準備として年長さんの時期に文字に触れさせたいと思う保護者の方も多いでしょう。
年長さんの時期に知的好奇心を伸ばすことは、文字への興味・関心も伸ばせるため一石二鳥なのです。
2.【室内遊び】知的好奇心を伸ばす!室内遊びのアイデア
ここでは、知的好奇心を伸ばす室内遊びの3つのアイデアを紹介します。
・図鑑、辞書・地図をそろえる
・一緒に料理を楽しむ
・実験遊びをする
順番に見ていきましょう。
2-1.図鑑、辞書・地図を揃える
「なんで?」「どうして?」を引き出し、深めてくれる図鑑・辞書・地図は、知的好奇心を高めるための必須アイテムと言っても過言ではありません。
しかし、ただ置いてあるだけでは子どもの好奇心を高めることはできません。
絵本の読み聞かせのように、子どもと一緒に図鑑や地図を楽しみましょう。
その際は、子どもの疑問を引き出す読み方を意識することが大切です。
例えば、こんな会話をしながら読むと、子どもの疑問を引き出すことができるでしょう。
・親が疑問に思ったことを、「どうしてこうなったんだろうね?」と子どもに聞く
・子どもが「なぜ?」と聞いてきたら、一度「なんでだろうね?」と聞き返す
・一緒に調べたり、情報が載っている本やページを一緒に探す
もし恐竜に興味があるなら
- 「なんで現在は恐竜がいないのだろう」
- 「隕石が原因なんだ!」
- 「隕石って何だろう」
- 「隕石はどこに落ちたのだろう」
と、どんどん疑問を引き出していくことができます。
疑問が出るたびに図鑑・地図・辞書を使って調べることで、調べる習慣や方法が身につき、学力の向上に繋がっていきます。
2-2.一緒に料理を楽しむ
料理は毎日行うものである上に、親子で一緒に行いやすいことから、好奇心を伸ばす室内遊びとして取り入れやすいのではないでしょうか。
年長さんは手先が器用になってくる時期であり、多くの作業が一緒に行えるようになってきている点でも、一緒に料理をすることはおすすめです。
料理を通して知的好奇心を刺激する方法はたくさんあります。
・ゆで卵の殻を上手に剥くにはどうしたらいいのか考えたり調べたりしてから、実践する
・自分の好きな味付けにするには、何をどのくらい入れたら良いのか試す
・火の色と温度の関係を調べてから強火と弱火を使ってみる
・野菜の産地を見て、地図で調べる
「どうしたらうまくいくのかな?」「図鑑で調べた通りだね」など、子どもの好奇心や達成感を引き出せる言葉かけをしながら、一緒に料理を楽しんでください。
2-3.実験遊びをする
磁石での砂鉄集めやスライム作りなど、身近な道具を使って科学現象を楽しむ実験遊びは、子どもの好奇心を育むのにぴったりの遊びです。
テレビでお馴染みの米村でんじろう先生によると「実験を楽しみながら理科に親しむことで、好奇心に加えて新たなことにチャレンジしていける力を養うことができる」とのこと。
(引用:こどもまなび☆ラボ「どんどん科学が好きになる! 子どもの「観察力」「好奇心」「探究心」を育てる方法」)
実験と言っても、大がかりなものをする必要はありません。
下記の例のように、家にあるものを使って科学を楽しむことが可能です。
・片栗粉を使ったスライム作り
・針金・刺繡糸・毛糸など、様々な素材を使った糸電話作り
・下敷きを使って静電気を起こし、ティッシュや風船を集めるくっつき遊び
実験を行う前後に、図鑑や本で仕組みを調べてみると、より深い学びになりますよ。
3.【外遊び】子どもの知的好奇心を伸ばすアイデア
知的好奇心を伸ばすためには、実際に体験することがとても大切です。
テレビや図鑑で知ったことを実際に目にして体験することで「テレビで見たことは本当だった!」と知的好奇心を刺激し、次の知的好奇心を育てるからです。
ここでは、学習したことと実体験を紐づけやすい外遊びのアイデアを3点紹介します。
・子どもの興味のある場所へ行く
・自然体験をたくさんする
・実験教室に参加する
1つずつ解説していきますね。
3-1. 子どもの興味のある場所へ行く
興味は知的好奇心のはじまりです。
・昆虫に興味を持っていたら、蝶やセミを捕まえて観察する
・動物や魚の絵本を好んで見ていたら、動物園や水族館に連れていく
・カップラーメンが好きだったら、工場見学に一緒に行く
など、子どもが何かに興味を持っていることが分かったら、実際に体験できる場に連れて行ってあげましょう。
・食べ物に興味を持っていたら、プチトマトなど手入れが簡単な植物を育てる
・星座や神話が好きだったら、一緒に夜空を見上げてみる
など、家の庭やベランダが「興味のある場所」になることもありますよ。
3-2.自然体験をたくさんする
自然と触れ合うことも、知的好奇心を大きく伸ばしてくれます。
魚・植物・空・風など、自然の中には、家では体験できない子どもの知的好奇心や五感を刺激する要素がたくさんあります。
子どもが外遊びに興味がない場合は、時間のある日のお迎えの帰り道などに、ちょっと近所を散歩することから始めてみてはいかがでしょうか。
その際にミニ図鑑を渡して花の名前を調べたり、携帯電話のカメラのズーム機能を使って虫を観察したりすることで、好奇心の発芽を後押しできます。
3-3.実験教室に参加する
室内遊びの実験遊びの項目で触れたように、実験は知的好奇心を伸ばすのにうってつけです。
様々な場所で開催されている実験教室に積極的に参加してみましょう。 実験教室では、自宅では準備することが難しい材料や道具が揃っているため、本格的な実験を体験することが可能です。
科学が好きな子どもはもちろん、興味のない子どもでも、夢中になる仕掛けがたくさんありますよ。
実験教室は科学館や博物館の他、地域の児童館やお祭り・ショッピングモール・塾の無料体験など身近な場所で行われている場合もあります。
まずは、ご近所で開催されている実験教室に気軽に参加してみるのもいいですね。
4.【部屋作り】子どもの知的好奇心を伸ばすアイデア
ここでは、知的好奇心を伸ばす部屋づくりのための4つのアイデアを紹介します。
・基本は子どもの興味のあるものを
・図鑑や辞書はリビングに
・地図は子どもの目につくところへ
・季節の絵本を飾る
順番に解説していきます。
4-1.子どもの興味のあるものを揃える
「もっと知りたい」「どうしてこうなるのか知りたい」と思うのは、好きなもの、興味を持っているものに触れている時です。
子どもの好奇心の芽を育てるために、子どもの好きなもの・興味を持っているものをどんどん揃えてあげましょう。
・宇宙が好きだったら、宇宙の絵本や図鑑・天体望遠鏡を揃える
・レゴが好きだったら、パーツを買い足す
・お絵描きが好きだったら、好きな画集や絵の具などの画材を集める
など、興味の対象に没頭できる材料を準備してあげてくださいね。
4-2.図鑑や辞書はリビングに置く
子どもの知的好奇心を伸ばすための必須アイテムである図鑑や辞書は、リビングに置きましょう。
子どもが何かを調べたいと思った時、他の部屋に取りに行くという手間があることで、好奇心の芽を摘んでしまう恐れがあるからです。
興味を持ったらすぐに手を伸ばせる、という環境を作ってあげてください。
目立つ所に置いておくことで、手にする機会もぐんと増やせますよ。
4-3.地図は子どもの目につくところに貼る
インテリアとしても優秀な地図は、高い場所ではなく子どもが見やすい所に貼るのがおすすめです。
絵本やテレビで知った国や都市の名前をすぐに確認することができるからです。
身近に地図があれば、「このリンゴは青森県でとれたんだよ。
青森県はどこでしょう?」などのように、地図を見る機会を日常的に増やすこともできます。
4-4.親が選んだ本を子どもの本棚に飾る
子どもの興味・関心を広げて好奇心の芽を育てるために、親が選んだ本を子どもの目につく場所に飾るのもおすすめです。
「これを読みなさい」と子どもに強制すると、子どもの興味はかえって失われてしまう恐れがあります。
しかし、本を飾る方法であれば、“押し付けられた”と子どもが感じることなく自然に手に取るきっかけをつくることができます。
本を飾る際は、子どもの興味をひきやすいように、本の表紙が見えるように飾るのがポイントです。
本の内容は、どのようなものでも構いません。
例えば季節の絵本は、季節や行事を楽しめ、ためになる知識が詰まっていることも多い傾向があります。
新しい絵本の選択に迷ったときは、季節の絵本を選んでみてはいかがでしょうか。
5.子どもの知的好奇心を伸ばす際に注意したいこと
知的好奇心を伸ばす際に注意したい3つのポイントを紹介します。
・子どものやりたいことを制限しない
・答えを教えない
・リラックスできる環境をつくる
5-1.子どものやりたいことを制限しない
子どもが何かに熱中している時は、危険がない限り自由にさせてあげましょう。
子どもの行動を制限したり、親の意見を押しつけたりすることで、子どもの好奇心がそがれてしまう可能性があります。
また、年長さんは自主性が高まり「自分でやってみたい」という気持ちが育つ時期でもあります。
自分の力でやり遂げる経験をたくさんして達成感を味わうことで、自主性も伸ばしましょう。
5-2.答えを教えない
子どもが何かに興味を持ち、疑問に思ったとしても、すぐに正解を教えないことも大切です。
答えが簡単に与えられてしまうと、その場で満足して終わってしまい、興味を失ったり忘れてしまったりすることがあります。
親は答えを教えるのではなく、調べる場所や方法を教え、疑問は子ども自身で解決できるようサポートすることを心掛けましょう。
5-3.リラックスできる環境をつくる
時間がないと焦ったり、空気がピリピリしていたりする環境にあっては、好きなものが目の前にあっても楽しむことができません。
子どもがリラックスできる環境を作るために、次のことを意識してみましょう。
・子どもを一人にしない
・一緒にいる人もリラックスする
・暑すぎたり寒すぎたりしない温度を保つ
・余裕のある時間を作る
また現在は、テレワークをしているという親御さんも多いかもしれませんね。
そんな中では、仕事と生活のオン・オフが難しくついつい仕事のことを考えて、日々せわしない気持ちにもなりそうです。
しかし、そういったせわしなさは、子どもに緊張感をあたえてしまうものです。
少しの時間だけでも、お子さんがゆっくりじっくり物事に没頭できるリラックスできる環境づくりを大切にしてみてください。
6.子どもの知的好奇心を伸ばす時間は人生の宝物
子どもの知的好奇心を伸ばすためのアイデアを具体的に紹介してきました。
家事や育児・仕事に追われる中、子どもに向き合う時間をとるのも難しいですよね。
この記事のアイデア全てを行おうと無理をする必要はありません。
ご家庭に合ったものや、できることを少し取り入れてみることから始めてみてはいかがでしょう。
親と一緒に楽しんだ経験は子どもの知的好奇心を伸ばすだけではなく、子どもの一生を支える素敵な思い出にもなりますよ。
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