【小学1年生】1学期の国語の学習内容と「国語好き」を育む4つのポイントを解説!
この記事を書いた人
yurinako
- 司書教諭
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 子育て支援員
小2と年長の娘のママ。
小学校教員として15年間勤め、小学1年生から6年生までの担任を経験し、
のべ1500人以上の子どもたちを指導してきました。
小学校教諭、幼稚園教諭、司書教諭、子育て支援員の資格を持っています。
親子で一緒に、本やダンス・料理を楽しんでいます!
ついにお子様がピカピカの1年生!ランドセルで歩く姿も見慣れてくるころではないでしょうか。
毎日学校へ通うリズムがついてきて、登下校にも安心できるようになってくると、今度はお子さんの学習について気になってきますよね。
「学校でちゃんと話を聞けているのかな」
「本を読んだり字を書いたりする経験が少ないけれど、大丈夫かな」
と感じている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、小学1年生の1学期の「国語」に焦点を当てて、元小学校教員が学習内容・ご家庭でのサポート方法をご紹介します。
なぜ国語に焦点を当てるかというと、国語はすべての教科の土台となる力を育む大切な教科だからです。
入学して最初の4カ月で国語が好きな子になれると、その後は自分でどんどん力をつけていくことができます。
後半では、子どもが「国語好き」になるためのサポートのコツをご紹介します。
目次
1.【小学1年生国語】1学期の学習内容は?
お子さんの時間割や予定表を見ると、毎日国語の時間が設定されていますよね。
1年生は、年間300時間以上(自治体によっては350時間以上)も国語の時間が設定されています。
それほど、国語の学習内容は多く、重要視されているのです。
1年生1学期の国語で学ぶことは多岐にわたっており、ひらがなの習得以外にも様々な学習内容があります。
まずは、国語の学習ではどんなことをするのか、ご紹介していきます。
1-1.1年生の国語は読む・書く・話す・聞く活動が中心
国語の学習内容は、大きく4つの分野に分けられています。「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つです。
①「読む」
ひらがなを読む、お話を読む
②「書く」
ひらがなを書く、短文を書く
③「話す」
友達と話す、みんなの前で話す、授業での話し方を知る
④「聞く」
先生の話を聞く、友だちの話を聞く、正しく聞き取ることの大切さを知る
1年生の1学期では、この4つの力を、学年や発達に合わせて育んでいくのが国語です。
文字の読み書きから始まり、語彙力や読解力・コミュニケーション能力を育みます。
1-2.「図書」や「書写」も国語の一部
実は、「図書」や「書写」も国語の一部です。
「図書」は、図書室に行って本を借りたり、読書したりする時間です。
司書の方が常駐している学校では、読み聞かせタイムが設けられていたり、本の探し方を指導してくれたりします。
「書写」は、文字を正しく書けるようにするための時間です。
3年生以上だと書写の時間にお習字をしますが、1年生では日々のひらがな練習をそれに充てることが多いです。
冬休み近くになると、鉛筆での書初めもありますよ。
1-3.国語は、言葉でのコミュニケーション能力の基礎づくり
国語は、言葉や文字について学習する教科です。
言葉や文字で何かを伝えたり、吸収したりすることで、コミュニケーション能力の基礎を育てます。
1年生では特に、「このことを誰かに伝えたい」「お手紙を書いてみたい」「他のお話も読んでみたい」と子どもの意欲を引き出しながら学習活動を設定します。
また、「お友達とお話するのって楽しい」「相手がわかってくれて嬉しい」というポジティブな実感をもたせながら進めるのもポイントです。
言葉や文字を通してのコミュニケーションの楽しさを感じられるように、ご家庭でもサポートしていきましょう。
次に小学校では「読む」「書く」「聞く」「話す」の力をどのようなステップで育んでいくかをご紹介していきます。
ステップを知ることで、ご家庭でも適切なサポートをすることができます。
2.国語の学習その1~ひらがなを「読む・書く」~
1学期の学習で最も時間をかけるのが、ひらがなの読み書きです。
正しい字形、正しい書き順で書けるように指導していきます。 ここでは、小学校でのひらがな学習のステップをご紹介します。
2-1. 最初は、鉛筆の持ち方・なぞり書き
ひらがな学習の前に、まずは持ち方・力の入れ具合など鉛筆の使い方を練習します。
ほとんどの国語や書写の教科書にQRコードがあり、正しい鉛筆の持ち方を動画で確認することができますので、ご家庭でも実践しやすいですね。
鉛筆の持ち方を確認したら、今度はなぞり書きです。
いろいろな線をなぞりながら、ひらがなの学習につながる動きを習得します。
・まっすぐな縦線
「に」「は」「し」など、まっすぐに下りる線の練習
・ぐるぐる進む線
「ま」「の」など、丸める部分の練習
・ぎざぎざな線
「ん」「え」「て」など、鋭角に曲がる部分の練習
他にも、波線や点線、とめ・はね・はらいの練習をします。
おうちでは、
・おうちの方が書いた線をなぞる
・迷路(壁にぶつからないように鉛筆で書く)
・写し絵
をすると鉛筆の持ち方、運筆(自分の思った通りに鉛筆を動かすこと)が上達しますよ。
2-2.まずは、自分の名前を書いてみる
最初に書くのは、自分の名前です。
多くの学校では、入学して数日で取り組みます。
この段階では、字のバランスが悪くても、書き順が違っても指摘しません。
「自分でお名前書けたね!」と認めてあげるだけで、子どもは十分に嬉しいでしょう。
この「自分の名前」は、ひらがなの学習が始まる前にやることに意味があります。
1年生の最後に、ひらがなの学習をすべて終えた後で書いた名前と見比べて、文字がどれだけかけるようになったか実感できるようにするのです。
2-3.ひらがなは、1画で書けるものから順番に
学校では、「し」「つ」「く」など1画で書けるものから学習することが多いです。
大人にとっては簡単に感じられるひらがなでも、初めて文字を学ぶ1年生は悪戦苦闘します。
マス目のどの位置から書き始めるのか、どこで曲がるのか、どれくらいゆっくり書いたらいいのか、消しゴムで消して何回も書いていいのか、など、子どもたちの頭には疑問だらけ。
1文字書くごとに「これでいいの?」と聞く子が続出です。
筆者が1年生の担任をしていた時に「し」を教えたときには、「3のお部屋からまっすぐ下りて、4のお部屋でゆっくりカーブ、2のお部屋でシュッとはらう」と合言葉のようにして指導をしていました。
1年生が使う、国語のノートはマス目が点線で4つに区切られていて、それぞれを“お部屋”と呼んで指導することがあります
さらに、「ぞ」「ぢ」などの濁点のつく字や、「しゅ」「ふぉ」など小さい「やゆよ」が含まれる音は、1年生にとってイメージしにくいものです。
日常の中で、このような表記に見慣れておくことが大切です。
3.国語の学習その2~お話を「読む・聞く」~
国語と言えば「物語」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますよね。
ママ・パパ世代のころからずっと変わらず教科書に掲載されている物語もあります。
1年生の1学期では、お話を聞く場面が多いです。
教科書に載っているお話をお使うときにも、まずは聞き慣れてから子どもが一人で読めるように授業が設定されています。
ここでは、子どもがお話を理解するステップについてご紹介します。
3-1. まずは読み聞かせで言葉に触れる
小学生にとっても、読み聞かせはとても重要です。
耳から聞いた言葉から、頭の中でイメージを広げることが、想像力へとつながります。
例えば、「がっくりと肩を落として歩いています」という表現を聞き、背中を丸めてうつむきながら肩を落としている様子をイメージすることで、「落ち込んでいる感じ」「何か悲しいことがあったのかな」と想像するのです。
また、読み聞かせを通じて、日常会話の中ではなかなか使わないような表現を知ることができます。
お話の前後関係から言葉の意味を把握したり、挿絵によって理解が深まったりもします。
3-2.お話の内容を理解するためのステップとは
お話の内容を読んで理解できるようになるには、いくつかのステップがあります。
①ひらがなを1文字ずつ読むことができる
②単語ごとに読むことができる(文節に区切ることができる)
③1文ごとに意味を理解できる
④お話全体の内容をつかむことができる
1年生の1学期は②や③の段階です。
文節に区切ることができるように、教科書の文章には、単語と単語の間に1文字分のスペースが空けられています。
また、文章の途中でも区切りの良いところで改行されているのも、1年生の教科書の特徴です。
子どもが自分でお話を読む際は、声に出して読むことがおすすめです。
声に出すことで、どこで区切られているのかわかることがあります。
また、改行部分で文節が分かりにくくなってしまう場合には、おうちの方が補助してあげることも有効ですよ。
ワンポイント:小学校の国語で扱う文章には2種類ある
小学校の国語で扱う文章には、「文学的文章」と「説明的文章」の2種類があります。
文学的文章とは、絵本や小説をもとにした物語文です。
授業では、物語のあらすじを捉えたり、登場人物の行動や気持ちを考えたりします。1年生(上)の教科書では、「はなのみち」「けむりのきしゃ」「おおきなかぶ」などが掲載されています。
説明的文章とは、出来事や事実について説明した文です。
授業では、説明の内容を正しく読みとったり、自分で調べたことを説明したりします。1年生(上)の教科書では、「くちばし」「すずめのくらし」「うみのかくれんぼ」などが掲載されています。
4.国語の学習その3~いろいろな相手と「話す・聞く」~
園のころから、先生と・友達とおしゃべりする経験はたくさん重ねていますよね。
小学校では、より伝わり合う話し方や聞き方のスキル、TPOに合わせた話し方や聞き方を学びます。
ここでは、「話す・聞く」学習のステップと1年生で学ぶ「話す・聞くスキル」をご紹介します。
4-1. 1対1での会話から始める
会話のキャッチボールをするには、話す側と聞く側がいますよね。
1年生の国語の授業ではまず、1対1の会話から、話し合いの学習を始めます。
自由におしゃべりをしたり、知りたいことを質問したりする活動の中で、話す側と聞く側がいることを学びます。
1対1のやりとりに慣れてくると、3人や4人の少人数での会話にステップアップしていきます。
4-2.先生と話す、上級生と話す、みんなの前で話す
TPOに合わせた話し方を学ぶのも、国語授業のねらいの1つです。
1年生の1学期では、「みんなの前で話すときは声を大きく」「大人や先生に話すときは丁寧な言葉で」などを意識します。
また、様々な相手と話すことで、話す先には「相手がいる」ことを学びます。
かかわる機会があるのは主に、同じクラスの1年生、お世話に来てくれる6年生、学校を案内してくれる2年生などです。
相手によって自然と話し方が変わるのは、子どもなりにTPOを学んでいるという証拠です。
4-3.話したい・聞きたいという思いが学びにつながる
1年生で学ぶ話す・聞くスキルとして、以下のようなものが挙げられます。
・場所に合わせた声の大きさで話す
・相手のことを見て話す、聞く
・「誰が、何を、どうした」を落とさないように話す、聞く
このようなスキルを身につけるには、「話したい、聞きたい」という意欲や必然性が大切です。
小学校では、子どもたちが「ぼくの言いたいことをわかってほしい!」「あの子のこともっと知りたい!」と思えるような活動を計画しています。
特に1年生では、「話してよかった、聞いてよかった」と思える経験を重ねることが、「話す・聞くスキル」を身につけるベースになります。
5.「国語好き」の気持ちを育む!家庭で出来る4つのフォローとは?
国語の授業で学ぶ内容に加えご家庭でのフォローがあると、お子さんの力はさらに伸びていきます。
とはいえ、さらに学習の時間や教材を準備するのは大変です。
そこで、宿題のときや日常の中でできるフォローを、具体的にご紹介します。
5-1.ひらがなの宿題のときの一工夫
学校でひらがなの学習が始まると、その日に習った字の練習が宿題になることが多いです。
同じ文字を繰り返し書くことで、正しく書けるようになる一方、飽きてしまうこともあります。
また、先生からのお直しが多すぎて嫌になってしまうお子さんもいるようです。
そこで、ご家庭でひらがな練習の宿題を見るときには、以下の2つの点を意識して見守ることをおすすめします。
①その文字の良いところを具体的に伝える
「がんばったね」「上手になったね」とほめるのも、もちろん良いです。
ただ、丁寧に正しく文字を書くことを意識させるためには、良いポイントを具体的にほめることが大切です。
例えば、「書き始めの場所がお手本とそっくりだね」「ぐるんとまわるところの大きさがちょうどいいよ」「ぴょんとはねるところがきれいに書けたね」などです。
具体的にほめることで、お子さんはその字のポイントをさらに意識することができます。
②直させるのは、明らかに間違っているときだけ
繰り返し書いていると、バランスの崩れた字も出てくるかもしれません。
しかし、大人の観点で全て直されたら、子どもは字の練習自体が嫌になってしまうこともあります。
おうちの方が宿題を見守っている間は、横線が一本多い、鏡文字になっているなど、明らかに間違っているものだけ直させましょう。
「もっと上手に書きたい」という気持ちを盛り上げたい場合は、特に上手に書けたものだけに花丸をつけてあげると良いでしょう。
5-2.音読の宿題のときの一工夫
教科書を使った学習が進んでくると、音読が宿題になることが多いです。
物語の一部分や、詩が音読の主な教材になります。
音読は6年生まで毎日の宿題となることが一般的なので、1年生の初期のうちに、「音読して良かった」「音読っておもしろい」とお子さんが実感を持てるようにサポートしたいですね。
①イメージを広げる質問
すらすらと音読できる子、楽しんで音読できる子には、さらに想像力を高める質問をしてみましょう。
・いつ、どこ、誰を質問し、内容を理解する力を育てる
例「あれ?うさぎさんは最初どこにいたんだっけ?」
・本には書かれていない、お話の後や前を想像する
例「この後どうなるんだろうね」
・自分が登場人物だったらどうするか想像する
例「○○くんがくまさんだったらどうする?」
音読や読書が好きなお子さんにおすすめの方法です。
②逆読み聞かせ
音読の内容は、学校で学習したものが中心です。そこで、「どんなお話をお勉強したか、ママにも教えて」と伝え、お子さんからおうちの方へ読み聞かせをしてもらうように、音読をするのです。
学校での出来事をおうちの人に話すのが好きなお子さんにおすすめの方法です。
③音読ステージ・動画
音読の宿題を、テレビ番組のコーナーの1つのように設定する方法です。
おうちの方が司会役になり「次は○○ちゃんの、音読です、どうぞ!」と振ってあげたり、音読する様子を動画に撮ったりして、何かの出演者になり切った気分で音読ができるようにします。
テレビや動画を見るのが好きな子、YouTuberなどの真似をする子におすすめの方法です。
5-3.いろいろなジャンルの本に触れさせよう
小学生頃になると、自分の好きなジャンルの本がわかってきます。
冒険ものの、虫の本、お料理の本、なぞなぞの本…。
好きなものを追求できることは素敵なことです。
ただ、親としては、「恐竜にしか興味がないけど、大丈夫かしら」と心配になる方もいるかもしれません。
そんな時は、お子さんの興味に関連するもので、別ジャンルの本を準備してみましょう。
例えば恐竜の図鑑が好きなお子さんなら、恐竜が出てくる時代の歴史漫画や、恐竜が出てくる物語、恐竜の作り方が載っている折り紙の本などです。
「恐竜が好き!」という気持ちを満たしながら、図鑑以外のジャンルにも触れさせるようなイメージです。
「これも読みなさい」と指示するのではなく、「こんな本にも恐竜のことが載っているみたいだよ」と提示してみるくらいが良いでしょう。
試しに地域の図書館で借りて、本格的に興味を持ったら購入するくらいだと、親も気負わずチャレンジできそうです。
5-4.子どもが話す機会を大切にしよう
1年生のお子さんにとって、話し言葉は最大のアウトプットです。
知識を取り入れるだけでなく、どこかにアウトプットすることで定着したり、活用力がついたりします。
そこで、ご家庭ではできるだけお子さんの話に耳を傾けましょう。
お風呂に入りながら、お皿を洗いながらなど手を動かしていても大丈夫です。
ただしスマホを見ながら話を聞くのは避けたいものです。
スマホを操作していると、目線も手元もスマホに集中しますよね。
「相手の方を見て聞く」という聞き方の態度の手本を示すためにも、視線はお子さんに向けながら話を聞きたいですね。
たくさん話を聞いてもらった経験を重ねているお子さんは、話し上手であり聞き上手にもなれる傾向があります。
自分が話したいときに満足いくまで聞いてもらえたという充実感や、誰かと話すのが楽しいという実感をもてる経験が大切です。
ただ、学校では授業の時間が限られていることから、子どもたちは話したいことを十分に話しきれていないこともあります。
ご家庭ではぜひ、お子さまの「話したい!聞いてほしい!」という気持ちを十分に満たせると良いですね。
「そうなんだ!」「それでそれで?」「それは楽しかったね」と相づちを打ち、共感してあげると、お子さんは話しやすいでしょう。
また、声量の調節に慣れていない場合は、ご家庭でも声の大きさを意識させてみましょう。
例えば、「電車に乗るときは1の声(内緒話の声)ね」「ベランダで洗濯干してくるから、何かあったら3の声(教室中に聞こえる声)で呼んでね」と意識させます。
また、しっかり話を聞けているのかな?と心配なお子さんには、聞いた内容を復唱させるのが効果的です。
例えば、「今日は学校から帰って、宿題をしてからスイミングだよ」と伝えたあと、「ママなんて言ったか分かる?」と聞いて、お子さんに言わせるのです。
6.小学1年生の国語は全ての学習の土台になる
1年生の1学期は、「学び方を学ぶ時期」とも言われます。
学校ではこのように過ごす、文字はこうやって書く、授業中は手を挙げて発言するなど、学校生活の基礎・学びの基礎となることを中心に進めていく時期です。
国語はその中心にあるもので、言葉や文字を使った小学校での学習の基本となります。
初めて国語に取り組む1年生では、点数や通知票での評価よりも、「本を見たら分かった!できた!」という実感や「物語って面白い!」「みんなに話すのが好き!」という気持ちをどれだけ感じられるかが大切です。
その気持ちが学びを楽しむ気持ちや学習意欲につながります。
国語で培われた力は、算数の文章題、社会科で資料を読み込むこと、理科で考察をまとめるときにも活かされます。
お子さんが「学校って面白い」「今日はこんなことができるようになった!」と前向きに学校生活を送れるように、ご家庭でもサポートをしていきましょう。
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