反抗期!?「4歳の壁」はどう乗り越える?特徴と6つの対応ポイント
この記事を書いた人
遠藤さおり
- 社会福祉士
大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。
知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。
自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!
福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。
自分でできることが増え、会話での意思疎通もだいぶできるようになったと感じる4歳児。
手がかからなくなる一方で、反抗的な態度をとられてしまい困っている……そんな風に感じたことはありませんか?
この時期は「4歳の壁」と呼ばれ、成長が逆戻りしてしまったように感じることも多いですが、心が大きく成長している証でもあるのです。
今回はそんな「4歳の壁」の特徴と、親子で乗り越えるためのポイントをご紹介いたします。
目次
1.「4歳の壁」とは?
だいたい4歳前後で直面しやすい「4歳の壁」とは、一体どのようなものでしょうか。
まずは4歳児の発達の側面から見てみましょう。
1-1.4歳ってどんな時期?
4歳は認知能力が大きく向上する時期です。空間や時間への理解が増し、自分と他人の違いに気が付き、様々な面で大きく変化が起こります。
■身体の発達
身体をコントロールする力が身につき、できることが増える時期です。
手先も器用になり、ハサミを使う・紐を結ぶといった細かい作業もできるようになります。
走ったりジャンプしたりすることも得意になるので、より活発になる時期でもあります。
■こころの発達
周囲の人に興味を持ち、積極的に関わりを持つようになります。
ルールを決めて遊んだり同じ行動をとったりと、遊びの中で社会性を身に付けていく時期です。
時にケンカが起こることもありますが、人との関わりをとおして身近な人の気持ちもわかるようになります。
■ことばの発達
語彙がさらに増え、日常会話がスムーズにできるようになったり、自分の気持ちや考えを言葉で表せるようになったりします。
記憶力も増し、過去や未来の話や空想の話をすることもあるでしょう。
ものごとへの関心も強くなるので「なぜ?」「どうして?」の質問も多くなります。
個人差はありますが、赤ちゃんの名残があった頃に比べて運動能力や社会性が増し思考力や集中力も育ってくるので、お母さんから見ても「しっかりしてきたな」と感じることも増えてくるでしょう。
1-2.4歳の壁~4歳に訪れる「反抗期」の正体とは~
「4歳の壁」とは、だいたい4歳前後になるとよく見られる反抗期の時期を指します。
今までスムーズにできていたことにも反抗的な態度をとり、時には泣いて手がつけられなくなることもあったりと、困りごとが起こりがちな時期です。
4歳は脳が著しく発達し「現在」「自分」を軸にしか考えられなかったことも、「過去」や「未来」「自分以外の相手」にもフォーカスできるようになります。
身体も成長することでできることも増えてきますが、まだまだ自分の感情をコントロールする力は未熟です。
気に入らないことがあると癇癪を起こして泣いたり、今までできていたことをやらないなど反抗的な態度が増えたり、かと思えば急に甘えてきたり……脳の急激な成長は4歳児の心に大きな葛藤をもたらします。
また、4歳児の多くは幼稚園や保育園に入園し、物理的にも社会が広がる時期でもあります。
お母さんの保護から離れて自分でやらなければならないことも増えますし、友だちとの関わりの中で我慢することも出てくるでしょう。
これらのことが複合的に起こる4歳の時期は子どもも戸惑いを感じやすく、「4歳の壁」と呼ばれています。
1-3.お母さんもプレッシャーを感じやすい時期
一方、お母さんも「4歳」という年齢には特別なプレッシャーを感じやすい時期とも言えます。
「3歳までの子育てが今後を決める」という「3歳児神話」が未だ根強くある中で、4歳の壁を前に「今までの育て方が悪かったのかしら」と不安を感じられる方も多いのではないでしょうか。
これから園生活や学校生活が続いていくことを考えると、その不安も大きくなりがちです。
しかし、4歳の壁は「成長の証」ともいえます。
成長の過渡期に起こりやすい状態なので、前向きに捉えて乗り越えていきましょう。
2.「4歳の壁」の特徴〜どんなことが起こりやすい?〜
それでは、次に4歳の壁で起こりやすいことをご紹介します。
「これは4歳の壁が原因だったのね!」と思い当たることがあるかもしれません。
2-1.今までしていたことをしなくなる
食事や着替え、片付けなど今まで出来ていたことを突然しなくなります。
「イヤ」と拒否したり「やって」と言い出したり、急に赤ちゃん返りしたように感じることもあるかもしれません。
2歳〜3歳のイヤイヤ期の延長のように感じるかもしれませんが、身体の発達が追いつかず「やりたいことができないことに対する苛立ち」のイヤイヤ期と違い、4歳児は「自分の希望が通らないことに対する反抗」であもあります。
自己主張が強くなり、他者が自分の思い通りにならないことを学ぶ過程で起こりやすいことなので、心配する必要はありませんよ。
やっていた行動を遮られると自己主張が強くなり反抗的な態度につながりやすいので、「早め早めのアナウンス」で対応しましょう。
言葉の理解も深まる時期なので、時に甘えを受け止めながら見守っていきましょう。
2-2.乱暴になる
気に入らないことがあるとお母さんを叩いたり蹴ったり、兄弟喧嘩でも手が出たりと「乱暴になった」と感じることも多くなります。
このような望ましくない行動は、自分の思い通りにならないことに対して力を行使して意思を通そうとしているのです。
また、「バカ」などの汚い言葉や「ママなんて嫌い!」と言うことはありませんか?
「言葉が達者になってきたなぁ」と思うと同時に、「どこで覚えてきたの?」と驚いてしまうような言葉遣いをすることもこの年齢の特徴です。
注意するとヒートアップすることもあるので反抗的に見えますが、お母さんが反応してくれることが嬉しくて行っている場合もあるので、過剰に反応せずに冷静に対応しましょう。
2-3.嘘を付く
嘘をつくこともこの時期に起こりやすいことの1つです。
注意されたことに対して「やってない」と言ったり「お友だちがそう言ってた」と言うなど、大人からしたらわかりやすい嘘をつくこともあります。
今まではなかった変化に「悪知恵がついてきた」と感じることもあるでしょう。
そんなときは頭ごなしに叱らず、「嘘がバレている」ことを冷静に伝えましょう。
その上で「そんな嘘をつくと悲しい」とお母さんの気持ちを伝えるのがベストです。
また、この時期は空想の話ができるようになる時期でもあるので「こうだったらいいな」という希望の話や「空想のできごと」をあたかも本当にあったかのように話すことがあります。
「昨日ディズニーランドに行った」や「おもちゃをたくさん買ってもらった」などと友だちに伝えることもあるでしょう。
「どうしてそんな嘘つくの?」と心配になりますが、これも成長過程の1つです。
必要な場合は「本当のことだけお話しようね」と促しましょう。
「うさぎのぬいぐるみとお話した」といった空想世界の話には「そうなんだ、いいね」と付き合ってあげるのもよいでしょう。
2-4.思い通りにならないと拗ねる
自分の思い通りにならないことがあると拗ねるのも、この時期になるとよく見られることです。
これも自分の意思が通らないことに気が付き、「拗ねる」という態度で反抗しているのです。
相手の言うことを「無視」することもあるでしょう。
まだまだ感情をコントロールする力が未熟なので、素直に謝ったり受け入れたりができないのです。
拗ねることで相手がどう考えるのかを分かるようになってきているのも成長の証、と捉えて見守りましょう。
2-5.癇癪を起こす
気に入らないことがあると、泣きわめいて手がつけられなくなることもこの時期によくあることです。
イヤイヤ期の癇癪が落ち着いたと思ったところでまた癇癪が始まると、成長が逆戻りしてしまったように感じるかもしれませんね。
イヤイヤ期の癇癪は「嫌だ・不快だ・眠い・辛い」といったような単純な感情をもとに、うまく表現できないジレンマから来るものです。
一方、4歳児の癇癪は「まだ〇〇したかったのに!帰りたくなかった!」「勝ちたかったのに負けて悔しい!」という自分以外の存在が絡んだ複雑な感情が原因となります。
そんなときは、お母さんが子どもの気持ちを代弁してあげるような声掛けがおすすめです。
言葉の理解が進んでいるので、すんなり落ち着く場合もありますよ。
3.「4歳の壁」男女によって違いが見られることも
4歳の壁の困りごとの出方は一概には言えませんが、男女によって傾向に違いがあると言われています。
それぞれ見てみましょう。
3-1.男の子によくあるケース
男の子は、気に入らないことがあると、力を行使して反抗することも多くあります。
身体も大きくなってくると、制止するのもパワーがいりますよね。
パワーが有り余っていることも考えられるので、体力を発散できるような過ごし方もオススメです。
また、汚い言葉や暴力的な言葉を使って周囲の反応を楽しむことも見られます。
そんなときは過剰に反応せず、「そんなふうに言われたら、あなたならどう思う?」と冷静に対応しましょう。
根気強く伝えていくことが大切です。
3-2.女の子によくあるケース
口が達者な傾向にある女の子は、言葉で反抗してくることも多いのが特徴です。
注意されると大人の揚げ足をとったり、「ママなんて嫌い!」と言ったり、驚くほど大人びた言葉を選んで反抗してくることもあります。
そのほか、無視したり拗ねたりといったことも女の子によく見られます。
お母さんがかまってくれるのを待っていることもあるので、そんな時は「わたし(お母さん自身)」を主語にして子どもに「どうしてほしいのか」を伝えてみてください。
お母さんの気持ちだけにフォーカスされるので、子どもも受け入れやすくなります。
4.「4歳の壁」どうやって乗り越える?〜対応のポイント6つ〜
ここからは、4歳の壁の対応ポイントを6つご紹介します。
コツを掴んで難しい時期を前向きに乗り越えましょう!
4-1.甘えを受け止めよう
赤ちゃん時代から大きく成長した4歳児。
幼稚園生活も始まり、急にお兄さん・お姉さんになったように感じることもありますが、まだまだ成長途中の段階です。
大きく成長する時期には、子ども自身も戸惑いが多く、安心できる場所が必要です。
今までできていたことを「やって」と言い出すのも、甘えの1つです。
お母さんとの関わりを求めていたり、お母さんがどんな反応をするのか、試していたりすることもあります。
「もうお兄さんだから」と考えず、甘えを受け入れましょう。
「甘やかしすぎて自分でやらない子になってしまわないかな?」と心配になることもあるかもしれませんが、子どもは「頑張る場面」と「甘える場面」のバランスを取りながら、この過渡期を上手に乗り越えていきます。
抱きしめたり手をつないだり、今まで以上にスキンシップをとることで子どもの心も落ち着きやすくなりますので、ぜひ実践してみてください。
4-2.寄り添った声掛けをしよう
癇癪がひどいときは、子どもの気持ちに寄り添った声掛けをしてみましょう。
「〇〇がしたかったんだね〜」「悔しかったね、でも我慢したなんてすごいね」というように、子どもの気持ちを詳しく言葉にしてあげると「わかってもらえた!」と落ち着きやすくなります。
次第に癇癪を起こす前に自分で言葉にしてくれるようになっていきますので、根気強く続けていきましょう。
4-3.見通しを持った声掛けで行動を促そう
子どもは何かを制止されると反抗的な態度になりやすいものです。
早めの声掛けで癇癪を予防しましょう。
4歳児は時間に対しての認識も深まる時期なので、先を見通した声掛けが有効です。
ポイントは、子どもが混乱しないように「〇〇をしてから△△をしようね」と、2つ先までのアナウンスにとどめておくことです。
また、数字への認識も深まってくる時期なので「時計の針が6になったら帰るよ」「あと3回でおしまいね」という声掛けもおすすめです。
4-4.自分で選択させて自信をつけさせよう
記憶力や判断力も向上する4歳児には、自分で選択する機会を十分に与えることも重要です。
まずは小さな範囲の選択からはじめてみましょう。
「どういうものがいい?」や「どれくらいにする?」といった漠然とした質問にはまだ答えにくいので、「どっちの色がいい?」や「2個食べる?3個食べる?」というように、選択肢を2つか3つに絞ってあげるのがおすすめです。
自分で決めたことに対しては前向きに取り組みやすく、幼いながらにも責任も感じられるようになります。
自分で選ぶ経験を重ねて、自信につなげましょう。
4-5.ポジティブな声掛けで達成感を感じさせよう
心が複雑に揺れる4歳児には、ポジティブな声掛けがおすすめです。
注意を促すときも「〇〇はダメだよ」と言うより、「△△にしようね」と伝えることで子どもも聞き入れやすくなるでしょう。
いつも当たり前にできていることも、意識的に「できたね」「それでいいよ」と声を掛けることで「認められた」という前向きな感情が生まれ、「またやろう」とやる気がアップしますよ。
お母さんが見守ってくれる安心感も子どもには大きな原動力になります。
4-6.期間限定と割り切って心に余裕を持とう
家庭の中で、外のお友だちの輪の中で、4歳の壁のお悩みはシーンによって様々ですよね。
2歳のイヤイヤ期であれば、癇癪を起こしても泣きつかれて寝てしまったり気をそらすことができたりしたかもしれませんが、心も身体も成長した4歳児への対応はなかなか一筋縄ではいきません。
お母さんにとって負担になるのも当然のことです。
この時期のお悩みは、成長の1つとして避けられないものなのだと割り切ることも大切ですよ。
小さなトラブルや成長が逆戻りしているとも思える瞬間を乗り越えて、子どもは毎日しっかりと成長していきます。
5.「4歳の壁」を前向きに乗り越えよう
見た目も行動もだいぶお兄さん・お姉さんらしくなった4歳児に起こる反抗期「4歳の壁」。
お母さんもお子さん自身も戸惑うことが多いかもしれませんが、大きく成長している証だということがわかれば、心も少し軽くなりますよね。
気持ちに余裕を持って、親子で前向きに乗り越えましょう!
大きく成長したお子さんが前よりもたくましく見えるはずです。
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