
褒めても喜ばない…。理由と、子どもに気持ちが伝わる褒め方のコツをご紹介!
この記事を書いた人


横山ミノリ
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 児童発達支援士
小1と年少、2人の男子の母です。
ASD(自閉スペクトラム症)の長男への関わり方を学ぶため、「児童発達支援士」と「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得しました。
自身が産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。
子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。
子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。
「子どもを褒めても全く喜ばない」「褒めないで!と反発される」そんなお悩みをお持ちの方はいませんか?
子どもを褒めて伸ばす育児がすすめられる中で、子どもを褒めようと努力しているママにとっては、「せっかく褒めてあげたのに…」とモヤモヤしてしまうかもしれません。また、単純に、褒め言葉を素直に受け取ってもらえないのは悲しいですよね。
実は、子どもが喜ぶ褒め方のポイントは、ママの素直な気持ちを伝えることにあります。
この記事では、子どもが褒められても喜ばない理由と、子どもに伝わる褒め方のコツをご紹介します。「素直に喜ぶ心」を育てるメリットもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。この記事を読んで、お子さんに合った褒めポイントが見つかりますように!
目次
1.褒められても喜ばない理由
褒められても子どもが喜ばない理由には、大きく分けて3つあります。ここで紹介した理由を参考にして、お子さんが褒められて嫌がること・喜ぶことを探ってみてください。
1-1.嬉しくない
褒められても子どもが喜ばない理由の1つは「褒められても嬉しくないから」です。ここでは、褒められても嬉しくない3つのパターンをご紹介します。
1-1-1.自分が結果に納得していないから
ママは素直に「すごい」と思って褒めたとしても、子ども自身が結果に納得していない場合、子どもは素直に喜びません。「そんなことない!」「褒めないで!」と反発する子どももいるでしょう。これは、完璧主義で自分に厳しい子どもに多いパターンです。
完璧主義の子どもの場合、苦手なことや、嫌々やっていることを褒められるときも、素直に喜べないかもしれません。
1-1-2.褒め言葉がプレッシャーになるから
褒められても子どもが喜ばない場合、褒め言葉がプレッシャーになっていることも考えられます。責任感が強い子や、ママを喜ばせたいと思っている子どもに多いパターンです。
このような子どもは、褒められると「いつも褒められる子でいなきゃ」「もっと褒められるようにがんばらなきゃ」と思ってしまうのです。
1-1-3.他に何か目的があると察知するから
「褒めて子どもに何かをさせよう」というママの下心が伝わると、子どもは喜びません。
「褒めて伸ばそう」というママの気持ちもよく分かります。しかし、その目的が子どものためではなく自分のためになっていたり、「褒め言葉で子どもをコントロールしよう」という思いが強くなったりすると、褒め言葉は子どもに届きません。
子どもが望ましい行動をしたときだけ褒めたり、子どもが好きでないことを好きにならせるために褒めたりすると、子どもは「その手には乗らない」と反発するでしょう。
また子どもに「操作の下心」が伝わると、子どもに喜んでもらえないだけではなく、子どもと信頼関係を築くのが難しくなるというデメリットもあります。
1-2.伝わっていない
褒められても子どもが喜ばないのは、子どもに「褒め言葉が伝わっていないから」かもしれません。ここでは、褒め言葉が伝わらない理由を3つご紹介します。
1-2-1.褒め方が抽象的だから
褒め言葉が子どもに伝わらない1つ目の理由は、褒め方が抽象的だからです。「すごい!」「えらい!」だけでは、子どもはママが何に対して褒めているのか分かりません。
その場で褒めるならまだしも、時間がたってから「今日はえらかったね!」と褒めても子どもには伝わらないでしょう。
1-2-2.褒め言葉が長すぎるから
褒め言葉は長すぎても子どもに伝わりません。長い褒め言葉を聞いても、子どもは「褒められて嬉しい」というよりは「長い話を聞かされている」という印象しか受けないからです。
1-2-3.褒め言葉と表情が一致していないから
褒め言葉と表情が一致していないことも、褒め言葉が伝わらない理由の1つです。
幼児期の脳は、言語情報よりも見た目や雰囲気といった非言語情報を優先的に処理するという特徴があります。また、2歳から4歳の間に、人の表情を理解する能力が急速に発達することもわかっています。
真顔で褒めた場合、褒め言葉が伝わらないばかりか、子どもは言葉と表情の不一致に混乱してしまうかもしれません。
1-3.発達特性や気質が関係している
褒められても子どもが喜ばない理由には、その子の発達特性や気質が関係していることもあります。具体的に「自閉スペクトラム症」と「HSC」の子どもの場合について考えてみましょう。
1-3-1.自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症の子どもの特性として、ポジティブな感情よりもネガティブな感情の影響を受けやすいという傾向があります。完璧主義のため自分に厳しく、自分のことを肯定するのが難しいのです。
また、白黒思考が強い子どもが多く、褒められても、自分が納得いかないことが1つでもあると素直に喜ぶことはできません。
筆者の長男も、嫌々やったことや、思い通りにできなかったことを褒められると、怒って反発することがあります。
また、自閉スペクトラム症の子どもには、人とのコミュニケーションに関心が薄いという傾向もあるため、褒められていることに気づいていないパターンも考えられます。
1-3-2.HSC
HSCや「繊細さん」と呼ばれる子どもも、褒め言葉を素直に喜ぶのが難しいことがあります。HSCの子どもは人の心を読む傾向があるので、ママが期待していることを見抜き、その期待に沿うようにがんばってしまいます。
褒められると「いつも褒められる子でいなきゃ」「次も褒められるようにがんばらなきゃ」というように、プレッシャーを感じてしまうのです。
また、褒められると「褒められていない部分はダメなんだ」「今までは良い子じゃなかったんだ」のように、自分を否定されたと感じる子どももいます。
このように、HSCや「繊細さん」は褒められると嬉しいどころか、自己否定やプレッシャーを感じてしまうこともあるのです。
2.素直に喜ぶ心を育てるメリット
日本では謙遜が美徳とされていますが、褒め言葉を素直に受け入れて喜ぶほうが、ポジティブに生きられる気がしませんか?ここでは、子どもの頃に素直に喜ぶ心を育てておくと、将来どんなメリットがあるのかご紹介します。
2-1.自分に自信がつく
褒め言葉を素直に受け入れられると、自分に自信を持てるようになります。特に、自分が得意なことや好きなことを認めて褒めてもらえると、大人でも嬉しいものですよね。人から認められて得た自信は、自己肯定感アップにも繋がります。
2-2.向上心が高まる
素直に喜ぶ心が育つと、向上心が高まるというメリットもあります。子どもはママに喜んでもらえると、もっと成長しようと思うからです。向上心が高まれば、得意なことや好きなことをさらに伸ばしていけるでしょう。
2-3.自分の長所に気づける
褒め言葉を素直に受け入れるなら、自分が知らなかった長所に気づけます。自分では当たり前にやっていることの中にこそ、その人の長所や魅力が詰まっているからです。
「そんなことはない」と褒め言葉を受け入れなければ現状のままですが、褒められたところが自分の長所だと気づけば、それをいかしてより自分らしく生きていけるでしょう。
3.褒めても喜ばない子どもに伝わる褒め方のコツ
ここでは、褒めても喜ばない子どもに伝わる褒め方のコツを6つご紹介します。褒め方の技術ではなく、どうしたらママの気持ちが伝わるのかに注目してください。
3-1.子どもが自信のあること・好きなことを褒める
伝わる褒め方のコツの1つは、子どもが自信のあることや好きなことを褒めることです。お子さんがいつも「ママ見て!」と言ってくることや、ママが声掛けしなくてもやっていることはありませんか?それこそが、その子の好きなことや得意なことです。
「やってみてどう思った?」「どんなところが好き?」と質問して、子どもが褒められたいポイントを探ってみるのも良いですね。
3-2.子ども自身の成長を褒める
子どもを褒めるときには、他の子との比較ではなく、その子自身の成長を褒めるようにしましょう。他の子と比べて褒めると、他の子より上に行くことに集中してしまい、ママの気持ちを素直に感じられないからです。
「この前よりたくさん色を使ってお絵描きしてるね」「年少さんのときより早くお着替えできるようになったね」などの声掛けで、「あなただけを見ている」「あなたの成長が嬉しい」という気持ちを伝えることができます。
3-3.結果ではなく過程を褒める
ママの気持ちを伝えるために、結果ではなく過程を褒めましょう。子どもは「ママに褒めてもらいたい」とも思っていますが、それ以上に、「ママに自分のことを見ていてほしい」と思っているからです。
片づいた部屋やでき上がった作品だけでなく、片づけている自分や作品を作っている自分を見ていてほしいのです。
過程を褒めるために、子どもの行動をじっくりと観察してみるのはおすすめです。過程にこそ、子どもが褒められて嬉しいポイントが隠れていますよ!
また、もし過程を見られなかったときは安易に褒めるのではなく、「どこを工夫したの?」「がんばったところはどこ?」と子どもに聞いてみると良いでしょう。
3-4.具体的に短く褒める
具体的に短く褒めるのも、子どもに伝わる褒め方のコツです。「絵本を本棚に戻せたね!」「お友だちにおもちゃを貸してあげられたね!」など、子どもが何を褒められたのか分かるように具体的にかつ短く伝えましょう。
また、タイミングを逃さず褒めるのもポイントです。
3-5.表情やジェスチャーをプラスして褒める
子どもに褒め言葉を伝えるときには、表情やジェスチャーをプラスしましょう。無表情で褒めるより、ママが笑顔で「ありがとう」や驚いた顔で「すごいね!」と言う方が、何倍も子どもに伝わります。
また、ハイタッチやグーサインなど、褒め言葉にプラスするジェスチャーやハンドサインを決めておくのもおすすめです。ハンドサインなら、声の出せないところや声の届かない場所でも気持ちを伝えることができますよ!
3-6.ママの感情をプラスして褒める
子どもに伝わる褒め方の中で特に重要なのが、ママの素直な感情を褒め言葉に加えることです。「お手伝いしてくれてありがとう!」「ひとりでお着替えできてびっくりしちゃった!」など、嬉しい・驚き・感動・感謝などの気持ちを含めましょう。
「ありがとう」「助かった」も、子どもにとっては立派な褒め言葉なのです。
4.ママの気持ちが伝わる褒め方で、素直に喜べる心を育てよう!
褒められても子どもが喜ばないのは、嬉しくない・伝わっていないという理由があります。子どもの発達特性や気質が関係していることもあります。
子どもが喜ぶ褒め方をしなければと気負わずに、ママの素直な気持ちを子どもに伝えていきましょう。また、素直に喜ぶ心を育てるためには、「ありのままのあなたを愛している」という気持ちを、毎日の声掛けやスキンシップで伝えていくことも大切です。
子どもの頃にママにたくさん褒めてもらって嬉しかった経験は、子どもの己肯定感を高め、将来自分らしく前向きに生きて行く力になるはずです!
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