子どもとの遊び方がわからない…親子で楽しめる遊びを気質別にご紹介
この記事を書いた人
こうの
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 認定心理士
大学、大学院での専攻は臨床心理学・教育心理学で、主にいじめに関する研究に取り組んでいました。
心理士として児童養護施設に入職し、施設内の子どもへのカウンセリングや心理検査を担当。
プレイセラピーや知能検査などの実施経験があります。
現在は、幼稚園に通う娘の育児に奮闘中!
初めての子育てに奮闘する中で、「子どもとの遊び方がわからない」と感じることはありませんか?
成長するにつれて子どもの遊びの幅は増えていきますが、どのような遊びが我が子に合っているのかわからず、遊ぶこと自体が負担に感じられることもあるでしょう。
また、子どもとうまく遊べないことに罪悪感を抱いてしまうこともあるのではないでしょうか。
実は子どもの気質によって好む遊びが異なることをご存じでしょうか?
この記事では、「子どもとの遊び方がわからない」と悩んでいる方へ、お子さまの気質にあった遊び方を紹介しています。ぜひ、親子で楽しめる遊びを見つけてみてくださいね。
目次
1.子どもとの遊び方がわからないのは「気質」が関係している?
お母さんだからといって、必ずしも我が子のことを完璧に理解できるわけではありませんよね。初めての子育てであれば悪戦苦闘するのはむしろ自然なことだとも言えます。
しかし実は、子どもには生まれ持った気質があり、それぞれ好む遊びの異なることが明らかとなっています。また、子どもの気質に合った遊びを楽しめることがお母さんの育児負担を減らすことに繋がるといわれています。
ここでは、お子さまの気質について5つのタイプにわけて詳しく解説します。当てはまるタイプがあるか見てみましょう。
1-1.不機嫌タイプ
不機嫌タイプの子どもには、このような特徴がみられます。
- 思い通りにならないと激しく泣いたり騒いだする
- 一日中ぐずっていることがある
- うまくできないことに怒る
- 何かを中断されることを激しく嫌がる
不機嫌タイプの子どもは、イヤイヤ期が激しく手のかかる子だと感じることも多いでしょう。
しかし、うまくできないことに怒ったり中断されると嫌がったりするのは、「自分でやってみたい」という自立心が高いことの表れでもあります。
特に不機嫌タイプのお子さまを育てる保護者様の多くが、お子さまとの遊び方がわからなかったり遊びがうまくいっていないと感じたりして悩んでいることが明らかとなっています。
1-2.敏感タイプ
敏感タイプの子どもには、このような特徴がみられます。
- 周りの音やにおいに敏感
- 服が濡れたり汚れたりするとすぐに着替えたがる
- 強く叱られると同じ失敗をしない
- 思い通りにいかないことがあっても我慢する
敏感タイプのお子さまは、繊細で人見知りが激しい傾向にあります。
新しい環境に適応できるまでにやや時間がかかりますが、それは周囲をじっくりと観察し理解しようとしているともいえます。
1-3.活発タイプ
活発タイプのお子さまには、このような特徴がみられます。
- 好奇心旺盛で、高いところから飛び下りたりするような危なっかしい遊びを好む
- 人見知りがなく、一人遊びよりも誰かと遊ぶことを好む
- 叱られてもいまいち響いていないような態度をみせる
- 周囲から「落ち着きがない」「テンションが高い」と言われやすい
元気いっぱいで、ときにはやんちゃな印象を受けるのが活発タイプの特徴です。
自立心が強い傾向にあり、その気持ちが新しいことや少し危険なこともやってみたいという好奇心旺盛につながります。
1-4.切り替えタイプ
切り替えタイプのお子さまには、このような特徴がみられます。
- 集中して遊んでいても、物音や声がすると中断して音の方を見る
- 飽きっぽく、気が逸れやすい
- 思い通りにいかず不機嫌になっても、代替案を提案されるとすぐにご機嫌になる
切り替えタイプのお子さまは、あれこれと気が逸れて集中力が続かないなど一見ネガティブな面ばかりに注目が集まりやすくなってしまいます。
しかし、「雨の日に外遊びがしたいとぐずるので家で一緒にゲームをしようと提案するとすぐに応じくれた」といったように、ポジティブな気持ちの切り替えが得意なのも特徴です。
1-5.規則タイプ
規則タイプのお子さまには、このような特徴がみられます。
- 睡眠、食事の時間など一日のルーティンが大体決まっている
- 食事中に遊ばず集中して食べることができる
- 眠くなる時間やぐずる時間帯など、おおよそ行動パターンが読める
規則タイプのお子さまは理由や理屈をもとに完璧な行動をとろうとする傾向にあります。
そのような傾向やきちんとした生活リズムが確立できていることは、大人の真似をしようとして頑張っている証拠でもあります。
小さな失敗に落ち込んでしまうこともあるため、保護者様が「大丈夫」と温かく伝えてあげられるとよいですね。
このように子どもには5つの気質タイプがありますが、どれか一つに断定することが難しい場合もあります。お子さまの気質が複数のタイプに当てはまったとしても、何もおかしなことではないので安心してくださいね。
いくつかのタイプに当てはまる場合は、それぞれの特徴を参考にしてみましょう。
環境の変化や成長に応じてお子さまの様子が変化することもありますので、「このタイプに違いない」と決めつけるのではなく、さまざまな可能性を念頭に置いて関わり方を模索していけるとよいでしょう。
2.【気質別】子どもとの遊び方
ここまで、子どもの気質についてご紹介してきました。ここからはある研究結果をもとにお子さまとの遊び方を気質別にご紹介します。
研究における調査対象者は、0~2歳のお子さまを育てる保護者ですのできっとお子さまに合った遊び方が見つかるはずです。
2-1.不機嫌タイプとの遊び方
不機嫌タイプの子どもは、五感を刺激するような遊び方や身体をしっかりと動かすような遊び方を好むとされています。
具体的には、このような遊び方がおすすめです。
・粘土やのりを使った工作
・砂場遊び、泥遊び
・トンネル遊びやジャングルジムなど体幹を必要とする遊び
粘土や砂などが身体に触れる感覚を楽しむ子どもが多く、手や指を動かす遊びに意欲的に取り組むことができます。
また、身体を目一杯動かすようなエネルギッシュな遊び方好む傾向にあります。夏の時期であれば、水遊びもおすすめです。
不機嫌タイプのお子さんと毎日過ごしていると、子どもの体力や機嫌に振り回されて疲れやストレスを感じたり、つい怒りすぎたと感じたりすることがあるのではないでしょうか。
しかし、子どもに合った遊び方を取り入れることで、「子どもと一緒に遊んで楽しませてあげられている」という状況を作り出すことができが、保護者様のストレス軽減に繋がるでしょう。
2-2.敏感タイプとの遊び方
敏感タイプの子どもは、室内で楽しめるような遊び方を好む傾向があります。一方で、上記の不機嫌タイプの子どもが好むようなアクティブな遊び方は苦手であるのが特徴です。
敏感タイプのお子さまには、具体的にこのような遊び方がおすすめです。
・人形遊び
・おままごと
・絵本の読み聞かせ
「おとなしい」「穏やか」と表現されることも多い敏感タイプのお子さまは、静かで刺激の少ない遊び方を好むと考えられています。
服や身体が汚れたり賑やかに遊んだりすることが苦手なため、公園での砂遊びや水遊びは嫌がることが多いでしょう。
適度に他者と関わることはもちろん大切ですが、お子さまが一人遊びをする際は、自宅など静かで落ち着ける環境を提案してあげられるとよいですね。
敏感タイプのお子さまは繊細で、遊びの中で積極的にアプローチされると委縮してしまうことがあります。おままごとなど、一人遊びに没頭しているようであれば、ときにはその様子を見守ることも大切です。
2-3.活発タイプとの遊び方
活発タイプのお子さまは、さまざまな人や物に興味を持つため、比較的どんな遊びでも好奇心を持って取り組むことができます。
その中でも特に、このような遊び方がおすすめです。
・抱っこしてジャンプをしたり高い高いをしたりといった、大人との身体を使った遊び
・大人とのごっこ遊び
・音楽に合わせて歌ったり踊ったりする
活発タイプのお子さまは、一人遊びよりも誰かと一緒に行う共同遊びが大好きです。
たとえば、おままごとなどの遊びも、一人ではなく「一緒にやろう」と保護者の方を誘う様子がみられます。お友だちが一緒になって遊んでくれたり、歌いながらおままごとをしたりといった活動的な遊び方を日頃から求める傾向にあります。
2-4.切り替えタイプとの遊び方
切り替えタイプのお子さまは、さまざまなことに興味関心を持ち好奇心旺盛であるため、多くの刺激が得られる遊び方を好みます。
具体的には、このような遊び方がおすすめです。
・大人との運動やスポーツ
・大人とのごっこ遊び
・歌ったり踊ったりする遊び
切り替えタイプのお子さまは、多くのことに関心を持ち興味が移り変わる傾向にあるため、一つの遊びを長く続けるよりもさまざまな遊びを通して刺激を得ようとします。
また、自分一人ではできない遊び方や刺激がほしいという思いから、大人と遊びたがることが多いのも特徴です。
2-5.規則タイプとの遊び方
規則タイプのお子さまは、自分の中でリズムやルーティンが確立されており、見通しの持てる環境に安心する傾向にあります。
そのため、このような遊び方がおすすめです。
・絵本遊び
・折り紙などの工作
絵本は、自分でパラパラと捲るのも大人に読み聞かせてもらうのも、どちらも好きなお子さまが多いようです。
「絵本を開くとこのような絵や展開が待っている」といったように、起こり得ることをある程度予測できることで安心感を持って楽しむことができます。
日常生活の中でも、前もって予定を伝えたり、時計が読めるお子さまであれば「〇分になったら~~しよう」と次の行動が予測できるような声かけをしてあげられると、安心して行動することができるようになるでしょう。
3.親子で負担にならない子どもとの遊び方を探そう
今回は、子どもの気質別に、その特徴や好む遊び方についてご紹介しました。
子どもの気質には今回ご紹介したように5つのタイプがあり、それに応じて興味を持ってくれる遊び方や満足感を得られる過ごし方も異なると考えられています。
しかし、お子さまの性格や個性は実にさまざまで十人十色といっても過言ではなく、きちんとわかりやすくいずれかのタイプに当てはまるとは限りません。
そのため、保護者の方が提案する遊びに上手くのってくれなかったり拒否することがあったりしても、何もおかしなことではないので安心してくださいね。
私自身、「子どもとの遊び方がわからない」「この遊び方で合っているのか不安」と感じる場面は何度も経験してきました。そのようなときは、地域の支援センターに出向いたり、同年代の子どもが集まる幼児教室に通ったりすることで遊びの幅が広がり、なんとなく不安が解消されたように思います。
このように、少しでもお子さまの性格や気質を理解しようとすること、それに合った遊び方を模索することが保護者の自信に繋がることがあります。
「自分はこの子を理解しようとしている、理解できている」という思いが、育児へのプレッシャーや負担を減らしてくれることもあります。
初めての子育てで分からないことも多くつい張り切ってしまうのですが、ときには肩の力を抜いて、お子さまとの時間を楽しんでみてくださいね。
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主な参考文献
・武井 祐子, 寺崎 正治, 門田 昌子(2007)幼児気質質問紙作成の試み パーソナリティ研究 16 巻 1 号 80-91
・門田 昌子, 寺崎 正治, 奥富 庸一, 武井 祐子, 竹内 いつ子(2016)子どもの気質と関連する遊びが養育者の遊びにおける対処可能感を介して育児不安,育児満足に及ぼす影響 パーソナリティ研究 25 巻 3 号 206-217
・子育てに活かせる心理テスト!性格診断「エゴグラム」うちの子はどんなタイプ?
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