「なんでも確認する子」から卒業!子どもの自信を育むための対応法【実例あり】
この記事を書いた人
猪狩はな
- 司書教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 保育士
2児ママ× 現役国語科教員×ライター!
持続可能に「好き」を楽しむ生き方をしたくて転職。
・国語科(専門は古典文学)
・私立中高一貫校講師、公立中学校フルタイム教員を経て私立高校講師として勤務
・3歳と5歳の男児を育児中
キャリアに悩む人の助けになれるような発信を目指しています。
「なぜ、なんでも確認してくるのだろう?」
「毎回確認されるのは、正直しんどい」
「自分で決める力が育たなかったらどうしよう」
子どもが何かにつけて「〇〇してもいい?」と確認してくる姿に、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、この「確認行動」には子どもなりの理由があります。
本記事では、子どもが確認を繰り返す背景や、その行動が持つメリット・デメリットを解説します。さらに、子どもの自信を育む具体的な対応方法や、筆者の体験談もまとめているので、確認行動に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
「確認」を「自信」に変える、子育てのヒントが見つかるはずです。
目次
1.子どもが「なんでも確認してくる」のはなぜ?
子どもが頻繁に確認行動を取る背景には、複雑な心理的・環境的要因が絡み合っています。
以下、主な要因について詳しく見ていきましょう。
1-1.不安、自信がない
子どもが確認行動をとる理由には、不安や自信のなさがあります。
■発達段階による不安
子どもは成長過程でさまざまな課題に直面します。子どもがまだ経験したことのない未知の状況に対する不安が、確認行動を引き起こす可能性があります。
■自己評価の低さ
自分の能力や判断に自信がない子どもは、大人の承認や指示を求めがちです。自己肯定感の低さが原因となっていることもあります。
1-2.失敗に対する恐れ
失敗に対する恐れは、子どもが確認行動を取る要因の1つです。生まれ持った性格やこれまでの経験が影響している場合があります。
■失敗体験のトラウマ
過去の失敗経験が子どもにとってショックなものだった場合、その記憶が確認行動を引き起こす原因になることがあります。
■完璧主義
「間違いをしたくない」「失敗したくない」という思いが強い子どもは自分の判断に不安を感じ、繰り返し確認する傾向があります。
■周囲の反応や評価を気にする性格
失敗したときに怒られたくないと感じ、間違いを避けるために念入りに確認する子どももいるでしょう。
1-3.家庭環境、親の接し方
家庭環境や親のリアクションも、子どもの確認行動に大きな影響を与えます。今までの子どもへの関わり方について、一度振り返ってみるのもいいかもしれません。
■過保護な環境
親が過度に子どもの行動に口出しする家庭では、子どもが自主性を発揮する機会が少なくなりがちです。その結果、常に親の指示を待つ習慣が身につきやすくなります。
■厳しすぎる環境
しつけが厳しすぎたり、期待が高すぎたりする場合は、子どもにプレッシャーを与えてしまうかもしれません。「ミスしてはいけない!」と失敗を恐れてしまう可能性があるでしょう。
■一貫性のない対応
親の態度や対応が一貫していない場合、子どもは何が正しいのか判断できず、常に確認を求めるようになることがあります。
1-4.過去の経験
子どもの過去の経験も、確認行動の要因となる場合があります。
■否定的なフィードバック
以前の行動や判断に対し、厳しく怒られたり、否定的な反応を受けたりした経験がある場合、確認行動を取ることがあります。
■承認欲求
「確認するたびに褒めてもらえた」「親からプラスのフィードバックをもらえた」経験があった場合にも、確認行動を習慣化させることがあります。
■学習性無力感
失敗や挫折の経験を繰り返した結果、「自分では正しい判断ができない」という無力感を学習してしまうことがあります。
■不安定な生活環境
引っ越しや家族構成の変化など、生活環境が不安定だった経験も子どもの不安を高め、確認行動につながることがあります。
2.「なんでも確認する」ことのメリットとデメリットは?
子どもの確認行動に、困惑したり疲れを感じたりする方も多いでしょう。
実はこの行動には、良い面と注意すべき面の両方があります。確認行動を単に「悪いこと」と捉えるのではなく、その背景にある子どもの思いや発達段階を理解することが大切です。
ここでは、「なんでも確認する」ことのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。これらを理解することで、子どもへの適切な対応方法が見えてくるはずです。
2-1.「なんでも確認する」ことのメリット
子どもが慎重になにかに取り組もうとしている証拠と捉えることができるでしょう。
細かいところまで気を配り、自分の行動に責任を持とうとしていると考えられます。
また、確認をするということは、そのたびに大人とコミュニケーションを取る必要があるということです。質問する力はもちろん、自分の思いを表現する力が伸びていると言えるでしょう。
2-2.「なんでも確認する」ことのデメリット
一方で、注意が必要な面もあります。常に確認を求めることで、自分で判断する機会が減り、自立心や自信が育ちにくくなる可能性があるでしょう。
「自分でできる」という気持ちを持ちにくくなり、何事も人に頼ろうとする習慣がついてしまうかもしれません。さらに、自分で決断したり問題を解決したりする経験が不足すると、将来的に決断力や問題解決能力の発達に影響を与える可能性があります。
<大切なのはバランスを取ること>
大切なのは「子どもの年齢や状況に応じてバランスの取れた対応をすること」です。
少しずつ自分で判断する機会を増やし、たとえ失敗しても大丈夫だと感じられる環境を作っていきましょう。そうすることで、子どもは少しずつ自信を持ち、自立心を育んでいけます。
確認行動そのものを否定するのではなく、子どもの成長段階に合わせて適切にサポートしていけるといいですね。
3.「なんでも確認してくる子」への対応方法
子どもが「なんでも確認してくる」行動は、親にとって悩ましい問題かもしれません。しかし、適切な対応を取ることが、子どもの成長を促す重要な鍵にもなります。
ここでは、子どもの自信と自立心を育むための対応方法を紹介します。基本的な姿勢から具体的な声かけ例、さらには自信を育む活動まで、段階的に確認していきましょう。
3-1.基本的な対応
「なんでも確認してくる子」への対応の基本は、子どもの気持ちに寄り添い、焦らずに見守ることです。一朝一夕に改善するものではありませんが、以下の3つの基本姿勢を心がけることで、子どもの自立心を育むことができます。
①子どもの気持ちを受け止める
子どもが「なんでも確認してくる」背景には、不安や心配があります。この気持ちをまずは受け止めることが大切です。「そうだったんだね」「そう感じたんだね」と、子どもの気持ちを言葉で認めます。表情やしぐさにも注目し、言葉にできない気持ちも汲み取れるとなおよいでしょう。
気持ちを受け止めてもらえると、子どもは安心し、自分の思いを素直に表現できるようになります。子どもの気持ちと丁寧に向き合うことで、親子の信頼関係が深まり、子どもは自信を持ちやすくなります。
②焦らず、粘り強く対応する
確認行動をすぐに止めさせようとするのではなく、ゆっくりと時間をかけて対応することが大切です。
子どもの話にじっくり耳を傾け、焦らず粘り強く対応しましょう。急かすと子どもはますます不安になり、確認行動が増える可能性があります。子どもの小さな成長を見逃さず、「前よりも自分で決められるようになったね」と具体的に伝えるのがポイントです。
時には後戻りしてしまうかもしれませんが、焦らず対応を続けてみてください。ゆっくりと成長を見守ることで、子どもは自分のペースで自信をつけていけます。
③一貫した対応をする
家族や周囲の大人が、同じ方針で子どもに接することが重要です。まずは家族で話し合い、対応の仕方を決めてみてください。
例えば「まず子どもの意見を聞いてから、アドバイスする」などのルールを決め、ぶれない態度で接します。周囲の大人が一貫した対応をすることで、子どもはどう行動すればいいのか見通しを立てやすくなります。
3-2.具体的な声かけ例
子どもの自信を育むには、日々の声かけが重要です。適切な言葉かけをすることで、子どもの自己決定力を高め、挑戦する勇気が持てるでしょう。
以下、確認行動を減らすための具体的な声かけ例を4つのポイントにわけてご紹介します。
①自己決定を促す言葉かけを心がける
自己決定の機会を増やすことで、子どもは自分で考え、判断する力を育てていきます。最初のうちは、選びやすい選択肢を提示して決めてもらうところからスタートしましょう。慣れてきたら、理由もあわせて確認してみてください。
<例>
- 「どうしたい?」「どっちがいいと思う?」
- 「AとBのどちらにする?理由も教えてね」
- 「自分で決めたことだから、最後までがんばろうね」
②褒め方に気をつける
子どもに合った褒め方ができると、子どもの自信が育ちやすくなり、新しいことにも挑戦しやすくなるでしょう。そのために、結果だけでなく、プロセスや努力を褒める習慣をつけてみてください。具体的になにが良かったのかを伝えるのも効果的です。
<例>
- 「よく考えて決められたね」
- 「難しかったけど、最後までがんばったね」
- 「一生懸命考えたから、ステキな作品ができたね」
③小さな決定から始める
日常生活の中で、小さな決定の機会を作ります。スモールステップで成功体験を積み重ねることで、自信をつけていくことができるでしょう。年齢や能力に応じて、少しずつ決定の範囲を広げてみてください。決定後は、決定内容や結果を否定せず、素直に受け入れてあげてくださいね。
<例>
- 「今日の服、自分で選んでみる?」
- 「おやつは何にする?この中から選んでね」
- 「休日の予定、一緒に考えてみよう」
④失敗を恐れない環境づくりをする
失敗を恐れずに挑戦できる環境があることで、子どもは自信を持って行動できるようになります。挑戦すること自体を評価し、「失敗も成長の機会」と伝えましょう。また、失敗したあとのフォローも大切です。前向きに、次につなげられるよう声かけできるといいですね。
<例>
- 「失敗しても大丈夫。そこから学べるよ」
- 「うまくいかなかったね。でも、挑戦したことがすごいよ」
- 「次はどうすればいいか、一緒に考えてみよう」
3-3.自信を育むための活動
では、具体的にはどのような活動を取り入れるといいのでしょうか?大切なのは、子どものペースを尊重し、焦らずに見守ることです。ここで紹介する2つの視点を参考に、子どもの個性に合わせた活動を取り入れてみてください。
①得意分野を伸ばす
得意なことで成功体験を積むことで、子どもは他の面でも自信をもつことができます。具体的な方法としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
1) 得意分野を見つける
- 子どもの興味や熱中することがなにか観察する
- さまざまな活動を試し、反応を見る
- 子どもに「何が楽しい?」と聞いてみる
2) 得意分野を伸ばす機会をつくる
- 得意分野に関連する習い事や教室に通わせる
- 家庭でも練習する機会を作る
- 得意分野に関連する本や道具を用意する
3) 成功体験を積み重ねる
- 小さな目標を設定し、達成したら一緒に喜ぶ
- 成功したら具体的に褒める
- 成果を家族で共有し、認め合う
<例:絵を描くのが得意な子の場合>
- 絵画教室に通う
- 家族の誕生日カードを描いてもらう
- 作品を飾り、みんなで鑑賞する
②挑戦の機会を作る
新しいことに挑戦する過程は、子どもの自信と問題解決能力を育ててくれます。具体的な方法としては以下のようなものが考えられます。
1) 子どもの能力や興味に合わせた挑戦を選ぶ
- 少し難しいけれど、努力すればできそうなことを選ぶ
- 子どもの興味を考慮し、モチベーションが保てるものを選ぶ
- 年齢や発達段階に適した挑戦を考える
2)少しずつ難易度を上げる
- 簡単なことから始め、だんだん難しくする
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 子どもの反応を見つつ、その子に合ったペースで進める
3) 挑戦をサポートする
- 必要な道具や環境を整える
- 困ったときにはアドバイスする
- 一緒に取り組み、励ましながら見守る
4) 挑戦の過程を大切にする
- 結果だけでなく、がんばる姿勢を褒める
- 失敗しても、そこから学んだことを振り返る
- 挑戦したこと自体を褒める
<例: 料理に挑戦する場合>
- サンドイッチ作りなど、簡単なメニューから始める
- だんだんとホットケーキ、カレーなど難易度を上げる
- 包丁の使い方など、安全面でサポートする
- 家族で一緒に食べ、感想を伝え合う
4.【体験談】すぐ確認してくる我が子への対応法
我が家では、現在5歳・3歳の男の子を育児中です。特に次男は「〇〇してもいい?」と確認するタイミングが多いため、なるべく自分で決める場面を作ったり、声かけを工夫したりと、さまざまな角度から取り組んでいます。
ここでは、筆者が日々意識している対応方法をご紹介します。
4-1.「あなたはどう思う?」「どうしたい?」と聞く
我が家では「本当に親に確認するべきことなのか」「自分で判断してみては?」と本人たちに問いかけるパターンが多いです。息子たちを見ていると、なにを確認すべきか、なにを確認しなくてもいいかの判断が難しいのかな、と思う場面が多いためです。
例えば、保育園では「トイレに行く前には必ず先生に確認を取る」というルールがあります。そのため、兄弟2人とも家でも「トイレ行ってもいい?」と親に確認してからトイレに行く習慣がついていました。しかし、自宅のトイレは危険もない上、2人とも親の介助なしで問題なく使用できます。
そこで、私から長男に「家ではトイレの許可はいらないと思うんだけど、どうする?」と聞いたんです。そうしたら長男は「じゃあ『トイレ行ってくる!』って報告するのでいいかな」と提案してくれました。次男も兄にならって「トイレ行ってきます」とだけ言うようになり、今では自主的にトイレに行って帰ってきます。
このように、「そもそもその許可は必要?」「なぜ必要だと思う?」という点を一緒に考えるのも、選択肢の一つだと感じました。逆に「それは大人に確認してからやってほしい」ということについては、都度話をするようにしています。
4-2.注意の仕方に気をつける
3歳の次男は、一度注意されたことを覚えていて、次回以降は確認してくるタイプの子です。
以前、次男が小皿の醤油を飲もうとしたことがありました。びっくりして急いで止めたところ、ショックを受けてしまい号泣してしまったのです。それ以来、麺類のスープも含めて液体を飲む前には必ず「これ、飲んでもいい?」と確認するようになりました。この出来事があって以来、次男になにか指摘するときはなるべく穏やかに、ショックを受けないような言い方を心がけています。
「これ、飲んでもいい?」の確認は今もまだ続いていますが、のんびり付き合っていこうと思っています。
4-3.注意するよりも、うまく気を逸らす
「自分で予定を決めて、それを守る」という場面を意識して作るようにしています。休日の予定、ご飯のメニュー、保育園で使うグッズ選びなど、本人に関わることはなるべく一声かけて選ばせます。
朝の身支度や帰宅後の予定などについても、ホワイトボードとマグネットを使って本人に決めてもらうことが多いです。
「自分で決めたことなのだから、最後までがんばろう!」と声をかけ、予定通りにできたら褒めます。
「決める練習」を通して自己肯定感を高めるだけでなく、見通しを立てて行動する練習にもなっていると感じます。
5.「確認」を「自信」に変えて、子どもの成長をサポートしよう
子どもの「確認行動」は、不安や自信のなさ、失敗への恐れなど、さまざまな要因が絡み合って生まれます。
大切なのは、子どもの気持ちを受け止めつつ、自己決定の機会を少しずつ増やしていくことです。得意分野を伸ばすなど、自信を育む活動を取り入れることで、子どもはだんだんと自立心と自信を身につけていきます。
焦らず、子どものペースに合わせたサポートを心がけましょう。
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