【小学校低学年】給食を食べるのが遅い原因は?家庭でできる対処法や注意点を解説
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
小学校生活で給食を楽しみにしている子どもがいる一方で、食べるのが遅いことが原因で、給食の時間が苦痛になってしまう子どもも多いでしょう。
食べるのが遅い理由は、給食時間の短さや量の多さ・プレッシャーなどさまざまです。理由に応じた対処をすれば、子どもが時間内に給食を食べ終える可能性が高まりますよ。
この記事では、給食を食べるのが遅い子どもの原因や対処法について解説します。
家庭でできるサポート方法も紹介しますので、子どもの学校生活をより楽しいものにするヒントとして参考にしてくださいね。
目次
1.給食を食べるのが遅い理由
給食を食べるのが遅い理由は、子どもによって異なります。
ここでは主な原因として考えられる9つの項目を紹介します。
1-1.給食の時間が短い
多くの小学校では、給食の時間は約40分前後と決められています。この短い時間内に、配膳から片付けまで行わなければなりません。
つまり、実際に給食を食べる時間はさらに短く、約15分前後しか確保できないことになります。
子どもによっては、この限られた時間内に食事を終えることが難しい場合があります。特に、ゆっくり食べる習慣がある子どもにとっては、給食の時間が足りないと感じることもあるでしょう。
1-2.給食の量が多い
給食の量は、栄養バランスを考慮して決められています。しかし、子どもによっては配膳された量が多すぎると感じることがあります。小食の子どもにとっては、給食の量が負担になってしまうこともあるでしょう。
子どもが自分の食べる量を把握できていない場合も、結果として配膳される給食の量が多くなってしまうことも考えられます。
1-3.「食べなければ」というプレッシャーを感じている
学校給食は教育活動の一環として位置付けられており、「残さず食べる」「時間内に食べる」などのルールが定められていることもあります。そのため、子どもによっては「食べなければならない」というプレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。
プレッシャーを感じてしまうと、リラックスして食事できず、食べるペースが遅くなってしまうことがあります。
1-4.時間を意識していない
家庭では食事の終了時間を決めず、子どもが自分のペースで食事をし、食べ終わるのを待ってあげていることも多いでしょう。
子どもの気持ちを尊重して、家族で食事を楽しむのはとても素敵なことです。しかし一方で、子どもは「どの程度のペースで食べれば時間内に食べ終わるのか」という意識をもたなくなる可能性もあります。
1-5.食事に集中できない
給食の時間は、お友だちと話をしたり、楽しく過ごしたりする大切な時間です。しかし、おしゃべりや他のことに夢中になりすぎて、食事に集中できなくなることがあります。
また、教室内の騒がしさや、周りの様子が気になり、食事に集中できない子どももいるでしょう。食事に意識が向かないと、自然と食べるペースが遅くなってしまいます。
1-6.嫌いな食べ物がある
給食にはさまざまな食材が使われているため、子どもの嫌いな食べ物が出てくることもあるでしょう。
嫌いな食べ物が出てくると、食べるのをためらってしまい、食事のペースが遅くなることがあります。さらに、嫌いな食べ物があることで、給食そのものに対する意欲が低下してしまう可能性もあります。
1-7.お箸が上手に使えない
小学校に入学したばかりの頃は、まだお箸の使い方に慣れていない子どもも多いでしょう。
お箸が上手に使えない場合、うまく食べ物をつかめなかったり、口に運ぶのに時間がかかったりして、食事のペースが遅くなる可能性があります。
1-8.口の中のコンディションが悪い
歯の生え変わりの時期や、虫歯がある場合など、口の中のコンディションが悪いと、食べるのが遅くなることがあります。
痛みや違和感があると、噛むのに時間がかかったり、食べることに抵抗を感じてしまったりするからです。
1-9.悩みごとがある
友だち関係のトラブルや、学習面での不安、家庭での出来事など、心配ごとや不安があると、食欲が落ちたり、食事に集中できなくなったりすることがあります。
食べるペースに限らず、子どもの様子がいつもと違う場合は、悩みを抱えている可能性を考えてみましょう。
2.給食を食べるのが遅い子どもへの対処法
ここからは、食べるのが遅くなる原因に応じた対処法を紹介していきます。
2-1.給食の量を減らしてもらう
食事の量は個人差が大きいため、標準的な給食の量が子どもにとって多すぎる場合があります。このような場合は、学校に連絡して給食の量を調整してもらいましょう。
まず、家庭で食事を取る際に、子どもと一緒に食べきれる量を確認してください。その上で担任の先生や栄養士の先生に子どもの状況を説明し、給食の量を減らすことができないか相談してみましょう。
子どもが自分で伝えられる場合は、「給食係さんに『少なめにして』とお願いすればいいんだよ」と教えてあげてもいいですね。
給食の量が減ることで、時間内に食べ終えるのが楽になりますよ。さらに、子どもの心理的な負担が軽減され、食べるペースが上がる可能性があります。
2-2.残してもいいことを伝える
「残さず食べる」ことへのプレッシャーが、子どもの食事ペースを遅くしている可能性がある場合は、残してもよいことを伝え、心理的な負担を軽減することが大切です。体調や食欲に応じて、食べられる量だけ食べればよいことを教えましょう。
また、子どもが食事を残してしまったことを気に病んでいる時は、「無理して食べる必要はないんだよ」とフォローしてあげてください。ただし、むやみに残すことを推奨するのではなく、調理師さんが一生懸命作ってくれたことや、食べることの大切さなども伝えてあげると良いですね。
「どうしたら残さないようにできるかな」と一緒に解決方法を考えるのもおすすめです。
2-3.食べる時間を意識させる
子どもが食事のペース配分をつかめず、給食を食べるのが遅い場合は、食べる時間を意識するよう促しましょう。
例えば、給食の時間を前半と後半に分け、時計を見ながら前半で半分・後半で半分食べるなどの目安を教えてあげてください。
家庭でも、時計を見ながら食事する習慣をつけることで、食べる時間を意識できるようになりますよ。ただし、過度にプレッシャーを与えないよう、楽しく食事ができる雰囲気も大切にしてあげてくださいね。
2-4.ながら食べをやめる
テレビやスマホを見ながら食事する「ながら食べ」をすると、食事に集中できず、食べるのが遅くなってしまいます。
テレビを消して食事する時間を作る・親も食事中にスマホを見ないなど、食事に集中する習慣をつけてあげましょう。
子どもと向き合って食事することで、子どもの食事のペースや食べる量も把握できますよ。
2-5.嫌いな食べ物に親しむ
嫌いな食べ物があることで、食事ペースが遅くなることがあります。そのため、少しずつ嫌いな食べ物に慣れる工夫をしてみましょう。
調理方法や味付け・見た目を変えて食卓に出したり、子どもと一緒に苦手な食材を使って料理したりして、子どもが嫌いな食べ物に親しむきっかけを作ってあげてください。
嫌いな食べ物の栄養や効能を説明し、なぜ食べなければいけないのか理由を話してあげるのもいいですね。ただし無理強いはせず、子どものペースを尊重しながら、長期的な視点で取り組むことが重要です。
2-6.お箸を使う練習をする
お箸を使うのが苦手で食べるのに時間がかかる場合は、家庭でお箸の使い方を練習させてあげましょう。
豆やビーズなどを使ってつまむ練習をしたり、実際の食事でお箸の持ち方や使い方を教えてあげたりするといいですね。
噛む時間が長い・一度に口の中に入れる量が少ないなど、食べ方に癖があって食べるのが遅い場合も、家庭で練習することで改善できますよ。
練習で成果が出た場合はもちろん、練習に取り組んでいる時にも「がんばってるね」「上手になってきたね」と褒めてあげてください。褒められた子どもは自信をつけ、「次もがんばろう」とチャレンジ精神を育てていきますよ。
「お箸の練習方法」については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
・お箸は何歳から?子どもの発達に応じた見極めと練習方法を保育士が紹介
2-7.悩みを抱えてないか聞いてみる
子どもが悩みを抱えているときも、食事が進まない場合があります。子どもが悩みを抱えていないか注意深く見守り、適切なタイミングで「何かあったの?」と聞いてみましょう。
子どもが話しやすいように「ママ、今日こんなことがあったんだよ!」と自分の話をしてから「○○君は最近嫌なことあった?」と聞いてみてもいいですね。
子どもが悩みを話してくれた時は、アドバイスをする前に、まずは共感してあげてください。親に共感してもらうことで、子どもは「ママは分かってくれてる」と安心し、親に対する信頼感も高まりますよ。
2-8.先生と連携を取る
給食の問題は、担任の先生や栄養士の先生と連携を取り、情報を共有することも大切です。特に、口の中のコンディションが悪いなど個別の事情がある場合は、事前に連絡することでスムーズに解決することが多いでしょう。
先生と連絡を取ることで「実は給食を食べきれなかったのは1回しかない」など、子どもの話とは異なるエピソードを教えてもらえることがあるかもしれませんよ。
3.給食を食べるのが遅い子どもに対応する際の注意点
給食を食べるのが遅い子どもに対応する際には、2つの注意点があります。
3-1.無理やり食べさせない
給食を食べるのが遅いからといって、無理やり早く食べさせようとしないでください。
強制的に食べさせることで、子どもがストレスを感じ、食事の時間が苦痛になってしまう恐れがあります。
子どものペースを尊重しながら、少しずつ食べる量や速度を改善していく方法を考えましょう。
3-2.子どもが先生に怒られても冷静に対処する
給食を食べるのが遅いことで、子どもが先生に怒られることがあるかもしれません。
子どもが理不尽な目にあっていると、つい感情的になってしまうのはよく分かります。しかし、そのようなときでも冷静に対処するように心掛けましょう。感情的に動くとトラブルが生じるリスクがあります。
まず、子どもの話をよく聞き、状況を正確に把握します。その際に子どもの気持ちを受け止め、共感することで、子どもを安心させてあげましょう。
子どもから話を聞いた上で学校に連絡する必要があると判断した場合も、相手を攻撃するようなスタンスではなく、「相談がある」という姿勢で臨みましょう。
4.給食を食べるのが遅い原因を見つけて、親子で一緒に解決しよう
給食を食べるのが遅い理由はさまざまです。その理由を親子で一緒に考え、原因に応じた対処法を見つけていきましょう。
クラスの雰囲気や子どもの成長によっても状況は変化します。心配しすぎず、給食の時間が子どもにとって楽しいものになるよう、親子で工夫してみてくださいね。
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