子どもが安全にお留守番をするには?リスクと対策を紹介【チェックリスト付き】
この記事を書いた人
白山七衣
- 心理カウンセラー
- 幼児教室講師
メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。
幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。
現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。
お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。
休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!
小学校に上がったらお留守番をさせる家庭が多いと聞いている方もいらっしゃるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。
また、初めてお留守番をさせるのは、いつ頃が適切なのでしょうか。
今回は、初めてお留守番をさせる年齢や時間・頻度に関する調査結果とともに、お留守番のリスクや安全対策について詳しくご紹介します。
子どもが安全にお留守番をするためのチェックリストも用意しましたので、ぜひご活用ください。
目次
1.初めてのお留守番はいつから?
初めてのお留守番はいつから始めるのが適切なのでしょうか。
ここでは、ベネッセの調査結果をもとに、お留守番の年齢・時間・頻度と、筆者が聞いた先輩ママたちの経験談をご紹介します。
1-1.お留守番の年齢・時間・頻度
【年齢】
ベネッセの調査によると、初めてお留守番をする年齢で一番多かったのが小学校1年生の21.9%でした。
年長では11.3%、小学校2年生では14.0%となっており、小学校に入ることをきっかけにお留守番を始める子が多いことがわかります。
筆者はその理由として、「幼児期のように長時間保育に預けられなくなったから」「小学校に入って、一人で身の回りのことができるようになってきたから」などの意見を耳にします。
また、「急にお留守番することがあるかもしれないから、小学校に入ったので経験させた」という声もありました。
【時間】
お留守番の時間は、1時間以上2時間未満が34.2%で最も多く、次いで1時間未満が29.4%でした。お留守番は2時間未満という家庭が多いようです。
【頻度】
ベネッセの調査では、お留守番の頻度は次のような結果が出ています。
- 月に1回以上:38.9%
- 週に1回以上:33.1%
- 年に1回以上:28.0%
子どもにお留守番をさせる理由は、仕事や買い物の他、きょうだいの送迎といった日常的な用事、PTAの集まりや法事など、時々お留守番が必要になる場合などさまざまです。理由によってお留守番の頻度も異なります。
1-2.先輩ママたちの経験談
先輩ママたちも初めてのお留守番でいろいろな経験をしています。
以下は筆者が実際に聞いたお話の一例です。初めてお留守番を任せる前に、ぜひ参考にしてみてください。
■きょうだいでのお留守番
きょうだいでお留守番させていたとき、帰ってきたら弟が大泣きしていて、おもちゃがあちこちに散らばり、壊れていたものもありました。怪我がなかったので良かったけれど、きょうだい一緒にお留守番をさせるのは難しいと感じました。
■おやつの用意
お留守番をお願いして帰ってきたら、冷蔵庫は開けっ放しで、ジュースがこぼれ、食べものが散乱していました。今後は、お留守番中に飲み物やおやつなどを用意して出かけた方が良いと思いました。
■電話の対応
「知らない人から電話がかかってきたよ」と子どもが言うので、「なんと答えたの?」と聞いたら「今、ママも誰もいません」と言ったとのこと。間違ってはいないけれど、もしかしたら空き巣など悪意のある人からの電話かもしれないと思うと怖くなりました。
2.お留守番のときのリスク
初めてのお留守番を任せるときには、親はさまざまな不安を感じることでしょう。
留守中にはどんなリスクがあるのか、あらかじめ考えておくことで子どもに対応の仕方を教えたり、親が対策をしたりすることができます。
ここでは、お留守番をする時に考えられるリスクについてお伝えします。
2-1.災害
地震や近隣の火事など、お留守番中に突然の災害に遭う可能性もあります。
可能性としては低いですが、万一災害が起きた場合には子どもだけでは対応が難しいことがあります。
2-2.事故
1人でお留守番中に、室内で事故が起きることもあります。特に、火・水・転落・誤飲の事故に注意が必要です。
■火の事故
お留守番中にキッチンのガスを使って火事ややけどなど火の事故につながることがあります。
■水の事故
特に夏場は暑くて水を触りたくなるので、水の事故に注意が必要です。お風呂場の残り湯で溺死事故も起きています。
■転落事故
窓やベランダからの転落事故が起きることがあります。
子どもが足場となるものの上に登って墜落したり、寄り掛かった網戸が外れて転落する場合もあります。
特に2階からの転落事故が多く、高層マンションだけでなく、低層住宅や一戸建てでも注意が必要です。
■誤飲
小学生の場合、おもちゃなどの誤飲の可能性は低いですが、用意したおやつや食事が誤飲につながることもあるので、注意が必要です。
その他、棚の上からものが落ちてきたり、かくれんぼで洗濯機に隠れて閉じ込められたりする事故も起きています。
2-3.病気
お留守番をしているときに、熱中症など急な体調不良が起きる場合もあります。
お留守番中は鍵をかけ、部屋を閉め切っているので、室内の温度が上がって体調を崩してしまう可能性があります。
2-4.不審者
昼間ひと気がないと、空き巣など不審者が侵入する場合があります。
学校や学童から帰ってきてそのままお留守番になる場合は特に注意が必要です。子どもが一人だとわかると不審者に狙われる可能性が高くなります。
3.安全にお留守番をするための具体的対策【チェックリスト付き】
安全にお留守番をするためには、具体的にどんな対策をしておけばよいのでしょうか。
ここでは、チェックリストの形でまとめました。
【災害対策】
□ 避難場所や集合場所を親子で決めておく
□ 緊急時の連絡先を教えておく
【事故防止対策】
□ 火は使えないようにしておく
□ お風呂の水は抜く
□ 洗濯機はロックする
□ ベランダは施錠し、出ないようにする
□ 危険なものは子どもの手が届かないところに片付ける
□ 物が倒れたり、落下したりしないように部屋を片付ける
□ お友達を家に呼ばない
【病気対策】
□ 部屋の温度を調整しておく
□ 飲料と軽めの食料を用意しておく
【不審者対策】
□ 確実に施錠する
□ 親以外の電話は出ない
□ インターホーンが鳴ってもドアを開けない
□ お留守番中に外出しない
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
3-1.災害対策
■避難場所や集合場所を親子で決めておく
家族全員が知っている避難場所や集合場所をあらかじめ決めておくことで、緊急時に慌てずに行動することができます。
具体的な避難経路も確認しておくと良いでしょう。
■緊急時の連絡先を教えておく
緊急時に連絡が取れるよう、親の携帯電話番号や近所の信頼できる人の連絡先を教えておきましょう。
電話番号は子どもがすぐに確認できる場所に貼っておくとよいですね。
3-2.事故防止対策
■火は使えないようにしておく
キッチンのガスコンロやライターなどの火器は使えないようにしておきましょう。
ベネッセの調査では「一切キッチンには近寄らせないようにしている」が64.2%にも上っています。火を使わなくても良いように、飲み物やおやつ、食事などお留守番の時間帯に合わせて用意しておくとよいですね。
電子レンジだけは使い方を教えて、使って良いことにしている家庭もあるようです。
■お風呂の水は抜く
お風呂場の残り湯は溺死のリスクを減らすために必ず抜いておきましょう。
お留守番中には水遊びをしないなどのルールを決めておくことも大切です。
■洗濯機はロックする
洗濯機に隠れて遊んでしまうことがないよう、ロックをかけておきます。子どもが簡単に開けられないようにしておきましょう。
■ベランダは施錠し、出ないようにする
窓やベランダの扉はしっかり施錠し、お留守番中は出ないようにします。
東京都消防庁の記録によると、令和元年~5年の5歳以下の子どもの転落事故では、8割が窓からの墜落になっています。
窓やベランダには子どもの足場となるようなものを置かないようにし、お留守番中は窓やベランダの扉を開けないよう教えましょう。
■危険なものは子どもの手が届かないところに片付ける
家庭内の危険なものや子どもに触ってほしくないもの(ライターやナイフ、薬品や工具など)は、子どもの手が届かない場所に片付けておきましょう。
■物が倒れたり、落下したりしないように部屋を片付ける
部屋の中を整理整頓し、大きな家具が倒れたり、棚のうえからものが落下したりしないようにしましょう。
■お友達を家に呼ばない
お留守番中にお友達を家に呼ぶことは禁止しましょう。複数人が集まると予期せぬ事故が起こる可能性が高くなるためです。
3-3.病気対策
■部屋の温度を調整しておく
エアコンやヒーターを使って、部屋の温度を適切に調整しておきましょう。特に夏場や冬場は温度管理が重要です。
小学校低学年では、洋服の脱ぎ着に慣れていない子もいるため、体温調節が難しい場合があります。体調を崩さないように、あらかじめ室温を調整しておくと良いでしょう。
■飲料と軽めの食料を用意しておく
お留守番中に子どもが水分補給や軽食を取れるように、飲料や軽めの食料を用意しておきましょう。熱中症対策にも有効です。
3-4.不審者対策
■確実に施錠する
家を出る前にドアや窓の施錠を確認し、確実にロックしておきましょう。
■親以外の電話は出ない
お留守番中は親以外の電話には出ないように教えましょう。
固定電話がある場合は、電話のディスプレイに親の電話番号が表示されるように設定しておくと安心です。
■インターホーンが鳴ってもドアを開けない
インターホーンが鳴ってもドアを開けないように教えましょう。インターホンのスイッチを切っておくのも一つの方法です。
■お留守番中に外出しない
お留守番中は絶対に外出しないように教えます。家の中で安全に過ごすことを徹底しましょう。
お留守番の間、安全に過ごせるように、初めてのお留守番をする前に家族で話し合って、家庭内のルールを決めておくことが大切です。
上記のチェックリストを参考に、具体的なルール作りをしてみてください。
子どもからアイデアが出たときは、積極的に取り入れましょう。
自分のことという自覚を持って、主体的に取り組めるようにしていけると良いですね。
4.安全にお留守番をするために親が気をつけたい事
ここでは、安全にお留守番をするために親が気をつけたい事をお伝えします。
4-1.子どもの性格や成熟度をよく観察する
子どもの性格や成熟度には個人差があります。
一人で過ごすことが平気な子もいれば、一人でいることに不安や怖さを感じる子もいます。
小学校に入ったからといって、すぐにお留守番をさせるのではなく、子どもの様子をよく観察し、適切な時期を見極めましょう。
4-2.きょうだいでお留守番させる場合の注意点
幼い弟妹と一緒にお留守番させる場合は特に注意が必要です。上の子がうまく対応できない場合、思いがけない事故につながることがあります。
体調がよくない場合や、けんかが多い場合は、無理にお留守番をさせないようにしましょう。
普段からけんかが多いと感じる場合は、下の子は親と一緒に連れて行くなど、上の子だけでお留守番をお願いする方が良いでしょう。
4-3.急なお留守番・夜間のお留守番の注意点
急なお留守番では、十分な対策や準備ができない場合があります。
お留守番をしたことがない子に、急なお留守番を任せるのは避けましょう。
お留守番を始める前には、必ず家族で話し合って、お留守番がどんなものかイメージしたり、ルールを決めたりしておきましょう。
また、夜間のお留守番は、昼間よりもリスクが上がる可能性があります。
暗い夜に一人でお留守番をするのは、子どもも不安な気持ちが大きくなります。
夜間のお留守番はなるべく避けたいものですが、どうしても必要な場合は、なるべく時間を短くする、近所や身内に知らせてサポートをお願いするなどの対策をしておくとよいでしょう。
4-4.短い時間からお留守番の練習をする
子どもにとって初めてのお留守番は、親も心配ですよね。まずは、短時間のお留守番から始めてみましょう。
ちょっとした用事やお買い物があるとき、短時間のお留守番をさせて練習してみましょう。
お留守番ができたら、何か困ったことや判断に迷ったことはなかったかを話し合い、確認しておくとよいですね。
1~2時間のお留守番ができるようになったら、お留守番中に親に電話をかける練習や、親からの電話に出る練習もしておきましょう。万一の災害や緊急事態に対応するための予行演習にもなります。
テレビやビデオを利用する場合は、お留守番時間が予定よりも長引かないように注意しましょう。
子どもが意図しない番組を見ることになったり、機器の扱いがわからず壊してしまったりする可能性もあります。
また、スマホで有料サイトにアクセスしたり、ゲームで知らないうちに課金して大変なことになったりするなどのトラブルもあるようです。
小学校1~2年生くらいのお留守番では、おもちゃや本を用意して、子どもが楽しんで過ごせる環境を整えてあげる方がよいでしょう。
5.お留守番の頻度・時間を減らせるサポート
安全面から、なるべくお留守番はさせたくないと考えている方も多いのではないでしょうか。
でも、どうしてもお留守番が必要な場合、できるだけその頻度や時間を少なくしたいものですね。
ここでは、お留守番の頻度・時間を減らせるサポートについてお伝えします。
5-1.身内や近所、友人の手を借りる
近くに住んでいる身内や信頼のおける友人は、心強い味方です。子どもが一人でお留守番をする時にはひと声かけておきましょう。
預かってもらったり、留守中の近所の様子を見てもらったりすることもできるでしょう。大人の見守りの目があると安心できます。
普段から信頼のおける人とのつながりを大切にして、いざというときにお互いに助け合えるといいですね。
5-2.ベビーシッターなどの有料サービスを利用する
ベビーシッターやキッズシッターは、身の回りのお世話や送迎をはじめ、絵本の読み聞かせ、宿題のサポートなども行ってくれる民間の有料サービスです。
その他、自治体によっては、子育て支援事業の一環として、サポーターに一時預かりなどを頼める場合もあります。
お住いの自治体のウェブサイトなどで情報を調べ、利用できるサービスについて確認してみましょう。
5-3.ホームセキュリティサービスを利用する
ホームセキュリティーサービスは、防犯や火災などの異常にすぐに対応してくれます。
自宅の映像をスマホで確認できるサービスや、不審者の侵入、子どもの体調不良、事故などの緊急事態発生時にガードマンの駆けつけを要請するサービスもあります。
一人で長時間お留守番をする家庭では、検討してみるのもいいのではないでしょうか。
6.安全なお留守番で子どもの成長につなげよう
今回は、初めてのお留守番に関する調査結果やリスク・対策についてご紹介しました。
無事にお留守番ができたという経験は、子どもの自信になり成長につながります。
事前に情報を仕入れたり、対策を考えておいたりすることで、より安全なお留守番を実現できるでしょう。
この記事で紹介した「安全対策チェックリスト」を参考に、家族で話し合いながら具体的な対策を立ててみてくださいね。
参考文献
・『子どもだけのお留守番事情 』ベネッセ教育情報サイト
・鳥丸佐知子, 『【日常生活における事故情報 』東京消防庁
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