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グレーゾーンの子どもに療育は必要?家庭での接し方や相談先を紹介

この記事を書いた人

たなかれいこ たなかれいこ

たなかれいこ

  • 心理カウンセラー
  • ペアレントトレーナー
  • カラーセラピスト
  • 保育士

子どもと関わる仕事がしたいと、保育士資格を取得しました。

障害児者福祉に5年ほど関わる中で、保護者さんの大変さを実感し、現在はペアレントトレーニングをはじめとする子育て支援の事業を行っています。

プライベートでは小2の娘と暮らすシングルマザーです。

娘と一緒にいろいろな体験やお出かけをするのが楽しみです。

「1歳半検診で発達の遅れについて指摘され、一気に不安になった」

「『しばらく様子を見ましょう』と言われたけれど、いつまで様子を見たらいいのか?親は何をすればいいのかが分からない…」

発達障がいのグレーゾーンの子どもへの接し方にお悩みではありませんか。

「療育」って聞いたことあるけど、グレーゾーンの子でも必要?と不安を抱える方も多いでしょう。

本記事では、障がい児福祉に関わり、ペアレントトレーナーとして子育て支援の事業を行う筆者が、グレーゾーンの子どもへの向き合い方について解説します。

発達障がいの傾向がありながら、確定的な診断が下りない理由について説明した上で、グレーゾーンの子どもへの療育の必要性や、発達の相談ができる機関についてもお伝えします。

 

目次

 

1.グレーゾーンと言われるのはなぜ?

「グレーゾーン」という言葉は、発達障がいの診断基準に完全には当てはまらないが、何らかの発達の遅れや特性が見られる子どもを指します。

ここでは、診断が下りない理由とグレーゾーンの子どもが増えている背景を解説します。

 

1-1.診断名が付けられない理由

発達障がいの診断は、専門家による観察や評価、親との面談などを通じて行われます。

風邪をひいたときのように一度見ただけで判断することはできず、様々な検査をして専門的な評価が必要になります。

検査の結果、診断基準に当てはまると「発達障がい」と診断されます。

一方、発達障がいの傾向は見られても、診断基準に満たない場合は確定的な診断が下りない状態(=グレーゾーン)となります。

乳幼児期には発達の遅れが一時的なもので、年齢とともに改善する場合もあります。

様子見というのは、「もう少し経過観察が必要」と判断されたと捉えていいでしょう。

 

1-2.特別支援教育の現状

近年、通級や特別支援学級、特別支援学校に通う児童生徒の数が増えています。

小学校の就学先には、通常の学級の他に、「通級・特別支援学級・特別支援学校」などの選択肢があります。子どもの障がいや発達に合わせて、学びの場を選ぶことができます。

通級や特別支援学級に通う児童生徒の中には、発達障がいの診断基準を満たしていない「グレーゾーン」といわれる子どもたちも含まれています。

小中学校の通級による指導が行われている生徒は、平成18年は41,448人、平成29年は108,946人と倍以上になっています。

また、平成30年からは国立と私立学校も含まれ、平成30年は小中学校で122,587人、令和3年は182,208人と3年で約60,000人も増加しています。(※1)

 

1-3.発達障がいやグレーゾーンの子どもが増えている背景

発達障がいが増えている背景としては、次の2つの要因が考えられます。

要因①発達障がいの診断基準が変更になったため

2013年に改訂された精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)での診断基準の変更が一因として挙げられます。

ASDやADHDの診断基準が少し変更され、より広い特性が含まれるようになり、発達障がいと診断される人が増えたと考えられます。

要因②発達障がいの知識が広く普及したため

以前は、発達障がいに関する知識が不足していました。そのため、親が子どもの発達に違和感を感じても、専門機関に相談することなく過ごしてしまうケースが少なくありませんでした。

しかし最近は、発達障がいに関する知識が広く普及したことにより、親が子どもの発達に不安を感じると早めに専門機関に相談するケースも増えています。

 

2.グレーゾーンの子どもでも療育は必要?

発達障がいのある子どもの多くは「療育」へ通いますが、「グレーゾーン」と言われた場合には、療育が必要かどうか、悩む親御さんも多いでしょう。

ここでは、療育の必要性とそのメリット・デメリットについて解説します。

 

2-1.療育って何?

療育とは、発達の遅れや障がい特性を持つ子どもが日常生活をよりよく過ごせるように支援することです。

具体的には、遊びや学習を通して言葉の発達や社会性、運動能力などを伸ばすためのさまざまなプログラムを行います。

一般的には児童発達支援センターなどの療育施設で、子どもの特性に合わせて支援を受けることができます。

保育士や言語療法士、作業療法士などの専門家が、子どもの発達段階や困りごとに応じて適切な支援を行うことで、子どもの発達が促されるのです。

また保護者も療育に参加して、家庭でのサポート方法を学ぶこともあるでしょう。

 

 

2-2.療育を行うことのメリット・デメリット

療育を行うことのメリットは3つあります。

1つ目は、発達が促されることです。早期に適切な支援を受けることで、子どもの発達を促し、問題行動が減ったりコミュニケーション能力が向上したりすることが期待できます。

2つ目は、親の不安が軽減することです。専門家のサポートを受けることで、親の不安やストレスが軽減され、子どもへの適切な対応方法を学ぶことができます。

3つ目は社会性を身につけられることです。集団生活を通じて他の子どもたちと交流することで、社会性や協調性が育まれます。

療育を行うことのデメリットは3つあります。

1つ目は、時間と労力がかかることです。療育施設によっては親子通園を必要とするところもあります。お住まいの地域によっては、送迎に時間がかかる場合もあるでしょう。

2つ目は、療育の効果には個人差があることです。療育の効果は子どもによって差があり、すぐに成果が見られないこともあります。

3つ目は、子どもにとって療育施設の環境がストレスとなる可能性もあることです。療育施設にはそれぞれ特徴があります。そのため、子どもに合わない療育の環境では、意欲的に取り組むことができず、ストレスになってしまうこともあります。

 

2-3.診断がなくても療育は受けられるの?

グレーゾーンの子どもでも療育を受けることはできます。

ただし、療育施設で療育を受けるためには受給者証を発行してもらう必要があります。

受給者証とは市区町村が発行し、障害福祉サービスの受給資格があることを証明します。行政から費用の支援を受けながら、療育施設のサービスが利用できます。

また、都道府県が発行する療育手帳があります。これは障害名やその程度を証明するものです。都道府県により呼び方が異なり、愛の手帳やみどりの手帳などと呼ばれています。

受給者証を市町村に申請するためには、医師の診断書または意見書が必要になります。

意見書とは診断書と違い、診断名などの記載はありませんが、医師により支援が必要であることが記されている書類です。

意見書があれば、発達障がいと診断されていなくても療育を受けることができます。

グレーゾーンでも受けられるか不安に思う方は、まずは役所の窓口で療育が受けられる施設や必要書類について相談するとよいでしょう。

グレーゾーンであっても、生活の中での困りごとがないわけではないですよね。 療育の場は、子どもが社会で生きやすくするためのスキルを学べるところでもあります。

適切な支援を受けることで発達が促され、スキルを身につけることで困りごとを減らすことができます。

子どもの発達の遅れが気になったり、困りごとがある場合は、療育へ通うことを検討してもよいでしょう。

 

3.グレーゾーンの子どもへのご家庭での接し方

ここでは、グレーゾーンの子どもへの接し方を説明します。 ご自身でできる所から取り入れていってください。

 

3-1.子どもをよく観察する

まずは、日頃からお子さんの様子を観察し、具体的な困りごとを記録しましょう。

例えば、

  • 園の先生に言葉が遅れていると指摘された。同年代の子どもと比べると、言葉数が少ない気がする
  • 友達のおもちゃを勝手に取ってしまった。友達に返すように促すと、友達を叩いてしまった

など、できるだけ細かな記録を残しておくと、後で専門家に相談する際の診断に役立ちます。

また子どもの興味関心、好きな遊び、得意なことや苦手なことについても記録するといいでしょう。

子どもの特性や特徴の理解が深まり、どのようなサポートが必要かを考える手助けになります。

記録方法は、ノートやメモアプリなど、自分が使いやすい方法で大丈夫です。

写真や動画を記録しておくのも効果的です。

 

3-2.肯定的な声がけを心がける

子どもに注意をするときは、肯定的な表現を心がけましょう。

「走らないで!」という否定的な言葉ではなく、「ゆっくり歩こうね」など望ましい行動を具体的に伝えます。

⚫︎子どもへの声がけ ネガ→ポジ変換のコツ

  • 「静かにして」→「あとでお話を聞かせてね」
  • 「ウロウロしないで」→「ママと手をつなごうね」
  • 「出かけるから早くして」→「長い針が6にきたら家を出るよ!遊ぶのをおしまいにして、着替えようね」

否定的な言葉は、子どもに対して不安や反発を抱かせることがあるため注意しましょう。

肯定的で具体的な声がけによって、子どもは安心感を得て、親からの要望を受け入れやすくなります。

肯定的な声がけを習慣づけることで、子どもとのコミュニケーションも円滑になり、良好な関係を築くことができます。

 

3-3.具体的で分かりやすい伝え方をする

発達障がいやグレーゾーンの子どもは、曖昧な表現が苦手で、一度にたくさんのことを言われると混乱してしまうことがあります。

具体的でわかりやすい表現で、何をすればいいかをひとつずつ伝えていきましょう。

⚫︎例1:おもちゃを片付けて欲しいとき

「おもちゃ片付けてね」ではなく、「おもちゃを箱に入れようね」と具体的な行動を伝える

⚫︎例2: 部屋にたくさんおもちゃが散らかっているとき

「ブロックを箱に入れよう」「ぬいぐるみをかごに入れよう」など、ひとつずつ伝える

具体的に言われることで子どもも理解しやすく、自信をもって行動できるようになりますよ。

 

3-4.できていることに目を向ける

子どもの発達が気になると、つい周りの子どもと比較してしまい、わが子のできていないところに目が行きがちです。

日常生活では、子どものできていることに注目してみてください。子どもの「できた」を意識して観察しましょう。

「ゴミをゴミ箱に捨ててくれた」

「あいさつができた」

など、日常の当たり前だと思うようなことでも褒めましょう。

子どもは親から褒められることで、自分が認められたと感じることができます。

小さな「できた」を見逃さずに褒めることで、子どもの自己肯定感を育むことができます。

成功体験を重ねることで、子どもは自信を持つことができ、さらなる成長へとつながるでしょう。

親自身も子どもが「がんばっている」「できないこともあるけど、できることもたくさんある」とプラスの発見に気づくことができるのではないでしょうか。

 

4.子どもの発達に関する悩み相談ができる場所

子どもがグレーゾーンと言われ不安なときは、ひとりで抱え込まずに専門家の方に相談しましょう。相談できる場所をいくつか紹介します。

 

4-1.保健センターや子育て支援センター

発達相談や専門家のアドバイスを受けることができます。 地域の発達支援サービスについても情報を得られます。

 

4-2.児童発達支援センター

発達に関する専門的な支援を行っている施設です。 子どもの療育プログラムを提供しており、具体的な支援方法について相談できます。

4-3.小児科医

かかりつけ医の先生に相談できます。 専門的な機関へ繋げてもらったり、発達支援サービスの情報を得たりすることもできます。

 

4-4.保育園や幼稚園の先生

子どもが日常的に接する先生たちも、発達の状況をよく理解しています。 先生たちと情報共有することで、家庭と園が連携して子どものサポートを行うことができます。

 

4-5.児童相談所

子育てに関する悩みや不安を幅広く相談することができます。 また、各市町村には子育ての悩みに関する相談窓口があります。

どこへ相談に行けばいいか分からないときは、市町村のこども課などへ問い合わせてみてください。

5.子どもの今に目を向けましょう

グレーゾーンの子どもは、じっとしていられなかったり、注意力が散漫だったりするために、叱られることが多くなります。

そのため、自分はダメなんだと感じて自己肯定感が下がりやすいです。

親ができることは子どもの「できた」に目を向けて、子どもの今のがんばりを理解することです。

自分のことを理解してくれる存在は、子どもにとって、とても力になります。

子どもの強みや興味を活かし、親子で一緒に学び成長していくことで、子どもの自己肯定感も育まれるでしょう。

親もひとりで頑張る必要はありませんよ。専門家の力を借りて、親も子どもも楽しく生活してもらえたらと願います。

 

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参考文献
※1:文部科学省「令和3年度 通級による指導実施状況調査」

 

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