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【3~6歳】子どもはいつから数や数字を理解するの?発達段階に沿ってわかりやすく解説!

この記事を書いた人

みかんママ みかんママ

みかんママ

  • 特別支援学校教諭
  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭

特別支援学校・小学校にて14年間勤務。

主に低学年の担任を経験してきました。

特別支援教育・初等教育が専門で、そのほか、“心”へのアプローチを中心とした子どもとの関わり方を勉強しています。

特別支援学校教諭、小学校教諭、幼稚園教諭の資格をもっています。

6歳(年長)の子どもがおり、得意なことは絵本の読み聞かせ、歌遊び、楽器演奏です!

「そろそろ数の勉強を始めたいけれど、今の年齢でどれくらい理解しているのが普通なんだろう」、「数字っていつから数えられるの?読めるようになるの?」こんな疑問や不安はありませんか?

この記事では、そもそも「数を理解する」とはどういう状態なのか、ということから、3歳児~6歳児の数の概念形成がどのように発達していくのかまでを丁寧に説明しています。

子どもが、数や数字を理解していく流れがわかっていると、焦らずお子さまの成長に向きあうことが出来るだけでなく、発達段階に沿った適切なアプローチが出来るようになります!

 

目次

 

1.子どもが「数を理解する」とはどういうこと?

 

数への興味や理解は乳幼児期から発達していきますが、2・3歳頃になると、子どもはものを「1個、2個…」と数える様子が見られるようになります。

このころになると数や数字への理解が進んでいることがパパ・ママの目にもわかるようになってくるでしょう。

そもそも「数を理解している」とはどういうことなのでしょうか?
「数を理解している」とは、「数の概念」が身についているということです。

では、「数の概念」が身についているとは、具体的にどういうことなのかを説明していきます。

 

1-1.数の概念とは「順序数」と「集合数」の理解

数の概念の基本となるものが、「順序数」と「集合数」です。

この2つが身についていることを「数の概念」が身についているといいます。

 

■順序数とは?

「順序数」は、順序を表す数のことをいいます。

例えば、くだものが以下のように並んいるときに、「りんごは左から2番目にある」と表現する数のことです。

 

このように、「何番目」を表す数のことを「順序数」といいます。

 

■集合数とは?

「集合数」とは、「ものの多さを表す数のこと」を言います。

例えば、先ほどのようにくだものが並んでいるとします。

そこで「左から数えてぶどうまで全部で3つ」と表現する数のことを「集合数」といいます。

 

 

つまり集合数とは、「ものの多さ・ものの集まりの大きさ」を表す数のことです。

この「順序数」と「集合数」の2つを理解していることが、「数の概念」が身についているということなのです。

小学校で行われる算数の授業では「順序数」と「集合数」といった「数の概念」の理解に基づいて足し算、引き算などの計算の学習が進んでいきます。

 

2-1.まずは「数の基礎」を身につけることが大事

一般的に、順序数・集合数の理解ができるようになるのは、5歳~6歳頃と言われています。

小学校に入学する頃ということですね。

「順序数・集合数」を身につけるには、まずは「数を数えられる」「数字が読める」など数や数字の基礎の理解が欠かせません

数や数字の基礎は日常生活の中での様々な体験・アプローチで自然と育まれていきます。

日常生活の様々な体験・アプローチとしてできることは、

・お風呂で10数えたら上がる
・おやつなど、身近にあるものを1つずつ数える
・カレンダーで日付を確認する

など様々です。

数や数字の基礎がしっかりと身につくことが「順序数・集合数」の理解へとつながり、その結果「数の概念」が形成されるのです。

 

2.「数の基礎」3つの要素~「数唱」「数字」「数量」~

ここからは、数の概念形成の土台となる、数や数字の基礎について詳しく説明していきます。

まずはこの「基礎」を丁寧に育むことで、子どもはスムーズに「数の概念」を身につけていくことができます

 

2-1.「数唱」・「数字」・「数量」の理解

「数の基礎」には、「数唱」、「数字」、「数量」の3つの要素があります。

子どもは3つの要素と、それぞれの関連性を理解することで、数の基礎を身に着けていきます。

 

■数唱とは

言葉で、「イチ、二、サン、シ、ゴ」のように数を唱えることを言います。
数唱は、子どもが数に興味をもったときに一番最初に表れるもので、数や数字を理解する上で大切な基礎となります。

習得開始段階では、ただ唱えているだけで、数を数えているわけではありません。「数唱」が一番の基礎となり、「数字」や「数量」の理解が積み上げられていきます。

 

■数字とは

「1」、「2」などの数を表すアラビア文字のこと指します。

 

■数量とは

1つ、2つ…といった物の個数を表す数のことを指します。

 

 

2-2.子どもの「数の基礎」はの3つの要素が関連し合って形成される

下の図は数の基礎の形成を表したものです。

 

 

ご覧の通り、数唱・数字・数量のそれぞれが関連し合い、数の基礎が形成されていきます。

具体的に例を挙げて説明していきます。

 

■数唱と数量の一致(図1-①)

例えば「りんごが3個テーブルの上に置かれている」とします。
「数唱と数量の一致」とは、そのりんごの数を、「イチ、二、サン(数唱)」と「1個、2個、3個(数量)」を一対一対応させながら数えられることを言います。

 

 

習得始めの段階では、「数唱と物を一対一対応させられる」だけですが、だんだんと「イチ、二、サンだから、りんごは全部で3個」のように、「唱えた最後の数が、全部の物の数である」ことがわかるようになっていきます。

 

■数唱と数字の一致(図1-➁)

「数唱と数字の一致」とは、数字を見て数えることが出来る、というように「イチ」の数唱と「1」の数字が一致できている状態を指します。

 

 

例えば、「1」の数字を見て「イチ」と言える、「2」の数字を見て「二」と言える状態です。

 

■数字と数量の一致(図1-③)

「数字と数量の一致」とは、「1、2…」の数字と「1個、2個…」の物の量を一致できることを指します。

 

例えば、先ほどと同様に「りんごが3個テーブルの上に置かれている」としましょう。

ここで、「2」の数字カードをお子様に見せ、「りんごを“数字の分だけ”ください」と言います。

 

お子さまが「りんごを2個」取って、ママに渡せたら、「数字の2と2個を一致できている」と言えますね。

 

■数唱・数字・数量の一致(図1-④)

「数唱」、「数字」「数量」に関わる経験を積んでいくと、3つを一致させることができるようになります。

例えば、テーブルに置かれた3個のりんごを見て、「サン(数唱)」=「3(数字)」=「3個(数量)」のように、全てを一致させられるようになるのです。

ここまでできるようになったら「数の基礎」が身についたと言えます。

私たちが普段何気なく、「1」という数字を見て、それが文字であることを認識し、「イチ」と読み、ものの個数や大きさを表す数である、と理解していることが、実は複数の「数の基礎」の要素から成り立っていることなのですね。

 

3.【3歳~6歳】子どもの「数の概念形成」の発達段階

「数の基礎」の要素がわかったところで、次に3歳~6歳の子どもの「数の概念」がどのような段階を踏んで発達していくのかをご紹介します。

 

3-1.「数唱・数字・数量」の理解の発達

まずは「数唱・数字・数量」といった「数の基礎」の発達段階についてです。

 

 

3歳頃から数の基礎が育まれ、5歳頃に基礎のだいたいが身につきます。

例えば3歳ごろから5までの数を数えられたり、パッと見て3つのものの個数を識別できるようになります。

個人差はありますが、4歳頃から1~10の数字を読めるようになり、「数の基礎」の理解がますます進んでいきます。

 

3-2.数の基礎:3要素の一致

次に「数唱と数量の一致」、といった3つの要素を一致していく力の発達についてです。

まずは「数唱と数量の一致」です。

3歳頃は「イチ、ニ…ゴ」と数えられるようになる、1~3個までの数量がわかるようになるため、1~3個までのものを声に出して数えることもできるようになっていきます。

6歳頃になると大体100までのものの個数を数えられるようになります。

 

次に「数唱と数字の一致」と「数字と数量の一致」についてです。

 

 

3歳ごろから「数字」に興味をもち始め、4歳頃から数字を読めるようになっていくことから、「数字」と「数唱」・「数量」との一致は4歳以降に発達していきます。

4歳頃になると1~10までの数字をみながら「イチ、二…ジュウ」と数えることが出来るようになります。

小学校に就学する頃には、「数唱・数字・数量」を一致させることができ、だんだんと物の順番を示す「順序数」や、ものの集合を表す「集合数」も理解できるようになります。

つまり、算数の学習の土台が作られるということですね。

 

発達段階はあくまで目安ですので、年齢だけではなく、今お子さまがどの段階にいて、次はどんな段階に進むのかを理解したうえで、焦らずアプローチをしていくことが大切です。

 

 

4.子どもの「数の理解」はステップを踏んで育まれる

 

パパやママの中には「早く数を数えられるようにしないと…」「まだ数字が読めなくて大丈夫かな」「足し算や引き算は早くできた方がいいの?」といった不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし子どもの数の理解は、段階を踏んで育まれていきます。

まずはお子さまの発達段階を理解することで、この先の見通しを持つことができます。

また、焦らずそれぞれの状況に合わせてアプローチをしていくことが大切です。

お風呂で一緒に数字を数えたり、身近な数字をみつけたり、おやつの数をかぞえたり、と日常生活の中で無理なくできるアプローチはたくさんあります。

こうした家庭でのアプローチやお子さまが年齢を重ねるにつれ、自然と数や数字の理解が育まれ、小学校入学以降の算数の授業にも自然と対応できるようになります。

お子さまや家庭の環境に合わせたアプローチを行っていきましょう!

 

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参考文献
古池 若葉(2014)幼児における数概念と数字の読みの因果関係 京都女子大学発達教育学部紀要 010 87-91
上原 隆司(2017)幼児の数量的能力とその発達に関する考察 名古屋短期大学研究紀要 55 39-44

 

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