子どもがYouTubeと上手に付き合うには?親のサポート方法を解説
この記事を書いた人
小原宏美
- 保育士
大学で音楽療法について学び、卒業後は児童養護施設で4年間勤務。
大学での実習や卒業後の仕事、また自身の子育てを通じて、0歳から高校生まで幅広い年齢の子供達と関わってきました。
現在はWEBライターと並行して、子育てと自分育てのために心理学を勉強中です。
特技はピアノと歌うことです。親子で歌ったり、楽器を演奏する時間を楽しんでいます。
今、YouTubeに夢中になる子どもが増えています。これからの時代、子どももYouTubeを使って楽しく学ぶ必要があると感じている方も多いのではないでしょうか。
その一方で「子どもにとって不適切な動画を見てしまうのでは?」「子どもがYouTube依存になったらどうしよう」という不安もありますよね。
そこで今回は、子どもがYouTubeと上手に付き合うための、親のサポート方法を解説します。
子どもがYouTubeを安全に楽しむには、親の適切なサポートが必要です。保育士で2児の母でもある筆者の経験も踏まえて、親子でYouTubeを楽しむ方法を紹介しますのでぜひお読みください。
目次
1.知っておきたい子どもとYouTubeのリスク
まずは、子どもとYouTubeのリスクについて解説します。YouTubeには、テレビやゲームには無いリスクも存在します。事前に知っておくことでトラブルを回避しやすくなりますよ。
1-1.中毒性があり長時間見てしまう
YouTubeは、ひとつの動画を見終わると、視聴履歴に基づき自動的におすすめ動画が表示されます。そして「自動再生モード」がオンになっていると、表示されたおすすめ動画が自動で再生される仕組みになっているのです。
このように切れ目なく興味のある動画が再生されるため、中毒性があり、子どもだけでなく大人も長時間見てしまいます。
1-2.子どもにとって不適切な動画を見る可能性がある
「YouTubeの利用規約」によると「本サービスを利用するには、13歳以上である必要があります」とあります。未成年の場合は、親または保護者の許可を得て視聴できるという旨が書かれているのです。
このため、YouTubeを観ていると、子どもにとっては不適切な動画が自動で再生される恐れがあります。また「エルサゲート」と呼ばれる、子どもに人気のキャラクターを使って暴力的、性的な描写をしている悪質な動画も存在します。
エルサゲートとは、映画「アナと雪の女王」のキャラクター「エルサ」と政治スキャンダルを表す「ゲート」を組み合わせた造語です。
エルサに限らず子どもに人気のキャラクターを使って、教養動画を装い暴力的、性的な内容を流す動画を差します。一見普通の動画に見えるため、何気なく見た子どもは大きなショックを受けることもあり、問題になっているのです。
「エルサゲート」と呼ばれる動画は、フィルタリング機能を使っても完全に回避できない場合もあります。これを防ぐためには、子どもにYouTubeを見せっ放しにするのではなく、時折子どもの視聴履歴をチェックしてあげることが大切です。
1-3.個人情報が流出する恐れがある
YouTubeは、視聴するだけでなく、小学生でも簡単に動画をアップできます。しかし、子どもはYouTubeのリスクや危険性をまだ十分に理解できていません。そのため、動画に子どもの住所や学校などが分かるものが写り込んでいる場合もあるのです。
動画に子どもの個人情報が分かるものが写り込んでいると、そこから住所が特定され、トラブルや犯罪に巻き込まれる恐れがあります。子どもがYouTubeに動画をアップする際は、事前に親子で話しあい、プライバシーに配慮した上で行うのが良いでしょう。
2.親子でYouTubeと上手に付き合う方法4選
続いて、親子でYouTubeと上手に付き合う方法を紹介します。YouTubeの対象年齢は13歳以上であるため、子どもが活用する場合は親のサポートが必要です。
これから紹介する方法を参考にして、安全にYouTubeを楽しんでくださいね。
2-1.「YouTube Kids(ユーチューブキッズ)」を利用する
YouTubeには「YouTube Kids」という未就学児から12歳までを対象にしたアプリがあります。「YouTube Kids」でできることを簡単にまとめました。
- 保護者が許可したコンテンツのみ表示できる
- 利用する子どもの年齢に応じたコンテンツを表示できる
- タイマー機能で、動画の視聴時間を1~60分に設定できる
また「YouTube Kids」では子どもにとって不適切な動画をブロックできるほか、不適切な動画をYouTubeに報告することもできます。不適切な動画を報告することで、さらに子どもに適切な動画が表示されやすくなりますよ。
2-2.動画をアップする際は「限定公開」に設定する
子どもがYouTubeに動画をアップしたいと言う時は、まず「限定公開」に設定してアップするのがおすすめです。「限定公開」に設定すると、動画のURLを知っている人のみ動画を視聴でき、それ以外の人には動画が公開されません。
親戚やお友だちなど、動画を見て欲しい人にだけ動画のURLを伝えれば良いので、個人情報が流出するリスクを減らせますよ。
2-3.親子で一緒に動画を見る時間をつくる
「YouTube Kids」の利用で、子どもに適切な動画を表示できるものの、すべての不適切な動画をブロックしきれないこともあります。子どもにYouTubeを見せっ放しにするのではなく、親も時々一緒に動画を見るのがおすすめです。親子で一緒に見ることで、不適切な動画を発見したらブロックや報告ができますし、子どもが好きなものを知ることもできます。
子どもは、親が自分の好きなものに興味を持ってくれるととても嬉しくなるものです。親子でYouTubeを見る時間をつくることで、その後YouTubeのルール作りをする際も、コミュニケーションが取りやすくなりますよ。
2-4.動画で見たことを実践してみる
YouTubeを見ているだけだと、受け身の学習になってしまいますよね。子どもがYouTubeで興味を持ったことは、実生活で実践してみると、より学びが深まります。以下はその一例です。
- 動物の動画に興味を持ったら、動物園に行ってみる
- 工作の動画に興味を持ったら、材料を買ってきて親子で作ってみる
- 体を動かすのが好きなら、体操の動画を見て親子で一緒に体操する
実際に実物を見たり、自分でやってみたりすることで、五感をフルに活用できます。子ども自身の達成感や満足感も大きくなりますよ。
3.子どもにとってYouTubeが持つメリット
ここからは、子どもにとってYouTubeが持つメリットを解説していきます。YouTubeにはリスクもありますが、上手く付き合えば子どもの学びを深められる良いコンテンツにもなりますよ。
3-1.楽しく分かりやすく学べる
動画には、音や動きなど、見ていて楽しい刺激がたくさんあります。まだ文字が読めない年齢の子どもでも、動画なら分かりやすい言葉や映像を交えて教えてくれるので、楽しく学べるのです。
例えば、子どもが好きな折り紙やあやとりなど、本だけだとどうしても分かりにくい時がありますよね。そのような場合にYouTubeを見ると、実際に行っている様子を交えて解説しているので理解しやすいです。
難しい箇所は一時停止したり巻き戻したりして何回でも見られるので、子どものペースに合わせられるのも助かりますよ。
その他、外遊びのなわ飛びやフラフープのコツなど、動画のジャンルは多岐に渡ります。親子でYouTubeを見て、学びや遊びに楽しく活かしていきたいですね。
3-2.多様な価値観に触れられる
YouTubeは、世界中の人が利用するコンテンツです。そのため日本のみならず、世界中の人と交流できます。実際に海外に行かなくても、外国の文化や風景を学べます。
英語を習っているお子さんは、YouTube動画でネイティブの発音に触れられるので、聴覚が養われると考えられているのです。
また動画のコメント欄では親子で安全に配慮した上で、配信者に感想を伝えるなどの交流ができるのもメリットのひとつですね。
3-3.論理的思考や表現力が養われる
今、子どものなりたい職業にYouTuberが挙がるようになり、動画制作の習い事も存在します。子どもが動画制作に興味を持つと、見る人に伝わりやすい内容にするための論理的思考や表現力が養われます。
子どもに動画制作の習い事を検討する際は、プライバシーの保護など、ネットリテラシーを学べるところを選ぶのがおすすめです。
3-4.知識や興味の幅が広がる
YouTubeには、ひとつのジャンルを深く掘り下げているチャンネルも多く存在します。例えば、先ほど紹介した折り紙やあやとりも、ひとつの作品だけでなく、数多くの作品が紹介されていますよね。子どもはそれらの動画を見て「次はこれをやってみよう」と、興味や知識を広げていくのです。
新しいことを知ると、子どもは嬉しくて「○○は、こういう意味なんだって!」と、親に教えてくれることもありますよ。また、動画の中でさまざまな年齢の人が話している内容を聞くことで、子どもの語彙が増えたり、表現の幅が広がったりするのもメリットです。
4.親子でYouTubeのルール作りをする際の注意点
ここでは、親子でYouTubeのルール作りをする際の注意点について解説します。子どもがYouTubeと上手に付き合うには、子ども自身が納得して守れるルール作りが大切です。ぜひ参考にしてくださいね。
4-1.親が子どもへ一方的にルールを決めない
YouTubeは、子どもにとって楽しいものであることが多いです。そのため、親が一方的にルールを決めると、子どもは「こんなに楽しいのに、なぜ?」と自分を否定されたように感じてしまいます。
まずは「YouTubeは楽しい」という子どもの気持ちを認め、共感しましょう。その上で、長時間視聴するとどんなデメリットがあるかを伝えます。
「目まもりドリル」(平松 類/著)など、子ども向けの目に関する本を親子で読んでみるのもおすすめですよ。
「ずっと見てると、目が疲れるな」「他の遊びもした方が楽しいな」と子どもが納得できると、ルールを守りやすくなります。そして、子どもには「YouTubeは1日1時間まで」と言いながら、親がそれ以上見ていたら、子どもは「ずるい」と感じますよね。
家庭で決めたルールは子どもだけに守らせるのではなく、親も一緒に守る姿勢が大切です。
4-2.ルールが守れなかったときのペナルティも決めておく
子どもにとって、YouTubeは楽しくて夢中になれる存在です。親子でルールを決めた後も、つい熱中してルールを守れない時もあるでしょう。
そのようなケースも想定して「ルールを守れなかった時のペナルティ」を決めておくのがおすすめです。子ども自身も、約束を守る意識がより高まりますよ。例えば「ルールを守れなかった次の日のYouTubeは1日禁止」などです。
「こうしなければいけない」という決まりはないので、親子で話し合い、過度な負担にならないペナルティを考えましょう。そして、子どもが約束を守れた日はいっぱい褒めてあげてくださいね。
5.YouTubeと上手に付き合って、親子で楽しく活用しよう
YouTubeには、テレビやゲームには無いデメリットやリスクが存在します。その一方で、上手に使えば子どもの知識や興味の幅を広げられ、楽しく学べるツールにもなるのです。
YouTubeが子どもに与えるリスクやメリットを理解し、親がサポートしながら楽しく活用していきましょう。
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