兄弟構成は子どもの性格に影響する?性格の違う上の子・下の子へのふさわしい接し方
この記事を書いた人
横山ミノリ
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 児童発達支援士
小1と年少、2人の男子の母です。
ASD(自閉スペクトラム症)の長男への関わり方を学ぶため、「児童発達支援士」と「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得しました。
自身が産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。
子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。
子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。
「同じ親から生まれたのにきょうだいで性格が違うのはなぜ?」「きょうだいなのに性格が合わなくて喧嘩ばかりしている」そんな疑問やお悩みはありませんか?
同じように育てているつもりでも、きょうだいによって性格が全く違うと、「生まれ持った気質のせい?それとも自分の接し方に問題があるの?」と不安になるかもしれません。
この記事では、兄弟構成と性格の関係性、また、一般的にいわれている生まれ順別の性格について解説します。特に、2歳差・3歳差の2人育児をしているママに向けて、上の子と下の子へのふさわしい接し方を紹介しますよ!
性格が違うきょうだいに対して、それぞれどのように接したらいいのか悩んでいるママにおすすめの記事です。
実際に兄弟育児をしている筆者の体験も参考にしてみてくださいね!
目次
1.兄弟構成と性格の関係性
北海道女子短期大学の研究によると、「兄弟関係と性格の間にはかなり明確な関連が存在する」ことがわかっており、対象親子へのアンケートによって、長子的性格・中間子的性格・末っ子的性格が導き出されました。
また、「きょうだい関係と性格」の関連性を調べた過去の研究をまとめたうえで、兄弟構成による性格の影響は、成長と共に薄れていくことも指摘しています。
小学4年生から中学2年生を対象にした研究では上の子と下の子との間に性格の差がみられましたが、青年後期である短大生を対象にすると、その差はほとんどみられなかったのです。
このことから、家族との関わりが強い幼児期は、きょうだいや親からの影響をより受けやすく、兄弟構成による性格の違いが出やすいと考えられます。
兄弟構成によって親の接し方、育て方も変わってくるでしょう。また、上の子・真ん中の子・下の子という役割やポジションが子どもの行動を変え、性格を作っていくといえるのです。
きょうだいによって性格が違うというお悩みが、3~6歳の子どもを育てているママに多いのはこのためでしょう。
2.兄弟構成”生まれ順”にみる子どもの性格
兄弟構成の生まれ順は、子どもの性格にどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは、長子・中間子・末っ子・一人っ子について、一般的にいわれている性格の特徴をご紹介します。
2-1.長子の性格
- 自己肯定感が強い
- マイペースでのびのびしている
- 優しくお世話好き
- 自制心、責任感が強い
- 頑張り屋さん
長子の性格としては、一般的に「自己肯定感が強い」「マイペース」「のびのびしている」などが挙げられます。
長子は、生まれた瞬間から親をはじめとする周りの人からの愛情を一身に受けて育つため、自己肯定感が高くなる傾向があるのです。他のきょうだいを気にする必要がないので、マイペースでのんびり屋さんな子も多いでしょう。
下の子のお世話を任されることが多い長子には「優しい」「お世話好き」といった性格もみられます。
下の子の誕生により我慢することが増えるので「自制心が強い」「責任感が強い」「頑張り屋さん」が多いのも長子の特徴です。
2-2.中間子の性格
- コミュニケーション能力が高い
- 自立心が強い
- 人の感情に敏感
- 自己完結型
- 我が道を行くタイプ
中間子の性格には、「コミュニケーション能力が高い」「自立心が強い」などがあります。
上の子や下の子、親など、周りの人間をよく見ることができるため、コミュニケーション能力が育っていくのです。
人間関係のバランスが良いという一方で、人の感情に敏感で、周りの人の顔色をうかがうような一面もあるので、気にかけてあげる必要があるでしょう。
自立心が強いのは、親の関心が上の子か下の子に向きがちだからです親に頼らない「自己完結型」の性格や、「我が道を行くタイプ」になる子もいます。
2-3.末っ子の性格
- のびのびしている
- 甘え上手
- 自己主張が強い
- 要領がいい
末っ子には、「のびのびしている」「甘え上手」「自己主張が強い」といった性格がみられます。1番手のかかる末っ子は、親から特別の注意が向けられ、可愛がられます。
きょうだいの数が多かったり、上の子との年齢が離れていたりすると、お兄ちゃん、お姉ちゃんからも面倒を見てもらえるので、甘えん坊な愛されキャラとして育つでしょう。
やりたいことに付き合ってもらえることも多いので、のびのびしている子が多いのも末っ子の特徴です。
末っ子は、生まれたときから上のきょうだいに負けないように、自分の存在をアピールしようとします。そのため、自己主張が強い子も多いです。
また、上の子から学んだり、親の注意を引いたりするのがうまいので、要領がよく、甘え上手ともいえるでしょう。
2-4.一人っ子の性格
- マイペース
- 平和主義
- 穏やか
- 優しい
一人っ子には「マイペース」で「平和主義」な子どもが多いです。他に比べるきょうだいがいないので、何事も自分のペースで進めることができます。
また、競い合う存在が身近におらず争いに慣れていないので、穏やかで平和を好む性格になるのです。また、親からの愛情をたっぷりと注がれるので「優しい」子が多いのも特徴です。
一人っ子は、きょうだいがいる子どもとは違い、親の愛情を自分だけのものにできます。そのため、一人っ子ならではの個性や魅力を持つ子も多いでしょう。
3.兄弟構成別にみる上の子・下の子への接し方
ここでは、2人きょうだいの場合について解説します。4つのパターンごとに、きょうだい関係の特徴と、上の子・下の子へのふさわしい接し方についてみていきましょう。
先ほどご紹介した、生まれ順による特徴とあわせて参考にしてみてください。
3-1.兄×弟
兄と弟は、ライバル関係になりやすいという特徴があります。なぜなら、男の子は順位や勝敗にこだわりを持つ傾向があるからです。
長子として、また男としてのプライドがある兄は、弟に負けたくありません。弟に負けて傷ついた兄に対しては、勝ち負けが全てではないこと、優しさも強さであることを教えていきましょう。
また、長子の特徴である責任感を発揮し、頑張りすぎてしまう兄には、甘える時間を作ってあげるのも大切です。
一方、弟にとって兄はライバルであり、憧れの存在でもあります。兄と同じことをしようとし、兄と同じものを欲しがります。
遊びもパワーアップすると喧嘩に発展したり、悪ふざけが始まったりして、ママを困らせることもあるでしょう。
男兄弟を育てるポイントは、ライバル関係を上手に使って、お互いを尊重し高めあえる関係になるよう手助けしてあげることです。
例えば、やってほしいことがあるときは、「よーいドン!」の合図や、「さすが○○君!△△君もできるかな?」といった声掛けが効果的ですよ!
3-2.兄×妹
先ほど、兄は弟をライバル視するとお伝えしましたが、相手が妹の場合、その気持ちは少なくなります。
代わりに、兄は妹に対して力ではなく、気持ちの上で優位性を保とうとするでしょう。妹に優しい兄が多いのはこのためです。
妹は、兄の様子をよく見て同じ失敗をしないように学習していきます。兄と遊ぶことが多いので、活発で大胆な遊びを好むかもしれません。
ママとしては「もう少し女の子らしくしてほしい」と思うかもしれませんが、妹の個性として認めてあげましょう!
年の差があまりない場合、成長の早い妹のほうが兄よりも上手にできることがあったり、おしゃべりが得意な妹に言い負かされて立場が逆転したりすることがあるかもしれません。
そんなときは、兄のプライドを守りつつフォローしてあげましょう。また、「男の子なんだから」「お兄ちゃんなんだから」といった叱り方をしないよう気をつけます。
3-3.姉×弟
姉と弟の関係は「小さいママと子ども」のようです。姉はママをお手本にして弟のお世話をしたがります。ママの口調までそっくり真似している姿は微笑ましくもありますよね。
しかし、姉のお世話が行き過ぎて、弟のしつけまでしようとすると、弟はとても窮屈です。「ここまでやってくれてありがとう。あとはママがやるね」と言って、姉の役割とママの役割を、しっかり線引きすることも大切です。
弟にとってはママが2人いるようなものなので、干渉を受けやすいですが、下の子ならではの要領の良さでうまく立ち回っている子も少なくありません。
また、姉の遊び相手になることの多い弟は、繊細で、細かい配慮ができる男子になる子も多いですよ。
ただし、年子の場合、弟は姉の影響を受けにくく、同年代の男の子と遊ぶことも多いでしょう。
3-4.姉×妹
姉と妹の関係で重要なのは共感性です。なぜならば、協調性や共感力は女の子の特徴だからです。
そのため姉と妹は、仲良くなりたくて喧嘩をすることがありますが、仲直りも早いでしょう。
姉は、自分が親から期待されていることを敏感に察知し、理想の「お姉さんキャラ」として行動します。
弟のいる兄と同じく、妹のいる姉は、責任感が強く頑張り屋さんが多いです。お姉ちゃんとして頑張っていることを認めて感謝しましょう。
「いつも助けてくれてありがとう」「いつでも甘えてもいいんだよ」と伝えられるといいですね!
妹は基本的には姉に従順ですが、なんでもかんでも兄の真似をする弟のように、姉のすべてに従うわけではありません。
姉のことは好きで真似したいと思っていますが、姉と同一化することはないのです。また、姉の経験から学び、うまく立ち回ることができます。妹ならではの賢さですね。
姉と妹は共感性を発揮し、お互いが良き理解者になれるといい関係が築けるでしょう。
4.兄弟育児をしている筆者が大切にしていること
ママたちが子どもの性格の違いに悩むのは、「きょうだいに同じく接しなければ」と思い込んでいるからかもしれません。
ここでは、6歳と3歳の男の子を育てる筆者が大切にしている、きょうだい育児のポイントを実体験を含めてお伝えします。
4-1.「平等」ではなく「公平」に接する
きょうだい育児で大切なのは「平等」ではなく「公平」です。
平等とは、子どもたちの違いを考えずに2人に同じように接すること。一方公平とは、年齢や個性に応じてその子に合った接し方をすることです。
子どもは、自分の必要に合わせた対応を求めているのです。
きょうだいによって親の接し方が違うことに対して、子ども、特に上の子が不満を感じたり、反発する場合もあるでしょう。
そんなときは、下の子を特別扱いしているわけではないこと、下の子の性格や、どうして違う対応をするのかを説明してみるのはいかがでしょうか。
上の子の特徴である下の子への思いやりの気持ちをうまく利用すると、納得してくれるかもしれません。
わが家では、仕上げ磨きを嫌がる次男には、スマホの歯磨きアプリを使うことにしています。
代わりに長男には「上手に磨かせてくれてありがとう!さすがお兄ちゃんだね!」と感謝の気持ちを込めて大げさなくらいに褒めるのです。
長男はアプリが使える弟のことを羨む時期もありましたが、今は納得してくれており、上手に歯磨きができる自分に誇りをもっています。
4-2.子どもの個性に目を向ける
性格の違うきょうだいを育てるうえで大切なのは、その子の個性に目を向けることです。性格の違いが気になるときは、無意識のうちにきょうだい同士で比べてしまっているのかもしれません。
わが家の場合、ママを怒らせたくなくて次男を叱る長男と、自由にやりたい次男が対立することがよくあります。
そんなときは、長男の優しさ、次男のチャレンジ精神、それぞれの個性に注目して褒めるようにしています。
褒めた後で、よくないことをしている次男に対してはしっかりと対応し、長男に対しては感謝を伝えたうえで、「次男を叱るのはママの役目だからね」と伝えるようにしています。
このように、子どもは自分のことを認めてもらえると、他の人のことも認められるようになります。
ママが意識してきょうだいそれぞれの良さに目を向けるようにしていると、子どもたちも、きょうだい同士認め合えるようになるでしょう。
4-3.子ども一人一人に「あなたが1番」を伝える
きょうだい育児で大切なのは、子ども一人一人に「あなたが1番大好き」という気持ちを伝えることです。子どもは、ママやパパからの絶対的な愛情を必要としているからです。
子どもによって受け取り方や感じ方が違うため、愛情の伝え方も子どもによって変える必要があるかもしれません。子ども自身が、他のきょうだいと比べてではなく「自分はママとパパに愛されている」と感じられるようにしましょう。
子どもたち一人一人に愛情を伝えるため、一対一の時間を作るのは良いことです。子どもが特別感を感じられるように「大好きな○○君と2人きりで過ごせてうれしいよ」と伝えると、子どもも喜んでくれます。
他のきょうだいやお友達といるときには見せない、新たな一面を発見することもあって楽しいですよ!
5.兄弟育児のコツは「平等」より「公平」、子どもの個性に目を向けよう!
いかがでしたでしょうか。
きょうだい育児のコツは、「平等」ではなく「公平」を意識して接することです。「きょうだいで同じにしなくてもいいんだ!」と思えると、ママも楽になりませんか?
他のきょうだいと比べるのではなく、その子が持っている個性に目を向けると、きょうだい同士の性格の違いも気にならなくなるでしょう。
この記事で紹介した性格の特徴は、一般的な傾向にすぎないので、子どもを型に当てはめるのではなく、子どもへの接し方のヒントとして参考にしてみてくださいね。
きょうだいによる性格や個性の違いは、ママにとって悩みの種となることもありますが、きょうだい育児のだいご味でもあります。
子どもの数だけある個性に注目して、きょうだい育児を楽しんでいけたら素敵ですね!
参考資料
・白佐俊憲,北海道女子短期大学研究紀要(1995)「きょうだい関係と性格 : 3. 文献による検討」.
・菅原ますみ,中野早苗(1997)「きょうだいの子育て」主婦の友社.
・小﨑 恭弘(2017)「きょうだいの育て方」洋泉社.
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