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グズグズする子どもに親はイライラ…。親子に合った対応を見つけよう!

この記事を書いた人

平尾しほ 平尾しほ

平尾しほ

  • 言語聴覚士

言語聴覚士免許を所有、児童発達支援センターでの勤務経験があります。

特に遊びの中でのことばの育ちを意識して個別療育を行っていました。

現在小学校2年生の息子がいます。

個別療育でのたくさんのご家族とのかかわりと子育ての経験を合わせて、皆様に分かりやすくお伝えしていきたいです。

朝幼稚園に行く前やご飯を食べるときに子どもがグズグズすること、ありますよね。

「朝の準備にどれだけ時間がかかるの!」「はやく食べちゃいなさい!」などとついイライラして、声を荒げてしまうこともあるかもしれません。

この記事では、主に3・4歳ごろの子どもがグズグズする原因と親がイライラしてしまう心理について解説し、親も子も気持ちを切り替えられるような対処法をご紹介します。

子どものグズグズを目にしてイライラしてしまう時間をなるべく減らし、毎日親子でおだやかに過ごせるヒントを見つけていきましょう。

 

目次

1.子どもがグズグズする原因は?-3・4歳の場合-

子どもがグズグズする様子を見て「どうしてこんなに準備が進まないの?」「すぐに終わることなのに…」と不思議に思ってしまうこともありますよね。

ここでは、子どもがグズグズする原因を、3・4歳の子どもの発達段階に基づいて考えてみたいと思います。

 

1-1.時間感覚が未熟だから

3・4歳ごろの子どもは、まだ時間の概念や感覚がしっかりしていません

過去、今、未来の長い時間的視野をもてるようになるのは、6歳ごろ。

3歳を過ぎるころはまだ、朝は起きて、顔を洗ってトイレに行って…というような順序で時間の経過を把握できるようになる段階です。そして4歳になると、カレンダーや時計の針の動きなどで日時の把握が少しずつできるようになっていきます。

しかしまだ、「この作業はこれぐらい時間がかかるな」「たくさん時間がたったから早くしないと」というような、時間に基づいて行動を調整するのは難しいです。そのため、次の行動に移ろう、時間に間に合うように準備を進めようという気持ちにはならず、結果的にグズグズしてしまうことがあるでしょう

 

1-2.ものごとを順序立てて考えるのが苦手だから

3・4歳ごろの子どもは「次の用意をしないと、間に合わない」「このままご飯が進まないと、次のことができない」などと、予測をしたり順序を考えたりして行動するのは難しいです。

ものごとの因果関係を理解し、順序立てて考えることができるようになるのは5・6歳以上。

「はやくしないと、置いていくよ」「早く食べ終わらないと、遊ぶ時間がなくなるよ」などと言われても、グズグズした様子が変わらないのはこのためかもしれません。

子どもは、次はこれ、次はこれと順序立てて考えておらず、目の前にあることで手一杯なこともあるでしょう。そのため1つのことに集中して取り組めなかったり、時間がかかりすぎたりすることもあるのです

 

1-3.自分のペース・気持ちを優先させるから

3・4歳と言えば「イヤイヤ期」を過ぎたころ。自分の思ったように物事を進めたいという気持ちが強くなります。

それゆえ、自分がしたいこととしなければならないことの切り替えは難しい部分もあるでしょう。

また、朝の支度などなにかに取り組んでいても、途中でちがうことに興味がそれたり、他のことが頭に浮かんできたりすることも。自分がしていたことの手は止まり、忘れてしまうこともあるかもしれません。

親をはじめ他者の気持ちも少しずつ理解し始めるころではありますが、自分のペース、自分の気持ち優先で動く部分がまだまだ大きい年齢です

そのため、親から見るとしてほしいことはグズグズして進まない、という状況になってしまうのです

 

2.子どものグズグズに親がイライラしてしまう心理

子どもがグズグズしてしまうのは、発達段階に基づく部分もあることが分かりました。では、そのグズグズした様子に対して、親がイライラしてしまうのはなぜでしょう。

 

2-1.親のペースを基準に、「これぐらいできるだろう」と思っている

子どもの朝の支度をするとき、着替えと歯磨きと荷物の用意をし、出発時間から逆算して「〇分までに○○と□□をしてね」などと声をかけると思います。

その「だいたいこれぐらいの時間で、これぐらいのことができるだろう」という予測が親と子どもの間でズレることがあります。

1つ1つの動作自体は手早く行うことができても、続けて行うのは難しいこともあります。

そもそも何をするか忘れてしまう、スムーズにいかずぼーっとしたり他のことをしたりしてしまうこともあるでしょう。まだ目が覚めていない朝や、疲れていて眠い夜など、コンディションが万全でない場合はその傾向が強くなります。

親の「こうしてほしい」「この時間でこれぐらいできるだろう」という感覚や期待が、子どもの状態に合っていないとグズグズしていると感じ、イライラする原因になりがちです

我が子に求めすぎていないか?と立ち止まって考えることも大切です。

 

2-2.時間的な余裕がない

そもそも時間に余裕がなく、イライラすることもあります。

子どもが小さいころは、生活のすべてを親が段取りする必要がありますよね。

「8時には幼稚園バスがくるから、それまでにご飯を食べて準備して、その後は仕事に行って…」など、特に朝夕は少しでも時間をロスすると段取りがくるってしまう!と気が張っていることもあるでしょう。

子どもの行動すべてに付き合う余裕が充分にある、という家庭は多くないのではないでしょうか。

常に時計とにらめっこしながら日々の生活をしていて、時間的な余裕のなさに逆行するように子どもがグズグズする様子を見ると、ついイライラしてしまうこともあるでしょう

 

3.親がイライラしてしまうときの対処法

理由や原因が理解できても、忙しい時間に子どものグズグズする様子を見ていると、どうしてもイライラしてしまうことはあると思います。

「早くしなさい!」などと声を荒げても状況は改善せず、イライラする気持ちがどんどんつのってしまうこともあるかもしれません。

ここでは、イライラしたときの対処法をご紹介します。

 

3-1.時間をおく・場所を離れる

子どものグズグズする様子を目の当たりにしてイライラしてしまったとき。

「どうしてそんなにグズグズしてるの!」と声をかけてしまいそうになりますが、その言葉で状況が好転することは少ないです。

子どもにイライラをぶつける前に、子どもの姿が目に入らない、もしくは遠くから見守れる程度の位置へ移動しましょう。

近くにいると子どもがグズグズしていることを意識してしまい、イライラが増幅していきます。

数分でもいいので、子どもと離れて自分のために時間を使いましょう。

離れた位置から子どもに危険が及ばないかだけ確認しながら、深呼吸をする、ストレッチをする、コーヒーを飲む、お菓子を食べるなどしながら一息おき、子どものグズグズしている状態を遮断してみましょう。

物理的、時間的に子どもから離れることで、イライラを鎮めることができるでしょう。

 

3-2.そもそもの予定を見直す

子どもがグズグズしていると、時間の段取りがくるってしまうことがありますよね。

グズグズしている様子にイライラしてきたら「そもそもの予定に無理があった」と捉えるのも、イライラを抑える方法の1つでしょう。

例えば、夕飯のときになかなか食べるのが進まないとき。

「もう、早く食べなさい!」とイライラしそうになっても、「そもそもそんなに早く食べるのは難しい」と考えると、少し落ち着くかもしれません。

早く食べて片付けたい、という思いもあるかもしれませんが「その間に他のことをしてしまおう」「子どもは見守っておいて、自分は本でも読もう」など、親の予定を変えてしまうのも1つの手です。

子どものペースに応じてそもそもの予定の時間を変えていく、子どもに任せる部分を減らすなどするとイライラ予防にもなるでしょう。

 

3-3.子どもはグズグズするものだと考える

赤ちゃんの頃と比べるとできることや分かることが増え、日々の生活で親の手を煩わせずに行動できる部分も少しずつ増えてきます。

とはいえ、大人が考えるように物事をスムーズに進める、時間通りに終わらせるというのはまだ難しくて当然と考えると、少し気持ちが落ち着くかもしれません。

生まれた時と比べると大きくなったと感じる3・4歳ではありますが、まだこの世に生まれて3、4年目。

「グズグズするのが自然な姿」「時間がかかって当然」と良い意味で「まだまだ子どもだ」とあきらめると、イライラを抑えられるのではないでしょうか。

 

4.子どもも親も気持ちを切り替える!グズグズ対応法

子どもはグズグズして当然ととらえつつも、やはり少しでもスムーズに物事を進められたらという思いはありますよね。

ここでは、グズグズへの対応法をご紹介します。

 

4-1.ゲームの要素を取り入れる

子どもの準備などにゲームの要素を取り入れ楽しく取り組むことができたら、グズグズが解消されるかもしれません

例えば、朝の支度。

「〇〇ちゃんがお着替えする間に、お母さんは食器を洗ってくるね。どちらが早いかな?」と競争するゲームにしてみたり「お着替えをクリアしたら、〇〇くんはレベルアップだね!」などと好きなアニメのストーリーにのせて準備を行ったりするのもいいでしょう。

子どもがグズグズモードから、「ちょっとやってみようかな」というモードに切り替われるような遊び要素を入れてみるのがおすすめです。

 

4-2.予定の時間を見えるように共有する

3・4歳はまだ時間感覚が未熟なため、「〇時に幼稚園バスが来るから、もうこれぐらいできていないと」という認識がしづらいです。

そこで、その時間感覚をサポートしながら予定を共有すると、少しスムーズになるかもしれません

例えば朝の支度時に、「長い針が1番上に来るまでにお着替えしようね」と時間で伝える方法も1つです。

時間の経過が視覚的に分かるような時計も販売されており、それを見ながら取り組むのも良いでしょう。支度が終わったものをチェックできる「お仕度ボード」を活用するのもおすすめです。

朝の支度中にテレビをつけている家庭であれば、「この番組が終わるまでに」「じゃんけんの時間までに」など、具体的な目安を示すのもいいですね。

子どもにも分かりやすく時間の経過や予定を伝えることができれば、グズグズも少し減るかもしれません。

 

5.グズグズ・イライラは親子に合った方法で乗り越えよう!

子どもがグズグズするのには年齢的な要素も大きく関わっています。しかし、親からすると日々の生活の中で少しでもスムーズに物事を進めたいと願うもの。

グズグズする様子を見てイライラしてしまうのも、また当然です。

イライラ対処法を身につけつつ、子どもに求めているものが多すぎないか時々振り返ってみましょう。

そして、それぞれの親子に合った対応法を見つけ、ついイライラしてしまうグズグズ期を乗り越えましょうね。

 

 

参考文献
筒井 健雄, 時間および時間概念の発達について, 科学基礎論研究, 1982 年 15 巻 4 号 p. 193-198

 

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