子どもの失礼な発言の正しい対応は?行動の理由と解決法を保育士が紹介
この記事を書いた人
宮先惟之
- 保育士
保育所や子ども園にて15年間勤務。
主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。
2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。
「あの人変だよ!」と突然言ったり、若い女性に「おばさん!」と話しかけるなど、子どもが失礼なことを口にして、おどろいたことはありませんか?
子どもに悪気はない場合、親として子どもにどういった声かけをしたらいいか迷うことってありますよね。
本記事では、保育士として子どもの心情を理解する筆者が、失礼なことを言う子どもの対応に加え、言わなくなる方法をお伝えします。
3歳~小学校低学年の子どもに効果的ですので、ぜひご覧ください。
まずは、子どもがどうして失礼なことを言うのか考えていきましょう。
目次
1.子どもが悪気なく、失礼なことを言う理由は?
子どもが失礼なことを言う理由は、大きく3つあります。
原因が分かれば、解決につながりますよ。
お子さんの様子を思い浮かべながら見ていきましょう。
1-1.社会的なルールを知らない
1つ目の理由は、お子さんがまだ社会的なルールやマナーを知らないためです。
大人が気をつけていることや当たり前にしていることも、子どもには分かりません。
例えば、電車の中や病院では静かにすることも初めは知らないですよね。
同じように、相手に対する発言も、初めは思ったことを悪気なく何でも話すでしょう。
いろいろな場面で人とやりとりする経験や親の関わりによって、子どもは学び成長します。
大人に対して「おじさん!」、「おばさん!」と呼ぶことが適切か考える機会もあるでしょう。
1-2.言葉の意味や表現方法を分かっていない
2つ目の理由は、子どもはまだ言葉の理解が曖昧で、正しい伝え方が身についていないためです。
大人のように、子どもはまだきちんと言葉を理解していません。
例えば、甘いお菓子が苦手な子どもが、友達の家でお菓子をいただいたとします。
用意されたお菓子は甘いものでした。
そのときに、「このお菓子まずい!」と伝えると、失礼な言い方ですが、「甘いものが苦手です」と言えた場合はどうでしょう?
印象が全く違いますよね。
1-3.興味や好奇心が強い
3つ目の理由は、子どもの好奇心が関係しています。
子どもは、知りたいことがあると、「どうして?」や「なぜ?」と興味を持ったことはよく質問しますよね。
しかし、ときにその疑問が相手にとって失礼な発言になることがあります。
例えば、顔にほくろやシミ、そばかすがある人に対して「顔についてるのは何?」や「どうして顔が汚れているの?」とつぶやいたとしましょう。
想像すると、大人はヒヤッとしますね。
ところが、子どもは真剣で、ほくろやシミ、そばかすに興味を持っただけなのです。
相手が気にしていることかもしれないとは、考えていません。
2.子どもが失礼なことを言ったときの対応は?
続いては、子どもが失礼なことを言ったときの対応について考えていきましょう。
対応の仕方が良いと、相手とこれまで以上の信頼関係を築けたり、子どもが成長する機会をもつことができたりしますよ。
2-1.その場は、子どもと一緒に謝ろう
先程お伝えしたように、子どもは悪気なく失礼な発言をしていることも多いため、自分で気づいて謝ることは難しいでしょう。
子どもが失礼なことを言った場合、まずは親子で一緒にきちんと謝りましょう。
その場ですぐ伝えることで、失礼な発言をしてしまった相手にも誠実な気持ちが伝わります。
親が子どもに謝るように働きかけることで、「悪気がなかった」と相手に分かってもらえます。
子どもにきちんと関わる姿に好感をもってもらえ、今まで以上に良い関係ができる場合もあるでしょう。
2-2.学びを得る機会をもとう
相手に謝るときに、もう1つ大切な対応があります。
それは、「何がいけなかったか」理由を子どもに伝えることです。
子どもは悪気がないので、ただ「謝りなさい」と親から言われただけでは何が悪いかわかりません。
謝る理由が分かれば、学びとなり、今後の行動が変わってくるでしょう。
失礼なことを言ったときは、子どもが知識を得る場でもあるととらえて、相手にも子どもにも丁寧に関わっていけるといいですね。
3.子どもが失礼なことを言わなくなる5つの効果的な方法
それでは、子どもが失礼なことを言わなくなる方法をお伝えしていきます。
どれも効果的な方法ですので、試してみてくださいね。
3-1.適切な言葉を教え、マナーを身につけよう!
まずは、親が適切な言葉やマナーを教えることが大事ですよ。
子どもが、親との会話で偉そうな言い方やおかしな言葉の使い方をすることってありますよね。
また、幼稚園や保育所、学校などに子どもが通っていると、友達の影響で気になる言葉づかいや行動をすることもあるでしょう。
そんな場合は、適切な言葉を教える必要があります。
よく、「そんな言い方をしてはいけません。」と注意する声を聞きますが、それでは子どもはどうしていいか分かりません。
「どんな言い方をしたらいいかな?」と投げかけて一緒に考えたり、「○○と言いましょう」と適切な言葉を伝えるといいでしょう。
マナーについては、説明が難しいものもありますね。
例えば、「どうして女性に歳や体重を聞いたらいけないの?」と聞かれて答え方に困ったとします。
その場合は、「マナーだよ。失礼になるからね」と伝えるのも1つですよ。
年齢が小さい子どもには、「マナーだから守ろうね」とシンプルに伝える方が分かりやすいこともあります。
3-2.不思議に思ったことを言える環境を作ろう!
[1-3.興味や好奇心が強い]でお伝えしたように、子どもは様々な疑問を持ちます。
しかし、尋ねる場によっては相手に失礼となり、子どもは親に注意されてしまいますよね。
では、子どもはどうしたらいいのでしょう?
解決策は、不思議に思ったことを言える環境を作ることです。
例えば、顔にほくろやシミ、そばかすがある人に対して子どもが尋ねた例では、子どもと2人になったときに、「人の顔や体で不思議に思うことがあったら、家にいるときやママと2人でいるときに聞いてね」と伝えましょう。
子どもは疑問を解決できる場があれば、安心することができます。
何度か子どもが疑問を持ち帰ることができれば、習慣になりますよ。
筆者の娘は、以前電車に乗った際に、お腹が大きい女性の隣に座っていました。
娘は気になっていたようで、降りてから「あの人、お腹に赤ちゃんいるのかな?」と尋ねてきました。
私は、「どうだろうね。もしかしたら赤ちゃんがいるのかもね」と答えつつ、今聞いてくれて良かったとホッとしたのを覚えています。
3-3.相手の気持ちを考える機会を持とう!
思いやりの気持ちを育めると、思ったことを話す前に相手のことを考えるため、失礼な発言が減るでしょう。
しかし、幼児期や小学校低学年の子どもが、相手の気持ちを考えてから言葉を選んで話すことは、難しいです。
とはいえ、大きくなったら突然できるようになるわけではありません。
小さい頃からの経験の積み重ねが大切になります。
「言われた相手は、どんな気持ちになるかな?」、「ママが突然○○って言われたら、嫌な気持ちになるな」と伝えながら、人の気持ちを考える機会を持っていきましょう。
関わり方の注意としては、子どもが意見を話したときに、まずは「そうかな」と受け止めることです。
「それは、違うよ!」と最初から否定してしまうと、次回から言うことや考えることを拒んでしまうので、気をつけましょう。
保育の現場では、相手(友達)の気持ちや考えを聞く機会を持っていますが、経験すればするほど、子どもの感性は育つと実感しています。
3-4.普段から優しく丁寧な言葉づかいで話そう!
自分の話し方と子どもの話し方が似ていると感じたことはありませんか?
子どもは、親の姿をよく見て真似します。
親自身が普段から話し方に気をつけることで、子どもも丁寧な言葉づかいが自然と身につくでしょう。
口調にも注目してみてください。
同じ言葉でも、早口で話すか、穏やかに言うかでは相手の受け止め方もまったく違いますよ。
3-5.ときどき、行動を振り返ろう!
みなさんは、子どもがちゃんと親の教えや学んだことを実践していたら褒めていますか?
注意するときは声をかけて熱心に関わるも、きちんとしているときに褒めるの忘れることありますよね。
そうならないように、ときどき、子どもの行動を振り返りましょう。
親が意識して見てみると、子どもの成長に気づきやすくなります。
失礼なことをその場で言わず後で親に疑問を尋ねてきたときや、言い方を考えて話す姿があったとしたら、「ちゃんと前に話したことが分かっているね!」と褒めることができるでしょう。
褒められると、子どもはより意識が強くなるため、良い習慣が身につくでしょう。
4.親子で思いやりを持った会話をしよう!
子どもが成長するうえで失礼な発言をするのは、仕方がないことです。
大切なことは、言った後の親の関わり方でしたね。
相手に対応しつつも、我が子には、学びとなる機会ととらえ、ポジティブに向き合いましょう。
[3.子どもが失礼なことを言わなくなる5つの効果的な方法]でご紹介した丁寧な言葉づかいやマナー、思いやりは優しい心がカギになってきます。
子どもにとって1番身近な環境は家庭です。
親子で思いやりを持った会話を通して、子どもの心や社会性を育てていきましょう。
言葉かけや関わりのヒントはこちらの記事でもご紹介しています!
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