子どもの集中力が続かない…。集中力がなくなる原因や高めるコツを紹介
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「子どもが楽しめそうなゲームや遊びを準備しても、すぐ興味を失ってしまう」「宿題を始めてもぼーっとしている時間が長く、いつまでたっても宿題が終わらない」
子どもの集中力が続かず、すぐに他のことを始める様子を見て、「うちの子は集中力がないのかしら…」と心配する人もいるでしょう。しかし、一般的に子どもの集中力は長く続かないものです。
この記事では、子どもの集中力が続く時間や、子どもの集中力が続かない原因を紹介します。
子どもの集中力を高めるコツや、集中力を伸ばすための楽しい遊び・トレーニングも紹介するので、子どもの集中力を高めたいと思っている人はぜひ参考にしてください。
目次
1.子どもの集中力が続く時間
子どもの集中力の持続時間には個人差がありますが、一般的に幼児期では「年齢+1分」程度、小学校低学年で15分程度と言われています。
つまり、子どもの集中力が長続きしないのは普通のことであり、過度に心配する必要はないと言えるでしょう。
また、集中力が続く時間は子どもの興味や体力・状況などによっても差が出てくるため、その点を考慮しながら集中力を伸ばすサポートをしていくことが大切です。
2.子どもの集中力が続かない原因
「うちの子は小学生になったのに、集中している時間が5分も続かない…」このように、子どもの集中力が続くはずの時間内に集中力が低下してしまう場合は、以下のような原因が考えられます。
2-1.集中する環境が整っていない
子どもが遊びや学習に集中できないのは、集中できる環境が整っていない可能性があります。
子どもは大人よりも周囲の環境に敏感なため、集中するためには静かで整頓された環境を整えることが大切です。
2-2.興味がない
大人に限らず子どもも、興味がない物事に対しては集中力が続かない傾向があります。
子どもの好奇心や関心を尊重し、興味を引くような遊びや勉強を取り入れながら、集中力を向上させていきましょう。
2-3.悩み事がある
悩みや心配事がある場合も、子どもの集中力はとぎれがちです。
普段からコミュニケーションを大切にし、子どもが気持ちを打ち明けやすい環境を作っておきましょう。
悩みや心配事を解消することで、集中力も改善される可能性があります。
2-4.睡眠不足・生活習慣の乱れ
睡眠不足・生活習慣の乱れも、集中力が続かない原因の1つです。
食生活が乱れブドウ糖やビタミンB群などが不足すると、エネルギーが不足したり集中するための環境が整わなかったりして、集中力も低下してしまう可能性があります。
また、睡眠不足は集中力が低下するだけでなく、成長の遅れや食欲不振をまねく恐れもあります。規則正しい生活を意識し、適切な睡眠時間を確保することで、子どもの集中力を高めてあげましょう。
「子どもの睡眠時間」については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
よく寝る子は勉強もできる!子どもの理想的な睡眠時間や「睡眠不足」の影響は?
3.子どもの集中力を高めるコツ~遊びから宿題まで~
ここからは、子どもの集中力を高めるコツを7つ紹介します。
3-1.集中できる環境を作る
子どもの集中力を持続させるためには、環境を整えることが大切です。
<集中しやすい環境の具体例>
- 静かすぎず、うるさすぎない
- 遊びや勉強に関係ないものを片づける
- テレビ・ゲームなどの気を引くものが視界にはいらない
- 適度な温度・湿度が保たれている
集中力を育むために、安定した環境を作ってあげましょう。
3-2.目標を立てる
目標を設定することは、子どもの集中力を向上させる効果的な方法です。なぜなら、ゴールが明確になっていると、やる気を引き出しやすいからです。
また、目標を達成する過程で得られる達成感も、子どものモチベーションを高めるでしょう。
<目標を設定する際の注意点>
■小さい目標にする
目標を小さく設定することで、子どもが容易に達成できるチャンスが増えます。
■具体的な内容を決める
「今日は何をすればいいのか」「どうすれば目標達成に一歩近づけるか」という指針をもつことで、子どもは目の前のことに集中しやすくなります。
■成長や発達・レベルに合った目標にする
目標が難しすぎたり簡単すぎたりすると、やる気が低下し、集中力を失ってしまいがちです。
目標を達成するという小さな成功体験を通じて、自己肯定感を高めることもできますよ。
3-3.時間を決める
前述の通り、幼少期から小学校低学年の子どもの集中力は長く続きません。そのため、5分から10分程度の短い時間内で活動することを心掛けてください。
また、こまめに休憩を取るのも大切なポイントです。
株式会社ベネッセコーポレーションの調査(※1)によると、休憩を挟むことは集中力の維持に役立ち、高い学習効果を発揮する可能性があるという結果が出ています。
「5~10分活動する」「休憩を挟む」「また5~10分活動する」という流れで活動すると、集中力が向上するだけでなく、時間管理の感覚も身に付きますよ。
3-4.ウォーミングアップをする
子どもの集中力を引き出すために、簡単なウォーミングアップを取り入れるのもおすすめです。ウォーミングアップを通じて子どもは気分を切り替え、集中モードに移行しやすくなるでしょう。
ウォーミングアップの内容は自由ですが、子どもの興味があったり楽しみながら行えたりするものがおすすめです。子どもの好みに合った内容を取り入れることで、子どもはワクワク感を持ち、集中する意欲が高まりますよ。
<ウォーミングアップの具体例>
- 漢字の勉強をする前に5分間読書をする
- お気に入りの文房具を並べる
- 読み聞かせの前に手遊びをする
3-5.たくさん褒める
子どもは、褒められることが大好きです。集中できた際にはたくさん褒めてあげましょう。
褒められることによって、子どもは褒められたことが「良いこと」だと認識でき、その行動が増えていきます。
褒めることで、子どもの自尊心や自信も育まれますよ。
3-6.水を飲む
適度な水分補給も、集中力をキープするために重要です。
イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学が実施した調査(※2)によれば、作業前にコップ1杯の水を飲むことが、子どもの記憶力と集中力を向上させる効果があるという結果が示されています。
また別の研究では、脳の80%は水分でできているため、わずかな水分不足でも脳のパフォーマンスが落ちてしまうと指摘されています。
作業前にコップ1杯の水を飲むことを習慣づけることで、子どもの集中力を高めてあげましょう。
3-7.好きなこと、興味のあることをさせる
子どもの興味や好奇心に合った活動をさせることは、集中力を向上させるために非常に効果的です。
子どもは自分の興味を追求し、好きなことに没頭する際には、自然に集中する姿勢を見せることが多いものです。好きなことに熱中することで培われた集中力は、他の場面でも発揮されるようになっていくでしょう。
親は子どもの興味や好みをよく観察し、好奇心を刺激する手助けをしてあげることが大切です。
<具体例>
■お絵描きが好きな場合
色の種類が多い色鉛筆を渡す、美術館に連れていく
■動物に興味を示した場合
動物の本を読む、動物園へ行く
好きなテーマや活動に対し、子どもが興味を持って楽しみながら取り組むことで、自然に集中力を発揮できますよ。
4.子どもの集中力を低下させるNG対応
子どもの集中力を育むためには親のサポートが大切ですが、同時に集中力を低下させるような対応を避けることも重要です。
ここでは、子どもの集中力を低下させてしまう親の対応を紹介します。
4-1.「集中力がない」と子どもに言う
子どもがなかなか集中できない時、つい「○○君は集中力がないね」と言ってしまうこともあるでしょう。
しかし、人格ごと否定するような言葉を言われ続けると、子どもは自己肯定感が下がり「自分はダメな子どもだ」と思うようになってしまいます。
そして自分の努力や頑張りが無価値だと感じ、集中力を高めようとする意欲も失ってしまう恐れがあります。その結果、ますます集中力が低下してしまうでしょう。
4-2.マンガやゲームなどを禁止する
マンガやゲームを一切禁止することは逆効果となる可能性があります。
子どもの好きな遊びを取りあげてしまうと、頑張る気持ちがなくなり、かえって集中力が低下してしまう恐れがあるからです。
朝日小学生新聞の調査(※3)によると、家庭でゲームを楽しむ子どもはゲームを禁止されている子どもに比べて、勉強の集中力が高いという結果が出ています。
メリハリをつけて、遊ぶ時間と学ぶ時間を上手に調整しましょう。
4-3.予定を詰め込みすぎる
忙しいスケジュールは子どもの集中力を損なう要因となることがあります。
たくさんの予定を詰め込むことで、子どもが余裕を持って活動することが難しくなり、疲れてしまったりストレスをためてしまったりするからです。
ぼーっとしている間、つまり脳を休ませている間には「デフォルト・モード・ネットワーク」という神経回路が働き、経験や記憶の情報整理などを行います。
この「デフォルト・モード・ネットワーク」が稼働する時間が少ないと、脳の機能が低下し、結果として集中力も低下してしまうと言われています。
適切な休憩や自由な時間を確保し、無理なスケジュールを避けることで、集中力の低下を防ぎましょう。
5.子どもの集中力を高める遊び・トレーニング
子どもの集中力を育むために、楽しみながら取り組める遊びやトレーニングを取り入れることがおすすめです。
ここでは、3歳~小学校低学年の子どもに適した遊びを紹介します。
5-1.手遊び
「むすんでひらいて」や「トントンひげじいさん」のような昔ながらの手遊びは、子どもの集中力を高めるのに効果的です。
保育園でも、読み聞かせ前など子どもに集中してほしい際に、導入として使われています。
指先を動かすことで集中力が促進される上に、手の協調性も養われますよ。
5-2.読み聞かせ
絵本を読み聞かせることは、子どもの想像力や集中力を育む良い方法です。
物語に夢中になることで、長い時間集中して聞くことができます。
子どもが興味をもつテーマの絵本を選び、ともに楽しむ時間を作ってみましょう。
「読み聞かせ」については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
絵本の読み聞かせの効果やコツとは?現役読み聞かせボランティアのママが読み聞かせのお悩み解決方法もご紹介!
5-3.ジグソーパズル
ジグソーパズルは、ピースを組み合わせる作業を通じて、集中力や問題解決力を養うのに適しています。
注意したいのは、子どもに適切な難易度のパズルを選ぶことです。
パズルは完成した際の達成感も大きく、大人から子どもまで楽しめる遊びです。子どもと一緒に取り組みながら、集中力を高めていきましょう。
5-4.ボードゲーム
ボードゲームも楽しみながら集中力を養える遊びの1つです。
ゲームの進行やルールを理解し、戦略を練ることで、子どもの論理的思考や計画性も育つでしょう。
ボードゲームを選ぶ際も、子どもの年齢・発育に合った内容のものを選ぶことが大切です。家族でボードゲームを楽しむ時間を作るのもすてきですね。
5-5.折り紙
折り紙はお手本どおりに丁寧に折るという、集中力が求められる遊びです。
二つ折りにして三角形を作るなどシンプルなものから始め、少しずつ難易度をあげて挑戦することで、子どもは自らの成長を実感しながら取り組めます。手先を動かす作業のため、手先も器用になりますよ。
「折り紙」については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
【3歳】元保育士おすすめ!はじめての折り紙あそび5選~子どもへの効果やポイントもご紹介~
【5歳児向け】子どもの中間反抗期は季節の「折り紙あそび」で楽しく遊ぼう!
6.子どもの集中できる時間を理解し、親のサポートで伸ばしてあげよう
飽きっぽかったり、だらだら勉強したりする子どもの姿を見て、「集中力をつけさせないと」と焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、そもそも子どもの集中力は長続きせず、短い時間で飽きてしまうものです。
子どもの集中力を伸ばすためには、親のサポートと適切な環境づくりが欠かせません。
子どもが楽しめるような工夫をゆっくり重ねながら、子どもの成長を支えてあげてくださいね。
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参考文献
・(※1)『勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験』 株式会社ベネッセコーポレーション
・(※2)『水を飲むと脳が活性化する:研究結果』 MICHELA DELL’AMICO(TAKESHI OTOSHI訳、WIRED日本版 website, 2013/7/26)
・(※3)『「子どもとゲーム」実態調査』 朝日小学生新聞
・『子育てベスト100「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』 加藤 紀子 著
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