小学生からネットリテラシー教育は必要?保護者が伝えるべきポイントもご紹介
この記事を書いた人
らら
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 保育士
小学校教員を務めた後、保育士資格を独学で取得し現在は保育士として働いています。
隙間時間を使用し、Webライターとしても活動しています。
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「最近子どもがインターネットを使っているけど、危険ではないか心配」
「安全な使い方を教えたいけど、伝え方がイマイチわからない」
「ネットについていつから教えるのが最適なんだろう?」
このような悩みを抱えたことはありませんか?
現代ではインターネットがない生活は考えられないくらい身近なものになっており、幼少期からでもスマホやタブレットに触れる機会は非常に多いです。
しかし、便利さとは反対に危険も伴ってきます。ときには使い方を誤ったことで大きく生活が変わってしまった事例も珍しくはありません。
安全に利用し、危険を防ぐためには、保護者の方がお子さまに正しく知識を伝えることが大切です。
そこで今回は、「ネットリテラシーの重要性」「いつから教えるべきなのか」「教える際のポイントや具体例」など、保護者の方が悩むポイントについて徹底解説します。
上手にインターネットを利用して、お子さまと楽しくデジタル時代に向き合っていきましょう!
目次
1.ネットリテラシーとは
「ネットリテラシー」とは「インターネットリテラシー」の略語で、「インターネットを使いこなす能力」のことです。
「リテラシー」とは「使いこなす能力」、つまりは、インターネットの情報や事象を正しく理解し、適切に判断、運用できる能力のことです。
インターネット上に溢れている情報を取捨選択して見極める力、発信する際には個人情報に十分に気を付ける、など十分に理解しなければならないのです。
正しく判断して使いこなすというのは、一朝一夕で簡単に身につく力ではありません。
1-1.現在インターネットを利用する子どもの数
内閣府の調査によると、令和4年度においてインターネットを利用する子どもの数は、「インターネットを利用している」は74.4%、「インターネットを利用していない」は25.6%でした。
令和元年度と令和4年度の調査結果で比較すると、インターネットを利用していると答えた比率は、令和元年度(57.2%)から令和4年度(74.4%)の4年間で17.2%も高まっているのです。
また、年齢別にみると、インターネットを利用していると答えた比率は、2歳で62.5%、4歳で73.5%、6歳で81.7%、7歳で90.7%と年齢が高くなるほど多くなっています。
この調査からもわかるように、インターネットを利用している子どもは全体の半分以上もおり、毎年増えています。
子どもにとっては生まれたときから周囲にスマホやタブレット、パソコンがあることが当たり前であり、感覚に近いもので操作をしています。
「まだ小さいからいいのかな」とネットリテラシーについて教えないでいると、いつの間にか事件に発展してしまうことがあるかもしれないので、注意が必要です。
続いて、ネットリテラシーがいかに大切なのかについてご紹介します。
2.ネットリテラシーの重要性
インターネット上での事件が起きたことをニュースなどで目にする度に、「自分の子どもは大丈夫かな?」と心配する親御さんも多いのはないでしょうか?
学校などで基本の知識を習っていても、インターネットを日々利用するうちに、自身で無意識に判断して事件へと発展する事例も少なくはないのです。
特に幼い子どもなどは何がダメかもわからずに勝手に判断してしまうこともあります。
「いつの間にか課金が勝手にされていた」
「よくわからないサイトにコメントをしていた」
という経験のある保護者の方もいるでしょう。
このような事例は多くの場所で発生しており、その原因はネットリテラシーが正しく身についていないからなのです。
一度ネット上に出てしまうと、なかなか消すことはできない「デジタルタトゥー」になり、後悔してもしきれない状態になってしまうこともあります。
そうならないためにも「ネットリテラシー」を身につけることが大切になります。
2-1.正しい知識は自分を守れる
ネットリテラシーが十分に身についていると、自分自身を守れるのです。
なぜ、守れるのか?と疑問に思うかもしれません。
インターネット上には、あなた自身の損失になったり危害が及ぶことや怪しい情報が、溢れています。本当に正しい情報や一見正しく思える偽の情報まで、詳しく調べなければわからないものばかりです。
しかし、ネットリテラシーが低ければ、どの情報も信じてしまうことでしょう。
ネットリテラシーが高ければ、安易にネット上に情報を載せない、情報は必ず根拠を明確にする、などの対策を誰にも言われずに行うことができ、結果的に自分を守ることに繋がるのです。
インターネットを利用する際には、十分に使い方に注意して、事件に巻き込まれないように気をつけましょう。
2-2.欠如すると起こるトラブル
ネットリテラシーが低いことによって、起こるトラブルはいくつもあります。
例えば
・個人情報の特定
・コンピュータウイルスに感染
・誤った情報に騙される
・犯罪への関わり
などが挙げられます。
あくまで一例ですが、実際に自分の身に起こったことを考えると恐ろしいですよね。
個人情報の特定などは、アイドルの方が写真をアップした際に映り込んだ背景などから住所を特定された、という事例があります。
これは一般人の方にも言えることで、不用意に写真をアップすれば個人情報が漏れてしまう可能性は十分にあり得ます。
インターネット上には情報がたくさんありますし、「みんなやってそうだし、いいかな」と、つい慎重さが欠けてアップしてしまうことも珍しくはありません。
十分な判断の上での行動なら良いですが、ネットリテラシーが身についていない上での行動なら危険に晒されるリスクが高まります。
3.ネットリテラシー教育はいつから始める?
最近では、小さな子どもがスマートフォンやタブレットを使用し、SNSを通して友人や知らない人とやりとりをしているケースが増えています。
内閣府が令和4年度に公表した「令和4年度 子どものインターネット利用環境実態調査」の結果によると、平日1日のインターネット利用時間について、「2時間以上」と答えた子どもは49.4%であり、平均時間は121.9分です。
この数字を聞いて驚いた方は多いのではないでしょうか。インターネットがいかに子ども達にとっても必須なツールであることがわかりますよね。
そのため、ネットリテラシー教育が学校などの様々な場所で行われていますが、ネットリテラシーが決して高いとは言えないのが現状です。
子どもや若者は幼少期からデジタル環境に触れる機会が増えているので、ネットリテラシー教育はなるべく早い時期に導入するのが理想でしょう。
3-1.ネットリテラシー教育は小学校低学年から
ネットリテラシー教育は小学校低学年から始めることが最適です。
先程の「1-1.現在インターネットを利用する子どもの数」でも解説したように、内閣府の調査では2歳で約62.5%、6歳では約81.7%の子どもがインターネットを使用しているという調査結果が出ています。
更に近年はYouTubeでの動画視聴やスマホゲームへの課金、オンラインゲームを通して友達と遊ぶ子どもが増えており、インターネットは幼い子ども達にとっても必須なツールとなっています。
年齢を重ねると、小学校高学年ではインターネットを使用し、情報を集めて発表する課題やタブレット端末を使用しての授業も当たり前となり、プライベートではTwitterやInstagramに興味をもち始める子どもも少なくはないでしょう。
自分でもインターネットをある程度使える年齢になったときに、正しい知識がなくてはいずれ事件に巻き込まれてしまいます。
インターネットに触れる早い時期からインターネットの危険性を十分に伝える必要があることからも、小学校低学年から少しずつネットリテラシーを高めていくのがよいでしょう。
3-2.幼児期に行うとネットリテラシーはさらに高められる
小学校低学年からネットリテラシー教育を行うことも十分に効果的ですが、幼児期から始めることで、さらにネットリテラシーが身につきます。
インターネットが普及し、幼い子でもスマホやタブレットに触れる機会はとても多くなり、使用する年齢もどんどん下がっているのです。
街中でも、小さい子がスマホを触っていても違和感を感じる人は少ないでしょう。
また、子どもの注意を引くためにスマホを渡して動画を見せている親御さんも多いではないでしょうか。
しかし、子どもが小さいからと言って油断はできません。
気付いたら別のページを開いていた、ということも十分にあり得ます。
知らないうちに危ない場面に出会うケースも増えていて、幼児にネットリテラシーを身につけさせる教育の必要性が高まっているのです。
4.ネットリテラシー教育をする時のポイント
ネットリテラシー教育は様々な点を考慮して子どもに伝えなければいけません。
「危ないから一切使ってはダメ」と決めつけて全くネットに触らせないようにしてもいけませんし、何の注意もなく放任して使用させるのも良くありません。
これからの時代はデジタルが主流になり、インターネットを使用できる能力は社会でも求められるようになります。正しい知識を身につけ、危険から身を守るには学校だけでなく保護者の教えも必要になってくるのです。
そのためには、親も積極的にインターネットについて学ばなければなりませんよね。
しかし、親世代のネットリテラシーの欠如が度々指摘されているのです。考えてみれば、当然ですよね。
今の子ども達は生まれた時からスマホやタブレットなどが当たり前のように身近にあり、自然に触れているZ世代で、学校でもその危険性が教育されています。
一方で保護者世代はコンピュータやインターネットの発展とともに育ってきた世代で、その危険性に対する知識や具体的な対処法を教育機関で教わったことはないでしょう。
保護者によってネットリテラシーへの認識に差があるのは間違いないため、インターネットを使い慣れていると自認している保護者世代こそネットリテラシーをしっかりと身に付けておく必要があるのです。
4-1.保護者もインターネットに理解を深める
ネットリテラシー教育は、学校でもSNSの活用方法の動画を見たりと啓発活動をしてくれています。
しかし、いくら学校の授業でネットリテラシーについて学習しても、実際に子どもたちが自宅でネットを利用する際に活用できなければ意味がありませんよね。
そのためには保護者の協力が必要ですが、保護者全員がITやインターネットに詳しいかと言えば、そうではありません。
保護者に関するGIGAスクール構想の調査では、子どもに配布された端末がどんなものか知っているかの問いに、約7割は知っていると答えていますが、3割は知らないと答えたのです。
昔と比べると授業でタブレットを使うなんて考えられませんよね。3割の保護者の方は「時代が変わったんだな」くらいの認識かもしれません。
ですが、ネットについての正しい知識を子どもに伝えるなら、どういった目的でタブレットを使用しているのかなども把握する必要があります。
まずは保護者がインターネットへの理解を深め、子どもの目線に立って伝えることで、正しい情報を身につけさせてあげることが大切です。
4-2.家族でルールを決める
ネットリテラシー教育で簡単かつわかりやすいのは、ルールを決めることです。
ご家庭によっては携帯を子どもに持たせるのは〇〇歳から、と決めているルールがあるように、インターネットを使用する際のルールも決めることで、トラブルを未然に防ぐことは十分にできます。
例えば、
・個人情報(自分の名前、家族の名前、友達の名前、住所など)は書き込まない
・判断できない画面(課金画面など)になった時は、保護者に見せる
・悪口は書かない
・調べ物をするときは、一声かける
・1日に使用する時間を決める
などです。
他にも、お子さまの状況によって柔軟にルールを変えることによって、保護者の不安も取り除けるでしょう。
また、年齢が上がるごとに変わる内容もあるので、適宜工夫することも大切です。
ここでの注意点が、保護者が決めたいルールを一方的に決めないようにすることです。一方的に押し付けられたルールだと、子どもはどうしても守る気にはなれませんよね。
トラブルを起こさない最低限のルールを決めた後に、どこまでなら妥協できるのかを話し合ってルールを作ってくださいね。
4-3.インターネットの危険性を伝える
インターネットの危険性もお子さまにはしっかりと伝えましょう。
口では色々と伝えても、どこか自分とはかけ離れた出来事のようで危険性が伝わっていないことはよくあります。
子どもに何かを注意するときも「熱いから近づいてはいけないよ」とだけ言うよりも「触ったら火傷して病院にいくことになるから、近づかないでね」と具体的な危険性を伝えた方がしっくりとくるものです。
子どもにネットリテラシー教育をするときは、過去の危険な事例を伝えることが効果的になります。総務省のホームページでは、保護者向けの教育方法やインターネットのトラブル事例集が掲載されています。
事例が豊富で具体的にどのように対処すればよいのかが漫画形式や動画などでわかりやすく記載されているので、お子さまと一緒に見てネットリテラシーを高めていきましょう。
5.ネットリテラシーの大切さを親子で学び、便利なツールを上手に活用しましょう
インターネットは正しく使えば生活を豊かにしてくれる素晴らしいツールです。
しかし、1歩間違えれば生活を大きく変える恐ろしい凶器にもなってしまいます。
誰でも幼い頃からインターネットを利用できる現代では、いつ何が起きてもおかしくはありません。
事件に巻き込まれたり、個人情報を悪用されたりすることを防ぐためにも、早い段階からネットリテラシーを教えることが必須です。
保護者も最新の情報に触れながら、正しい知識と適切な使い方をお子さまに伝えて上手に活用してもらいましょう。
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主な参考文献
・内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」
・日本エイサー株式会社「「GIGAスクール構想の端末と保護者の意識に関する調査」」
・総務省「上手にネットと付き合おう!」
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