「ありがとう」が言える子になってほしい!感謝の気持ちを育む5つの方法
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「どのような子に育って欲しいか」と聞かれたときに、「ありがとう」が言える子になってほしいと思う人も多いでしょう。
「ありがとう」と言うための前提となる感謝の気持ちは、親子の関わりを通じて育てることができます。
この記事では、子どもの感謝の気持ちを育むための具体的な方法や、感謝の気持ちを持つことのメリットについて紹介します。
子どもが「ありがとう」と言えるようになってほしいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.感謝の気持ちとは
感謝の気持ちとは、人や物事から厚意や恩恵などを受けたことに対し「ありがたい」と思うことです。
感謝の気持ちは、人生を幸せに感じるかどうかに大きな影響を与えると言われています。
また人に対して感謝の気持ちを抱くことは、ストレスを軽減させたり、社会性を向上させたりするなど、さまざまなメリットが生じます。
筑波大学の相川先生の研究では、子どもに感謝のスキルを教えることで、感謝の心が育ってくることが判明しています。
2.「ありがとう」の効果とは?感謝の気持ちを持メリット
感謝の気持ちを持つことで、主に以下のような3つのメリットが生じます。
2-1.幸福度が高まる
感謝の気持ちを持つメリットは、自分自身の心が豊かになり、幸福度が高まることです。
前述の筑波大学の相川先生も、感謝の心を持つことが幸福度につながると述べています。
また感謝の気持ちを受け取ることでも、自己肯定感が高まり、幸福度が上昇するとされています。
例えば、親から「ありがとう」という言葉を受け取った子どもは、幸福感をより強く感じることができるのです。
2-2.ストレスが軽減する
感謝の気持ちには、ストレスを軽減する効果もあります。感謝の気持ちを持つことで、ストレスを抑制する働きがある「視床下部」が活性化するためだと考えられています。
感謝の気持ちを持ちやすい人は、ストレスを溜めにくく、鬱状態になりにくいと言えるでしょう。
2-3.人間関係が良好になる
人間関係が良好になることも、感謝の気持ちを持つことのメリットです。
感謝の気持ちを表現することで、他者からの好意的な関わりが増え、良好な人間関係が築けるからです。
例えば、友だちから「ありがとう」と言われた人は、その後も友だちとの関係が良好である傾向があります。
3.子どもの感謝の心を育てるための6つの方法
ここからは、子どもの感謝の心を育てるための具体的な方法を5つ紹介していきます。
3-1.親が「ありがとう」と言っている姿を見せる
子どもの感謝の心を育てるために、まずは親が率先して「ありがとう」と言う姿を見せましょう。
子どもは、親をはじめとした自分の周りの人たちの姿からさまざまなことを学び、同じような行動をするようになります。そのため親が感謝の気持ちを持ち、言動に表れるように意識することが、子どもの感謝の心を育てる上で大切です。
【親のお手本の具体例】
- ご飯を食べるときに、料理を作ってくれた人に「ありがとう」と言葉をかける
- 子どもが自分から「ありがとう」と言い出せないときに、一緒に言ってあげる
- 買い物や美容院から帰るときなどに、店員さんに対して「ありがとうございました」と言う
3-2.子どもに「ありがとう」と伝える
親から子どもに「ありがとう」と伝えることも、子どもの感謝の心を育てるために有効です。
親から感謝の言葉を聞くことで、子どもは自分が何かをして喜ばれたときの嬉しさや、相手を思いやる気持ちを学びます。
さらに、感謝の言葉を贈られると「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌されたり、自己肯定感が育まれたりする効果もあります。
子どもに対して、積極的に「ありがとう」と伝える機会を作り、子どもの感謝の気持ちを育てていきましょう。
【子どもに「ありがとう」と伝える機会の作り方の例】
- 子どもがおもちゃを片づけたときに「片づけてくれて助かったよ、ありがとう」と伝える
- 子どもと一緒に出かける準備をしているときに「準備がんばっているね、おかげで時間に余裕ができそうだよ、ありがとう」と励ます
- 寝る前に「○○ちゃんが生まれてくれてママは本当に幸せだよ、ありがとう」と伝える
3-3.読み聞かせを通じて感謝の気持ちを育む
読み聞かせも、子どもが感謝の気持ちを学ぶのに最適な方法の一つです。
絵本の中で感謝の気持ちが表現されている場合、感謝の気持ちの表し方や伝える場面などを学ぶことができます。
また、主人公に共感しながら読むお話の中で「ありがとう」という言葉が出てくれば、子どもにも印象深く残るでしょう。
感謝の気持ちを育むためにおすすめの絵本は、以下の通りです。
■「ありがとうのえほん」 作:フランソワーズ・セニョーボ、訳:なかがわちひろ(偕成社)
優しい色合いが特徴的なこの絵本は、日本語に翻訳後約50年を経てもなお人気を誇るベストセラーです。
何気なく過ごす日々の中にも、「ありがとう」と言いたくなることがたくさんあるということに気が付かせてくれます。
■「あいしてくれてありがとう」 作・絵:宮西達也(ポプラ社)
大人気絵本作家の宮西達也さんが送る「ティラノサウルスシリーズ」の第7弾です。
はぐれ者のティラノサウルスと、目の見えないパウパウサウルスの交流を描いています。
「ありがとう」を伝えあうシーンに、読み聞かせをしている親も思わず涙ぐんでしまう1冊です。
3-4.家族で感謝の習慣を取り入れる
子どもの感謝の気持ちを育てるためには、家族で感謝の習慣を取り入れることもおすすめです。
家族全員で感謝の習慣を取り入れることで、子どもたちは感謝の気持ちを身近に感じることができるでしょう。また前述の相川先生も、週に1度でも感謝すべきことを思い出すことで、幸福度が上昇すると述べています。
【感謝の習慣を取り入れる具体例】
- 家族で食事をするときに、1日の中で自分が感謝したことを報告しあう
- 家族で月に1回、感謝の絵日記を書く
3-5.子どもが感謝の手紙を書く
感謝の手紙を書くことは、言葉に出すことが苦手な子どもにおすすめの方法です。
感謝の気持ちは、人に伝えることでより幸福度が増すと言われています。
これは、言葉に出すだけではなく手紙に書いて伝える場合も同様の効果を発揮します。また、子どもは手紙を書くことを通じて相手に対して思いやりを持ち、自分自身を表現する経験もできますよ。
【子どもが感謝の手紙を書く場面の具体例】
- 友だちが誕生日プレゼントをくれたときに、「ありがとう。とても嬉しかったよ。これからも仲良くしてね」とお礼を手紙に書いて渡す
- 敬老の日に祖父母へ「いつもありがとう。ずっと元気でいてね」という手紙を贈る
- 保育園や幼稚園でお世話になっている先生に、手紙を書いて感謝の気持ちを伝える
字を書くのがまだ難しいお子さんの場合は、感謝の気持ちを絵に描いて表現するのもおすすめです。
3-6.親から子どもに感謝の手紙を書く
親から子どもに感謝の手紙を書くことも、子どもの感謝の心を育み、家族の絆を深める素敵な方法です。親からの感謝の手紙は、子どもにとって特別で心に残るものとなります。
子どもに対する感謝の気持ちを文字にすることで、子どもは愛情をより強く感じ、自己肯定感や信頼感が育まれます。
【親から子どもに感謝の手紙を書く場面の具体例】
- 子どもの誕生日に、「〇〇くん おたんじょうびおめでとう!ママのところにうまれてきてくれてありがとう。だいすきだよ。」と手紙を書いて渡す
- 入学のお祝いに、「○○ちゃん にゅうがくおめでとう!○○ちゃんがこんなにおおきくなってくれてうれしいよ。ありがとう、これからもおうえんしてるよ。」と手紙を書いて渡す。
- 園や学校の行事や習い事をがんばったときに、その努力や成果に感謝の気持ちを書いて贈る
4.親子で感謝の気持ちを伝えあい、健やかな心を育てよう
「ありがとう」と言える子どもに育てるためには、感謝のスキルを教えることを通して感謝の心を培うことが大切です。
親がお手本を見せつつ、互いに感謝の気持ちを伝えあうことで、子どもは感謝の気持ちとともに自己肯定感や安心感も育んでいくでしょう。
「ありがとう」の気持ちを育てるための親子の触れ合いは、心があたたまる安らぎの時間にもなりますよ。
感謝の気持ちを育てながら、親子で素敵な時間を過ごしてくださいね。
参考文献
・相川 充(筑波大学人間系教授)「感謝すると well-being は高まるのか?」
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