子どもの筆圧が弱い原因・強い原因を解決するおすすめの方法を紹介
この記事を書いた人
宮先惟之
- 保育士
保育所や子ども園にて15年間勤務。
主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。
2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。
子どもが文字を書く様子を見て
「書いたものが薄くてよく見えない」
「手が疲れるからと長く机に向かえない」
そんな悩みはありませんか?
ふにゃふにゃした薄い字や、反対に力が入りすぎた濃い字をみると、就学するまでに適切な筆圧を身につけてほしいと思いますよね。
本記事では現役の保育士である筆者が、子どもの筆圧をコントロールするおすすめの方法を、保育現場や自身の子育ての経験を踏まえながら分かりやすくご紹介します。
筆圧は、様々な角度からアプローチすることで改善することができますよ。
筆圧が弱い子どもと強い子どもでは、おうちの方の悩みもそれぞれですが、子どもの姿をチェックするポイントは似ています。
原因を見つけて解決へとつなげていきましょう!
目次
1.子どもの筆圧が「弱い」「強い」ときのチェックポイント
まず、筆圧が「弱い原因」と「強い原因」を探っていきましょう!
お子さまの様子を想像しながらご覧ください。
1-1.筆記用具は正しく持てているかな?
はじめに、鉛筆を正しく持つことができているかチェックしてみましょう。
鉛筆は、親指・ひとさし指・中指で軽く持ちます。
ひとさし指に沿わせるように持つと安定しますよ。
1-2.書くときの姿勢はどうかな?
書くときの姿勢はいかがでしょう?
背中が丸まっているなど、不安定な姿勢では書きにくいですね。
- 背筋は伸びていますか?
- 足は床についていますか?
- 机と椅子の高さのバランスは良いですか?
正しい姿勢になると、筆記用具が持ちやすくなります。
1-3.書くことに緊張していないかな?
子どものメンタルにも注目ですよ。
絵や字は心の様子がよく分かります。
保育現場では、ドキドキしていたり自信がない子どもの絵や字は、線が細く、にょろにょろっとした薄いものになりやすい傾向があります。
反対に、緊張していることから手首や肩に力が入りすぎて、筆圧が強くなるお子さんもいますよ。「力を抜いて書こうね」と伝えても力の抜き方が分からないといった様子です。
心の状態も大切なポイントです。
1-4.文房具の選び方は適切かな?
ペンや鉛筆の形、芯の硬さにこだわったことはありますか?
実は、筆圧が弱い場合と強い場合では、おすすめの文房具が変わってきます。
可愛い(かっこいい)といったデザインも子どものやる気を引き出すポイントとしては大事ですが、書きやすいものを用意することも重要です。
筆者の子どもは筆圧が弱かったのですが、自分に合った鉛筆を使うことで、段々と適切な筆圧で字を書けるようになりました。
ところで、消しゴムはどんなものを使っていますか?
消しにくいと、ノート(紙)が汚れやすく、書くのが嫌になってしまいます。
消しゴムは、持ちやすい大きさで消しカスがまとまりやすいものを使いましょう。
1-5.書くとき以外の指先の動きはどうかな?
絵や字を書く上で大切なことが、指先の動きです。
指先を器用に動かすことができると、字の濃さを調節できたり、きれいに書くように意識したりすることができますが、お子さまの指先は柔軟に動いているでしょうか?
洋服のボタンをとめるときやお菓子の袋を開けるとき、ブロックを使って遊ぶときなどの、普段の様子に目を向けてみましょう。
指先は、使うほどに上手に動かせるようになります。
生活の様々な場面で発達を育んでいきましょう。
2.子どもの筆圧が「弱い!」強くするおすすめの方法
それでは、具体的な解決策をお伝えします。
これまで述べた原因も踏まえながらご覧ください。
まずは、筆圧が弱い子どもへのアプローチです。
2-1.クーピーや色鉛筆で色塗りをして遊ぼう!
色塗りは、遊びを通して筆圧を強くするきっかけ作りにぴったりです。
塗ることは、指先を使う経験が十分にできるだけではなく、子ども自身が濃く塗りたいと思えるのでおすすめですよ。
始めは薄くても、子どもなりにどうしたら良いか考えます。
試す姿を見守ったり、「もう少し強く描いてみたら?」と声をかけたりすると、力を入れて塗ることで濃く描けることが次第に分かっていました。
用具は、自分で濃さが調節しやすいクーピーか色鉛筆が良いですね。
保育の現場では、子ども達が好きそうなキャラクターの塗り絵を用意します。家庭では、子どもが好きな塗り絵を買って、一緒に塗って遊ぶと良いでしょう。
子どもと関わるときは、最初からきれいに塗れなくても大丈夫です。
子どもが塗る楽しさを味わえるように意識したり、色の濃さに気づけるようにしたりしていきましょう。
2-2.書いたものや作ったものを褒めよう!
この方法は、書くことに緊張している子どもや自信がない子どもに効果的です。
まずは、書くことの楽しさやおもしろさを感じられるようにしていきましょう。
何となく書いたものでも、大人が褒めてくれると子どもは嬉しくなります。嬉しくなると、またやってみようと書いて遊ぶでしょう。
子どもの書いたものを見たときに、「これなにかな?」、「字が薄くて見えない」と思うこともあるでしょうが、指摘してしまっては子どもの書く意欲をなくしてしまいますので、「絵や字をみせてくれて嬉しい。ありがとう。また見たいな!」と伝えて次につなげていきます。
書く機会が増えれば、ある日突然、筆圧が強くなることだってありますよ。
2-3.芯が柔らかい鉛筆を使おう!
筆圧が弱い子どもには、芯が柔らかい鉛筆がおすすめですよ。
芯が柔らかい鉛筆は、一般的な鉛筆よりも書き始めから力を入れずに書くことができます。書くことが楽しくなり、筆圧を自然に強くすることを体感できるのはいいですね。
筆者の子どもは「6B」の鉛筆を使い始めてから、書いて遊ぶことが増えました。見ていると、スムーズに書けることや書いたものがはっきり見えるのが嬉しかったのでしょう。
その後、「2B」の鉛筆を使うと、いつの間にか筆圧が強くなっていたことも覚えています。
先ほど、筆記用具の持ち方(1−1.筆記用具は正しく持てているかな?)でもご説明したように、鉛筆は親指・ひとさし指・中指の3点で支えるので、軸が三角形のものが扱いやすそうでしたよ。
2-4.生活の中でも手指をたくさん使おう!
子どもの筆圧が「弱い」「強い」ときのチェックポイント(1-5.書くとき以外の指先の動きはどうかな?)でも触れましたが、指先を使う経験は大切です。
難しく感じるかもしれませんが、指先を使う機会は意外と簡単に作ることができますよ。
遊びでは、粘土遊び、砂場遊び、ボール投げ、積み木、ブロックなど。
生活では、ボタンとめ、お菓子の袋をあける、服やカバンのチャックの開け閉めなど。
指先は使えば使うほど器用になるので、いろいろな経験を積んでいきましょう。
意識してみると、「あ!これも指先使う機会になっている!」と思えておもしろいですよ。
3.子どもの筆圧が「強い!」適切な筆圧にするおすすめの方法
続いて、筆圧が強い子どもに対してのおすすめの関わり方を紹介します。
3-1.小指の位置を見直そう
鉛筆を持つときに力が入りすぎると、筆圧が強くなります。
しかし、子どもに「力を抜いて持とうね」と言ってもはっきり伝わりませんよね。
そこで、小指の位置に注目してみましょう。
小指の位置を見直すことで、自然と力を抜いて持つことができます。
小指を手のひらにくっつけるように、軽く巻いてみましょう。
すると、親指と人差し指の力が抜けて動かしやすくなります。
親が見本を見せたり、子どもの手を持って持ち方を伝えると、イメージしやすいですよ。
また、小指が紙(机)にしっかりついているかも見てあげてくださいね。
手首が安定して字が書きやすくなるでしょう。
3-2.背筋を伸ばして絵や字をかこう!
書くときに背中が丸くなり、机に顔が近くなっていませんか?
背中を伸ばして座ることで、筆記用具が持ちやすくなります。
また、呼吸がしやすくなり気持ちも落ち着くため、力を抜いて書くことができますね。
姿勢が安定すると、長時間作業や勉強に集中できるので、学習面の伸びにも繋がりますよ。
3-3.芯が硬い鉛筆を使おう!
筆圧が強い子どもには、芯が硬い鉛筆がおすすめです。
芯が折れにくいことに加えて、芯が柔らかい鉛筆に比べると書いた字や絵がにじんだりつぶれたりしにくいので、書くことを楽しめます。
鉛筆が紙に食い込みにくいところもメリットの1つですよ。
楽しく書いて遊ぶうちに子どもなりに筆圧を調整し、自然と適切な筆圧が身につくでしょう。
3-4.柔らかいものに触れる機会を持とう!
筆圧が強い子どもは、普段から力を入れているために手や指先が固くなりがちです。
そこで、遊びを通して柔らかいものに触れることが効果的ですよ。
フェルトボールなどの柔らかいクラフト材料や、紙粘土を使っての工作、水風船で遊ぶ体験がおすすめです。
始めは上手く扱えない姿におうちの方はもどかしい思いを感じるかもしれませんが、繰り返し遊ぶ経験が子どもの力を伸ばしますので、成長を楽しみながら一緒に遊んでみてくださいね。
その他、虫探しや砂場遊びも効果的です。
繊細なものをつまんだり握ったりする中で指先の感覚が磨かれて、自然と筆圧を調整する力につながりますよ。
ぜひ試してみてください。
4.指先が器用になる!鉛筆を使った楽しい手遊びを紹介
最後に、鉛筆を使った手遊びを紹介します。
日常のスキマ時間に子どもと楽しんでみてください。
4-1.鉛筆エスカレーター
長めの鉛筆を用意し、先端(芯から遠いところ)を持ちます。その位置から芯のほうへ向かって、親指・ひとさし指・中指を動かしていきます。
・筆圧が「弱い」子どもへの効果
鉛筆が落ちないように持つことでしっかり持てるようになる!
・筆圧が「強い」子どもへの効果
力を抜いて柔らかく指を動かすことを覚えられる!
指の屈伸運動をすることで、指先の感覚が鍛えられます。
柔らかく指を動かせると、鉛筆を持つときの力の入れ方も体感できるのでおすすめですよ。
何度も遊ぶ中でスムーズに鉛筆をずらせるようになるとバッチリです。
4-2.鉛筆回し
まず、親指とひとさし指の間に鉛筆をはさみます。
鉛筆を持った手だけを使って、隣(ひとさし指と中指の間)に鉛筆を運び、最後に中指と薬指の間まできたらゴールです。
・筆圧が「弱い」子どもへの効果
親指・ひとさし指・中指を中心に指全体を大きく使うので、指先が鍛えられる!
・筆圧が「強い」子どもへの効果
指を曲げて力を抜くことを繰り返す中で、力加減をコントロールする力が身につく!
隣の指に鉛筆を運ぶには手指の力加減やコントロールする力が必要なため、自然と筆圧を調節できるようになるでしょう。
「鉛筆エスカレーター」より難しいので、遊び応えがありますよ。こちらも長めの鉛筆で遊ぶのがおすすめです。
遊びの中で鉛筆をたくさん落としてしまう場合は、芯を削っていない新しい鉛筆か、似た太さのペンをお使いください。
ゴールを薬指と小指の間にするなど、子どもの様子を見ながら何度もチャレンジしてみてくださいね。
5.指先をたくさん使う経験をして、適切な筆圧を身につけよう!
筆圧が「弱い原因」と「強い原因」の解決策を様々な視点で見てきましたが、指先の動きが大事なポイントでしたね。
実は、子ども達が生活の中で指先を使う機会は近年減っています。
水道やドアなどが自動になり、蛇口やドアノブをひねる機会もなくなってきました。
スマートフォンやタブレットに触れてみたり、似た形のおもちゃで遊ぶ中で指は動かしているのでは?と思われるかもしれませんが、指に力を入れることができないので、良いとは言えません。
適切な筆圧にするためにも指の力の調節は大切ですよね。
子ども達と過ごす中で、手指を使う経験をたくさん取り入れ、筆圧を調整しながら書くことを覚えられたら幸いです。
鉛筆を使った楽しい手遊びにも、チャレンジしてみてくださいね!
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