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親子登山はメリットがいっぱい!山登りで身体を鍛え、脳の発達を促そう

この記事を書いた人

さたけ のぞみ さたけ のぞみ

さたけ のぞみ

  • 作業療法士

自宅へ伺う訪問リハビリテーション、発達障害がある子どもへの療育など、作業療法士として15年勤務しています。

造形・アート、自然体験活動などを通して、子どもたちを支援し、また子どもたちから日々沢山のことを学んでいます。

プライベートでも2人の娘と、森でのお散歩や創作活動を一緒に楽しんでいます!

「親子で山登りを楽しみながら、子どもの能力を伸ばしたい」

「山登りの教育的メリットを具体的に知りたい」

「親子で山登りを始めたいけど、何から準備すべき?」

そんな悩みをお持ちの方へ、今回は「登山の教育的効果」「親子登山の魅力」「子どもと登山を始めるときの注意点」について詳しく解説します。

登山は身体だけでなく、脳の発達を促す効果もあると言われています。

筆者自身も娘と登山に行くたびに、山道を自力で登れるようになっていたり、すぐに諦めなくなっていたりと成長を実感しています。

この記事では、初めて子どもと登山に行かれる方が注意すべきポイントも詳しくお伝えします。

親子での登山を始める際の参考にしてみてください。

 

目次

1.山登りの教育的効果とは?

山登りは子どもにとって簡単ではないからこそ、心身を鍛え成長を促す効果があります。

どんな効果があるのか具体的に見ていきましょう。

 

1-1.運動機能の向上

山登りをするメリットは、

運動機能を総合的に高めることができることです。

山登りでは持久力を鍛えることができます。少なくとも1時間程度は登り道を歩き続けなければいけません。

持久力には身体を動かし続けるための「筋持久力」と、心臓や肺の機能に関わる「心肺持久力」がありますが、登山ではどちらも向上させられます。

また、山登りは下半身や体幹の筋力も鍛えられます。

山では上り坂や下り坂、階段など、日常生活よりも負荷がかかる道を歩くため、自然と足腰の筋力が鍛えられるのです。

山道はバランス能力を鍛えるにも絶好の場所です。

山道は木の根が張った道や、湿ってすべる土など不安定な場所が多いため、身体の使い方を習得することができます。滑りそうになったときには、足の指に力を入れて踏ん張ったり、リュックの重さに引っ張られないように姿勢を調節するなどの身体コントロールを自然に行っています。

 

1-2.脳の発達

山登りは子どもの脳を発達させると言われています。

脳科学者の瀧靖之さんは「子どもの脳の力を伸ばすには、アウトドア(自然)がとても重要な働きをする」と述べています。

子どもの脳を育てる一番のエネルギーは「好奇心」であり、自然は子どもの好奇心を刺激します。中でも手つかずの大自然が子どもの脳を発達させるとして、登山がおすすめされています。

では、脳機能が向上するとは具体的にどういうことでしょうか。

脳機能が向上するというのは、脳神経細胞のネットワークのつながりが強くなるということです。脳神経細胞のネットワークが強くなることで、

記憶力や思考力、判断力が向上し、未知の状況にも適応しやすくなります。

好奇心はこの脳神経ネットワークのつながりを強めることが、研究により証明されています。

「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、興味があることや好きなことはどんどん吸収できるのです。

脳科学的な視点から、登山は子どもの好奇心を引き出すのに最適な活動と言えるでしょう。

 

1-3.自然の中で五感を刺激する

大自然の中にいると、五感を刺激するものがたくさんあります。

例えば、普段は目にすることのできない植物や生き物を見たり、雨上がりの土の匂いをかいだり、これまで聞いたことのない鳥の声を聞いたりすることができます。

子どもにとっては、五感への刺激をシャワーのように浴びられる環境といえるでしょう。

五感の刺激は、子どもの脳の発達に欠かせないものです。

五感を刺激することによって、脳神経ネットワークが強化されます。特に、赤ちゃんから幼児期にかけては、五感を刺激することが脳の土台を育てる上で重要です。

この時期にしっかりと土台を作ることで、

将来的な学習能力の向上につながるとされています。

 

1-4.目標達成に向かう力を養う

小さな子どもにとって、山登りは大きな挑戦です。

初めての場合、山道自体が怖く感じることもあるでしょうし、経験の浅い子どもは疲れて「帰りたい」と親を困らせることもあります。

しかしながら、子どもたちはこのような辛い気持ちを克服して山を登ることができれば、成功体験を得ることができます。その達成感から、

「自分は頑張ればできる」という自己信頼感を育むことができます。

子どもたちが山頂に到達できない場合もありますが、山登りは山頂に到達することだけが目的ではありません。

子どもたちは山登りに挑戦し、自分でリュックを背負うことなど、小さな成功体験を積むことができます。大人が子どもたちに声かけをし、前向きな気持ちを持たせることが大切です。

 

2.親子登山を始めるときに注意したいポイント

「子どもと一緒に登山を始めたい」と思ったときの注意点をご紹介します。

登山という負荷がかかる活動では、子どもに合わせた備えが大切です。子どもとの登山を成功させるために、ポイントをおさえておきましょう。

 

2-1.子どもに合わせたコースや日程を組む

親子での山登りを成功させるには、子どもに合わせたコースや日程に配慮します。

一般的には初めて登山をするなら、所要時間が1-2時間、高低差が400-600m程度のコースがおすすめです。

外歩きに慣れていない子どもの場合、事前にキャンプ場や自然公園で外歩きに慣らしておくと安心ですね。

子どもと登山する場合は立ち止まったり、休憩をはさむことが多くなるため、ガイドブックの所要時間の1.5〜2倍の時間を見ておくとよいでしょう。

往復の移動時間や起床時間など、総合的に無理のないスケジュールにしておくと、子どもが疲れて機嫌が悪くなることも避けられます。

 

2-2.服装や道具の準備

山登りを快適に楽しむには、服装や道具の準備が欠かせません。

最低限必要な服装や道具は以下の通りです。

  • :登山靴または、はき慣れた運動靴。ばんそうこうや厚手の靴下などで靴擦れ対策をしておくと良い◎
  • 衣類:軽く、速乾性のあるものがおすすめ。温度調節できるように重ね着が基本。アウターは防風・防水できるものが良い。悪天候に備えて折りたたみ式のカッパがあると安心。
  • 帽子:日差しや虫から身を守る。明るい色だと目立ちやすく、遭難防止に。紫外線対策をするためにも帽子は必須アイテム。
  • リュック:子どもが背負う場合はサイズが合うものを選ぶ。小学校低学年ならば、容量は1.5L程度が適切。
  • 救急セット:ばんそうこうやテーピング、虫刺され薬などが入っていると安心。
  • 携行食と水分:お弁当やおやつがあると、栄養補給や気分転換になります。
  • 地図とスマホ:GPSを使用するので、充電切れに注意が必要。予備のバッテリーを持参するのも◎

 

上記のものを基本に、登山するコースや日程に合わせて必要なものを加えましょう。

 

2-3.子どもの体調への配慮

子どもと一緒に登山する際には、体調管理が最も重要です。以下は、子どもと一緒に登山する前に考慮すべきポイントです。

・前日は生活リズムを整えておく

子どもは前日に興奮しやすい傾向があるので、当日に万全の体調で臨めるように、

前日はゆっくりと湯船につかったり、早めに寝床に入ったりしましょう。

・特に注意が必要なのは「熱中症」

熱中症は、暑い中で運動をしたり、水分が不足したりすることで引き起こされます。

熱中症の症状には、次のようなものがあります。

  • 汗をかかない、尿が出ない
  • ぼんやりしている
  • ぐずる、機嫌が悪くなる
  • 発熱

熱中症の症状がある場合は、すぐに登山を中止して、病院を受診しましょう。

熱中症を予防するためには、以下のような対策が必要です。

  • 帽子をかぶる
  • 日陰を歩き、長時間日差しを受けないようにする
  • こまめな休憩や水分補給
  • 歩くペースを大人が調整する

 

【トホホな体験談】

子どもと一緒に登山したとき、途中で子どもが元気がなくなり、顔が真っ赤になっていました。

すぐに日陰で休ませ、水分補給をし、何とか体調を回復しました。

梅干しは塩分補給に役立ちました。5月で油断していたのですが、かえって身体が慣れていない暑さに遭遇してしまったので、その点について後から反省しました。

以来、こまめな水分補給を心がけ、塩飴や梅干しを必ず持っていくようにしています。

 

2-4.ゴールにこだわらず道中を楽しむ

山登りをすると、どうしても山頂に行くことに意識が向きがちになります。しかし山登りの楽しみは登頂だけではありません。

山でしか出会えないような雄大な景色や紅葉などを楽しむ、標高の高い場所でしか見られない花や虫を観察するなど、道中で体験できる楽しみがたくさんあります。

親子で途中の道のりを一緒に楽しむことで、お子さんも「また山に行きたい!」と言ってくれるでしょう。

 

3.家族で山登りする魅力

家族での山登りには特別な魅力があります。

子どもとの山登りをする筆者も、実感している魅力について、2点ご紹介します。

 

3-1.非日常を味わえる

山登りは家族で特別な時間を過ごすにはピッタリの方法です。忙しく旅行に行く時間をとれない方でも、簡単に非日常の世界を味わえます。

登山の道具を揃えると、普段使わない道具を目にしてワクワクします。

電車を使う場合は、家族で電車に乗ることに、子どもたちは大はしゃぎするかもしれません。

街の景色を離れて、緑が多い風景が見えてくると、「遠くに来たんだ」と実感します。

登山中も、普段とは違う別世界の景色の連続です。山頂からの眺めや、山でしか見られない植物や昆虫など、心に残る風景があります。

大人も、日々の仕事の疲れが癒され、リフレッシュできるかもしれません。

 

3-2.家族の絆が深まる

山登りは、家族でのコミュニケーションを深める素晴らしい方法です。

登山中には、一緒に困難を乗り越えたことで絆が深まり、おしゃべりをしながら楽しい時間を過ごすことで、家族の絆がより一層強くなります。

筆者も娘と一緒に登山していると、友達のことや普段考えていることなど色々な話を聞くことができます。日常でゆっくり話す機会は意外とないので、大切な時間になっています。

忙しいご家庭こそ、家族で特別な思い出になる親子登山はおすすめです。

 

4.親子登山で、最高の思い出を作ろう

今回は、親子登山の効果や魅力、子どもとの登山で注意が必要な点についてご紹介しました。

親子での登山はハードルを感じる方もいるかもしれませんが、登りやすいコースを選べば子どもと一緒でも十分楽しめます。毎日お仕事で忙しいお父さん、お母さんにとってもリフレッシュできる時間になるかもしれません。

登山を通じて、家族で協力し、一緒に挑戦することで、子どもたちに自信や成長の機会を与えることができます。ぜひ、親子での登山にチャレンジしてみてください。

 

主な参考文献
・脳科学者が教える! 子どもを賢く育てるヒント「アウトドア育脳」のすすめ,瀧靖之,山と渓谷社,2018
・脳と心の発達メカニズム~五感の刺激の大切さ~,指導用スライド教材Ⅰ,東京都教育委員会,2011

 

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