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ブレない態度が肝心!「買って買って」と駄々をこねる子への適切な対応策

この記事を書いた人

遠藤さおり 遠藤さおり

遠藤さおり

  • 社会福祉士

大学在学中に社会福祉士・介護福祉士の資格を取得。

知的障害児のレスパイトサービスや高齢者介護施設での勤務を経て、現在は福祉系ライターとして活動中です。

自身も小学生の子の母として、子どもの可能性を伸ばすことを第一に考えながら子育て奮闘中!

福祉の視点を活かしながら、お悩みに寄り添った記事の執筆を目指してまいります。

スーパーのお菓子売り場で、お子さんに「買って買って!」と駄々をこねられて困った経験はありませんか?

「今日は買わないわよ。また今度ね」と言うと、子どもはさらに反発して大声で泣き始めてしまう……

周りの目もある中、恥ずかしさと申し訳なさで、いたたまれなくなってしまいますよね。

このようなときは、どう対応するのがベストでしょうか?

今回は、子どもの「買って買って」に対して、望ましい対応を5つのステップに分けてご紹介します。

効果的な関わりで、3歳頃の子どもの「我慢する心」を育みましょう。

 

目次

1.どうして「買って買って」と駄々をこねるの?

3歳くらいの子どもに多い「買って買って」と駄々をこねる行動。

「このままわがままに育ってしまったら…… 」と心配になりますが、これは自我が芽生えてきた証です。

ずっと続くわけではないので、安心してくださいね。

この頃の子どもは、目の前にある「欲しい」「やりたい」といった欲求をコントロールする能力が十分に備わっていません。

お母さんに「また今度ね」と言われても、目の前にある欲求を我慢できないのです。

しかし、そんな自分の欲求を伝える手段もまだまだ未熟。

結局最後には、大声で泣いたり、寝転がって動かなかったりしてしまうのです。

とくに、スーパーではお母さんも買い物に夢中ですよね。

子どもはさらに退屈になり、「自分を見て欲しい」という欲求がプラスされていつも以上に聞き分けが悪くなるのです。

 

2.駄々をこねる3歳児への対応のポイントは?

外で手がつけられないくらい駄々をこねられると、途方に暮れてしまいますよね。

思わず「ダメだって言っているでしょう! いいかげんにしなさい! 」と怒りたくなってしまいますが、まずはママが冷静になりましょう。

子どものペースにのまれず、「我慢の心」を育むチャンスと捉えて前向きに対処するのがオススメです。

3歳頃は「自分の思ったとおりに、自分でやりたい」と主張する時期です。

お母さんが「こうしようね」「これはダメだよ」と言っても、なかなか受け入れてはくれません。

そんな時期だと割り切って、「自分でやりたい」を満たしてあげるような関わりを心がけてみましょう。

まだまだ1人では難しい時期なので、子どもを主体にしながら「一緒にやってみよう!」の姿勢を軸に関わるのがポイントです。

 

3.駄々をこねる子への対処法【5つのステップ】

周囲の目がある中で「買って買って」と駄々をこねられると、「ひとまず、この場を収めなければ!」と焦ってしまいますよね。

しかし、長い目で見ると、その場しのぎの対応に効果はありません。

駄々をこねられたら、子どもの「我慢する心」を身につけるチャンスだと捉えて、上手にサポートしましょう。

ステップにそって対処することで、お母さん自身も冷静に対応できるようになります。

 

3-1.【ステップ1】出かける前に約束する

まずは、買い物に出かける前に子どもと約束をしましょう。

わかりやすいよう、端的な言葉で「買わない」と伝えます。

このとき「どうしてダメなのか」も一緒に伝えると、子どもの納得感が増します。

理解度に応じて、ものを買うときにはお金が必要であることも伝えるのもオススメです。

例:「今日は夕ご飯の食材を買うよ。お菓子は買わないよ」

「今日はお金をたくさん持っていないの。だから買わないよ」

 

一方、子どもに買ってあげる予定があるときも、同じように事前に伝えておくのがオススメです。

約束どおり買ってもらえた」という経験が、「買わないと約束したら、しっかり守る」という行動につながります。

例:「明日は動物園に行こうね。お菓子を1つ買っていいよ」

 

3-2.【ステップ2】欲しい気持ちに共感する

約束をして出かけても、スーパーで欲しいお菓子を見たら「買って買って」が始まってしまうこともありますよね。

「買わないと言ったのに! 」と思ってしまいますが、そこはグッとこらえて、まずは子どもが欲しがるものを一緒に見て、子どもの気持ちに共感しましょう。

例:「いいね! 」

「可愛いね。それが欲しいんだね」

子どもの「買って買って」の裏側には、「欲しい」と一緒に、自分が気に入ったものを「お母さんに見せたい・共感して欲しい」という思いがあります。

「買わない約束はしたけれど、やっぱり欲しいし、お母さんに見てほしい! 」

このような子どもの葛藤を、受け止めてあげましょう。

頭ごなしに「今日は買わないって言ったでしょう。行くわよ」と伝えると、子どもは自分を否定された気持ちになります。

余計な反発を招かないためにも、まずは子どもと同じ目線に立って共感の姿勢を見せましょう。

その上で、「でも、今日は買わないって約束したよね」と改めて伝えるのがベストです。

 

3-3.【ステップ3】前向きな提案をする

子どもが我慢の葛藤と戦っているときは、前向きな提案をして気持ちを切り替えるサポートをしましょう。

3歳児の援助のポイントは、子どもの主体性を大切にすることです。

自分でやりたい」を刺激するような、前向きな提案をしてみることで、気持ちを上手に切り替えられるようになります。

例:「いつ買おうか? お誕生日にする? クリスマスにする?

どれがほしいか、考えておいてね」

 

また、子どもの「買って買って」は、興味や意欲を引き出すチャンスでもあります。

欲しがったものからヒントを得て、「一緒にやってみよう」につなげてみましょう。

例:「車のおもちゃが欲しかったのね。

じゃあ、おうちの粘土で一緒に作ってみようか! どんな車にする?」

このように、あくまで子ども主体で決めるのが重要です。

「欲しい物を手に入れられなくても、代替案で納得する」というプロセスを繰り返し経験することで、自分で乗り越えるスキルを身につけられます。

子どもが「自分で決めた」と前向きな気持ちになれるように会話をリードし、「我慢する心」を育みましょう。

 

3-4.【ステップ4】その場から離れる

いくら聞き分けのよい子どもでも、欲しいもの・我慢したものが近くにあると、気持ちを切り替えられないものです。

子どもが他のものを欲しいと提案してきて振り出しに戻ってしまう前に、すみやかにその場から離れましょう。

このときも、子どもの「自分でやりたい」を引き出す声掛けができたら効果的です。

例:「今日はお肉も買うんだった! どれがいいか、一緒に選ぼうか」

 

一方で、欲しいものを買ってもらえないことに納得できず、その場で泣き出してしまうこともあるかもしれません。

周りの目もあり、お母さんも辛いですよね。

しかし、このようなときもその場で怒るのは避け、冷静に子どもが欲しいものから遠ざけましょう。

迷惑にならない場所があれば、気が済むまで泣かせるのもOKです。

落ち着くまで待ってから、気持ちを切り替えるよう声掛けをしましょう。

3歳くらいの子どもは、自分の欲求を我慢できずに泣いているうちに、なぜ泣いているのかわからなくなりパニックのような状態に陥ることがあります。

共感の声掛けも効果なし・切り替えの声掛けにも耳を傾けないようであれば、「この時期はこういうもの」という割り切りも必要です。

ずっと続くわけではないので、ドンと構えて成長を見守りましょう。

 

3-5.【ステップ5】我慢できたことを褒める

買い物が終わったら、子どもが約束どおり我慢できたことをしっかり褒めましょう。

改めて伝えることで、誇らしい気持ちをより強く実感できます。

例:「行く前にした約束、しっかり守れたね。頑張ったね」

最初はスムーズにいかないかもしれません。

泣いて大変だった……という日も多いでしょう。

しかし、そんなときも最後は子どもの頑張りを認める声掛けで締めましょう。

繰り返しているうちに、お母さんに褒められた経験が自信となり、徐々に成長している姿を見られるようになります。

 

4.駄々をこねる子への対処法【NG対応】

ここからは、逆効果になりうる「NG対応」と、その理由をご紹介します。

「これって正解? 不正解? 」と疑問だったことや、思わずやってしまいがちなことも登場するので、チェックしてみてくださいね。

 

4-1.根負けしない

ダメと言っているのにお店で泣かれると、この場をやり過ごそうと、ついつい「わかった。今日だけね」と言いたくなってしまいますよね。

しかし、お母さんのそんな一貫性のない行動を子どもはお見通しです。

今回だけのつもりでも、また同じシチュエーションになれば「今日だけね」と言ってもらえるまで粘ります。

子どもの「我慢する心」を育むチャンスが台無しなので、お母さんは根負けしないようにしましょう。

重要なのは、ブレない心です。

反対に、「買わないと約束したのに買ってもらえた。どうしてだろう? 」という経験も、子どもの混乱を招くことになります。

「今日は買ってあげるよ」と約束したら買い、「今日は買わないよ」と言ったら買わない。

あくまで一貫した態度を貫きましょう。

 

4-2.無視しない

出掛けの約束を守らず「買って買って」が始まってしまうと、うんざりしてしまいますよね。

しかし、「買わないって言ったでしょう」と軽くあしらうと、子どもは親の気を引こうとさらに大きな声を出したり泣いたりと、状況が悪化します。

お母さんが真剣に取り合ってくれないとわかると、毎回「買って買って」と試すようになってしまうこともあるでしょう。

余裕がないときほど子どもの「買って買って」に対応するのが大変ですが、長い目で見ると、丁寧に対応した分早くゴールに近づきます。

【ステップ2】で挙げた「欲しい気持ちに共感する」を実践してみましょう。

 

4-3.否定しない

大人からすると、子どもが欲しがるものを理解できないときがありますよね。

「似たようなものがいっぱいあるのに」「それよりこっちの方がいいのに」と思うことも多いのではないでしょうか。

しかし、子どもが欲しがるものに対して「必要ないでしょ」「いらないでしょ」と否定するのはNGです。

実際に役立つかどうかは別として、子どもが自身の感性で「欲しい」と思ったものは、本人にとっては「必要なもの」なのです。

欲しいと思った「もの」や「気持ち」を否定され続けると、子どもは自分を否定されたと感じ、「本当に欲しいもの」がわからなくなります。

このようなやり取りを繰り返しているうちに「手に入れること」だけに執着するようになってしまうので、注意しましょう。

「買うこと」自体が悪なのではありません。

買わないときと買うときのメリハリをつけ、子どもとルールをと共有して親が譲歩する機会も設けましょう。

 

4-4.大声で怒鳴らない

子どもがいつまでも駄々をこねていると、ガツンと叱った方が効果的かな? と感じることもあるでしょう。

しかし、人前で大声で叱るのは得策ではありません。

周りの人は親子の状況を理解してくれるかもしれませんが、子どもは、幼いながらに持っている「自尊心」が傷つきます。

状況がさらにエスカレートすることもあるので、冷静に対処しましょう。

また、「大声で叱らないと言うことを聞かない」となってしまうと、このシーンに限らず、日常的に困ることが増えてきます。

ここぞというときに親の思いが伝わるよう、日々必要なときに必要な分だけ「最低限叱る」という習慣を意識しましょう。

 

4-5.脅しを使わない

子どもに言い聞かせたいとき、使ってしまいがちな「脅し」や「ダブルバインド」。

「いつまでもしつこいと、置いてっちゃうよ」「店員さんに怒られるよ」といったように、脅しでコントロールしようとするのはNGです。

毎回丁寧に対応するのは根気がいりますが、「なぜダメなのか」+「今日は買わない」をセットで説明しましょう。

また、「買う」と言ったのに「やっぱり買わない」「そのお菓子なら買わない」というように、親の言動に矛盾が生じる「ダブルバインド」の状態を避けるのも重要です。

このようなコミュニケーションのパターンを続けていると、「買ってくれないなら、帰らない」というように、子どもが真似するようになります。

まずは、お母さん自身が約束を守る姿を子どもに見せましょう。

 

ダブルバインドについて詳しく知りたい!という方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

>>脱「ダブルバインド」!〜良好な親子関係&子育てのための5つのヒント〜

 

5.「買って買って」を予防するコツ

最後は、子どもの「買って買って」を起こさせないためのコツをご紹介します。

毎日の家事・育児で疲れている中、お母さん方も様々な工夫をされていることと思います。

少しでも買い物にストレスを感じないよう、基本的なことではありますが、今一度振り返ってみましょう。

 

5-1.買い物に退屈しない工夫をする

子どもにとって、スーパーでの買い物は退屈です。

お母さんの注意を引けないので、なおさら不満が溜まることでしょう。

退屈しのぎに絵本などを持たせておくのもよいですが、せっかくなら「買い物ならでは」の会話をしてみませんか?

「自分でやりたい」を刺激するやり取りがあれば、子どもにとっても買い物が「主体的に楽しめるもの」になります。

例:「今日の夕ご飯は何にしようかな? 何がいいと思う?」

「どっちのトマトがいいと思う? 一緒に選んでほしいな」

買い物は、「旬の食材」や「お金の勉強」にふれるチャンスでもあります。

社会勉強と捉えれば、一石二鳥です。

 

5-2.子どもに魅力的な場所を避ける

2つめは、そもそも「買って買って」が起こりそうな場所には近づかないことです。

まだまだ我慢ができない3歳児。目の前に欲しい物が現れれば、出かける前の約束も忘れてしまいます。

行くスーパーを選んだり、お店の商品配置に注意したりしながら、この時期だけでも上手に乗り越えましょう。

 

5-3.疲れや空腹の時間を避ける

子どもが駄々をこねるときは、疲れや空腹が大いに関係します。

疲れた・眠い・お腹がすいたなど、子どもにとって買い物自体が「嫌なもの」にならないよう、コンディションに配慮しましょう。

いずれも、「今の時期限定」です。

ずっと続くわけではないので、子どものペースに合わせて買い物時間を調整しましょう。

 

6.ブレない態度で、子どもの「我慢する心」を育もう

イヤイヤ期に始まり、自我が芽生えたお子さんをお持ちのお母さん。

買い物に限らず、毎日様々なシーンで子どもの「駄々こね」に対応されていることと思います。

子どものためを思うと、何でも「いいよ」というわけにはいかない…… と身構えてしまいますが、決して「買わないこと」だけが正解ではありません。

重要なのは、「買わないと言ったら、約束どおり買わない」というブレない態度です。

子どもが欲求コントロールするための「訓練」だと捉えて、前向きにサポートしていきましょう。

子どもにとって、「我慢できたら、褒められた」「今日はいいよと言われて、買ってもらえた」という小さな達成感は、自己肯定感や自尊心を大きく育てます。

上手に取り入れながら、この時期の子どもの成長を見守りましょう。
 

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