子どもがものを大切にできない・すぐなくす…理由と対応法は?
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
- 子どもが絵本を乱暴に扱って破いてしまう
- おもちゃを部屋中に散らかしたまま…
- おもちゃを買ってあげてもすぐになくしてしまう
このように、子どもがものを大切にしなかったり、すぐなくしたりする姿を見て、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
子どもがものを大切にする心は、家庭でしっかりと育てられます。
この記事では子どもがものを大切にしない原因や、ものを大切にすることがもたらす効果、子どもにものの大切さを教える方法を紹介します。
子どもがものを大切にする心を育むおすすめの絵本も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.子どもがものを大切にしなかったり、なくしたりする原因は?
子どもがものを大切にしなかったり、なくしたりする原因は、以下の3点が考えられます。
1-1.代わりのものがすぐに手に入る
子どもがものを大切にしないのは、ものが手に入りやすい環境に慣れてしまっているのが原因だと考えられます。
現代社会ではさまざまなものが手軽に入手できる状況にあり、子どもはおもちゃが壊れてもすぐに新しいものを買ってもらえると思ってしまいがちです。
このように常に新しいものが手に入る生活環境の中で育つと、子どもはものの価値を実感しにくくなってしまいます。
1-2.どこに何があるのか分からない
子どもがものをなくすのは、「どこに何があるのか」を把握できていないことも原因の1つです。
3~5歳頃の子どもには、自分の持ちものを適切に管理する力がまだ育っていません。
そのため、おもちゃをきちんと片付けずに置きっぱなしにしたり、脱いだ服をそのまま放置したりします。
すると、「どこに何を置いたか」が分からなくなり、ものをなくしてしまうことがあります。
また、片付けられず散らかっているものを見ても、「大切に扱おう」という気持ちになりにくいでしょう。
1-3.感情的になっている
子どもは感情的になると、ものを投げる・蹴るなどして、壊してしまうことがあります。
大人に比べ、子どもは感情をうまくコントロールできず、怒りやイライラをものに向けてしまうことがあるからです。
2.ものを大切にするとどうなる?
ものを大切にすると、以下のような効果が生じると言われています。
2-1.人も大切にできるようになる
ものを大切にする人は、ものに対する思いやりや共感を持ちやすい傾向があります。
このような感情は他人に対する共感や思いやりにも影響を与え、人を大切にする気持ちを育むでしょう。
また、大切にしているものを作ってくれた人や、プレゼントしてくれた人にも感謝の気持ちを抱くようになると考えられます。
2-2.忘れものが少なくなる
ものを大切にすると、忘れものが少なくなる傾向があります。なぜなら、大切にするということは、丁寧に扱うということでもあるからです。
ものを大切に思う気持ちが育てば、適当に放置せずきちんと定位置に片付けるようになるでしょう。
ものの定位置が定まっていれば、必要なものがどこにあるかがすぐに分かるため、ものをなくしたり忘れたりしにくくなりますよ。
3.子どもにものの大切さを教える5つの方法
ここからは、子どもにものの大切さを教える方法を5つ紹介します。
3-1.ものをすぐに買わない
3~5歳頃の子どもは、ものをなくしたり壊してしまったりすることがよくあります。
しかし、そのような場合もすぐに新しいものを買うのではなく、以下のような対策を取ることで、ものの大切さを教えられますよ。
①なくした場合はまず探す
一緒に探すことで、「ものを大切にしなければならない」という気持ちが芽生えます。
さらに、探す過程で「次はなくさないよう気をつけよう」と思うようになるでしょう。
②ものをなくした時は、なぜなくしたのかを一緒に考える
親子でものをなくした原因を一緒に考えることで、ものを扱う際の注意点や、なくさないための対策が見つかります。
子どもと一緒に「きちんとしまう」「置き場所を決める」などの対策を考え、子どもが実行できるようにサポートしてあげてください。
③壊れたものは修理する
壊れたものもすぐ捨ててしまうのではなく、修理し長く使い続けることで、ものを大切にする価値観が身につきます。
子どもの前で絵本の破れたページにテープを貼る姿を見せるなど、修理の方法を教えてあげるのもいいですね。
3-2.自分でものを作る
子どもが自分でものを作ると、ものへの愛着が湧き、「自分で作ったものだから、大切にしよう」という気持ちが芽生えます。
この気持ちは、作ったものを壊さないように気をつける・きれいに片付けるなど、ものを大切にする行動にもつながります。
作る途中で失敗しても、作り直す体験を通して「大切に扱わないと失敗してしまう」と学べるでしょう。
3-3.ものをしまう場所を決める
子どもがものを大切にする習慣を身につけるには、ものをきちんとしまうことが不可欠です。そのためには、親子でものをしまう場所を決めることから始めましょう。
「おもちゃは白い箱の中」「絵本は本棚」「園で使うものはかごの中」などのルールを決め、子どもが一人でものを片付けられる環境を整えてあげてください。
片付けがうまくできた時はたくさん褒める・大変そうな時はフォローするなどの行動を通して、片付けを習慣化させてあげましょう。
3-4.名前を書く・名前をつける
子どもがものを大切に思う気持ちを育むには、名前をつけることも有効な方法です。
名前をつけることでものに対する愛着が生まれ、「自分の大切なもの」という意識が自然と湧いてくるからです。
さらに、自分の持ちものに名前を書くと、「これは自分のものだ」と自覚できます。
「自分のもの」と意識することで、持ちものを乱暴に扱わず、大切に使うようになるでしょう。
子どもが自分の名前を書ける場合は、自分で名前を書かせてあげるとさらに効果的ですよ。
3-5.親が見本を見せる
教育学者のドロシー・ロー・ノルト博士の書籍『子どもが育つ魔法の言葉』によると、親は子どもにとって、人生で最初に出会う、最も影響力のある「手本」とされています。
下記のように、親が日頃からものを大切にする姿を見せることで、子どもも「ものを大切にする心」を自然と身につけていくでしょう。
具体例
- 古くなったものもすぐに捨てずに人に譲れないか考えてみる
- 壊れたものは修理する
- ものが長持ちするように手入れをする
- 捨てる前に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える
できる範囲で構いません。普段の生活に取り入れてみてくださいね。
4.子どもがものを大切にする心を育むおすすめ絵本
絵本の読み聞かせも、子どもの「ものを大切にする気持ち」を育むおすすめの方法です。
「ものを大切にする心」を学べるおすすめの絵本を3冊紹介するので、ぜひ参考にしてください。
4-1.こんとあき(林 明子:著)
❚ あらすじ
「こん」は、「あき」のおばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ。二人はあきが赤ちゃんの頃から一緒にいましたが、あきが成長するにつれて少しずつこんは古びていき、やがてこんの腕がほころびてしまいます。そこで二人はこんの腕を直してもらうために、おばあちゃんの家を目指す旅に出ますが…。
❚ おすすめポイント
どのような時も「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきを励ますこんと、ぬいぐるみのこんを大切にするあきの優しいやり取りに、心が温まる一冊です。
4-2.もったいないばあさん (真珠 まりこ:著)
❚ あらすじ
お皿の上の食べ残し・お茶碗についたご飯粒…「もったいない」ものを見つけると、どこからともなく現れる迫力満点なもったいないばあさん。
❚ おすすめポイント
ものがあふれている現代ではなかなか上手に教えられない「もったいない」という言葉を、身近に感じさせてくれる絵本です。
4-3.ちいさなくれよん(篠塚 かをり:著/安井 淡 :イラスト)
❚ あらすじ
折れて短くなった黄色いクレヨンが、捨てられてしまいました。しかしクレヨンは「自分がまだ誰かの役に立てるかもしれない」と期待してくずかごを抜け出し、外の世界へ出発します。
❚ おすすめポイント
最後まであきらめず色を塗り続け、小さくなっていくクレヨンの姿は、ものを大切に使うことの重要さと、誰かの役に立てることの幸せを感じさせてくれるでしょう。
5.親子でものを大切にする心を育てよう
子どもはものを管理する能力がまだ十分ではなく、ものをなくしたり壊したりすることも多いでしょう。
しかし、親がものを大切にする姿を見せ、ものを大切に扱う方法を教えることで、子どものものを大切にする気持ちを育てられます。
親子でものを大切にする習慣を身につけながら、子どもの豊かな心を育んであげましょう。
参考文献
・『子どもが育つ魔法の言葉 』ドロシー・ロー・ノルト (著), レイチャル・ハリス (著), 石井 千春 (翻訳)
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