【小学校低学年】悪口を言う子どもへの対応法は?原因と親の適切な関わり方
この記事を書いた人
白山七衣
- 心理カウンセラー
- 幼児教室講師
メンタル心理カウンセラー、日本語教育能力検定の資格所持。
幼児教室講師をはじめ、オンライン講師、家庭教師、添削指導者として0歳から18歳までのお子さんの教育や学習サポートの仕事に長年携わってきました。
現在は、主に教育ライター、子育てカウンセラーとして活動しています。
お子さんたちの学びや成長、保護者の皆様のお悩みに役立つ記事をわかりやすく丁寧にお伝えしていきたいです。
休日は自然の中でお散歩したり、スイーツの食べ歩きをして、リフレッシュしています!
「小学校に入って、急にお友達や先生の悪口を言うようになった」 「悪口を言う子どもにどう対応するのがよいのだろう」
お子さんが他人の悪口を言っているのを聞くと、悲しい気持ちになったり、対応に困ったりするのではないでしょうか。
今回はそんなお悩みをお持ちの方へ、子どもが悪口を言う原因や心理的な背景、具体的な対応法を紹介します。
筆者の幼児教室での経験談もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.悪口を言う子どもの気持ちとは?
小学校低学年の子どもが悪口を言う背後には、どのような気持ちがあるのでしょうか?
ここでは、よくある子どもが悪口を言うきっかけや原因、心理背景についてお伝えします。
1-1.子どもが悪口を言うきっかけ・原因
小学校低学年の子どもが悪口を言うときには、比較的直前にそのきっかけや原因があります。主なきっかけや原因は以下の3つです。
- 相手に嫌なことを言われた・された
- 周囲の人が言っている言葉や流行言葉を真似している
- 環境の変化やストレス
子どもの様子をよく観察し、話を聞くことで、なぜ悪口を言ったのか、まずは悪口を言う子どもの気持ちの理解に努めましょう。
1-2.子どもが悪口を言うときの心理背景
子どもが悪口を言うとき、その背後には3つの心理的要因が潜んでいます。
■自分の気持ちをわかってほしい
子どもは、自分の嫌な気持ちや不安を上手に表現できず、モヤモヤとした感情を相手の悪口として表現してしまうことがあります。
例えば、新学期にお友達ができなくて不安や寂しさを感じている場合、うまく対処することができず、家でお友達の悪口を言うことがあります。不安で寂しい気持ちに、親に寄り添ってほしい、わかってほしいというメッセージが込められていることもあります。
■相手の気持ちに気づいていない
大人でも他人の気持ちを理解するのは難しいことですが、小学校低学年の子どもにとってはなおさらです。活発で天真爛漫な小学生は、思ったことがそのまま言葉になりがちです。相手の気持ちに気づいたり、相手の立場に立って考えたりすることが難しく、気づかないうちに心地よくない言葉を発していることもあります。
また、周りの言葉や流行に影響されて、聞いた言葉をそのまま真似して言っていることもあります。
■自信がない気持ちの裏返し
相手の悪口を言うことで、自分の自信のなさを隠したり、自分の心を守ろうとすることがあります。
例えば、クラスの委員に選ばれたけれど、うまくできる自信がなかったり、失敗したときに友だちから責められるのではないかと不安な気持ちを抱えているとき、友だちの悪口を言ったり、先生への不満を口にすることで、自分を守りたい気持ちが表れることがあります。
2.悪口を言う子どもへの対応法
悪口を言う子どもへの対応法を考える際には、最初に子どもの様子をよく観察し、話をしっかり聞いてあげることが大切です。その上で、子どもの心の成長につながる適切な対応を取りましょう。
ここでは、具体的な対応方法を紹介します。
2-1.自分を大切にする気持ちを育てる
悪口を言うと、相手を嫌な気持ちにさせて傷つけてしまうことを、子どもが理解するためには、まず自分が大切な存在だと認識し、自分を大切にできる気持ちを育てることが重要です。
子どもは、自分を大切にする気持ちが芽生えると、他人のことも自分と同様に大切な存在なのだと認められるようになります。他人に対する思いやりの気持ちも生まれ、悪口は良くないことだと理解し、自己コントロールできる子に成長していきます。
「子どもの気持ちを受け止める」「ストレスを発散する機会を作る」ことを通じて、自分を大切にする気持ちを育てていきましょう。
■子どもの気持ちを受け止める
子どもが悪口を言ったとき、無視したり、頭ごなしに否定したりしないように注意しましょう。無視したり、頭ごなしに叱ってしまうと、自分の気持ちを話したくなくなって無力感に陥ったり、自分が否定されたような気持ちになり、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。
どのような状況で、なぜ悪口を言ったのかを理解し、子どもの気持ちを受け止めることが大切です。子どもはありのままの自分を認められることで、自分を大切に思う気持ちが育ちます。
■ストレス発散の機会を作る
筆者の経験でも、小学校入学や新学期の時期には、急に悪口を言う子が増える印象があります。環境の変化などで、子どもたちは大きなストレスを抱えているのでしょう。その発散方法が、「悪口を言う」ことになってしまう場合があります。「悪口を言う」方向に向かわないよう、他のストレス発散方法をいくつか用意しておけるといいですね。
例えば、下校後は、お友達と一緒に思いっきり体を動かして遊ぶ、あるいはゆったりとした時間を過ごす、週末には家族とのお出かけを楽しむなど、ストレス発散の機会を積極的に作りましょう。
2-2.他人を大切にする気持ちを育てる
小学校低学年の子どもに、他人を大切にする気持ちを言葉で説明するのはなかなか難しいかもしれません。
わかりやすい表現で「相手の気持ちを伝える」、悪口を言わずに「解決法を一緒に考えてポジティブ思考に導く」ことに努めてみましょう。自然に思いやりが生まれ、他人を大切にする気持ちも育って、悪口を言わなくなるでしょう。
■相手の気持ちを伝える
親としては「言葉は相手を傷つけることもあるので、相手の気持ちを考えて言葉を発することが大切だ」と考えるでしょう。
子どもが悪口を言ったら、「相手に対して思いやりを持ちなさい」「相手の気持ちになって考えなさい」と注意することも多いですが、小学校低学年の子どもにとってはなかなか難しいことです。
そこで、お友達に対して、嫌な気持ちになる「ちくちく言葉」ではなく、優しい気持ちになる「ふわふわ言葉」で話そうと指導している学校も増えています。
「ちくちく」「ふわふわ」は自分が感じる感覚としてわかりやすい言葉なので、お友達が「ちくちく」あるいは「ふわふわ」と感じることを想像するのは子どもにも理解しやすいようです。
子どもが悪口を言ったら、「お友達はその言葉を聞いたら、心がちくちくするのではないかな?」「心がふわふわと嬉しくなるにはどんな言葉を言ったらいいかな?」と伝えてみましょう。
相手の立場に立って考えることや、思いやりを持つことは難しいことですが、少しずつできるように導いてあげたいですね。
■解決法を一緒に考えてポジティブ思考に導く
子どもが他人の悪口を言わず、ポジティブ思考になるよう導くためには、お友達など他の人との関わりの中で、どんなときに楽しかったか、嬉しかったかを思い出してみるのもいいのではないでしょうか。
褒められたり、前向きな言葉をかけられたときは嬉しく、一緒にいて楽しくなるものです。それは自分がお友達に対して接するときも同じことで、お友達の良い面を言葉にすることで、友人関係も良くなり、楽しくなるのだということを親子で一緒に考えてみましょう。
普段から「良い所探し」の習慣をつけて、ポジティブ思考を身につけられるといいですね。
2-3.親がネガティブな言葉を発していないか注意する
小学校低学年の子どもは、身近な人の影響を受けやすく、周りでよく耳にする言葉をすぐに取り入れることがあります。
「学校でお友達が話している悪い言葉」「テレビやYouTubeで聞いた刺激的な言葉」「大人同士の会話で使う言葉」「親が子どもを叱るときの言葉」などが、子どもの口から突然出てきてドキッとすることもあるのではないでしょうか。
子どもは、「悪い言葉」だとうすうすわかっている言葉の方が、好奇心をくすぐられ使ってみたくなることがあります。
子どもが言葉の良し悪しを状況に応じて判断できるようになるには、多くの経験と成長が必要です。様々な経験から言葉が身についていくように、言葉を変えることで気持ちや意識の方向が変わることもあります。
子どもたちがポジティブ思考を身につけられるように、一番身近にいる親は、相手に対してネガティブな言葉やマイナス思考の表現をなるべく使わないように気をつけたいですね。
3.友達や先生の悪口を言う子どもの対応事例
ここでは、筆者の幼児教室での経験談をお伝えします。
悪口を言う子どもに、どのような言葉かけをすればよいかの参考になれば幸いです。
3-1.仲の良い友達の悪口を言うA君
幼稚園のときから○○君ととても仲の良かったA君ですが、小学生になって急に「○○君はバカだ~」と言い始めました。
事情を聴いてみると、最初のテストで、A君はほぼ満点だったけれど、○○君は成績が振るわなかったそうです。
そこでクラスの子たちが「○○君はバカだ」と言いだし、それを真似しているのです。
○○君はすっかり自信をなくしてしまったようでシュンとしていますし、A君は、本当は○○君を元気づけたいのだと思いますが、どうして良いかわからず、からかいの言葉をかけ続けています。
そこで、A君に対して、次のような言葉をかけてみました。
「○○君、寂しそうだね。元気づけてあげたいね。○○君はテストでわからないところがたくさんあったのかな?わからないところを、A君が教えてあげたら喜ぶんじゃない?次のテストは2人で一緒に勉強して、2人で良い点が取れたら嬉しいよね。」
すると、Aくんは急にはっとして明るい顔になり、○○君のところへ飛んで行きました。
3-2.新しい担任の先生の悪口を言うBちゃん
Bちゃんは、2年生に進級して、1年生のときの担任が転任し、新しい先生が担任になったそうです。
1年生のときの担任の先生が大好きだったので、新しい担任の先生になかなかなじめないようです。あれのやり方が違う、これのやり方が違う、授業が楽しくないと、前の担任と比べて新しい担任の悪い所を並べ立てていました。
そこでBちゃんに対して、次のような言葉かけをしてみました。
「担任の先生が変わったのは寂しいね。前の先生は、どこの学校に行かれたの?Bちゃんたちのこと心配してるかな?」 Bちゃんは、その先生がどんなに楽しく素晴らしい先生だったか、旧担任に対する思いをたくさん話してくれました。
その後、次のように聞いてみました。
「良い先生だったんだね。今度の先生はどんな感じの先生?背は?髪型は?声は?今日はどんなお洋服だった?」など、まずはおおよその情報を聞いてから「Bちゃんのことはなんて呼ぶの?今日はどんな話をした?へぇ~優しい先生だね。すごい!字がとてもきれいなんだね。授業がわかりやすくなっていいね。」と新しい先生の良い所探しをしました。
「来週また、新しい先生の話を聞かせてね。」と伝えると、Bちゃんは翌週から新しい先生の悪口を言わず、良い所をたくさん話してくれるようになりました。
4.悪口を言う子どもの気持ちを受け止め、ポジティブ思考を育てよう
悪口を言う子どもの背後には様々な要因が隠れています。 子どもはそれらにうまく対処できず、悪口として外に表れることがあります。
心配になることもあるかもしれませんが、心の成長過程で誰にでも起こりうることです。
子どもの様子をよく観察し、じっくり話を聞いて、子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。
一緒になって考え、ポジティブな思考に導くことで、子どもが成長していく様子を見守っていきましょう。
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