叱らない育児を成功させるコツとは?怒らずに伝えるコミュニケーション方法
この記事を書いた人
佐藤
- 社会福祉士
- 幼稚園教諭
- 保育士
保育・福祉関係の大学卒業後認定こども園に勤務。
多様な教育を学ぶため、シュタイナー園で働いた経験もあります。
現在は妊活をしながらフリーライターをしています。
好きなことはギターと絵を描くこと。自分の経験を生かした発信に挑戦中です。
子どもにガミガミ言わない子育ての方法として、「叱らない育児」が注目を集めています。
「叱らない育児を実践してみたいけど具体的にどうすればいいの?」「叱らない育児は子どもにどんな影響がある?」そんなお悩みはありませんか?
𠮟らない育児は「親の思いを叱らずに伝えること」が大切です。
この記事では、叱らない育児を成功させるためのコツや叱らない育児が子どもに与える影響についてご紹介します。 ぜひ、叱らない育児を実践する際の参考にしてくださいね。
目次
1.「叱らない育児」とは
「叱らない育児」とは、その言葉の通り、子どもを叱ることをしない育児のことです。
一般的に「叱る」とは、「相手の非をとがめ、きびしく注意すること」を意味します。しかし、ここで重要なのは、「叱らない=子どもが何をしたとしても口を出さない」という意味ではないことです。
子どもが社会のルールから逸れた行動をしたり、人や自分に危険が及ぶような行動をしたりときには、親が正しい行動を子どもに伝える必要があります。
その時に、感情的に怒鳴らずに、親の思いを子どもに冷静に伝えることが「叱らない育児」です。
2.叱らない育児を成功させるコツ
叱らない育児を実践するにはどのように子どもと関わればいいでしょうか。ここでは、叱らない育児を成功させるコツを解説します。
2-1.子どもができていることを認める
まず、子どもができていることに注目してみましょう。子育てでは、子どもができていないことに注目すると、注意や叱る場面が多くなってしまいます。子どもができていることに気づき、言葉にして認めてあげることが大切です。
例えば、以下のように言葉にして伝えましょう。
- 友だちにおもちゃを貸してあげたとき:「ちゃんと貸してあげられて優しいね」
- お手伝いをしてくれたとき:「お手伝いをしてくれたから、助かったわ。ありがとう」
大げさに褒める必要はなく、子どもの行動を言葉にして認めたり、自分の気持ちを伝えたりするだけでいいのです。
子どもの行動をこまめに認めて褒めることで、子どもは褒められたことを継続するようになり、叱らなくてもいい状況が続くようになっていきます。
2-2.しっかりとルールを決める
叱らない育児は、子どもに何も言わない・子どものやることを諦観する子育てではありません。
子どもが間違った行動をしたときは、「それはいけないことだよ」と伝え、社会のルールを教える必要があります。
親がきちんと子どもにルールを示せていないと、子どもは社会のルールを学ぶ機会を逃してしまいます。
子どもに守ってほしいことをあらかじめ決めておき、毅然とした態度で対応することが大切です。
2-3.子どもの気持ちに寄り添う
子どもは自分の思い通りにならない場面で、泣いたり怒ったりすることもあります。そのときは、親は𠮟りつけるのではなく、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。
子どもの悔しい・悲しいなどの気持ちを受け止め、「〇〇できなくて悲しかったね」「悔しいよね」と子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。
そうすることで、子どもは親が自分の気持ちを分かってくれていると感じ、親が伝えたいことも落ち着いて聞けるようになっていきます。
3.叱らない育児が子どもに与える良い影響とは
叱らない育児を実践すると、子どもがどのように育つのかは、気になるポイントではないでしょうか。続いて叱らない育児が子どもに与える良い影響について解説します。
3-1.子どもが自分で考えて行動できるようになる
叱らない育児では、子どもが自分で考えて行動する「主体性」が育まれやすくなります。
例えば、子どもがうっかりコップの水をこぼしてしまったとします。
その時に、「何やってるの!」「注意してないからでしょ!」などと頭ごなしに叱ると、子どもは怒られたということだけが頭に残ってしまいます。
「お水がこぼれちゃったね」「どうしたらこぼさなかったかな?」などと声をかけることで、水がこぼれたときはどうしたらいいか、次からはこぼさないように注意しようと自分で考えることができます。
失敗しても叱られない経験を積み重ねることで、自分で考えて行動する習慣が身についていくでしょう。
3-2.穏やかな子になる
叱らない育児では、親が声を荒げて怒鳴ることがないため、子どもも穏やかになりやすいという影響があります。
子どもの性格がすべて親や環境の影響を受けるわけではありませんが、子どもが小さいうちは特に親をお手本として育ちます。
子どもがいつの間にか自分と同じ口調で話していて、ドキッとしたことがある方も多いのではないでしょうか。親が穏やかに思いを伝えることで、子どもも穏やかにコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
また、子どもが叱られることのストレスを感じることがないので、他人にも穏やかに接することができるという面もあります。
3-3.のびのびと自己表現ができるようになる
叱らない育児で育った子どもは、のびのびと自己表現ができるようになります。
親が叱ることなく、愛情や理解を持って接してくれる環境の中で、子どもたちは安心感を抱きます。その安心感が、子どもが自分の気持ちや考えを素直に伝えたり、自己を表現することにつながるのです。
叱られることが頻繁になってしまうと、子どもは叱られたくないと感じるあまり、素直に意見を述べることをためらうようになる可能性があります。
叱らない育児を実践することで、親子のコミュニケーションがより良好なものとなり、子どもは親や周囲の人に対して自信をもって自己表現できるようになるでしょう。
4.どうしてもイライラしてしまう時はどうする?
叱らない育児を心がけようとしていても、時にはイライラしてしまう瞬間もあるでしょう。筆者もその日の体調や気分でどうしてもイライラしてしまうことがよくあります。
ここでは、イライラして子どもに当たりそうになってしまう時の対処法をご紹介します。
4-1.その場を離れる
イライラして子どもに怒鳴りそうになってしまう時は、一度その場から離れてみましょう。子どもの行動に対してイライラが募っている場合、子どもと同じ空間にいる限りイライラは溜まる一方です。
そこで、一度その場から離れてイライラの原因をシャットアウトすることで、気持ちをリフレッシュできます。しかし、子どもに何も言わずにその場からいなくなると子どもに不安を与えてしまいます。その場から離れるときは、「少し気持ちを落ち着けたいから隣の部屋に行くね。すぐに戻ってくるからね」と伝えてから出ていきましょう。
また、子どもから離れる場合は、怪我などの危険に繋がることがないように、周囲の安全を確認しておきましょう。
4-2.イライラの裏にある感情に目を向ける
イライラした時は、そのイライラの裏にどんな感情が隠れているのかを考えましょう。イライラなどの怒りは「二次感情」と言われており、裏にはイライラを引き起こしている「一次感情」が存在します。
『二次感情とは「ある感情(一次感情)が発生した後に発生する感情」のことです。悲しい、不安、苦しい、後悔、困惑、恐怖…こうした一次感情が積み重なり、怒りという感情は生まれます。』
例えば、子どもがご飯を食べなくてイライラしてしまう場合の一次感情はどんなものがあるでしょうか。せっかく作ったのに食べてくれなくて「悲しい」、ご飯を食べないと子どもの健康が「心配」などの理由があるでしょう。
イライラの裏の感情に目を向け、怒りをぶつけるのではなく、自分の一次感情を冷静に子どもに伝えるようにしてみましょう。
4-3.ストレス解消法を見つける
子育てをしているとどうしてもストレスは溜まるものです。ストレスが蓄積されていくと、些細なことでもイライラしてしまいます。
そこで、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。ストレス解消法は人によって違いますが、手軽にできるストレス解消は次のようなものがあります。
- 美味しいものを食べる
- 好きな音楽を聴く
- 人と話す
- ドラマや映画を観る
子育て中は子どもにばかり目が行き、自分のことは後回しになりがちです。自分のストレスにも目を向け、上手く発散しながらストレスと付き合っていくことが重要です。
5.叱らない育児でママも子どもも穏やかに過ごそう!
叱らない育児とは感情に任せて叱らず、親の思いを子どもに伝えることです。まずは叱らないことを意識するのではなく、子どもを褒めることを増やしてみてください。褒めることが増えればママも子どもも気持ちに余裕が生まれ、叱る機会が減っていくでしょう。
毎日を穏やかに過ごすために、叱らない育児を実践してみてくださいね。
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