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【1歳半〜5歳】台所育児はいつからできる?包丁なしでできる始め方を解説

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小原宏美 小原宏美

小原宏美

  • 保育士

大学で音楽療法について学び、卒業後は児童養護施設で4年間勤務。

大学での実習や卒業後の仕事、また自身の子育てを通じて、0歳から高校生まで幅広い年齢の子供達と関わってきました。

現在はWEBライターと並行して、子育てと自分育てのために心理学を勉強中です。

特技はピアノと歌うことです。親子で歌ったり、楽器を演奏する時間を楽しんでいます。

「台所育児」という言葉をご存知でしょうか。

親子で一緒に料理をすることで、達成感を得られたり、親子の会話が弾むなど様々なメリットがあります。

一方、料理では火や包丁など危険なものも使います。

「台所育児に興味はあるけど、うちの子は小さいから、まだ早いのかも……」と悩みますよね。

実は、台所育児は1歳半ごろから始められるといわれています。包丁を使わない台所育児の方法も沢山あるので、小さいお子さんでも安心して楽しめますよ。

今回は、台所育児のメリットと、包丁を使わない台所育児の方法5選を解説します。保育士である筆者の知識はもちろん、我が子達と台所育児を楽しんできた経験をもとにお伝えしますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

 

目次

1.台所育児とは?台所育児は包丁なしでもできる!

「台所育児」は、料理研究家の坂本廣子さんが提唱した育児手法です。親子で料理をすることで、子ども自身が成長することが目的です。

親御さんの中には「台所育児は包丁を使わないといけないの?」と思っている方もいるかもしれません。

確かに包丁を使えるようになるのはとても良いことですし、子どもの成長にも繋がります。しかし、包丁を持たせるのがまだ心配なときは、包丁を使わずにできる台所育児の方法もたくさんありますよ。

ここから詳しく解説していきますね。

 

1-1.親子で一緒に料理を楽しみ、子どもの成長を促す

台所育児とは、親子で料理を楽しみ、料理を通じて子どもの成長を促すことを目的とした育児手法のことです。

親子で一緒に料理をすることで、子どもは「できた」という達成感を感じ、新しいことにチャレンジする意欲が生まれます。

台所育児で大切なのは、親子で楽しむことです。最初は火の元や包丁から離れた場所で野菜をちぎってもらうなど、安全な環境を整えましょう。子どもは作業に集中できますし、親もゆったりした気持ちで見守れますよ。ぜひ、親子で料理を楽しんでくださいね。

 

1-2.指先の機能が発達する1歳半ごろがはじめ時

台所育児をはじめる時期は、お子さんによって個人差はありますが、大体1歳半ころからはじめる方が多いです。

一般的に、1歳半ごろは指先の機能が発達し、手首も使えるようになってくるといわれています。遊びで言うと、積み木を数個積み上げたり、新聞紙を破いたりができるようになる時期ですね。

これを台所育児に応用して、レタスや海苔をちぎったり、サラダにミニトマトを乗せてもらうなどのお手伝いをお願いできますよ。調理のお手伝いが難しいときは、野菜を持たせて手触りや匂いを感じさせてあげるのも良いですね。

お子さんの様子を見ながら、少しずつチャレンジしてみましょう。

 

1-3.親の調理の様子に興味を持ちはじめたら誘おう

子どもは、親が調理している様子がとても気になるもの。親の側に行って調理しているところを見たいし、自分もやってみたいと思っていることが多いです。

調理中に子どもが台所にやって来ると、親としては「危ないから向こうで待ってて」と台所から離れた場所に行ってほしくなりますよね。でも、気持ちに余裕があるときは、子どもに包丁なしでできるお手伝いをさせてあげるのも良いですよ。お子さんはきっと、顔を輝かせて取り組んでくれます。

一方、お子さんが特に台所に興味を持っていないときにお手伝いを無理強いすると、楽しめなくて逆効果になってしまいます。

台所育児にはたくさんのメリットがありますが、早く取り入れようと焦る必要はありません。お子さんが台所や調理の様子に興味を持ち始めたら、誘ってみてくださいね。

 

2.包丁なしでできる台所育児の方法5選

ここからは、包丁なしでできる台所育児の方法5選を紹介します。「台所育児をやってみたいけど、一体どんなことからはじめたら良いの?」と疑問に思ったときの参考にしてみてくださいね。

 

2-1.レタスをちぎる

はじめての台所育児におすすめなのが「サラダ作り」です。レタスをボウルに入れて水洗いしたら、レタスをちぎってもらいましょう。

最初は親がお手本を見せてあげると、子どももイメージが沸いてやりやすくなります。新聞紙やティッシュをビリビリ破くのが好きなお子さんに、特におすすめです。紙をちぎるときとは違った感触を楽しめるのも良いですね。

他にもスライスチーズを細かくちぎってもらうなど、色々な食材で応用できますよ。

 

2-2.しめじをほぐす

しめじをほぐすのは、ほとんど手を汚さずにできるので、はじめての台所育児におすすめです。前もって石づきの部分を切り落とした状態でボウルに入れておき、一本ずつバラバラにしてもらいましょう。

実は、しめじは真ん中辺りから丁寧に抜き取っていけば、包丁なしでもきれいに石づきから外すことができます。親子で一緒に、包丁なしで石づきから外してみるのも楽しそうですね。

しめじ以外に、エノキやマイタケでも応用できますよ。

 

2-3.お米をとぐ

筆者の子どもは、筆者がお米をといでいると「私にもさわらせて~!」と駆け寄ってきたものです。お米の手ざわりは、何とも言えない気持ちよさがありますね。

親子で一緒に計量カップでお米を測ってお米をとぐと、お米の感触を楽しみながら料理にも参加できて一石二鳥です。毎日食べているご飯はどのようにできているのかが自然に学べて、食育にもなりますよ。

お米以外にも、小豆など様々な食材の手ざわりを楽しんでみましょう。

 

2-4.バナナの皮やゆで卵の殻をむく

1歳半ごろは指先の機能が発達するので、指先を鍛える動作を取り入れてあげるのもおすすめです。バナナの皮むきや、ゆで卵の殻むきは、大人にとっては簡単でも、子どもにとっては結構力を使う大変な作業です。

最初は親がある程度、見本をみせたり、手伝ってあげるのも良いですね。お子さんが一人でやりたがったら、時間がかかっても親は手出しせず、最後まで見守ってあげましょう。

最後まで自分でやり遂げたという達成感が、お子さんの自信になりますよ。他にも玉ねぎの皮むきや枝豆の殻むきなど、色々な野菜で応用できます。野菜ごとに感触が異なるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 

2-5.ホットケーキなどの生地を混ぜる

筆者は子どもと一緒にホットケーキを作ります。ボウルに入れた材料を泡だて器で混ぜるのは、子どもには結構力のいる動作です。それでも、大好きな食べ物を作るお手伝いができるのは嬉しいようで、一生懸命混ぜてくれました。

親は子どもが材料を混ぜているときは、手でボウルを押さえてあげるなどのサポートをしてあげましょう。疲れてきたら親が交代して混ぜてあげても良いですね。

他にもクレープの生地や、お好み焼きの生地など、食べ物によって生地の感触は異なります。楽しみながら、色々な食べ物の生地を混ぜてもらってくださいね。

 

3.台所育児のメリットとは?

ここでは台所育児のメリットについて解説します。台所育児は、子どもの食への関心が高まる、達成感を得られるなど、たくさんのメリットがあります。大人にとっては簡単な作業も、子どもにとっては新鮮な学びの宝庫です。

これから紹介するメリットを踏まえて、ご家庭でできることから取り入れてみてくださいね。

 

3-1.子どもの食への関心が高まる

子どもは1歳以降、どんどん食べられるものが増えていきますよね。台所育児をすると、普段自分が食べているものがどのように作られているのかを自然に学べるので、食への関心が高まります。

また、保育所保育指針によると、おおむね2歳ごろは自我が育つ時期です。食べ物の好き嫌いが出てくるお子さんもいるかもしれません。子どもはまだ経験が少ないため「嫌い=どんな味なのか分からないから食べない」という場合もあります。

子どもは調理の過程を親と楽しみ、親が美味しそうに食べている姿を見て「これは食べても大丈夫なんだ」と理解します。それにより、嫌いな食べ物を克服できる場合もあるんですよ。

ただし、食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断せずかかりつけ医に相談のうえ対応しましょう。そして、早急に食べ物の好き嫌いを無くそうと焦ってしまうと逆効果です。

まずは、親子で調理を楽しみながら、食への関心を高めていきましょう。

 

3-2.達成感が得られ、自己肯定感が高まる

レタスをちぎる、しめじをほぐすなどの簡単なお手伝いも、子どもにとっては新鮮な体験です。

最初はちぎったレタスの大きさが均一でないなど、大人から見れば完ぺきではないこともあるかもしれません。しかし、親はできるだけ手出しせず、ひとりでできるよう見守ってあげてください。そして、最後までできたら「よく頑張ったね」「すごく助かったよ。ありがとう」と、感謝と労いの言葉をかけてあげましょう。

子どもは最後までやり遂げたことで達成感を得られ、自己肯定感も高まります。「次はもっと難しいこともやってみたいな」という成長への意欲も芽生えますよ。

 

3-3.指先を使うことで脳への刺激になる

先述したように、1歳半ごろは指先の機能が発達する時期だといわれています。「積み木を積む」「新聞紙を破く」などの指先を使った遊びを楽しみますよね。ぜひ台所育児でも、指先を使う作業をさせてあげましょう。

指先には多くの末梢神経があります。指先を使うとその刺激が直接脳へ伝わり、脳が活性化されるのです。脳が活性化すると集中力が養われるので、子どもの成長につながります。

台所育児は、子どもにとって親と一緒に調理ができる楽しい時間です。指先以外にも匂いを楽しんだり、盛り付けを考えたりと五感をフルに使うので、脳の活性化にとても役立ちますよ。

 

3-4.親子のコミュニケーションを楽しめる

親子で楽しく会話しながら調理ができるのも、台所育児のメリットのひとつです。

調理中、小さなお子さんが台所にやって来たら「あぶないから向こうでテレビを見ていて」と言いたくなりますよね。でも、テレビを見せすぎるのも良くないよな……とモヤモヤした経験がある方もいるのではないでしょうか。

台所育児は、1歳半ごろから包丁を使わずに楽しくできます。たとえば、大人が切った材料を火をつける前のお鍋に入れてもらうだけでも立派な台所育児です。キュウリなどのお野菜を持たせて、感触を楽しんでもらうのも良いですね。

ほんの少しの時間でも、子どもは親と一緒に調理できたことが嬉しくて、楽しいんです。お手伝いで達成感を得られたら、子どもの気持ちが落ち着いて、イヤイヤが収まることもありますよ。

時間に余裕があるときは少しだけ調理の手を止めて、お子さんと台所育児を楽しんでくださいね。

 

4.台所育児の注意点とは?

ここからは台所育児をするときの注意点を解説します。

台所育児にはたくさんのメリットがありますが、火や包丁が側にあるので、安全に十分配慮する必要があります。また、大人にとっては簡単な作業でも、子どもにとっては難しく時間のかかるものもあります。親の気持ちと時間の余裕がある日に行うのがおすすめです。

詳しく解説しますので、台所育児をはじめる前にぜひお読みくださいね。

 

4-1.料理は遊びではないことを伝える

台所は包丁や火の元がある場所です。遊びの気持ちでふざけてしまうと、怪我や火災など、思わぬ事故につながる恐れがあります。また、お手伝いをするうえで失敗はつきものですが、食材を粗末に扱うのは良くないですよね。

特に1歳半前後の子どもはまだ経験が少ないため、「やっていいこと、わるいこと」の区別がつきません。台所育児をはじめる前に、以下の3点をお子さんに伝えておきましょう。

  • 食べ物を粗末に扱わないこと
  • 包丁やコンロは危ないので、勝手に触らないこと
  • 料理は遊びではなく、家族が食べるものをつくる大切な家事であること

子どもに1回話しただけで、すぐに分かってもらうのは難しいかもしれません。しかし、繰り返し伝えることで子どもは少しずつ理解していき「やっていいこと、わるいこと」の区別がつくようになりますよ。

 

4-2.包丁や火の元など、危険なものの取り扱いに注意

包丁や火の元の取り扱いには十分注意しましょう。子どもに伝えるときは、以下のような理由を交えて説明すると納得しやすいです。

  • 火の使い方を誤ると、火傷や火事の原因になること
  • 包丁の使い方を誤ると、怪我の原因になること

子どもが1歳半など小さい間は、台所ではなく、ダイニングテーブルなどの安全な場所で作業するのもおすすめです。包丁を使わない台所育児なら、台所以外の安全な場所でもできますね。

危険なものが近くになければ、親も安心して見守れますよ。

 

4-3.時間の余裕がある日に行う

台所育児に慣れないうちは、親の下準備や後片付けに時間がかかります。

そして、1歳半ごろは指先の機能が発達する時期とは言え、大人と比較するとまだまだ力が弱いです。大人がやる何倍も時間がかかることは珍しくありません。

もうひとつの注意点として、子どもの集中力はとても短いです。台所育児では、ひとつの作業を終えるとエネルギーを使い果たし「もう止めた」となることもよくあります。

そんなときは無理強いせず「ありがとう」と言って終わらせてあげましょう。

年齢があがるにつれて集中できる時間は長くなるので、焦らなくても大丈夫です。

最初は、できるときにできることだけやらせてあげてくださいね。

台所育児で大切なのは、親子で楽しむことです。親御さんも無理せず、時間と心に余裕がある日に少しずつ取り組んでみましょう。

 

4-4.できたことは褒め、失敗はあたたかく見守る

どんな小さな作業でも、お子さんが最後までできたことはしっかりと褒め、お手伝いしてくれた感謝の気持ちを伝えましょう。

「ありがとう、すごく助かったよ!」の一言で、子どもは達成感を得て、また新しいチャレンジをする意欲が沸いてきます。

一方、失敗に対しては怒らず暖かく見守り「失敗は成功のもとである」と伝えましょう。

たとえば、レタスを大きくちぎってしまったときは、それを子どもが食べることで「これは大きすぎて食べにくいな」と気づきます。そして「次からはもう少し小さくちぎってみよう」という学びにつながりますよ。

大人でも失敗することはありますし、失敗から学ぶことで少しずつ上達していきますよね。失敗は駄目ではないと理解できると、子どもは新しいことに前向きにチャレンジできるようになります。

 

5.台所育児は包丁なしでもできる!親子で料理を楽しもう

台所育児は、包丁なしでできる方法がたくさんあります。

親子で楽しく調理することで、子どもは食について自然に学び、達成感を得られます。料理以外でも、新しいことにチャレンジする意欲が養われますよ。

親にとっても、一緒に調理をしながら会話を楽んだり、子どもの成長を間近で感じられると嬉しいですよね。まずは、簡単にできそうなものから始めてみましょう。ぜひ親子で台所育児を楽しんでくださいね。

主な参考文献
坂本 廣子「坂本廣子の台所育児 一歳から包丁を」

 

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