フェルトで簡単手作り!子どもを伸ばす「モンテッソーリ玩具」3選
この記事を書いた人
はる
- 言語聴覚士
言語聴覚士として5年救急病院で働き、長女の妊娠を機に退職。
その後、3年児童発達支援施設で子どもと触れ合いながら言葉の力を伸ばすお手伝いをさせて頂いております。現在次女を出産し、育休中です。
仕事では「楽しみながら言葉の力を伸ばす」ということを大切にしており、「リハビリ!」と力を入れすぎず、子どもたちの沢山の笑顔を引き出しながら言葉の支援を行っております。
家庭では、子どもたちに「全身を使って沢山の経験を吸収してほしい」と考えて育児をしています。
1歳・2歳・3歳のお子さまに、手先や脳の発達を促す、知育効果の高いモンテッソーリ玩具はいかがですか?
今回は、簡単に手作りできる「モンテッソーリ玩具3選」をご紹介します。
また、モンテッソーリの子ども観・発達観にも触れます。
「モンテッソーリってなんだろう?」といった方や、「モンテッソーリ教育」に関心があるという方は、ぜひごチェックしてみてください。
目次
1.モンテッソーリ教育とは?
まずはここで、モンテッソーリ教育はどのような教育なのかについてみてみましょう。
モンテッソーリ教育は「子どもには自分を育てる力が備わっている」という「自己教育の力」を基盤とした教育です。
1907年に医師であり、教育学者でもあるマリア・モンテッソーリが「子どもの家」という幼児教育施設で、モンテッソーリ教育を生み出しました。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立して、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。
その目的を達成するために、科学的に観察し、そこから得た事実に基づき独特の教具を開発するなどして教育法を確立してきました。
基本的な考え方は「子どもには生来、自立・発達しようとする力(自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に合った環境(物的環境・人的環境)」が必要である」というもので、大人は何かを子どもに教え込むより子どもの発達の進みを知り、観察し、必要な環境を整えることです。
Google、Amazon、Facebookなど、誰もが知る先駆的なサービスを開拓してきた創業者には、モンテッソーリ教育を受けた人たちが大勢います。
日本だと、将棋界で華々しい活躍をみせる藤井聡太さんなどが有名ですね。
続いて、モンテッソーリ教育が大切にしている①子供観・発達観、②教育の3原則について詳しく見ていきましょう。
1-1.モンテッソーリ教育の子ども観と発達観とは?
モンテッソーリ教育は、独自の子ども観・発達観をもっています。
子供観とは、「子どもとはどのようなものであるか」、「子どもにどのような子ども時代を与えるべきか」を問う視点を指します。
また、発達観とは「人が育つこと」に関する実践と知識の体系のことを言います。
モンテッソーリ教育は、この考えに基づき、子どもが発達のために必要な環境のあらゆるものを吸収し発達が実現していくとしています。
<モンテッソーリの子ども観・発達観>
1)子どもは発達する可能性を持つ
・モンテッソーリの基本的な考え方は、子どもが環境と相互交渉し、自らの精神を形成・発達するというもの。
・言語や習慣なども環境との交渉で獲得され、文化を吸収し発達する。
2)子どもは環境との相互交渉によって発達する
・発達には環境との相互交渉が必要。
・モンテッソーリ教育では、0~6歳の発達段階を2期に区分している。
★第1期 (0-3歳):精神が活発に活動し、感覚器官を通じて環境からの印象を吸収する。
★第2期 (3-6歳):身体的に成熟し、環境と積極的に交渉し、精神的・身体的に発達する。
3)子どもは生まれながらに発達の法則・計画を持つ
・生まれながらに定められた発達の法則・計画に基づき、発達の敏感期が現れる。
・敏感期は特定の能力を獲得するために最適な期間であり、発達計画に従い能力を獲得する。
4)子どもに発達する自由を与えると発達の特性を表す
・自律的活動を可能にする環境が重要。
・発達する自由を与えられると、子どもは発達の特性を存分に発揮する。
5)子どもは集中して活動すると「正常化」される
・集中して活動することで、従来の性質(良い・悪い)の区別が消え、本来の子どもの性質を見せる。
・この状態を「正常化」と呼び、発達の出発点と考える。
1-2.モンテッソーリ教育の3原則とは?
モンテッソーリ教育は「子ども観・発達観」を基礎として、子どもが生まれながらに持つ発達の法則・計画に従って発達できるように、次の3点の「教育の原則」を大切にしています。
<モンテッソーリの教育の3原則>
1)活動の主体は子どもである
・子どもの自律的活動を尊重し、発達の法則・計画に基づき環境と交渉する自由を与える。
・個別活動が中心。
2)発達する自由を与える環境が必要である
・自律的活動を可能にする環境(物理的・人的環境)を整え、子どもの活動を喚起・援助する。
3)現実的・具体的な実践を重視する
・現実を具体的に把握することを通じて、知識や創造、生活習慣の自律を獲得。
・子どもも独立した人格として尊重されるべきであり、モンテッソーリは早期から子どもの人権に注目。
2.1~3歳はどんな時期?発達を促すモンテッソーリ玩具のポイントは?
モンテッソーリ教育は乳児期~幼児期に取り入れることがおすすめされています。
1~3歳の子どもたちは、お家で夢中になって物をだしたり、ひっぱったりと「いたずら」をする時期です。
モンテッソーリ教育では、子どもが夢中になって何か同じことを繰り返し行っている時期を「敏感期」として重視しています。
敏感期とは、モンテッソーリ教育における0〜6歳の期間で、子どもが何かに強く興味を持つ一定の時期です。
この時期は、子どもが自らを成長させるものをみつけ、特別な興味と感受性を持って行動しているといわれます。子どもが抱く関心を観察し、環境を整え、満足いくまでやらせてあげることで、子どもの能力を最大限に高めることができます。
2-1.モンテッソーリ玩具6つの原則
1~3歳は「にぎる、つかむ、落とす」など、指先の行動から、手先の発達を促したり、脳を刺激し、言語やコミュニケーションの発達を促進することができます。
モンテッソーリ玩具には6つの原則があります。
<モンテッソーリ玩具の6原則>
① サイズがこどもに合っていること
② 美しく魅力的なデザインで、興味を引くこと
③ 目的がわかりやすいこと
④ 難しいポイントが1つに絞られていること
⑤ 次の成長のステップに繋がっていること
⑥ こどもが自分で間違いに気づけるようになっていること
玩具を購入する際にも、この6つの点を抑えておくと、子どもの発達に適したものを選ぶことができます。
大人からしてみると、「この玩具単純ですぐに飽きないかな?」と思うようなものでも、「目的が分かりやすい」のは大切なことです。
例えば、つみきを同じ形の穴に入れるような「難しいポイントがひとつに絞られている」玩具は、子どもが自分で試行錯誤しながら正解を見つける過程を楽しむことができ、成功したときの達成感を得ることができます。
3.フェルトを使ったモンテッソーリ玩具のメリット
モンテッソーリ玩具には、木のぬくもりを感じさせる木材の玩具が多くあります。
しかし手づくりで木製は、なかなかハードルが高いものですよね。
そこで、モンテッソーリ玩具を手作りする際におすすめなのが、フェルトなどの柔らかい素材です。フェルト素材であれば、子どもが口中へいれても、叩いても、投げても安全です。
また、フェルトであれば布よりもほつれにくく、壊れてもすぐに修理できるところも魅力的なポイントです♪
材料費もあまりかからないため、初めて作ってあげる玩具におすすめです。
<モンテッソーリ「フェルト玩具」のメリット>
① 衛生面
フェルトは布製なので、手洗いであれば洗えます。子どもが口に入れたりなめたりしても洗えるので、衛生的かつ長期間遊ぶことができます。
② 重さ
フェルトは軽い素材なので、赤ちゃんや小さいお子さんでも握ったり、持って遊べます。
万が一顔の上に落としても、怪我にならないので安心ですよね。また、かさばらずに持ち運べるため、電車の中やお店など外出先でも遊べます。
③ 手触り
手触りが柔らかく、ちくちくしないので、子どもも触りやすい素材です。
それでは、簡単に作れるフェルト素材の「モンテッソーリ玩具」を見ていきましょう!
4.フェルトで手作り!モンテッソーリ玩具1:魚のボタンづけ
【魚のボタンつけ】
材料:フェルト、針、糸、ボタン、フェルトに描けるペン、型紙に使う厚紙
【作り方】
①魚の型紙をつくる
(大きさ12cm前後がおすすめ!)
②フェルトに魚の型をとる(裏表2枚1組で魚1匹を作成します)
③フェルトを魚の形に切る
④フェルトの前方へボタンをつける
(ボタンが目になります)
⑤フェルトを2枚重ねて縫い付ける
⑥魚のしっぽ側にボタンホールの切り込みを入れる
⑦切り込み口を縫う
⑧たくさんの魚を作って完成!
【作成のポイント】
・一個一個作るのではなく、「型なぞり×5枚」というように作業工程をまとめてやってしまうと早く作れます
・子どもにとってボタンは興味をそそるパーツです。ぐりぐりと触りすぎて取れてしまうこともありますので、しっかりつけましょう
・型紙がなくても、大きさが同じような魚の形を自由に切って作るのもGOOD
・フェルトは二重にした方が壊れにくくなりますが、重ねずに作ってもOKです◎
【遊び方と発達を促せるポイント】
目の部分にあるボタンを、しっぽにある穴に通して、魚をつないでいきます。
モンテッソーリ玩具は、遊びながら日常生活でも使う動作を育めます。ボタン付けの遊びを通して、パジャマなどの洋服やポケットのボタンを上手に留める練習をすることができます。
ボタンの大きさを変えると、難易度を変えられるので子どもの手先の器用さに合わせて作成してくださいね。
魚釣り遊びなど、工夫して遊び方を変化させても楽しめます。
5.フェルトで手作り!モンテッソーリ玩具2:輪っかつなぎ
【輪っかつなぎ】
材料:フェルト、針、糸、マジックテープ
【作り方】
①フェルトを細長く切る
②フェルトを重ねて縫い付ける
③フェルトの先端にマジックテープを縫い付ける
(ボタンをつけてボタンの練習にも応用可能です)
④完成!
【作成のポイント】
・こちらもフェルトを二重にした方が壊れにくくなりますが、重ねずに作ってもOKです◎
・マジックテープも子どもの好奇心をそそるパーツのひとつです。何度もくっつけたりはがしたりして遊ぶことも多いため、取れにくいように、しっかりつけましょう
・マジックテープはホックに変更してもOKです。ホックは小さいため難しいかもしれませんので、子どもの「できる」範囲を確認しながら取り入れてみてください
【遊び方と発達を促せるポイント】
マジックテープで簡単に貼ってはがして、輪っかをつなげて遊ぶことができます。
子どもの靴には、マジックテープを使用したものも多いですよね。靴を止める練習や、輪っかをどんどんつなげて長くしていく面白さがあります。
少し大変ですが、色とりどりのフェルトでたくさん作って、誕生日やクリスマスに飾って見るのもいいですね。
輪っかの大きさを変えてみたり、輪投げとして使うなど、シンプルだからこそ遊び方は無限大です◎
6.フェルトで手作り!モンテッソーリ玩具3:ひも通し
【ひも通しの作り方】
材料:フェルト、針、糸、ひも、(フェルトに描けるペン※あれば)
【作り方】
①フェルトを四角に切る
②二つに畳んで、フェルトが重なった部分を縫い付ける
③ひもの端を玉結びにする
④完成!
【作成のポイント】
・ひもの太さで難易度を調整! 最初は太めのひもを使うのがおすすめです
・フェルトがペタンとして、ひもを通すのが難しそうな場合は、ふと口のストローなどをフェルトの中に入れてもGOOD!
【遊び方と発達を促せるポイント】
フェルトの穴にひもを通して遊ぶ、集中力のいる玩具です。手先の運動や目と手の強調の発達を促すのに適しています。
フェルトに、電車の窓を描いたり、フェルトを丸く切ってつなげてアクセサリーのようにして遊んでも楽しめます。
7.モンテッソーリ教育を通して子どもの力を伸ばそう!
今回は、フェルトで作れる簡単な手作りの「モンテッソーリ玩具」をご紹介しました。
また、モンテッソーリの子ども観・発達観や、教育の原則、モンテッソーリ玩具の原則などについても見ていきました。
子育て分野のひとつとして、根強い人気がある「モンテッソーリ教育」。この記事が、少しでも興味や学びにつながっていれば幸いです。
子どもの発達は個人差がありますが、大人が適切な環境を作り見守ることで、その子その子の最大限の発達を育むことができます。
ぜひご家庭で、作って遊んで、時には集中してもらいたいときのお供に、モンテッソーリ玩具を活用してみてくださいね。
主な参考文献
・高橋 節子,子どものための物理的環境とは何か—モンテッソーリ教育の場合―,人間環境学研究 第13巻1号,2015
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モンテッソーリ玩具といえば、「木のおもちゃ」は定番です。
「美しく魅力的なデザインで、興味を引くこと」
「目的がわかりやすいこと」
「難しいポイントが1つに絞られていること」
「次の成長のステップに繋がっていること」など。
木のおもちゃは、モンテッソーリ玩具の原則にも当てはまっています。
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