「学校でうんち」は恥ずかしい?小学生がトイレを我慢する心理と家庭でできる対策
この記事を書いた人
米澤駿
- 公認心理師
- 臨床心理士
公認心理師・臨床心理士として、子どもやご家族のこころや発達の支援に約10年間携わってきました。
学童や放課後等デイサービスの指導員、乳幼児健診の発達相談員、スクールカウンセラーなど幅広い現場で、発達段階に応じた対応や保護者支援を経験しています。
自分自身も一児の父として、毎日の子育てに奮闘中。
心理学の専門知識と現場経験、そして親の目線も大切にしながら、皆さまのお役に立てる情報を分かりやすく丁寧な言葉でお伝えできるよう心がけています。
「子どもが学校でトイレに行けず、我慢して帰ってくる」「下着を汚してしまうことが増えた」、そんなお子さまの様子に不安を感じていませんか?
「恥ずかしいから」「友達にからかわれるのが怖いから」という理由で、学校での排泄を我慢してしまう小学生は少なくありません。
この記事では、低学年のお子さまを持つ保護者の方に向けて、学校でトイレに行けない子どもの心理を、心理学的な視点も交えて解説します。
また、便秘や遺糞症といった身体的リスクを防ぐために家庭でできるケアや、「ドアを開けられそうで怖い」といった学校でのトイレトラブルへの具体的な対処法もご紹介します。
「なぜ我慢してしまうのか?」という理由を深く理解することで、お子さまへの声かけも変わってくるはずです。
親子の不安を解消し、お子さまが安心して学校生活を送るためのヒントとして、ぜひお役立てください。

目次
1.なぜ「学校でトイレに行けない」の?小学生特有の恥ずかしさと3つの壁
2.コラム:なぜ?小学生の2人に1人が「学校でうんちをしない」理由
4.コラム:下校中のおもらしが多発?悲劇を防ぐ「朝の60分」の法則
1.なぜ「学校でトイレに行けない」の?小学生特有の恥ずかしさと3つの壁

小学校に入学して環境がガラリと変わると、家では当たり前にできていたことが、学校では難しくなってしまうことがあります。
その代表的なものが「トイレ」の問題です。
なぜ子どもたちは、身体に悪いと分かっていても学校での排泄を我慢してしまうのでしょうか。そこには、小学生ならではの複雑な葛藤と、心の成長が深く関わっています。
1-1.休み時間が短い・和式が怖い…学校特有の物理的ハードル
まず考えられるのは、学校という環境特有のハードルです。
幼稚園や保育園とは違い、小学校の休み時間は短く決められています。
「次の授業に遅れたらどうしよう」という焦りや、「せっかくの休み時間は友達とドッジボールをして遊びたい」という欲求が勝り、つい便意を後回しにしてしまう子は少なくありません。
また、最近は洋式トイレが増えているものの、学校によってはまだ和式トイレが主流の場所もあります。
使い慣れない和式トイレへの苦手意識や、「個室に入ること=大便をすること」と周囲に分かってしまう構造自体が、子どもにとって大きなプレッシャーとなっています。
1-2.「恥ずかしい」は順調な成長の証│「自立心」が葛藤を生む
「トイレに行くのが恥ずかしい」という感情は、実は子どもの心が順調に成長している証でもあります。
心理学者フロイトの発達段階理論では、幼児期(1歳半〜3歳頃)を「肛門期」と呼び、排泄のコントロールを通じて自律心が芽生える重要な時期としています。
この時期に「自分でできた」という感覚を得る一方で、失敗した時の恥ずかしさや、親からのしつけを通じて、排泄は「隠すべきプライベートな行為」であるという認識が形成されていきます。
小学生になる6〜8歳頃は、この認識がさらに社会的なルールとして定着していく時期です。
「排泄を見られること・知られること」に対して強い羞恥心を抱くのは、自我が発達し、自分と他者との境界線がはっきりしてきたからこそ生まれる感情なのです。
親御さんとしては心配になりますが、まずは「恥ずかしいと思うようになったのは、心が大人に近づいているからなんだな」と、成長の側面として受け止めてあげることが大切です。
1-3.「うんちマン」と言われたくない!集団生活でのプレッシャー
低学年の子どもたちは、少しずつ自分以外の視点を持ち始めます。「自分がどうしたいか」だけでなく、「友達からどう見られているか」を気にし始める時期です。
特に学校という集団生活の中では、「みんなと違う行動」が目立ちやすくなります。授業中に手を挙げてトイレに行くことや、休み時間に一人だけ個室に長くこもることは、子どもにとって「みんなの注目を集めてしまうリスク」と感じられます。
「うんちマン」といった心ない言葉を恐れるあまり、他者の目を過剰に意識してしまい、生理現象さえも抑え込んでしまうのです。
これは単なるわがままや弱さではなく、集団の中でうまくやっていこうとする社会性の芽生えが、裏目に出てしまっている状態とも言えるでしょう。
2.コラム:なぜ?小学生の2人に1人が「学校でうんちをしない」理由

「学校でうんち、できる?」もしお子さんにそう聞いたことがなければ、ぜひ一度聞いてみてください。
NPO法人日本トイレ研究所の調査(2017年)によると、小学生の51.3%が「学校ではほとんど(全く)しない」と回答しています。
さらに深刻なのは、国際的な医学基準(ROME III)に照らすと、3人に1人(37.3%)がすでに「便秘状態」または「予備軍」であり、専門医も治療が必要なレベルだと警鐘を鳴らしている点です。
なぜ、体に悪いと分かっていても我慢してしまうのでしょうか。早稲田大学の研究によると、そこには男女で異なる心理があります。
男子の最大の壁は「からかい」です。個室に入ること自体が目立つ構造のため、入室が即「大便」とバレてしまい、友達からの視線や言葉を極端に恐れます。
一方、女子は「身体の生々しさ」への拒否感です。特に高学年になると「音やニオイ」への意識が急増し、排泄という「動物的な行為」を他人に悟られることを、強い「恥」として感じるようになります。
学校でトイレに行けないのは、教室という集団生活の中で「自分の尊厳を守ろうとする防衛本能」が働いている証拠でもあります。
家庭ではまず、「学校のトイレって、いろいろ気を使うから大変だよね」と、子どもが抱えるその緊張感に共感してあげることから始めてみましょう。
3.我慢のしすぎに要注意!便秘や遺糞症などの身体的リスク

心理的な理由で我慢していると分かっていても、やはり親として心配なのは健康面です。「たかが我慢」と軽く見ていると、便秘が慢性化し、治療が必要な状態になってしまうこともあります。
ここでは、我慢が引き起こす身体的リスクについて正しく理解しておきましょう。
3-1.「たかが便秘」と侮れない!慢性化が招く心身への悪循環
便意があるのに我慢することを繰り返していると、直腸に便が溜まっても「出したい」という信号が脳に送られにくくなっていきます。
これが直腸性便秘と呼ばれる状態です。
腸内に長く留まった便は水分が吸収されてカチカチに硬くなり、いざ出そうとしても痛みを伴うようになります。すると、子どもは「トイレ=痛い・怖い」と学習してしまい、さらに排便を我慢するという悪循環に陥ってしまいます。
また、お腹が張って苦しい状態では、授業に集中することも難しくなりますし、イライラして友達とのトラブルにつながることもあります。
身体の不調は心の安定も奪ってしまうのです。
3-2.下着の汚れは「わざと」じゃない!遺糞症(いふんしょう)の理解
お子さまの下着に少量の便がついていることはありませんか?
もしそうなら、それは拭き残しではなく「遺糞症(いふんしょう)」の可能性があります。
これは、ひどい便秘によって出口付近の硬い便の隙間から、あとから降りてきた液状の柔らかい便が漏れ出てしまう症状です。
重要なのは、これは本人の意思とは無関係に漏れ出てしまっているという点です。子ども自身も「漏らしたくないのに出てしまう」ことに深く傷つき、ショックを受けています。
親御さんが「またパンツを汚して!」「ちゃんとトイレに行きなさい」と叱ってしまうと、子どもはますます自信を失い、ストレスで症状が悪化することさえあります。
下着の汚れは、身体が限界を迎えているサインです。決して叱らず、医療機関に相談するなど適切なケアが必要です。
3-3.食欲不振やトイレの長さ…家庭で見逃せない4つのSOS
子どもは自分から「便秘で苦しい」とはなかなか言いません。家庭では以下のようなサインがないか、さりげなく観察してあげてください。
- トイレの滞在時間:家でのトイレが長くなっていないか?
- 食欲の変化:朝ごはんが進まない、給食を残すようになった、といった変化はないか?
- 便の形状:週末などに排便があった際、コロコロとした硬い便や、極端に太い便が出ていないか?
- 下着のチェック:洗濯の際、下着に茶色いシミがついていないか?
4.コラム:下校中のおもらしが多発?悲劇を防ぐ「朝の60分」の法則

「ただいま!」と同時にランドセルを放り出してトイレへ駆け込む。
ある調査によると、帰宅直後にトイレに行く頻度が「高い・時々ある」子は約7割にものぼります。これは学校での排泄を極限まで我慢しているサインです。
さらに衝撃的なデータがあります。過去1年間に約1割(9.9%)の児童が、我慢の限界を超えて「おもらし(排泄の失敗)」を経験していました。
特に注目すべきは、その失敗の約6割が「下校中」に起きているという事実です。学校では気を張り詰めて我慢し続け、安心できる家に近づいた瞬間に決壊してしまう……そんな切ない実態が浮かび上がります。
こうした過度な我慢は、便秘だけでなく、膀胱炎や痔といった病気を引き起こす原因にもなっています。
なぜここまで我慢するのか? 保護者アンケートでは学校のトイレに対し「暗い(50.6%)」「臭い」という印象が強く、実際に学校で排便する子はわずか3.4%しかいません。
学校の環境がすぐに変わらない以上、最大の自衛策は「家で出し切る」ことです。しかし、朝自宅で排便できている子は3割にとどまります。
同調査では、「毎日朝食を食べる子」や「起床から登校まで約60分の余裕がある子」は排便成功率が高いことが判明しています(平均的な時間は56分)。
あと5分、10分早起きをするだけで、子どもの「下校中の悲劇」を防げるかもしれません。親子で朝のタイムスケジュールを見直してみませんか?
まずは少し早起きをして、朝食で腸を動かすスイッチを入れましょう。登校前に慌てずトイレに座る時間を確保できるよう、親子で朝のタイムスケジュールを見直してみてください。
5.公認心理師のお悩み相談室:「個室のドアを開けられそうで怖い」

小学1年生の息子の母です。最近、学校から帰ると腹痛を訴えることが多くなりました。
理由をよくよく聞いてみると、「学校のトイレで個室に入ると、ふざけた男子にドアをドンドン叩かれたり、『入ってるぞー!』と大声を上げられたりするのが怖い」と打ち明けてくれました。
「鍵をかけていれば絶対に開かないから大丈夫だよ」と言い聞かせても、「もし壊されたらどうしよう」「上から覗かれたらどうしよう」と、本人の恐怖心は消えないようです。
親としてどう声をかけてあげれば安心できるのでしょうか?また、これは先生に相談しても良いことなのでしょうか。
「学校のトイレに行けない」という悩みの中で、特に切実なのが「友達にドアを開けられたり、叩かれたりするのが怖い」という対人トラブルです。
心理師の視点から、このような具体的な不安に対するサポート方法をお伝えします。
◆ トイレ中のからかいやノックへの恐怖心への寄り添い方
子どもが「ドアを開けられそうで怖い」と訴えてきた時、まず一番にしてほしいのは、その恐怖心を否定せずに受け止めることです。
「そんなこと気にしなくていいよ」「鍵をかければ大丈夫」といった励ましは、大人にとっては正論でも、渦中にいる子どもには届きません。
「それは怖いよね」「トイレに入っている時にドアを叩かれたら、誰だってびっくりするよ」と、子どもの恐怖感に共感してあげてください。
「お母さん(お父さん)はあなたの味方だし、その怖さをちゃんと分かっているよ」と伝えることで、子どもの心は少し落ち着きを取り戻します。
安心感の土台があって初めて、次の対策を考えることができます。
◆ 「やめてと言えない」子へ教えたい具体的な自衛策
低学年のうちは、嫌なことをされた時にとっさに「やめて!」と言い返すのは難しいものです。無理に抵抗するのではなく、「トラブルを賢く避ける」方法を親子でシミュレーションしてみましょう。
- タイミングをずらす「時間差作戦」
休み時間に入ってすぐはトイレも混雑し、からかいも起きやすくなります。あえて少し待ち、クラスメイトが校庭へ遊びに出た後の「休み時間の中頃」を狙ってみましょう。
- 穴場のトイレを見つける
自分の教室の近くではなく、職員室の近くや、図書室・理科室などがある「特別教室棟」のトイレを使ってみましょう。
普段あまり人が来ない場所を見つけておくと、「あそこなら大丈夫」という心の安全基地になります。
- ドアを叩かれたら「ノックし返す」
もし誰かがふざけてドアを叩いてきても、無理に声で反応する必要はありません。無言でドアを内側から「コンコン」と叩き返すだけで、「入っています」という合図になります。
「やめて」と言うよりも心理的なハードルが低く、相手も反応がつまらなくなって去っていくことが多い、実用的なテクニックです。
◆ 担任の先生への相談の仕方
いたずらが頻繁にある場合や、子どもの不安が強い場合は、先生の協力が不可欠です。しかし、「どう伝えれば、モンスターペアレントだと思われないか?」と悩む方もいるでしょう。
ポイントは、クレームではなく「子どもの困りごとの相談」として伝えることです。
連絡帳には、「最近、家で便秘気味で腹痛を訴えることがあります。本人に聞くと『トイレに入っている時にドアを叩かれるのが怖くて、学校では行けない』と話しています。お忙しいところ恐縮ですが、休み時間のトイレの様子を少し気にかけて見ていただけないでしょうか」といったように書き添えるとスムーズです。
先生に事情を知ってもらうだけで、こっそり見回りを強化してくれたり、クラス全体に「トイレの使い方の指導」をしてくれたりすることもあります。
親子だけで抱え込まず、学校と連携して安心できる環境を作っていきましょう。
★教室でお漏らしをしてしまった男の子…その裏にある「男子トイレの壁」とは?

日本トイレ研究所が運営する「トイレマガジン」はご存じですか? 食や運動に比べて情報が不足しがちな「排泄」や「トイレ」の課題に真摯に向き合い、信頼できる情報を発信している貴重なメディアです。
その中で、小学生のお子さんを持つ親御さんにぜひ読んでいただきたいのが、現役養護教諭・鈴木登志枝先生による『男子のトイレ事情』です。
記事の冒頭で語られるのは、お腹の痛みを言い出せず、教室でうんちをもらしてしまった男子児童の姿。なぜ限界まで我慢してしまったのでしょうか?
「トイレに行きたい」と当たり前に言える環境を作るために、大人は何を知り、どう子どもに寄り添うべきか。現場のリアルな声が詰まった記事です。ぜひ一度読んでみてください。
>> 参考サイト:男子のトイレ事情 | トイレマガジン(日本トイレ研究所)
6.排泄は恥ずかしいことじゃない!親子の対話で安心感を育てよう

小学生が学校でトイレを我慢してしまう背景には、成長過程における「恥」の感情や、集団生活での対人不安など、さまざまな理由が絡み合っています。
「我慢しちゃだめ」と正論を伝えるだけでは、解決につながりません。
まずは「恥ずかしい気持ちも分かるよ」と共感し、その上で便秘や遺糞症のリスクを防ぐために、親子でできる対策を話し合ってみてください。
排泄は、生きていく上で欠かせない大切な営みです。
「うんちは元気な証拠」「学校でトイレに行けるのは、自己管理ができるかっこいいこと」というポジティブなメッセージを家庭で伝え続けることで、お子さまの不安は少しずつ自信へと変わっていくはずです。
焦らず、じっくりとお子さまの心と身体の成長を見守ってあげてくださいね。
紙×デジタル教材!「静と動」で理解力・考える力・能動的な学びを促進[PR]
ドリル、書籍、YouTube、ゲーム、アプリなど。最近はたくさんの学習教材が出ているので、選ぶのが難しいですね。
子どもの特性によって学び方の「あう・あわない」があるかもしれません。
小さいうちは、スマホやタブレットばかりだと大丈夫かな?と心配になることもあるかもしれません。
そんな方は、まずは「月間ポピー」を活用してみるのはいかがですか?
ポピーは、紙教材と合わせて、動画やゲームが楽しめるデジタル教材で、バランスよく学びを促進できます。
月間ポピーの特徴
✓「もじ・かず・ことば」だけでなく、季節感や運動、生活マナーも学べる!
✓シール貼りや点つなぎ、迷路など、頭と指先を使った学びをバランスよく採用!
✓紙で学習した後に、WEBゲームで楽しく繰り返し学習できる
✓「教育相談サービス」が無料!勉強だけでなく、子育て、親子関係、友達関係のお悩みにも回答
✓月額1500円のお手頃価格で続けやすい!
CONOBAS読者ママの体験談

安いので、とりあえず初めてみました、笑。結果、満足です。
届いたらすぐに自分で開いてやりはじめますし、暇になるとパラパラ繰り返し見ていることもあります。
スマホのゲームも安心してやらせてあげられるので助かります。(4歳頃に利用)

うちの娘は、シールを貼るのが好きでぺたぺた貼って楽しんでいます。
ドリルを選ぶのも大変だったので、いろいろ載っているのがありがたいです。
体調不良で園をお休みした日には、ダンス動画をみてもらっている間に家の事をするなど、うまく活用させてもらっています。(3歳頃に利用)
「うちの子にはあうかな?」と心配の方は、まずは無料のお試し見本をチェックしてみてはいかがでしょうか。
くわしくはこちらから!>>月間ポピー 公式HP
主な参考文献
・NPO法人 日本トイレ研究所,小学生の排便と生活習慣に関する調査,2017
・村上 八千世,根ヶ山 光一,なぜ小学生は学校のトイレで排便できないのか?,2004
・芝木 美沙子,松浦 和代,保護者を対象とした学校トイレットと児童の排泄に関する調査,2005
関連トピックをご紹介!
・小学校低学年のいじめが増えている?いじめの原因や対処法を深く解説
・間違いを嫌がる・怒られることに敏感な子どもの心理と対処法
・人に頼る・助けを求める力「受援力」の育て方とは?公認心理師が解説!