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【5歳・6歳】夜のおむつが取れない…。からだの発達をふまえたおねしょの原因と対策

この記事を書いた人

横山ミノリ 横山ミノリ

横山ミノリ

  • 中学校教諭
  • 高等学校教諭
  • 小学校教諭
  • 児童発達支援士

小1と年少の男の子の母。

長男はASD(自閉スペクトラム症)

産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。

子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。

子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。

「昼はパンツで過ごせるけれど、夜はおねしょが心配でおむつが取れない」「毎日ではないけれどおねしょが続いている」など、5歳、6歳の子どもの夜のおむつ事情で悩んでいませんか?

デリケートな問題だけに気軽に相談できる相手もおらず、1人で悩んでいるママも多いのではないでしょうか。おねしょが続くと、子どもの精神的負担も心配になってきますよね。

安心してください。夜のおむつが取れないのは、子どもの我慢が足りないからでも、トイトレが下手だからでもありません。

この記事では、5歳、6歳の子どものからだの発達をふまえて、この年齢の夜のおむつが取れない原因を解説します。

おねしょがなくなるメカニズムに、きっと納得されるはずです。また、夜のトイトレの際に心がけたい3つの原則もお伝えするので、ぜひ最後までお読みください!
 

 

目次

1.【5歳・6歳】夜のおむつが取れない…。ママのお悩み

筆者の横山ミノリさんに解説していただく前に、CONOBAS編集部で働くママさんたちのお悩み・体験談をご紹介します。

おむつが取れる時期も、同じママから生まれたきょうだいでも、こんなに違うのですね。

(CONOBAS 編集部)

 

1-1.夜寝るときだけおむつを履きたがる

保育園では布パンツで過ごせているのに、夜寝るときはまだおねしょが心配でおむつを履かせています。娘に「夜もパンツで寝てみようか?」「◯◯ちゃんもパンツで寝てるんだって!」と言ってみても、「パンツが濡れると気持ち悪いからやだ!」と言って履いてくれません。

親である私自身も、おねしょ後の洗濯などを考えると億劫で、日々だらだらと過ごしてしまいます。

来年小学生になるのに、このままで大丈夫でしょうか?

(年長の女の子を育てるママ)

 

1-2.きょうだいでこんなに違うの?

我が家は、年長の次男が夜寝るときだけまだおむつをしています。朝起きてすぐトイレに行く習慣はついているものの、週に1度くらいは間に合わなくておむつに…

長男は日中パンツで過ごすようになった4歳頃から「夜もパンツで寝たい!」とやる気満々な様子でスムーズにトイトレが成功したのですが、次男はおむつが濡れていても気にしないタイプ。

これは時間がかかりそうだなと悩んでいるので、解決策が知りたいです!

(年長・小1の男の子を育てるママ)


それでは早速、横山ミノリさんに解説していただきましょう。

 

2.【5歳・6歳】夜のおむつが取れない…。考えられる原因

まずここで、5歳、6歳のからだの発達をふまえて、夜のおむつが取れない原因として考えられるもの2つについて解説します。

 

2-1.からだの発達が未熟

5歳、6歳の夜のおむつが取れない原因の1つに、からだの発達の未熟さが挙げられます。

幼少期は、からだの構造やホルモン分泌、神経系の発達が未熟です。1日に何十回も反射的におしっこをしていた新生児のころから考えると、ずいぶん成長していますが、大人と比るとまだまだ発達途中なのです。

具体的には、幼少期は夜間のおしっこの量を減らす「抗利尿ホルモン」の分泌が十分でないため、膀胱の容量を超えておしっこが作られてしまいます。

ここで、尿意を感じて起きることができれば問題ありません。しかし、子どものからだは本能的に睡眠を優先するため眠りが深く、尿意で起きられないのです。

■おねしょがなくなるメカニズム

おねしょがなくなるメカニズムには、3つの要素が関係しています。これらの要素が、子どもの成長にともない1つずつクリアされることで、次第におねしょはなくなっていくのです。

■夜間の尿量が減る
おねしょがなくなるメカニズムの1つ目の要素は、夜間の尿量が減ることです。
人間の尿量は、抗利尿ホルモンによって調節されています。夜間はこの抗利尿ホルモンが昼間より多く分泌されるので、おしっこの量が減るのです。
幼少期には少なかった抗利尿ホルモンの分泌量が成長に伴って増えてくると、夜間の尿量が減りおねしょがなくなります。

■膀胱の容量が増える
2つ目の要素は、膀胱の容量が増えることです。
私たちは、自律神経の働きで、昼間と夜間の膀胱の大きさを変えています。子どもは、からだの成長とともに膀胱が大きくなることに加えて、自律神経の働きが安定することにより、夜間の膀胱の容量が増えるのです。

■尿意で起きられるようになる
3つ目に、尿意で起きられるようになることも大切なステップです。
子どもは大人に比べて深い睡眠の時間が長く、尿意を感じても起きることができません。やがて睡眠サイクルが安定し、神経系が成熟してくると、睡眠中でも尿意が脳に伝わり、夜間に起きられるようになります。

 

2-2.夜尿症

5歳、6歳において、定期的におねしょをしてしまうために夜のおむつが取れない場合、原因として「夜尿症(やにょうしょう)」が考えられるかもしれません。

一般的には、4歳半から遅くとも5歳までには昼間のおもらしに続いて、おねしょもなくなることが多いでしょう。しかし、夜尿症の場合、この年齢でも夜のおむつを取るのが難しくなります。

夜のおむつを卒業した後も、就寝前の飲食や些細なことが原因で、たまにおねしょをしてしまうことはよくあることです。医学的には、「5歳を過ぎても3か月以上、月1回以上のおねしょ(夜尿)が続く場合は夜尿症」と定義されています。

夜尿症の子どもの割合は、5歳で15%、6歳で13%、7歳で10%、8歳で7%となっており、決して珍しいものではありません。

適切な治療や、子どもの成長にともない改善されていく場合がほとんどです。夜尿症は早期に治療をすることで改善も早く見られます。

また、夜尿症の状態が続くと子どもの自尊心が低下するというデータもあるので、早めに治療を開始することが勧められています。

 

3.【5歳・6歳】夜のおむつが取れない…。おすすめ対策


ここでは、夜のおむつをはずすためにできる対策を7つご紹介します。どの対策も継続が大事ですので、できることからコツコツと続けてみてください。

 

3-1.水分は日中にしっかり摂る

おすすめ対策の1つ目は、日中にしっかりと水分を摂ることです。日中に水分が摂れないと、夕方以降に脱水状態になり、寝る前の水分摂取量が増えてしまうからです。

水分は朝と昼にしっかりと摂り、夕方からは量を減らしましょう。夕方以降は、お水や、利尿作用の少ない麦茶などを飲ませるようにします。

寝る前の水分は控えたほうが良いですが、子どもがお風呂上りに水分を欲しがるときは、コップ半分までにしましょう。氷のかけらを1~2個舐めるのもおすすめですよ!

 

3-2.夕食は薄味で、就寝2時間前までにすませる

夜のおむつを取るためには、夕食の時間や内容にも気をつけましょう。ご紹介する対策の中でも効果が出やすいものなので、まずはここから実践してみるのも良いかもしれません!

食事は寝る2時間前、できたら3時間前にすませるのが理想的です。夕食から寝るまでに時間があれば、食事で摂った水分を、寝る前に排出できるからです。

また、味の濃い食事は喉が渇きやすくなるため、夕食はできるだけ薄味を心がけましょう。塩分だけでなく糖分、特に果糖も利尿作用があります。食後のデザートや果物は、朝食のときのお楽しみにしてみてはいかがでしょうか。

 

3-3.寝る前のトイレを習慣づける

寝る前にトイレに行く習慣をつけることも、おすすめ対策の1つです。寝る前にトイレに行けば睡眠の質も向上しますよ。

寝る前に膀胱を空っぽにし、「すっきりしたね!これでぐっすり眠れるね!」といった声かけをしながら、寝る前のトイレを入眠ルーティンに入れることをおすすめします。そして翌朝、夜間にたまった尿を朝起きてすぐ排出する習慣をつけましょう。

ちなみに、朝方のおねしょはおむつ卒業が間近いサインです。起きるまでおしっこをためておけるようになるまで、あと一歩ですよ!

 

3-4.からだを冷やさない

4つ目のおすすめ対策は、からだを冷やさないことです。からだが冷えると膀胱が固くなり、ためられる尿量が減ってしまうからです。

お風呂は湯船につかり、からだを温めましょう。寝るときはからだが冷えないように、パジャマや寝具で調節します。夏場はクーラーで部屋を冷やしすぎないように気をつけてくださいね。

ここで、忙しいときや、子どもがなかなかお風呂に入ってくれないときに、わが家で実践している入浴方法をご紹介します。

まず、浴槽に熱めのお湯を少なめにためます。そこで遊びながらからだを洗い、最後に流して上がるのです。こうすると短時間でもからだが温まり、子どもも楽しく入ってくれますよ!

 

3-5.早寝早起きを心がける

おすすめ対策の5つ目は、早寝早起きです。早寝早起きを軸とした規則正しい生活は、夜間の睡眠リズムを整えることにつながります。

寝る時間の少し前から徐々に部屋の明かりを暗くし、就寝時は完全消灯、朝起きたら太陽の光をたっぷり浴びるようにしましょう。

睡眠の質が向上すれば、ホルモンの分泌や自律神経も安定します。子どものからだの成長が促され、夜のおむつはずれがすすみやすくなりますよ。

 

3-6.途中で起こさない

6つ目の対策は、夜間に途中で起こさないことです。なぜなら、途中で起こすと、抗利尿ホルモンの分泌が妨げられてしまうからです。

おねしょをされるのが心配で、夜中に起こしてトイレに連れていきたくなる気持ちもわかりますが、ここはぐっと我慢しましょう。

また、夜中に起きてトイレに行くことは、習慣的に考えても夜のおむつはずれを遅らせる原因になってしまいます。

ただし、お泊り保育のように親から離れて外泊するときや、どうしてもおねしょを避けたいとき限定で、夜中にトイレのために起こすのは問題ありません。

 

3-7.便秘を改善する

夜のおむつを取るためには、便秘を改善することも有効です。うんちがたまると膀胱が押され、ためられる尿量が減ってしまうからです。実際に、夜尿症の子どもには便秘が多いというデータもあり、夜尿症の治療でも便秘を治すことが優先されます。

中には便秘の自覚がない子もいます。コロコロのうんち、固いうんちが普通だと思っていることもあるのです。この機会に、ママが子どものうんちをチェックしてみてはいかかでしょうか。

 

4.【5歳・6歳】夜のおむつが取れないときの3原則

先ほどご紹介した対策を取りながら、朝までおむつが濡れない日が数日続いたら、夜のおむつがはずれる準備が整った頃かもしれません。ママと子どもが「いけそう!」と思うタイミングで挑戦してみましょう。

ここでは、夜のトイトレをすすめるにあたって、ママに知っておいていただきたい原則を3つお伝えします。

 

4-1.「起こさない」

夜のトイトレ3原則の1つ目は、子どもを夜中に起こさないことです。おねしょ対策の1つとしてお伝えしたように、途中で起こしてしまうと、抗利尿ホルモンの分泌が妨げられて、夜間の尿量が増えてしまうからです。

また、夜中に起こすと睡眠のリズムが乱れ、睡眠の質も落ちてしまうので、必要がない限り夜中に子どもを起こすことは避けましょう。

 

4-2.「怒らない」

2つ目の原則は、子どもがおねしょをしても怒らないことです。子どものおねしょは我慢できないからではなく、無意識のうちにしてしまうことです。

自分ではどうしようもないことで怒られると、子どもは無力感を抱きます。おねしょは子どもにとって心理的ストレスがかかるもの。怒られた子どもは、自尊心が傷つき、自信を失ってしまうかもしれません。

また、怒られるとからだが緊張し、膀胱が固くなっておねしょにつながることも考えられます。たとえ失敗しても、挑戦したことをしっかりと認めて褒めてあげましょう。

そうはいっても、おねしょが続くとママの負担が増えて、ついイライラしてしまうこともありますよね。夜のトイトレはおねしょされることを前提にして、失敗を広い心で受け止められる環境を整えることも大切です。

防水シーツを使ったり、着替えやタオルを多めに用意したりしておくのはいかがでしょうか。お守りとして、パンツの上におむつをはくのもおすすめですよ。濡れなかったおむつは何度も使えるので経済的です。

 

4-3.「焦らない」

3つ目の原則は、早く夜のおむつをはずそうと焦らないことです。ママの焦りや不安が子どもに伝わり、プレッシャーとなっておねしょにつながることもあります。

これまででお伝えしてきたように、おねしょは子どものからだの成長とともになくなります。たとえ夜尿症だとしても、適切な治療を受けれは治ることがほとんどです。

専門家の意見を聞くことで安心できるのであれば、1度、かかりつけの小児科医に相談してみることをおすすめします。最近では、「おねしょ外来」がある小児科も増えてきていますよ。きっと、ママと子どもを精神面でもサポートしてくれるでしょう。

 

5.【5歳・6歳】夜のおむつはずれは子どもの成長を待とう!

いかがでしたか?おねしょがなくなるメカニズムを知ると、子どもの成長を待ってみようかなと思えたのではないでしょうか。

夜のトイトレは昼のトイトレとは別物と考えて良いでしょう。子どもの成長を見守りながらも、必要であれば積極的に医療の力を借りることをおすすめします。

夜のおむつ卒業は、子どもにとって心身の自立につながる大切なステップです。焦らずに、成功の喜びを積み重ねていってください。ママとお子さんが、おむつなしで朝までぐっすり眠れる日が1日でも早く来ますように!

参考資料
・西﨑直人「おねしょ・おもらしについて~『夜尿症診療ガイドライン2021』の紹介を中心に~

 

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