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やるべきことをやらない子への声がけと自ら動ける子に育てる関わり方

この記事を書いた人

みき みき

みき

  • 司書教諭
  • 中学校教諭
  • 高等学校教諭

高校の国語講師として約8年勤務していました。

中学、高校の教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を持っています。

現在は3人の子育てに奮闘中。

知識や経験を活かせるライターを目指し、勉強中です。

学校の宿題、おもちゃの片付け、お風呂など、やるべきことを自分から取り組むことができない。

そんなお子さんに困っていませんか?

CONOBASのお悩み相談フォームにも、「やるべき事を何度言っても行動にうつさず、注意すると言い訳ばかり…」という保護者の声をお寄せいただいています。

子どもに同じことで何度も注意するのは親御さんも疲れてしまいますよね。親子で言い合いになると家庭内の雰囲気も悪化してしまうでしょう。

今回は、やるべきことを先延ばしにする癖のあるお子さんへの声がけやサポートについて、中学・高校の教員免許の資格を持ち、プラベートでは3人のお子さんの子育てに奮闘中のみきさんにお話を伺いました。

(CONOBAS編集部)
 

 

ダラダラすることが多く、言い訳ばかり…

7歳女の子 ママからのご相談

やるべき事を何度言っても行動にうつさず、ダラダラとする事がおおく、何度か注意すると、私の話もきいて!とその一点張りでその内容も言い訳ばかり。

「注意するのは3回まで」や「言われたら10秒で行動する」などいろいろルールを変えてるのですが効果がありません。アドバイスよろしくお願いします。

小学生の娘さんとの向き合い方に試行錯誤されているママの様子が伝わってきました。家庭内でルールを決めても、子どもがきちんと守ってくれないと、ママも苛立ってしまいますよね。

今回は、小学校低学年のお子さんがやるべきことを行動に移せない理由について解説しながら、お子さんの発達段階に合わせた適切な対応法をお伝えします。

子どものやる気を奪わずに率先して動ける子に育てるための声がけや、関わりのコツを紹介します。

 

目次

 

1.やるべきことをやらない子どもの心理とは?

宿題や片付けなど、やるべきことをやらないでダラダラしている子どもの姿を見ると、「後回しにしたらもっと大変なのに!」と心配になったり、「学校でもこんなにダラダラしているのかな」と呆れたりすることもあるでしょう。

しかし子どもには、子どもなりの言い分があります。ここでは、やるべきことを後回しにしてしまう子どもの気持ちを4つに分けて紹介します。

 

1-1.学校で疲れているから

小学校低学年の子どもにとって、学校はとても疲れる場所です。

重いランドセルを背負っての登下校や、椅子に静かに座って受けなければならない授業など、幼稚園や保育園とはまったく異なる環境に身を置き、緊張しながら過ごしています。

たくさんの友達や先生たちに囲まれた学校生活は楽しいものですが、子ども本人が自覚していなくても疲れが溜まっていることもあります。

そのため、学校から帰宅すると緊張の糸が切れて、ぐったりして何もしたくないと感じる子どももいます。

特に帰宅後は、お子さんがダラダラしていたとしても「学校の疲れをリセットしてるんだな」とおおらかな気持ちで温かく見守ることが大切です。

 

1-2.親の声がけがやる気を奪っているから

やるべきことを何度言っても行動に移さない原因は、「中間反抗期」が影響していると考えられます。

一般的に反抗期というと小学校高学年から中学生頃の「第二次反抗期」を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかしあまり知られていませんが、実は5歳から10歳頃の子どもにも「中間反抗期」と言われる時期があり、相談者様のお子さん(7歳)も該当する年齢です。

中間反抗期の子どもには、

  • 自分の意思で行動したい
  • 大人の指示や命令を嫌がる
  • 屁理屈や口答えが増える
  • 家の中だけ反抗的になる

などの特徴が見られるようになります。

そのため、ママが「まだ宿題やらないの?」「ダラダラしてないで、片付けなさい」などと声をかけると、「今からやろうと思ったのに!」と不機嫌になったり、言い訳を並べたりするのです。

 

1-3.テレビやゲームなど他に優先したいことがあるから

やりたいことがあっても、やるべきことを優先する。

大人であれば当たり前のことですが、子どもの場合は、宿題があっても遊びやテレビなどのやりたいことを優先してしまうのが普通です。

「今やるべきことを終わらせた方が、あとで思いっきり遊べる」と先を見通して考えることができるようになると、親の声がけがなくても、自分で取るべき行動を選べるようになります。

小学校低学年のうちはまだ自制心が未熟で、親のサポートを必要とする場合も多いです。

家庭内でできるサポートとしては、

  • テレビは消しておく(見ないときは布をかけるなどして視界に入らないようにする)
  • 子どもの手の届くところにテレビのリモコンやゲーム機、iPadが置かない

など、子どもにとって誘惑となるものを遠ざけるようにするといいでしょう。

子どもの自制心を育み、自ら動ける子に育てるための声がけについては、次の段落で解説します。

 

2.子どものやる気を奪う声がけとポジティブな言い換え

お寄せいただいたお悩みの中には、「何度言っても行動に移さない」「何度か注意すると言い訳ばかり」と書かれておりました。子育てをしていると、どんな声がけをしたらいいのか迷う場面も多いですよね。

ここでは、子どものやる気に着目して、効果的な声がけのポイントを紹介します。日常の声がけを少し工夫するだけで、子どものやる気がどんどん上がることもありますよ。

 

2-1.「勉強しなさい」「片付けなさい」→「何からする?」

子どもは親にやらされるより、自分で決めて行動するほうが圧倒的にやる気が出ます

特に、中間反抗期の子どもは、親からの命令口調に敏感です。「〇〇しなさい」と言われると、鬱陶しいと感じ、「今からやろうと思ったのに…」と反発する子も多いでしょう。

おすすめの声がけは、「何からする?」と決定権を子どもに渡すことです。

子どもが自分で順番を決めるだけでも、「親にやらされている」という気持ちが薄れます。

おすすめの声がけ:「宿題と片付けとテレビ、どの順番でする?」

→やらなければならないこと(=宿題・片付け)と、子どもがやりたいこと(=テレビ)を提示して、子どもが自分で決めて行動できるように促すのがポイント!

もし「先にテレビを見たい!」と言っても否定する必要はありません。「そっか、先にテレビを見てから、宿題と片付けをするんだね」と子どもの気持ちを受けとめた上で、

「夜ご飯を5時半に食べ始めるから、その前に宿題と片付けを終わらせるには、テレビは何時までにしたらいいかな?」と子どもが時間を意識しながら行動するためのサポートをできるといいですね。

 

2-2.「早くしなさい!」→「よく頑張ってるね」

1-1でも触れた通り、学校から帰宅した直後は、子どもも心身ともに疲れています。

このときに「早く宿題しなさい」「あと10秒で行動するんだよ」などと声をかけると、子どもはなかなか気が休まらず、なかなか次の行動に向かうことができません。

帰宅後にダラダラしていたとしても、急かしたり、質問しすぎたりせずに、そっと見守るのがいいでしょう。

おすすめの声がけは、お子さんが家庭でくつろげる雰囲気を作ることです。

おすすめの声がけ:「今日も学校でたくさん勉強してきたね。疲れてない?よく頑張ったね」「〇〇ちゃんの好きなお菓子を買ってあるよ。一緒に食べる?」

また、子どもから話かけてきたら、ママは聞き役に徹します。

ママが子どもの話に興味を持ち、共感しながら聞くと、子どもは「ママは自分のことをわかってくれている」と安心し、親子関係も良くなっていきますよ。

 

2-3.「宿題やらないならテレビは禁止」→「宿題が終わったらテレビを見ようね」

子どもを叱る際に「〇〇しないなら、××したらダメ」など罰則を課す声がけをしたことはないでしょうか。

「〇〇しないなら、××できません」という言い方は、一種の脅しですが即効性があるため、つい使ってしまうママも多いかと思います。

子どもは罰則を回避するために、その場では親の言うとおりにするかもしれません。しかしこの声がけを継続的に使い続けると、親への信頼感は育ちにくいと言えます。

おすすめの声がけ:「宿題の後でテレビを見ようね。やることを終わらせてからのほうがゆっくり楽しめるよ」

→少し言い回しを工夫するだけで、受け取る印象が変わります。理由もセットで伝えると、子どもも納得しやすくなりますよ。

 

3.自ら動ける子どもになる関わりのポイント

親が注意をしなくても、子どもが自分で考えて行動できるようになるのが理想ですよね。

ここからは、子どもが自分から率先して動くために必要なことと、親ができるサポートを紹介します。

 

3-1.自己管理能力を育てる

自己管理能力とは、自分の思考や感情、行動をコントロールする能力を指し、非認知能力の一つです。

自己管理能力が備わると、物事に優先順位をつけて効率的に行動できるようになっていきます。

小学校低学年は、自己中心的な考え方から脱却し、少しずつ物事を多面的な視点で見られるようになる時期です。

それによって、やりたいこととやるべきことを区別し、物事の優先順位をつけられるようになっていきます。

小学生のお子さんには、少しずつスケジュール管理をさせてみることをおすすめします。

自ら計画を立てて、やるべきことが早く終わると、親や先生に褒められることが増え、さらに自発的に行動できるようになるという好循環が生まれやすいですよ。

次の段落では、スケジュール管理の具体的なやり方について触れていきます。

 

3-2.スケジュールを立てる

まずは、やるべきことを親子で書き出しましょう。やることを可視化すると動きやすくなります。

筆者の家庭では、やることを書いたマグネットをホワイトボードに貼り付け、終わったらマグネットを剥がすという方法で、子どものスケジュール管理をしていました。

最初はやることを細かく書いておくと、「できた!」という達成感を得やすく、子どものやる気や自尊心の向上にもつながります。

やることを終える時間も設定できるといいですね。「ご飯の前までに宿題を全部終える」など大まかな流れを意識すると、子どもも無理なく取り組みやすいですよ。

最初はペース配分がうまくできずに失敗してしまうこともあるかもしれません。

その場合も叱るのではなく、「どうすればうまくいくかな?」という視点で失敗を振り返る習慣ができると、さらに自己管理能力の向上につながります。

 

3-3.ルールは親子で決める

ご相談内容の「『注意するのは3回まで』や、『言われたら10秒で行動する』など、いろいろとルールを変えてるのですが効果がありません」という文面から、ご相談者様が日々試行錯誤しながら育児と向き合う様子が伝わってきました。

  • 注意するのは3回まで
  • 言われたら10秒で行動する

などのルールは、親子で話し合い、お子さんが納得した上で決めたものでしょうか。もしそうではない場合は、家庭内のルールを親子で決める機会を持つことをおすすめします。

子ども自身が納得できるルールを決めると、自分で決めたことに対して当事者意識が生まれ、きちんと守れることが多いです。

ルールを守れなかった場合も「何が原因で行動できなかったのか」「次はどうすればいいのか」など素直に振り返ることができるでしょう。

一方で、親が主導でルールを決めてしまうと「責任の主体が親にある」と錯覚しやすく、「だからやりたくなかった」など言い訳が多くなります。

自分でルールを決めてきちんと守ることができたという成功体験は、子どもの自信にもつながりますよ。

 

4.小さな成功体験を積みながら、自主性を育んでいこう!

お子さんが自分からやるべきことに取り組めるようになるのは、理想的です。

しかし小学校低学年の子どもにいきなり「宿題や片付けなど、やるべきことは自分から進んでやること」を期待しても、うまくいかないことが多いでしょう。

なかなか自分から取りかかれないお子さんには、「①やることをお子さんに選んでもらう」「②小さなことでもお子さんが自分から行動したらすかさず褒める」という経験を積み重ねてみてください。

お子さんのやる気や自主性を引き出しながら、ママが楽になれる方法を見つけていけるといいですね。

 

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