【3歳から始める!】子どもへの英単語の教え方~ポイントを徹底解説~
この記事を書いた人
いろ
- 高等学校教諭
私立高校で英語を教える現役教員です。
大学、大学院で6年間英語教育を専攻したのち教員になり、教員歴は11年目になります。
英語が得意な子も苦手な子も、「分かる!楽しい!」と思える授業をしたいと思って日々努力しています。
校内で行われる授業評価アンケートがいつも100点満点中の90点以上なのがちょっとだけ自慢です。
3歳と1歳双子の三姉妹の育児中で、おうち英語もゆるく取り入れています。
言語獲得に興味があるのでこれからの子どもたちの成長を楽しみにしています!
子どもに英語教育をしたいと思っている親御さんの中には、
「英語でかけ流しをしているけど、これだけで本当にいいの?」
「そろそろ英単語を教えたいけど、どうやって教えればいいかわからない」
という悩みをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
今回の記事では子どもの英単語学習について知りたい方に向けて、おすすめの教材や方法をご紹介します。
音楽や動画、絵本といったインプットを通してどのように英単語を身につけることができるかを知れば今後の見通しを立てやすくなりますよね。
英単語を知ることで子どもの学びを広げ、親子でより一層英語を楽しめるようになりましょう!
目次
1.子どもの英語学習に英単語って必要?
「幼い子どもに英単語を教える必要ってあるの?」と思われる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに「単語学習」と聞くと暗記や受験勉強のようなイメージもあり、幼児期の英語学習において必要性が低く感じられるかもしれません。
しかし英語を聞く、話す、読む、書くといったスキルを身につける上で英単語の学習は必要不可欠です。
ここでは幼少期に英単語を学ぶメリットや何歳頃から始めればよいかについてご紹介します。
1-1.英単語学習は言語発達やコミュニケーションスキル向上に役立つ
アメリカのJCFCという団体によると、
・語彙の発達は入学後の成績にも直接的に関係する
・子どもの頃の語彙力によって読み書きの能力を予測することができる
・語彙は子どもが世界について考えたり学んだりするのに役立つ
といった語彙の幅広い影響が指摘されています。
また、英語の語彙はリスニング、スピーキング、リーディング、ライティングすべての分野のコミュニケーションを向上させることにつながると言われています。
日本語でも、新たな言葉を学ぶことが、本を読む、話を聞く、自分で表現する力につながることは明らかですよね。
子どもに英語を学んでほしいと思うとき、単語学習を意識的に取り入れることでより効果的に子どものコミュニケーション能力を伸ばすことができるのです。
1-2.小学校入学以降の英語学習に役立つ
2020年度より順次施行された新学習指導要領では、小学校での英語教科化が始まりました。
小学校で学ぶ英単語の数は600〜700語と言われています。
さらに小学校での英語学習が増えただけではなく、中学生以降で学ぶ英単語数も、30年前に施行された学習指導要領より2000語以上増えています。
今の子ども達は一昔前よりもはるかに多い数の英単語を学ぶ必要に迫られているのです。
小学校入学後は英語以外の教科の学習もあり、英語だけに時間を割くことはできませんよね。
そのため時間に余裕のある未就学児のうちにある程度英単語を知っておくことで小学校入学後の英語学習がスムーズになる可能性があります。
1-3.英単語は何歳くらいから教えればいいの?
ケンブリッジ英語(CAIE)の認定校であるCIS International Schoolによると、英語を学び始めるべき年齢は専門家の間でも意見が分かれており、3-4歳から始めるべきという人もいれば5-6歳で始めるのがいいと主張する人、小学校入学後が最適という人など様々です。
子どもが以下のような状態であれば、英語学習を始めるのは少し早いかもしれません。
・子どもが母国語に自信がない
・子どもが積極的に周囲の世界を認めようとしていない
・親の精神的な準備ができていない
一方で英会話の体験レッスンなどに参加した際、楽しんでいるようであれば子どもの年齢に関わらず英語をスタートしてみてもいいでしょう。
外国語の学習は早く始めれば必ずうまくいくというものではありません。子どもの興味関心や集中力によって最適な年齢は異なります。
今回の記事では3歳から始める場合を念頭においていますが、もちろんそれより上の年齢の子どもに対しても有効です。
子どもに英単語を教えたいと思った場合は、まずこの記事の内容を参考にしてみてください。
2.3歳はどんな年齢?~発達段階に合わせて英単語を学ぼう~
英単語に限らず子どもに何かを教える際は、発達段階に応じた内容や学習方法を取り入れることが大切です。
そうすることで子どもは楽しく学ぶことができ、定着も促されます。
発達段階には個人差もありますが、今回は東京都が発行している就学前教育カリキュラムを元に3歳でできることを説明します。
精神的・社会的な発達
・自分の思ったことや感じたことを言葉や行動など、自分なりに表現しようとする。
・生活や遊びの中で数や量などの違いに気付き、興味をもつ。
・基本的な運動機能が発達し、話し言葉が豊かになり会話を楽しむようになる。
ことばの発達
・挨拶などをする楽しさを感じる。
・絵本や紙芝居を繰り返し見たり聞いたりすることを楽しむ。
・親しみをもって保育者の話を聞いたり、困ったことやしてほしいことを言葉で伝えたりする。
まだ難しいこと
3歳になるとできることが増えますが、以下のようなことができるようになるのは4・5歳以降が目安となります。
・絵本、歌などの中で言葉の面白さに気付き、繰り返し声に出して楽しむ。
・絵本や紙芝居などの内容やストーリーに興味をもち、イメージを広げて楽し む。
つまり、3歳になると言葉に興味を持ち、繰り返したりする上に、自分の気持ちなどを表現することができるようになります。
例えば簡単な英語の挨拶を覚えて使ってみる、絵本のイラストと英単語を結びつける、というように子どもができるようになったことや楽しんで行える遊びに関連づけて無理なく学習を行っていけるとよいですね。
3. 3歳から始める英単語学習法
幼児が母国語で単語を使えるようになる過程は、まずは単語を「聞いて」理解できるようになり、その後に「声に出して」伝えられるようになります。
最初は単語のみの発話だったものが、徐々に2語文になり3語文になりと発達していきます。
個人差もありますが、4〜5歳で読み書きはある程度できるようになっていきます。
そのため英語の単語を教える際も、まずは多くの英単語に触れ、言葉のシャワーを浴びられる環境を作りましょう。
おうち英語でよく行われる「英語のかけ流し」や「英語での語りかけ」はこの点において有効な方法です。
今回の記事ではその過程を経た後、英単語を教えたい場合のポイントを紹介します。
言語面がある程度発達した3歳から始められる内容にしていますが、英単語を学ぶのが何歳からのスタートでも焦る必要はありません。
お子さんと一緒に世界を広げるつもりで、ぜひ楽しんでみてください。
3-1.身近な英単語から始める
子どもは母国語を学ぶ際、身の回りの言葉から覚え、使えるようになっていきます。
英語を学ぶ際も同様に、まずは身近な単語から取り上げてみましょう。
家の中にあるものや日常の動作、動画や絵本に登場する動物なども子どもにとってはなじみのある題材です。
また、子どもは1つの単語を覚えた後にそれと関連する語を学ぶと定着しやすいと言われています。
例えば絵本に登場する犬が”dog”であると分かった後だと、他の動物の英単語も理解したり覚えたりしやすくなります。
3-1. 英単語やフレーズを繰り返す
母国語でも外国語でも、語彙を学ぶためには繰り返しが欠かせません。
そのため子どもに英単語を教える時は1回で覚えさせようとせず、何度もその言葉を使うようにしましょう。
3歳は絵本や短い話を繰り返し楽しめる年齢なので、同じ絵本や歌を繰り返せば子どもも楽しみながら語彙を増やすことができますよ。
また、定着を確認したい時は、その英単語を学んだ翌日、1週間後、1ヶ月後と徐々に間隔をあけて覚えているかを確認しましょう。
3-1. 絵や映像、体験を活用する
視覚を活用することで耳で聞くだけよりも記憶として定着しやすくなります。
子どもの世界は限られており、言葉だけを聞いても具体的なイメージがしづらいため絵や映像を用いたサポートが大切です。
新しい英単語を紹介するときは実物やイラストの描かれたカード、写真などを使用しましょう。絵本や動画をきっかけに英単語に触れることは、子どもにとっても理解しやすく定着も促されるため効果的ですよ。
また、動作を表す単語を教える際は声に出しながら一緒にその動作をしてみるなど実際に体験することで記憶に残りやすくなります。ぜひ試してみてください。
4.英単語の学習におすすめの教材
ここまでは子どもに英単語を教える方法をお伝えしましたが、ここからは具体的に子どもが英単語に慣れ親しむための教材を3つご紹介します。
教材と言っても遊びの中で英単語に触れられるものなので、親子時間に一緒に楽しむのもおすすめですよ。
4-1. 英語の絵本や動画
英語の絵本や動画は子どもの英単語学習の入口として最適です。
絵本やDVDは日常に関係のある場面であることが多く、視覚情報が加わるため子どもが自然と英単語を学ぶことができます。
3歳であればある程度ストーリーも理解できるので、絵本の場合は最初は短めのものから始め、徐々にストーリー性のある本に進めていきましょう。
DVDやYouTubeで動画を利用するのも効果的です。
ただし言語を学ぶには双方向性が大切なので、見せっぱなしにするのではなく、なるべく親が一緒に見て「〇〇って言ったね」など声掛けをするようにしましょう。
4-2.英語で学べる図鑑
絵本などをきっかけにある程度英語に親しんだら、英語を学べる子ども向けの図鑑を導入するのがおすすめです。
動物や乗り物など各ジャンルの英単語がイラストや写真で紹介されており、見ているだけでも楽しむことができます。
すでに日本語の単語を覚えている身の回りの物であれば、それを英語でどういうのかも興味を持つでしょう。
保護者が自分の発音に自信がない場合は、音声の出るタッチペン付きのものがおすすめです。
発音のカタカナ表記がある図鑑も多いですが、英語の発音をカタカナで正確に表現することは不可能です。
無理にカタカナで読もうとせず、音声ペンの音を聞かせてみましょう。
年齢や好みによってどの図鑑が合うのか変わってくるので、ぜひお子さんに合うものを探してみてください。
4-3. フラッシュカード
英単語に触れる機会を増やしたいときはフラッシュカードがおすすめです。
フラッシュカードとは英単語や数字、イラストなどが裏表に書かれたカードのことです。
「フラッシュ」という名前の通り、瞬間的にカードを見せて英単語をインプットしたり、子どもに言わせることでアウトプットを促したりします。
いくつか種類がありますが、どれも職業や食べ物、動物など子どもにとって身近な題材が取り上げられていることが多いです。
ストーリー性はないので全く知らない語を学ぶには不向きですが、すでに子どもが知っている知識を英語に変換するには最適です。
繰り返すことで「イラスト→日本語→英語」ではなく「イラスト→英語」というように見たものを英語でイメージする瞬発力を鍛えることができます。
枚数にもよりますが1セット確認するのに1分程度しかかからないものも多く、すきま時間に毎日の習慣として取り組みやすい教材です。
5.子どもに英単語を教える際の注意点
ここまでは3歳からの幼児に英単語を教えるポイントやおすすめの教材を紹介してきましたが、注意するべきこともあります。
3つの注意点をお伝えするので、ぜひ子どもに英単語を教える際の参考にしてください。
5-1. 子どもに無理強いしない
まず1つ目の注意は「子どもに英単語学習を無理強いしないこと」です。
子どもが成長するにつれ、子どもそれぞれの好みが出てきて親が勧めるものに素直に反応しないことがあります。
子どもの興味が薄い中で親が無理に教えようとすると拒絶反応を示し、英語そのものを嫌いになってしまうこともあります。
子どもが英語の音楽や絵本を嫌がったときは無理強いせず、少し時間を置くことが大切です。
しばらく様子を見ながら徐々に再開していき、嫌がったら止めるようにしましょう。
英語学習は小学校入学以降も長く続いていきます。
子どもの気持ちを尊重することで、子どもは楽しく、前向きに英語学習を続けることができるでしょう。
4-2.覚えているかテストしない
2つ目の注意点は、「子どもが英単語を覚えているかテストしない」ということです。
覚えたか確認したくなって、つい「これは英語でなんて言うんだっけ?」などと聞いてしまうことはありませんか?
クイズ感覚で楽しんでいるのであれば問題ありませんが、繰り返し言わせたり、間違ったときに否定的なコメントをしたりすると子どもは英語を学ぶことを嫌なことだと捉えてしまうようになります。
覚えているか確認したいときはテストのようなことはせず、フラッシュカードを使ってクイズ形式で確認したり、絵本を一緒に読んで子どもが自分でその英単語を言うか確認したりするようにしましょう。
フラッシュカードでかるた取りのように遊ぶのも盛り上がりますよ。
4-3. 1つの方法にこだわらない
最後の注意点は「色々な方法を試してみること」です。
英語に限らず子どもの学習には性格や周囲の環境など様々な要因が影響します。
他の子どもにうまくいった方法が自分の子どもにも合うのかはしてみないと分かりません。
もし試してみて子どもの反応が悪いときは、切り替えて別の方法を試してみましょう。
「せっかく買ったのに」などマイナスな発言は控え、「これが合わなくても大丈夫!英語は楽しいよ!」というメッセージを伝え続けることで子どもは英語に対して前向きな気持ちを持つことができます。
子どもの成長は早いので、1度試して合わなかった方法も、数ヶ月後に再トライすると楽しめる可能性もあります。
諦めず、少しずつでも取り入れ続けるのが大切です。
6.子どもと一緒に英単語学習を楽しみましょう!
本記事では言語が大きく発達する年齢である3歳からの始められる「子どもに英単語を教える際のポイントやおすすめの教材」を紹介してきました。
今回は「3歳から」という視点で様々なポイントをお伝えしましたが、実際に英語を指導する立場である筆者として「英語は何歳から始めても、どのように進めても、焦る必要はない」ということを保護者の方にお伝えしたいです。
もしかするとSNSなどで自分の子どもと同じくらいの年齢でわが子よりもずっと英語ができる子を見ることがあるかもしれません。
つい焦って自分の子どもにも頑張らせたいと思うかもしれませんが、肩に力を入れすぎず、目の前の子どもを見つめてみましょう。
子どもは成長の中で日々新しいことを学んでいます。学びのペースは様々でも、母国語に加えて外国語にまで触れているのはそれだけですごいことです。
子どもが小さいうちは「勉強」と捉えるのではなく、親子の遊びの一環として英語に触れる時間を作れるといいですね。
楽しく遊んだ経験は、「英語が好き」「英語をもっと学びたい」といった学びへの意欲へと繋がり、今後お子さんの後伸びをサポートする力となります。
ぜひ今回の記事を参考に親子で英語を楽しんでみてください。
7.楽しく学んで英語が好きになる!CONOBAS KIDSとは?
英語教育は小学校から高校まで続き、その後の生活でも英語に触れる場面はますます増えていきます。
「勉強」という枠に縛られずに、ことばのひとつとして、コミュニケーション手段のひとつとして楽しく学んでいけるといいですね。
CONOBAS KIDS
CONOBASが運営するCONOBAS KIDS(コノバス キッズ)は
「学びへの意欲」と「前向きに挑戦する力」を育み”一生役立つ学びの土台を作る”ことを目標とする幼児教育家庭教師サービスです。
CONOBAS KIDSのENGLISHコースでは、ただ「英語が出来る」ことを目指すのでは無く、
2つの目標のもと、様々なバックグラウンドを持ったバイリンガル教師がそれぞれの子どもの興味関心に合わせた学びの場を展開します。
「英語を習わせたいけど、仕事が忙しくて送迎が難しい」
「英会話スクールが合わなかった」
「家では出来ない経験や、家族以外の人との関わりも通じて英語を育みたい」
そんな時はCONOBAS KIDSを利用してみませんか?
主な参考文献
・JODY B. MILLER 「THE IMPORTANCE OF VOCABULARY」 MA, CCC-SLP INTEGRATED PEDIATRIC THERAPIES
・東京都教育委員会「就学前教育カリキュラム 改訂版」2. 就学前教育カリキュラムの基本的な考え方
・Linguistic Society of America「FAQ: Language Acquisition」2023/09/04アクセス