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【3歳】友達や兄弟姉妹の真似をするのはなぜ?子どもの心理や対応のヒントを紹介!

この記事を書いた人

清水聡介 清水聡介

清水聡介

  • 社会福祉士
  • 幼稚園教諭
  • 保育士

これまで幼稚園教諭、保育士として勤務した後、小学校で不登校や発達障害の子どもたちの支援をしてきました。

その後、社会福祉士、ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、子育て支援や相談支援、執筆活動をしています。

現在は、小学生の子ども2人の子育てをしながら、主夫もしています。

趣味は、ギターやピアノで弾き語りをすることです。

「うちの子はどうして兄弟の真似ばかりするんだろう」 「また友達と同じ絵を描いてきてる…」

このように、自分の子どもが兄弟や友達の真似をしている姿を見て戸惑うことはありませんか。

子どもが兄弟や友達の真似をすることは、成長や発達の過程で必要な行動といわれています。しかし、真似という行動には、メリットとデメリットが存在し、親は適切な対応を心掛ける必要があるでしょう。

本記事では、3歳児に焦点をあて、真似をする理由やその影響、そして親がどのように対応するのが適切なのかを紹介します。

「子どもが身近な人の真似をする」という行動について理解し、適切な関りをすることで子どもの成長と個性の発達を促しましょう。

 

目次

1.どうして子どもは真似をするの?

幼稚園や保育園で遊んでいるときや製作活動をしているときに、友達の行動を真似したり、友達とそっくりなものを作ってきたりすることがあります。また、兄弟姉妹の行動や言動を真似する姿を目にすることがあります。

このような子どもの姿を見て、保護者の皆さんは気になったり、心配になったりしていませんか?

3歳児は周りの友達が気になり、いろいろなことを試したくなる時期だといわれています。一方で親は、どのように対応したらよいのでしょう。

ここでは、3歳児の子どもが真似をする理由や心理面、3歳児の人間関係に関する発達について紹介します。子どもが真似をする理由を把握することで、適切な関りや対応ができるようになるでしょう。

 

1-1.子どもの真似は、憧れや親しみから生まれる

3歳の子どもは、同世代や身近にいる人たちの言動を観察し、それを自分の行動に取り入れるといわれています。真似をすることで模範となるモデルを見つけ、社会的スキルや行動パターンを学んでいくのです。

このような発達段階を背景に考えると、子どもが兄弟姉妹や友達の真似をする理由が見えてきます。

まず、理由の1つは、「相手が気になるから」です

子どもたちは、周りの人や友達の行動に興味を持つことや、憧れを感じることで、自分も試してみたいと考えます。

自分の理想とする姿に近づきたいという気持ちがあるため、興味や憧れを持つ人の真似をすることがあるのです。

また、人間関係を作ろうとして真似をすることもあります

人間関係を作りたいと子どもは思うため、周囲の人と共通点を持とうとします。そのため、友達や兄弟姉妹の行動や言動の真似をするのですね。

さらに、親にアピールをしたいという意図もあります

親から注目されたいという欲求を子どもは持っており、兄弟姉妹や友達の真似をすることで自分も注目されたいと考えます。

子どもが真似をするという行動には、上記に挙げた理由が絡み合っています。子どもが真似をする理由を理解し、寄り添っていきたいですね。

 

1-2.3歳児の発達段階にも真似する理由がある

3歳児の発達段階について、幼稚園教育要領や保育所保育指針を参考に、人間関係の面を中心にご紹介します。

3歳児は社会性の発達が進み、身近な人との関りから、他の子どもたちと関わることに興味を持ち始める時期です。そして、友達が嬉しいときには一緒に喜び、悲しいときには慰める言葉や行動をする段階といわれています。

さらに、他の子どもたちと協力することや競争をすることにも興味を持つ時期ともいわれています。友達と一緒に遊んだり、ものを作ったりすることで人間関係を発展させてく時期でもあります。

この年齢は、自己意識が芽生え、周囲の人や物に興味を持つ時期だといわれています。友達や兄弟姉妹の真似をすることで、新しい知識や能力を吸収し、自己の成長へと繋がっていくのですね

参考:厚生労働省「保育所保育指針」

 

2.真似がもたらすメリット・デメリット

真似は、成長や発達に様々な影響を与えます。 子どもが真似をすることは保育では「模倣」と呼ばれ、周囲の人やものに興味を持ち、自分の中に取り入れようとする行為だとされています。

幼児期の模倣に関する研究や著書は数多く発表されており、模倣をすることで得られるメリットとデメリット、その両側面があるとされています。

ここでは、真似(模倣)することの代表的なメリット・デメリットを紹介します。

 

2-1.真似をすることの3つのメリット

●メリット1:人間関係の成長

3歳児はたくさん真似をする時期です。真似をすることで友達や兄弟姉妹との関係を深める機会を得られます

友達がしている遊びに興味を持ち真似をすることで、お互いに興味を持ち、関りを深めることができるようになります。

著者の子どもが幼稚園で、自分が大好きな電車のおもちゃを使って楽しそうに遊んでいる子を見つけたそう。

真似をして電車で遊んでいると相手もそれに気づき、お互いに興味を持って一緒に遊ぶようになったそうです。その後、別の遊びも一緒にするほど仲良くなったとのことでした。

●メリット2:協調性の育成

3歳児はまだ「自分のやりたいことをやりたい!」という思いが強い時期です。そのため、真似をすることで相手の思いと衝突してしまうこともあります。

その場合、周りの大人が双方の思いをくみ取り、子どもと一緒に解決できるように関わることで、少しずつ協調性が育っていきます

著者の子どもの幼稚園での出来事です。お友達と同じ種類の電車で遊びたいといいだし、ケンカが始まったのです。そのとき、保育者がお互いの思いを聞き解決に導いたことで、その後は譲り合う姿が見られたそうです。

●メリット3:周囲から認められる

例えば、兄弟がご飯を食べるとき「いただきます」といい食べ始めます。その姿を見た3歳児が同じように「いただきます」といって食べたとします。

その様子を見た大人から「上手にできたね」と褒められたり、認められることがあります。

その結果、子どもは喜びや満足感を感じ、もっとやりたいという意欲が生まれ、新しい遊びや物事に積極的に取り組むことに繋がっていきます


真似をするという行為は、その事柄に興味を持ち自分もやってみたいという意欲の表れだと捉えられます。

子どもが真似をする姿を見たとき、親や周囲の大人は「子どもは今、学んでいるんだ」と思いながら関わっていきましょう。

 

2-2.真似をすることの3つのデメリット

真似にはメリットがある反面、デメリットがあることも知っておきましょう。

●デメリット1:自己肯定力の低下

相手の真似をし続けることで、子どもが自分で決定する経験が不足してしまい、他人との意見の違いに戸惑うことがあります。

●デメリット2:よくないことを覚えてしまう可能性がある

子どもは、乱暴な言葉づかいや相手を傷つける行動を真似することもあるでしょう。

周囲の影響を受けやすい時期であるため、親から見て好ましくない行動を続けないように注意していきたいですね。

●デメリット3:個性を表現しにくくなる可能性がある

相手の真似をし続けることで、本来持っている個性が隠れてしまうことがあります。

子どもが自分の意思で自由に行動や選択をする機会を持ち、個性を発揮できるように関わっていきたいですね。

著者の子どもが幼稚園で友達の絵を真似して描いていたときのエピソードです。それを見た担任の先生が、「今度は違う絵を描いてみたらどうかな?」と声をかけても、どうしても描けなかったそうです。

今振り返ってみれば、友達の絵にあこがれを感じて取った行動だったかもしれません。「○○ちゃんの絵が好きだったんだね。大きな丸が上手に描けてていいね!」など肯定の言葉がけをすれば良かったと反省しました。

3歳児は、周囲の人やものを真似しながら学んでいく時期です。真似がデメリットにすぐにつながるとは限りません。

個性を大切にしつつ、真似を通じて、何がいけないことなのかがわかるように育てていくことを心がけたいですね

 

3.友達や兄弟姉妹の真似を続ける子どもへの対応のヒント

友達や兄弟姉妹の真似を続ける子どもに、親はどのように対応すればいいのだろう、と迷われている方もいるのではないでしょうか。

真似は子どもの成長に必要なことですが、同時に親が子どもの行動を理解し関わることで子どもはさらに成長していきます。

ここでは、真似をする子どもに対する親の関わり方のヒントを紹介します。

 

3-1.真似は子どもの成長には不可欠だと理解しよう

真似は、子どもにとって成長や発達に欠かせないものです。 その前提を理解した上で対応することが大切です。

例えば、子どもが真似を通じて新しいことに興味や関心を示しているときは、親も一緒に楽しむことで好奇心や学習意欲が刺激されます。

また、子どもが友達の真似をしてコミュニケーションを取ろうとしているときは、一緒に関わりながらコミュニケーションの方法を教え、その後、子どもが次第に自身で行動できるようにサポートしていくといいでしょう。

さらに、子どもが友達や兄弟姉妹の真似をしているとき、なぜ真似をしているかを理解するためには、子どものことだけでなく、周囲の状況や他の子どもたちの様子も見てみましょう。

そうすることで、子どもが周囲にどのように影響を受けているのかを把握することができます。

真似をするのは子どもが友達や兄弟姉妹がしていることに憧れを持っていたり、「自分も上手になりたい」という思いから起こることがあります。

学びの語源は「真似る」からきていると言われており、真似ることで子どもはいろいろなことを身に付けていきます

真似することを頭ごなしに否定するのではなく、見守ったりアドバイスを送ったりすることで、子どもはどのように周りと関わっていけばいいのかを学んでいきます。

そうすることで次第に、単なる真似ではなく、真似を活かした自身の活動へと繋がっていくでしょう。

 

3-2.子どもの姿をみて親も振り返ろう

子どもは、友達や兄弟姉妹の真似だけでなく、親の行動や言動も真似することがあります。

親が子どもにとって良くも悪くも模範であることを自覚し、自分の言葉づかいや態度に注意を払うことも大切だと知っておきましょう。

例えば、著者の子どもがおままごとをしていたときのエピソードです。

子どもが「ふぅ~んそうなんだ。はいはい。そんなことしたらダメでしょ!何回いったらわかるの。もぉ~」と人形に向かって話していました。これを聞いたとき著者の真似をしているんだと気づきました。

この経験を通じて、親が子どものモデルになっているという自覚を持つことを改めて意識し、自身の行動や言動を振り返るきっかけになりました。

親は子どもにとって無条件で大切な存在であると同時に、子どもの模範となります。親である自分自身を振り返ることも心がけておきたいですね

 

4.周囲の協力と連携が子どもの理解につながる

子どもが友達や兄弟の真似をする理由を探るために、子どもを取り巻くあらゆる状況を把握し、整理することは親だけでは困難でしょう。

度を超えた真似が見られる、どう対処してよいか判断できない、などの場合は1人で悩まずに、夫婦間や相談できる機関に話すことも考えましょう

相談することで、自分の気持ちや状況を整理することができる他に、相談相手からアドバイスや支援を受け、子どもの真似をする行動への理解を深めることができます。

ここでは、周囲の大人たちがどのように連携していけば良いかを紹介していきますね。

 

4-1.夫婦間で情報共有をしよう

子どもが真似をすることについて、夫婦間で情報共有をしておくのも1人で悩まない方法の1つです。

子どもは「幼稚園や保育園では大人しいけれど、家では騒がしい」「ママの前では1人で遊ぶけれど、パパがいると一緒に遊びたがる」など場面によって違った姿を見せることがあります。

また、パパは「真似は子どもが成長するときだからしてもいい」、ママは「個性が無くなるから真似はダメ」など、夫婦間で考えが異なると、子どもはどちらの話を聞けばいいのか混乱します。

そうならないためにも、例えば、夫婦で「友達の絵を真似て描くのは見守り、相手を傷つける言葉づかいを真似ているときは注意しよう」のように、してもよいことと悪いことの基準を決めるとよいでしょう。

 

4-2.園の先生に相談しよう

幼稚園や保育園の担任の先生は、子どもの園生活の様子を把握しています。

担任の先生に相談することで、子どもの真似をすることに関する様子や心配などを共有でき、より子どもの気持ちに寄り添った関りができるでしょう。もし担任に直接伝えにくい場合は、園長や主任に相談するとよいでしょう。

子どもは場所によって見せる姿が違うため筆者も、情報共有を心がけています。

また、事前にメモにまとめて伝える内容を整理しておくと、具体的な内容を明確にでき相手に伝わりやすくなりますよ!

 

4-3.子育て支援機関にも相談してみよう

子育て支援は、幼稚園や保育園だけでなく、地域の子育て支援センターやNPOなどでも実施しています。

利用者が気軽に話ができる場所として位置づけられており、別の家庭と情報交換ができる会も開催されています。

特に発達の遅れや発達障害ではないかと不安を感じている方にとって、子育て支援の専門分野からのアドバイスは不安を和らげることができ、大きな支えになります。

また、子育て支援は、他の親とのつながりを築くことができ、情報や経験を共有しながら助け合うことができる場所です。


3歳児は、真似をすることで成長をしていく時期です。

しかし逆に、一切真似をしない、1つのことだけに集中するといった、「こだわり」が強く現れている場合は、まずは夫婦や園の先生に相談し、ケースに応じて、子育て支援機関に相談することも考えましょう。

 

5.真似は子どもの成長に必要

子どもが友達や兄弟姉妹の真似をするのは、憧れの気持ちがある、人間関係を作ろうとしているなど、理由は様々です。しかし理由に関わらず、成長や発達の面では必要な行動です。

特に、3歳は他の子どもに興味を示し、協調性が育っていく段階でもありますので、見守ることも忘れないようにしましょう。

しかし、相手を傷つけるなど良くない行動も真似をすることがありますから、親は子どもの様子に応じて適切な対応をすることを心がけたいものです。

そのためには、夫婦間や担任との共通理解を深め、子どもの真似する行動に対して一貫した対応をとることを意識しましょう。

また、子育て支援機関の協力も活用しながら、「真似」が成長の糧となるよう、子どもを支えていきたいですね。

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