すぐ泣く子どもの特徴や接し方を年齢・性格別に徹底解説!
この記事を書いた人
chie
- 幼稚園教諭
- 保育士
幼稚園教諭、保育士、保育士養成専門学校、通信制高校、医療秘書専門学校の講師を経て、現在児童発達支援施設施設長として勤務しています。
子育て真っ最中のママたちに寄り添った支援ができるよう日々勉強中です。
特技は絵本作り、キャンプ、水泳です!
「どうしてうちの子はすぐ泣くのかしら?わたしの育て方のせい?」
「ママ友は『すぐ泣きやむから大丈夫よ』って言うけれど、一度泣き出したら本当に大変」
こんなお悩みを抱えるママは少なくありません。「赤ちゃんの頃は泣くのが仕事」と思えても、大きくなってからも毎日泣かれてばかりだと、正直ぐったりしてしまいますよね。
この記事では、保育現場でよくみられる事例をもとに、お子さんの年齢や性格別にすぐ泣いてしまう原因と対処法をご紹介します。毎日子育てを頑張るママたちの力になれたら嬉しいです。
目次
1.年齢別の子どもが泣く理由
お子さんが泣く理由は、年齢に応じて変わってきます。
「眠い」「お腹が空いた」など、生理的な欲求を満たすために泣くことが多い乳児期を経て、幼児期のお子さんはどのような理由で泣くのでしょうか。
ここでは、3歳から5歳のお子さんに焦点を当てて、泣く理由をみていきましょう。
1-1.3歳児が泣く主な理由
3歳児は、まだまだイヤイヤが大好きです。
自分のやりたいことが思うようにできない悔しさから泣くことがよくあります。これは情緒が発達している証拠です。
3歳前後のお子さんにとって、泣くことは大事な成長過程でもあります。涙を流すことで自分の気持ちや、欲求に気付くことができます。
また、泣いても自分の思いが周囲の人に伝わらないもどかしさを通して、「言葉で伝えることの大切さ」が少しずつわかってきます。
1-2.4歳児が泣く主な理由
4歳児は、言葉での表現が豊かになり、理解力も身についてきます。
「ママに怒られて悲しい」「おもちゃを買ってもらえずに泣く」など、目の前の事実に向き合うことで悲しみや怒りが湧き起こり、泣く行為につながる時期ともいえます。
またこの時期は、競争心が芽生え、遊びを通して友だちと競い合うようになります。勝ち負けで大泣きをするお子さんも増えてきます。
1-3.5歳児が泣く主な理由
5歳児は、プライドが芽生え、より競争心が強くなります。思考力が身につくことで、大人にも言葉で言い返すようになってきます。
自分の要求や思いを強い口調や言葉で押し通そうとするようになり、それが思うように行かないと、怒りながら泣く姿があらわれます。
小学校への就学が近づいているとは言えども、感情のコントロールはまだまだ未発達と言えるでしょう。
2.年齢別のすぐ泣く子どもへの対処法
すぐ泣く子どもへの言葉がけやスキンシップの方法を年齢別に解説します。
2-1.すぐ泣く3歳児への対処法
3歳前後のお子さんは、まだ言葉だけでは伝わりにくい時期です。まずは「そうなのね」とお子さんの気持ちを受け止めましょう。
ギュッと抱きしめたり、膝の上にのせたりして、お子さんが落ち着くまでじっと待ちます。
お子さんが激しく泣いていると、ママはどうしても「泣いている事実」に振り回されてしまいがちですよね。
外出先などで大声で泣かれてしまうと、その場しのぎで、お菓子を与えたりして、気持ちを紛らわしてしまう場面もあるかもしれません。
余裕がある時は、お子さんを早く泣き止ませることを最優先せず、時間をかけてお子さんに安心感を与えることも大切な時期です。「子どもが泣くことも大切」「勉強しているんだな」と思えたらいいですね。
2-2.すぐ泣く4歳児への対処法
4歳頃のお子さんは、事実を受け止めようとする時期ですが、まだ上手にできないことも多いです。
その場合は、「どうして泣いているのか」を大人が代弁してあげる必要があります。
例えば、
「○○ちゃんが泣いているのは、お友達がおもちゃを貸してくれなかったからだね」「今、ワンちゃんが吠えたから、びっくりして泣いちゃったんだね」
など、お子さんが泣いている理由を客観的に言葉にすることで、お子さんが自分の気持ちに気づくきっかけを与えることができます。
「ママは私の気持ちを分かってくれている」という安心感にもつながり、親子の信頼関係を築くこともできるでしょう。
成長のスピードには個人差があるので、根気強く伝えていくことが大切です。そして、適度なスキンシップも忘れずにしたいところです。
2-3.すぐ泣く5歳児への対処法
思考力がついてきた5歳頃のお子さんには、自分で解決できるように導いていきたいものですね。
しかしまだまだ大人の力が必要です。まずはお子さんが自分の言葉で泣いている理由を伝えられるように、簡単な質問をしていきます。
「今、○○ちゃんが悲しくて泣いているのは、分かったよ。じゃあどうして泣いているのかお話しできる?」「お話ししたいことがあって泣いているのかな?ママ、〇〇ちゃんが口でお話ししてくれるのまってるね」
などお子さんのペースを尊重しつつ、いつでも聞く準備があることを伝えていきます。
少しでも言葉で伝えることができた時は、「今日は口でお話ししてくれてありがとう、お話してくれると〇〇ちゃんの気持ちが分かりやすくて嬉しかったよ」などと、褒めて励ましていけるといいですね。
3.性格別の子どもが泣く理由と対処法
お子さんがすぐ泣く理由には、性格や気質も大きく関係しています。
ここでは、お子さんの性格や特徴別に、すぐ泣く子どもの理由と対処法をまとめます。
3-1.繊細な子
繊細なお子さんは、感受性が豊かです。「怖いことが起きそう」「友達が自分の悪口を言っているかもしれない」など、周囲の環境や言動に敏感に反応して、不安から泣くことがあります。
繊細なお子さんへの接し方は、お子さんの気持ちに寄り添いながら、不安要素を取り除いてあげることです。
例えば、お子さんが大きな物音に怖がっていたら、「風の音だから大丈夫だよ。今日は強い風が吹いていて、大きな音が聞こえるからちょっと怖いよね」など、気にしなくても良いことを明確にしてあげることにより、落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
「いつもおおげさなんだから」「そんなに気にしたら本当になっちゃうんだからね」などの声掛けは、お子さんを不安にさせるため逆効果です。客観的なアドバイスが繊細なお子さんに安心感を与えてくれるでしょう。
3-2.負けず嫌いな子
小さな子がゲームやスポーツで負けた悔しさから涙を見せるシーンをテレビで見たことはありませんか。
競争心の強さは「子どもの個性」であっても、勝ち負けのあるゲーム、毎回「1番じゃないと嫌だから泣く」「負けそうになると泣く」繰り返しだと、さすがに親御さんも困ってしまいますね。
負けたことを引きずり、泣いているお子さんには、頑張ったことを認める声掛けを大切にしてみてください。
お子さんの気持ちが落ち着いたら、「勝つためにはどうするのか」「これからどんな練習をするのか」「次の試合はいつだよ」など、お子さんが未来をみられるような言葉掛けがいいでしょう。
また、勝負は相手あっての世界です。勝った相手に対して「おめでとう」など、思いやれる言葉を大人がみせられるといいですね。
3-3.自己主張が強い子
自分の思いを主張するのは決して悪いことではなく、生きるうえで大切なことです。ただし、過度に自己主張が強いお子さんの場合、かんしゃくを起こして、コントロールが難しい場合があります。
泣いているときは、クールダウンができる環境を作ってあげるのがおすすめです。トラブルが起こりそうなところから離れ、お子さんが冷静でいられる静かなところに一緒に行くようにます。
お子さんの気持ちが落ち着いたら、上手に切り替えができたことを褒めましょう。大きな声で𠮟りつけると、益々ヒートアップし、切り替えに時間がかかったり、怒りの矛先が他に向いたりしてしまいます。
アドバイスはあまりせずに、我慢できたことをたくさん褒め、本人を認めていきましょう。
4.幼稚園でよく泣いていた子どものエピソード
ここでは、筆者が幼稚園教諭をしていた頃に出会った、よく泣く3人のお子さんのエピソードと筆者が実際に行ったことをご紹介します。
4-1.運動会前に泣いていた、3歳児のAちゃん
夏休みが終わったある日、Aちゃんは泣いて、登園を渋りだしました。原因は運動会の練習にありました.
3歳児にとって、はじめての運動会は体力も精神力も必要になります。
運動会の練習で集団活動を求められることや、自由遊びの時間が短くなったことは、自分のペースで遊びを楽しむAちゃんは運動会が大きな試練となったようです。
筆者はAちゃんのお母さんに2つのお願いをしました。
1つ目は、お家でAちゃんとたくさん遊んであげてほしいこと。
2つ目は、睡眠時間を多めに取り入れること。
その後、Aちゃんは、友だちと頑張って運動会の練習に参加することが増え、「運動会、ママ見に来るんだって」と笑顔で筆者に話してくれるようになりました。
3歳児はまだ自分の気持ちをうまく大人に伝えることができないため、泣くことでストレスを表現することがあります。
登園渋りで泣くお子さんには、親御さんが気持ちに寄り添って、まずは安心感を与えてあげることが大切です。
家庭環境が安心できるものになることで、子どもは家庭の外の環境でも社会性や協調性を伸ばしていくことができます。
4-2.おもちゃの貸し借りで大泣きした、4歳児のBくん
早生まれのB君は、言葉の成長がゆっくりで自分の気持ちを泣いて表現することが多いお子さんでした。
ある日、他のお友達がB君の大好きなダンプカーのおもちゃで遊んでいました。B君は「かして」と言いましたが、そのお友達は「だめよ」と言い返しました。おもちゃを貸してもらえなかったB君は、大きな声で泣きながらお友達にとびかかりました。
4歳ごろの子どもは、友人との関わりを通じて社会性を身につけていきます。しかし、まだ言葉での解決方法が分からず、お友達に誤解を与えてしまうことが多いのです。
筆者は、B君のお母さんに「大人の力を借りて、言葉での解決方法を練習すること」を提案しました。
おもちゃの貸し借りでトラブルが起きたら、大人が仲裁に入って
「○○ちゃんが使っているんだね、時計の針が10になったら、もう1回かしてって言ってみようか」
「今日は○○ちゃんが使っているから、こっちのトラックで遊ぼうか」
などの声掛けを取り入れていきました。
おもちゃの貸し借りには順番があることや、みんなのおもちゃであることを伝えることで、泣いてばかりだったB君は、少しずつ言葉を使って友達とのコミュニケーションを楽しめるようになってきました。
4-3.期待が大きすぎた5歳児のCちゃん
リーダーシップを取るのが得意で、みんなの人気者のCちゃん。多くの習い事をして、ご両親からも期待をされているようでした。
妹が生まれて、ますますお姉さんらしく成長していたCちゃんでしたが、ある頃から、お弁当の時間になるとしくしく泣き出すようになりました。
筆者が「どうしたの?」と問いかけても、Cちゃんは何も言わずに泣いているだけでした。
園ではCちゃんの様子をお母さんに伝え、「Cちゃんに対して周囲の期待が大きかったこと」「妹の存在がCちゃんにとって大きいのではないか」という話をしました。
その後、ご家庭では、習い事を減らし、Cちゃんの話をよく聞くことを大切にされたようです。幼稚園では、Cちゃんが安心できるようにスキンシップや声掛けを多めに取り入れていきました。
すると、Cちゃんはお弁当の時間に泣くことになくなり、今まで以上によく笑い、「今日ね、わたしの妹ね、」と筆者に毎日妹の話をするようになりました。
子どもはまだ精神的に未発達であるため、自分が不安であっても、その気持ちを言葉でうまく表すことができません。
そんな時は、そのまま寄り添ってくれる大人が近くにいると、自分の心の居場所を再確認でき、安心して自分らしさを取り戻すことができます。
5.子どものありのままを受け入れよう
子どもは、大人が思っている以上に繊細です。
すぐに泣いてしまうお子さんには「そのままのあなたでいいんだよ、どんなあなたも大好きだよ」と言葉や態度で愛情を伝えていきましょう。
「ここが自分の居場所だ」とお子さん自身が強く思えることこそが、お子さんの安心感と生きる力につながります。
ママやパパが子育てを楽しむことも大切です。毎日大きな声でお子さんに泣かれると、精神的にも疲れてしまうこともあるかもしれません。そんな時は、一人で悩みすぎず、子育てのプロに話してみるのもお勧めです。
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