
子どもがプリントを出さない理由と自分からプリントを出せる工夫をご紹介
この記事を書いた人


横山ミノリ
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 児童発達支援士
小1と年少、2人の男子の母です。
ASD(自閉スペクトラム症)の長男への関わり方を学ぶため、「児童発達支援士」と「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得しました。
自身が産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。
子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。
子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。
「プリント出した?」「早くプリント出して!」お子さんへのこんな声かけで、毎日疲れていませんか?
学校からのプリントには、行事予定や保護者への大切なお知らせも多く、出してくれないととても困りますよね。新学年・新学期が始まるタイミングで、改めてお子さんに毎日プリントを出す習慣を身につけさせたいと思っているママも多いのではないでしょうか。
この記事では、小学2年生の男子を育てる筆者が、子どもがプリントを出さない理由と、自分からプリントを出せるようになる工夫をご紹介します。習慣化に効果的な方法や、声かけのポイントもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
ママが怒ることなく、子どもと楽しみながらプリント提出を習慣化させるためのヒントを見つけてもらえたら嬉しいです!
目次
1.子どもがプリントを出さない理由
さっそく、子どもがプリントを出さない理由を4つ考えます。お子さんがプリントを「出さないのか・出せないのか」が分かるだけでサポートのヒントが見えてきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1-1.習慣化できていないから
子どもがプリントを出さないのは、単純に、習慣化できていないからです。お子さんが幼稚園や保育園の頃は、カバンからプリントを出すのはママの役目だったというご家庭がほとんどではないでしょうか。
新しい習慣を身につけるためには、大人も子どもも時間が必要です。行動心理学では、新しい行動を習慣化するためには、21日間の継続が必要だと言われています。
宿題や時間割を調べるなど、小学生になってから始まる他の習慣にも慣れるまでに時間がかかるように、毎日プリントを出す習慣も簡単に身につくものではありません。
1-2.プリントの大切さをわかっていないから
子どもがプリントを出さない理由として、プリントの大切さを理解していないことも挙げられます。
プリントの中には、学校から保護者への大切なお知らせや重要書類も含まれます。小学校低学年のうちは、プリントを親に出さないことで忘れ物をしたり、行事に参加できなくなるかもしれないことを、分かっていない子どももいるでしょう。
また、プリントを出しても親が見てくれないと、子どもは「出さなくてもいいんだ」と思ってしまうかもしれません。
1-3.出したくない心理的な理由があるから
もし子どもが急にプリントを出さなくなった場合、出したくない心理的な理由があるかもしれません。
たとえば、ママに学校での姿を見られるのが恥ずかしくて、授業参観の案内を出さない子どもがいます。また、テストの点数が低いことを怒られた過去があるため、勉強関係のプリントを出さない子どももいるでしょう。
このように、以前にプリントを出したことで嫌な思いをしたことがあると、それをきっかけにプリントを見せなくなるケースもあります。
1-4.発達障がいの特性が影響しているから
プリントを出さない理由の1つに、発達障がい、特にADHD(注意欠如・多動症)の特性が関係していることもあります。
ADHDの子どもは気が散りやすいため、何か他のことをしているときにプリントを渡されると、プリントをランドセルに入れ忘れたり、入れたことを忘れてしまったりすることがよくあります。
プリントをなくしたりクシャクシャにしてしまったりするのは、配られたときにプリントに注意が向いていないからかもしれません。
さらに、発達障がいの子どもは、楽しくないことや目的が分からないことに取り組むのが苦手です。プリントを持って帰ってママに見せることに面白さを感じないため、子どものやる気が起きないのも納得できるのではないでしょうか。
筆者の長男も発達障がいがあり、プリントを学校に置き忘れてくることが多く、配布物があったかどうかも覚えていない日もよくあります。
2.子どもが自分からプリントを出せるようになる工夫
子どもが自分からプリントを出せるようになるには、習慣化とそのための環境作りが重要です。ここではレベル順に、5つのステップをご紹介します。お子さんに合わせてアレンジしながら、スモールステップで実践してみてください。
2-1.ステップ1:専用ファイルにプリントを入れる
まずは、プリントを入れる専用ファイルを準備しましょう。専用のファイルを決めておけば、プリントが教科書の間に挟まったり、ランドセルの底でぐしゃぐしゃになったりすることもありません。家に帰ったらファイルごと取り出せばOKなので楽ですし、出し忘れも防げます。
専用のファイルは、お子さんと一緒に使いやすいものを選んでください。A4サイズのプリントに対応しており、ファスナーがL字に開くものなら出し入れもスムーズです。仕切りや、項目で分けるためのタブシールがついているものもありますよ!
「プリントをなくさず忘れずにママに出すためのファイル」という目的を子どもに伝えておくのも、効果的です。
2-2.ステップ2:帰宅後はランドセルの中身を全部出す
次に、帰宅したらランドセルの中身を全部出す習慣を身につけましょう。最初のうちはママが一緒にやってあげると、子どももやる気になってくれます。
中身を出すタイミングは、ランドセルを下ろしたらすぐがおすすめです。中身を出すだけなら数秒で終わりますし、子どもがおやつを食べながら一休みしている間に、ママがプリントを確認することもできるからです。
さらに、ランドセルの中身を全部出すことでプリント以外のものの出し忘れも防ぎ、ランドセルの整理整頓にもつながります。
2-3.ステップ3:決まった場所にプリントを出す
ランドセルの中身を全部出したら、決まった場所にプリントを出す習慣をつけましょう。ファイルごと出すのかプリントだけ出すのかは、お子さんのレベルに合わせて決めてください。
お子さんの帰宅後の動線を考えてプリントの提出場所を決めると、スムーズにいきやすくなります。
例えば、リビングに専用のトレーや、プリントを貼りだす掲示板を設置するのはいかがでしょうか。ダイニングテーブルやテレビの近くなど、お子さんの生活動線上で目に入りやすいところを提出場所にするのもおすすめです。
確認ずみのプリントを出す場所も作っておけば、ママの確認し忘れも防げますね。
他にも、プリントを出したらおやつを受け取れる“交換作戦”で楽しく取り組める子どももいるでしょう。ここで大切なのは、毎日決まったタイミングに決まった場所に出すこと。やり方を固定することで、習慣化につながりやすくなりますよ!

ここからは少しレベルアップしたステップです。目的は、子ども自身に「プリントは自分のためのもの」ということを理解させること。
これができるようになると、子どもはプリントの内容を確認し、見せる必要があるものだけをママに渡せるようになるでしょう。
2-4.ステップ4:ママがプリントを音読する
子どもに「プリントは自分のためのもの」であることを覚えてほしい場合は、子どもと一緒にプリントを音読するのがおすすめです。
プリントをママが預かってしまうと、子どもは「プリントはママに渡せばいいもの」「自分には関係のないもの」と認識するようになるからです。
子どもがプリントを出してくれたら、まずはママがプリントを音読します。できればお子さんと一緒に目で追い、ゆっくりはっきりと、プリントに書かれている内容を読み上げましょう。
音読の際、プリントがお子さんに関係していることを強調すると、子どもは「これは自分に必要なことだ」と認識するようになります。
2-5.ステップ5:子どもにプリントを音読してもらう
プリントを読むことが習慣になったら、次は子ども自身にプリントを音読してもいます。
最初のうちは「なんのことが書いてある?」「何を持ってきてほしいって書いてある?」などと質問をして、子どもがプリントの内容を理解できているか確認しましょう。
プリントの一部分から始めて、プリント1枚、徐々に内容の濃いプリントにもチャレンジできるようになります。
学年が上がると、プリントを自分で読んで、ママに渡す必要のあるプリントだけ出せるようになるでしょう。プリントの大切さを理解しているので、プリントをなくすことも減るはずです。
3.プリントを出さない子どもへの関わり方のポイント
子どもが自分からプリントを出してくれるように促すためには、「プリントを出して良かった」というポジティブな感情を持てる関わり方が重要です。
ここでは、ママの素直な気持ちを伝えることと、プリントを出したくない理由に寄り添うことについて考えます。
3-1.プリントを出してくれたら感謝を伝える
子どもがプリントを出してくれたときは、忘れずに感謝の言葉を伝えるようにしましょう。
「ありがとう」「助かったよ」といった言葉をかけることで、子どもはママに喜んでもらえたこと、自分の行動が認められたことで嬉しくなるはずです。
最新の脳科学の研究によると、習慣にしたい行動をとった60秒以内に本人の脳を「快」の状態にし、それを200回繰り返すことで習慣化されることが証明されています。ですから、子どもがプリントを出してくれたら、その場ですぐに感謝の気持ちを伝えるのがポイントです。
このやり方だと、「ママのためにプリントを出すようになってしまうのではないか」と心配される方がいるかもしれません。
しかし、アメリカの心理学者であるデシとライアンによると、「外発的動機づけ」は「内発的動機づけ」に移行していくとされています。
最初は「ママが喜んでくれるから」「ママを助けたいから」という気持ちからプリントを出していた子どもも、プリントを出す必要性を認識してくると、「自分にとって必要だから」「忘れ物をしたくないから」という理由でプリントを確認するようになるでしょう。
3-2.プリントを出したくない理由を聞いてみる
もし、子どもがどうしてもプリントを出さない場合は、その理由を聞いてみましょう。子どもがプリントを出さない背景には、ママが思いもしない理由が隠れているかもしれません。
答えを急かしたり責めたりせず、「あなたのことを知りたい」というスタンスで、子どもがリラックスして話せる雰囲気づくりを心がけます。理由を教えてくれたら感謝を伝えて、原因解決のためにできることを一緒に考えましょう。
プリントを出す出さないの前に、子どもが何かに不安を感じている場合は、気持ちに共感し不安を解消することを優先させるのも大切です。
4.ママと子どもで楽しみながらプリントを出す習慣を身につけよう!
子どもがプリントを出さないのには、「習慣化していない」「プリントの大切さを理解していない」などの理由があります。また、心理的な要因や発達特性が関係している場合も考えられます。
この記事で紹介したステップを参考にして、お子さんに合った方法をいろいろと試してみてください。時間はかかるかもしれませんが、根気よく続けることで、いつか子どもは自分からプリントを出してくれるようになるでしょう。
もし今、プリントが見られなくてママが困っているなら、そのことを子どもに伝えて、ママが毎日ランドセルをチェックするのもありかもしれません。
自己管理能力や責任感を育てるための土台として、子どもが小学校低学年のうちは、ママも一緒に楽しみながら毎日の習慣を身につけていってはいかがでしょうか!
一人一人じっくり学べる!IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」[PR]
LITALICOワンダーは「好き」を「力」に変えるプログラミング教室です。
お子さんの個性、強み、興味といった「好き」をもとにオーダーメイドのカリキュラムを受講することができます。
その内容はゲームプログラミング、ロボット、デジタルファブリケーションなど様々。
さらに、「LITALICOワンダー」の運営元・株式会社LITALICOは、発達障害・ADHD・学習障害のお子さまへの学習支援・教育支援を行う「LITALICOジュニア」を運営しています。
・学習やコミュニケーションに不安がある…
・集中して授業を受けられるか心配…
・大人数が苦手で集団の習い事を嫌がる…
そんなお悩みをお持ちのお子さまでも、安心して通塾できるのもポイントです。
只今無料体験実施中!
お問い合わせはこちらから>>リタリコワンダー
おすすめの関連記事はこちら
・【小1】学校の準備ができない!理由と自主性を促すサポート方法をご紹介
・小1反抗期ってなに!?小1の”なまいき”な言動を認知心理学の視点から読み解く
・学校のことを話さない…。子どもの心理と、上手に話を引き出す関わり方をご紹介!
参考文献
・公式マスターブック 児童発達支援士
・「完全カラー図解 よく分かる発達心理学」渡辺弥生