【小1】学校の準備ができない!理由と自主性を促すサポート方法をご紹介
この記事を書いた人
横山ミノリ
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 小学校教諭
- 児童発達支援士
小1と年少、2人の男子の母です。
ASD(自閉スペクトラム症)の長男への関わり方を学ぶため、「児童発達支援士」と「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得しました。
自身が産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。
子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。
子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。
小学1年生の子どもに対して、学校の準備ができないことに悩んでる方はいませんか?
2学期以降になると「そろそろ自分で準備してほしい」「いつまで手伝えばいいのだろう」とモヤモヤしているママも多いのではないでしょうか。
小学1年生にとって、サポートなしで学校の準備をするのはハードルが高いですが、マスターすれば子どもの自主性が育つというメリットもあります。
この記事では、小学1年生の男子を育てている筆者が、同じ悩みを持つママの目線で、実践しやすい対策や気持ちが楽になる考え方を集めました。
子どもにとって準備が難しい理由と、具体的なサポート方法もご紹介しているので、前向きな気持ちで子どもをサポートでるようになっていただけたら幸いです。
目次
1.【小1】学校の準備ができない理由
ここでは、子どもが学校の準備ができない理由を3つご紹介します。
1-1.時間の概念が薄い
小学1年生の子どもにとって、学校の準備が難しい理由の1つに、時間の概念の薄さが挙げられます。ここで言う時間の概念とは「過去・現在・未来の順に時間が流れていく」という考え方のことです。
未就学児のときに比べて、過去の失敗から学んだり、先の見通しを立てたりできるようになったとは言え、まだまだ「今」に集中しがちな年齢です。
このように、発達的に時間の概念が薄いこの時期の子どもは「明日のために今準備する」という思考に至るのが難しく、学校の準備ができないのです。
1-2.準備のやり方がわからない
学校の準備ができないのは、単純に、何をどう準備したらよいのかわからないからかもしれません。
ここで、学校の準備でやることを書き出してみましょう。
- 持ち帰ったプリントや連絡帳を親に見せてサインをもらう
- 宿題をやる
- 時間割を見ながら教科書をそろえる
- 教科によって必要な物を用意する
- コップや給食セットを洗い、ランチョンマットを交換する
いかがですか?小学1年生にとって、学校の準備はけっこう複雑で、工程も多いことに気づかれたのではないでしょうか。
また、具体的にやることがわからないため「時間がかかって大変そう」「やり終えられるか不安」という気持ちだけが膨らみ、なかなか準備に取り掛かれない子どももいます。
1-3.他にやりたいことがある
学校の準備よりもやりたいことがある場合、学校の準備が後回しになるのは当然です。学校や習い事から帰った来たら、まずはゆっくり休みたいのかもしれません。早く遊びたい子どももいるでしょう。
この年齢の子どもは、やるべきことをするために思考や感情、行動をコントロールする「実行機能」の発達段階にいます。そのため、学校の準備をしなくてはいけないことを頭ではわかっていても、誘惑に負けてしまうのです。
2.【小1】学校の準備ができるまでのステップ
ここでは、子どもが自分で学校の準備ができるまでのステップと、サポート方法をご紹介します。徐々にステップをクリアして、学校の準備の習慣化を目指しましょう。
2-1.学校の準備を見える化する
まずは、学校の準備は何をするのかを見える化しましょう。
「学校の準備のやり方がわからない」「なんとなく大変そう」という理由から準備に取り掛かれない子どもも、準備の内容が目に見えてわかると動き出しやすくなるからです。
子どもと一緒に、準備で何をすればよいのか考えて、やることをリストにします。イラストや写真入りで書き出せば、子どもにとってさらにわかりやすくなりますよ。書き出せたら、いつも学校の準備をするところに掲示してみてください。
加えて、準備にかかる時間も見える化することをおすすめします。「よーいドン」でタイムを計測すれば、子どももゲーム感覚で乗ってくれるかもしれません。
10分で終わるとわかっていれば、子どもも準備に取り掛かりやすくなるでしょう。
2-2.いつ準備するか決める
学校の準備ですべきことがわかったら、いつ準備するかを決めましょう。時間が決まれば、帰宅後の流れが明確になり、準備の習慣化にも繋がります。
スケジュールを立てるときのポイントとして、すでに習慣化している行動や、必ずやる行動の前後にくっつけるのがおすすめです。例えば、帰宅後手を洗ったらすぐ、おやつや夕食の前後などです。
「〇時になったら準備する」と決めるより、スムーズに行動できるかもしれません。
スケジュールが決まったら、こちらも見える場所に掲示しましょう。決めたスケジュール通りに準備を始めないときは「スケジュールはどうなっている?」「○○の前・後に何するんだっけ?」などと声かけします。
子どもは、自分が決めたスケジュールのほうが守りやすいため、一緒に計画を立てることをおすすめします。
ママとしては、帰宅後すぐに準備してほしいと思うかもしれませんが、子どもを信じて見守りましょう。
2-3.習慣化する
最後のステップは、習慣になるまで立てたスケジュールを守り続けるだけです。学校の準備をサポートするうえで、子どもの「時間の概念」や「実行機能」が育つまで待つのは現実的ではありません。
最初は大変かもしれませんが、習慣になってしまえばからだが勝手に動くようになります。
「言われたからやる」ではなく「習慣だからややる」へチェンジできれば、ママが声をかける必要もなくなり、子どもの自主性も育ちます。
習慣化には継続が大事です。決めた時間になったら「ランドセルの中身を出す」など、小さなことから習慣化していきましょう。
やりやすさを重視し、習慣化のハードルを下げる工夫をするのも大切です。
3.【小1】学校の準備ができる子に育てるポイント
ここでは、子どもが1人で学校の準備ができるようにサポートするうえで、ママに押さえておいていただきたいポイントをお伝えします。
3-1.スモールステップで進む
「学校の準備をマスターし、自分からすすんで取り掛かる」という大きな目標にたどり着くためには、小さな目標を設定して、確実にクリアしていく必要があります。
まずはお手本を見せながら、一緒にやってみてください。「一緒に明日の準備しよう!」と明るく声をかけるだけで、動き出せる子どももいます。
ママが手伝う範囲を徐々に少なくし、最後の確認だけですむようにシフトしていきましょう。
最終的には、準備を始めるところから、声かけなしでできるがことを目指します。スモールステップで子どもが自信をつけながら、1人で準備ができるようにサポートしましょう。
3-2.スケジュールに縛られすぎない
時には、スケジュールを守ることより、子どもの心を守ることも大切です。何が何でも学校の準備をさせることを優先させ、目の前の子どもが見えなくなってしまうのは本末転倒だからです。
帰宅後の子どもの様子をチェックしてみてください。疲れていそうですか?何かママに話したいことがありそうでしょうか。
決めた時間になっても準備に取り掛かれないときには、子どもに寄り添った声かけをしましょう。「あとどれくらいで準備にとり掛かれそうかな」「何か気になること、やりたいことがあるの?」などが良いですね。
子どもは、自分に目を向けてくれるママに対して安心感や信頼感が増します。このような感情は、心の安定剤・行動の原動力になるでしょう。
また、「絶対にスケジュールを守らなければならない」と考えて、辛くなってしまうママもいます。「大切なのは子どもをよく見ることだ」と思えば、ママの気持ちも楽になるのではないでしょうか。
3-3.準備ができたらすかざず褒める
子どもが自分から学校の準備に取り掛かろうとしたとき、ママに手伝ってもらいながらでも学校の準備ができたときは、すかさず褒めましょう。
やろうと思ったタイミングで声をかけられると、集中力が切れてしまう子どももいるので、終わったタイミングで褒めてあげてください。
具体的には、
「○○くん・○○ちゃんは1人で学校の準備ができてさすがだね!」
「自分から進んで準備ができるんだね!」
などの声かけが効果的です。
人間は期待された通りの成果を出す傾向があります。「自分は1人で学校の準備ができる」と子ども自身が思えるようになると、実際にそれが現実となるのです。
3-4.準備をするメリットに目を向けさせる
学校の準備ができる子を育てるうえで、準備のメリットや良い結果に目を向けさせるのも効果的です。
「明日の準備が終わったから思いきり遊べるね」
「昨日準備が終わっているから朝は余裕があるね」
「しっかり準備しているから忘れ物をしなくてすむね」
などの声かけがおすすめです。
子どもは、学校の準備をすると良いことがあると気づけると、自分から進んで準備するようになります。
また、ママが明日の準備をしている姿を見せたり、明日の予定を確認する姿を見せたりするのも良いでしょう。
3-5.失敗から学ばせる
忘れ物や準備が間に合わない経験も、子どもの成長にとって必要です。失敗から準備の大切さを学んだり、忘れ物を減らすために準備のやり方を考えるチャンスになるからです。
もし忘れ物やミスがあっても、子どもを責めるのではなく、まずは自分で準備したことを褒めましょう。その後で、どうしたらよかったか一緒に考えれば、次に繋げることができます。
また、子どもの忘れ物はママの責任ではないことも覚えておきましょう。学校の準備は子どもの仕事だからです。そのためにも、学校の準備は子ども自身にやらせる必要があるのです。
なお、どのくらいの失敗をすれば学ぶのかも個人差があります。お子さんが忘れ物を全然気にしない様子だとしても、落ち込み過ぎなくて大丈夫です。
4.【小1】学校の準備ができることで得られるメリット
子どもが自分で学校の準備ができるようになると、たくさんの良いことが起こります。ここでは、準備ができるようになると得られるメリットを3つご紹介します。メリットを考えるとサポートを続ける力になるでしょう。
4-1.学校生活の質が上がる
1つ目のメリットは、学校生活の質が向上することです。当然ながら、もれなく学校の準備ができるようになると、忘れ物が減ります。必要な物がそろっているため、授業やその他の活動に集中できるのは言うまでもありません。
また、自分で学校の準備をすることで、学校に行くこと自体が主体的になるという良い点もあります。毎日楽しく学校に通う上で、自分で学校の準備ができることは大切な要素と言えるでしょう。
4-2.自主性が育つ
学校の準備をできるようになると、子どもの自主性が育つというメリットもあります。「自主性」がある子どもは、やるべきことや指示が与えられていることを自分から進んで行います。
「時間割どおりに教科書をそろえる」「先生から言われた持ち物を準備する」などは「自主性」です。
この「自主性」は「自発性」に発展していきます。「自発性」とは、具体的な指示がない場合でも、自分で考えて行動することです。
「朝に準備するものはメモに書いてランドセルに貼っておこう」「明日は持ち帰るものが多いから大きめのバックを持っていこう」などは、自発的な行動と言えます。
さらに「自発性」が育つと、自ら考えて行動できる子どもになります。自分で考えて行動する力は、現代社会で求められている力ですし、自分らしく生きていくためにも必要不可欠です。
4-3.ママの負担が軽くなる
子どもが自分で学校の準備ができるようになれば、必然的にママの負担が軽くなります。このメリットは、多くのママが求めている理想ではないでしょうか。
想像してみてください。子どもが学校の準備をマスターすれば「一緒に準備しよう!」「もう準備終わった?」などの声かけをしなくて良くなるのです。気にかける必要がなくなるだけで、気持ちが楽になりませんか?
また、子どもの帰宅後から夜にかけては家事に集中したい時間帯であり、1日の疲れも出できます。そんなときに、子どもの心配をせず、家事や自分のことに集中できるのは嬉しいですよね。
5.【小1】学校の準備ができるようにサポートし子どもの自主性を育てよう!
いかがでしたか?ご家庭で試せそうなものはあったでしょうか。
いつまで、どの程度のサポートが必要かは、個人差があります。周りのお友達と比べるのではなく、小学校入学当時の我が子と比べて、できるようになったことを大切にしていきましょう。
1年前まで幼稚園生・保育園生だった子どもが、毎日小学校に通っているだけで、素晴らしい成長なのです。
学校の準備ができないことばかりに目を向けるのではなく、どうしたらできるようになるかを考えると、気持ちも前向きになります。
手や口を出し過ぎないように気をつけながら、その子に寄り添ったサポートをし、子どもの自主性を育てていきましょう!
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