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キンダーカウンセラーとは?心の専門家の保育園・幼稚園での役割

この記事を書いた人

榊原なつき 榊原なつき

榊原なつき

  • 心理カウンセラー
  • 小学校教諭
  • 保育士
  • 中学校教諭

小学校教諭として2年間勤め、現在は放課後等デイサービスに勤務

保育士・小学校教諭・中学校教諭・心理カウンセラーの資格をもち、大学では教育社会学を専攻。

ひとりひとりの個性に合った教育や療育を目指しています!

みなさんは、「キンダーカウンセラー」をご存知でしょうか?

あまり馴染みのない方が多いかと思いますが、キンダーカウンセラーは親御さんや園の先生の強い味方になってくれる存在です。

近年、保育園や幼稚園でキンダーカウンセラーの配置が進められています。

今回は、「キンダーカウンセラーってどんな人なんだろう?」「何をしてくれるんだろう?」という疑問にお答えしていきます!

 

目次

1.キンダーカウンセラーとはどんな人?

「キンダーカウンセラー」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか?

そもそも、カウンセラー自体と関わりの薄い方もいるかもしれないですね。

まずはカウンセラーとは何をする人なのか、その中でも「キンダーカウンセラー」がどのような役割を担っているのか、また、似た存在である「スクールカウンセラー」と何が違うのかなどをご紹介します!

 

1-1.今、注目されているカウンセラーの存在

カウンセラーとは、カウンセリングの技術や心理学の知識を用いて、相談者の心の問題や悩みに対して対話しながら支援を行う人です。

カウンセラーと聞くと、精神科や心療内科などの心の問題を抱えた人に対して支援をする、というイメージが強いかもしれません。

しかしカウンセラーが活躍する場は次第に広がっており、学校では「スクールカウンセラー」、企業では「産業カウンセラー」など、それぞれ分野の特徴に合わせて問題解決の手助けをしてくれる存在として注目されています。

カウンセラーへの注目が高まっている理由として、精神疾患を有する人患者の数が増えていることが挙げられます。 厚生労働省の調査によると、2002年には患者数が約223万人であったのに対し、2017年には約389万人にまで増加しています。

IT化が進み、人間関係が希薄になる中で成果を求められることも少なくなく、一人ひとりのストレスもたまりやすくなっています。そこで、カウンセラーがその悩みの解決に必要とされているのです。

 

1-2.キンダーカウンセラーとは

キンダーカウンセラーとは、カウンセラーの中でも幼稚園や保育園にいるカウンセラーのことを指します。

臨床心理士やそれに準じる知識や技術を持っており、「心の専門家」として保護者や園の先生に助言をしてくれる存在です。

2003年に、大阪府私立幼稚園連盟が「キンダーカウンセラー事業」を立ち上げたことをきっかけに、全国各地で幼稚園や保育園への配置が進んでいます。

大阪府では、約180の加盟園で実施されており、月に1回以上園に出向き、保護者や園の先生への相談援助、さらに研修の機会を設けるなどの活動を行なっています。

2021年の文部科学省の通知の中でも、幼稚園へのカウンセラー配置を推進すると記載がされています

 

1-3.スクールカウンセラーとの違い

スクールカウンセラーが児童や生徒に対して直接カウンセリングを行うのに対し、キンダーカウンセラーは園児に対して直接カウンセリングをする事例は、あまりありません。

キンダーカウンセラーはお子さんの園での活動や遊びの様子を観察することで、親御さんや園の先生抱えている困りごとの解決方法を提案してくれます。

 

2.キンダーカウンセラーが行うこと

それでは、「キンダーカウンセラー」はどのような業務を行っているのでしょうか?

「子どもの心の専門家」としてあらゆる方面から子どもたちの成長を手助けしてくれています。

 

2-1.保護者からの相談支援

保護者は、カウンセラーと直接話をすることができます。

日々の子育てで困っていることや夫婦関係、仕事との両立についての問題など多岐にわたる相談にのってくれます。 親御さんの悩みに対して、心理的な側面から分析をしてアドバイスをしてくれるのです。

子どもが心身ともに健やかに成長するために、一番安心して過ごせる場である家庭が安定し、一番甘えられる親御さんが安心して子育てができるように、キンダーカウンセラーは親御さんの力になってくれます

必要があれば、定期的に継続して相談に乗ってくれます。

また、お子さんの園での活動の様子を観察して、家での様子と比較しながら対応方法を検討していきます。 さらに、有効であると判断した際には園と連携することで、保護者の困りごとを解決する手助けをしてくれます。

・園でこまめに声を掛けてもらい、家は自由にできる場にする
・園での成功体験を増やせるように、園の先生に仲介してもらう

など、園の先生にも協力を依頼することができます。

 

2-2.園の先生からの相談支援

保護者からの相談のみでなく、毎日園で子どもと関わる園の先生からの相談にも、キンダーカウンセラーは対応しています。

お友達とのトラブルが多い、活動への参加が難しい、心理的に落ち着かない状態が続いている、など先生の目線で気になった子どもの様子を相談することができます

また

・保護者にお願いごとを伝えてもなかなか改善されない
・丁寧に対応しているつもりなのに、保護者に不信感を抱かれてしまう

のように、保護者の方との関わりで難しさを感じるときなど、子どものこと以外にも客観的なアドバイスをしてくれたり、親御さんとの橋渡しの存在になってくれたりします。

 

2-3.子どもの発達や心理面についての研修・講義

園の先生に対しての研修や、親御さんに向けた講演会を行ってくれる場合もあります。

・「どうして子どもは言うことを聞いてくれないのだろう?」
・「子どもをやる気にさせるにはどうしたらいい?」

など、お子さんにとって課題となるような問題について、子どもの発達や心理の専門家ならではの視点で考え方や対応方法を伝えてくれます

親御さんや先生が困っていることが、実はお子さんの成長発達の観点ではよくあること、という場合も多くあります。 そのような問題について理解を深め、キンダーカウンセラーと一緒に考える機会となるでしょう。

 

3.キンダーカウンセラーに相談するメリット

「相談相手が先生ではダメなの?」「ママ友と話すだけでもいいんじゃない?」と思う方もいるでしょう。

キンダーカウンセラーは保護者や先生の強い味方になってくれます。キンダーカウンセラーをうまく活用することで、問題解決を適切に進めることができる例を紹介しましょう。

 

3-1.子どもの心や発達のプロの目線から解決策を考えてくれる

キンダーカウンセラーは、子どもの発達面や心理面に関して深い知識を持っています。

園の先生も基礎知識はもっていますが、キンダーカウンセラーはより様々な角度からお子さんの行動の要因を分析してくれます。

・「課題が子どもにとって難しいのかもしれない」
・「教室内のレイアウトに過ごしにくさの要因があるかも」

など、日々慣れた環境で過ごしている園の先生にとっては当たり前の環境であっても、様々な知見をもつキンダーカウンセラーであれば、子どもにとってさらに過ごしやすくなるような改善策に気づくこともあります。

必要があれば、先生や保護者の話を聞くだけでなく、実際の園での様子を観察してくれます。 家での様子と園での様子の違いを踏まえて、子どもにとって最適な無理のない解決方法を提案してくれます。

 

3-2.園の先生と連携しながら問題を解決することができる

お子さんにとって園は、家庭の次に長い時間を過ごす場所です。

キンダーカウンセラーは必要に応じて園の先生とも連携をして親御さんの困りごとを解決してくれます

園の先生は、複数の子どもの様子をを常に見ているため、ひとりに対して時間をかけて向き合うことが難しい場合もあります。

そこで、キンダーカウンセラーの視点から園の先生に助言をし、保護者と園、そして心理の専門家であるカウンセラーが連携して解決を進めることへ繋ぎます。

 

3-3.園でのお子さんの様子を詳しく把握できる

お子さんが家庭の次に長い時間を過ごす保育園や幼稚園ですが、親御さんが実際にお子さんの園での活動の様子を見る機会は多くないでしょう。

お子さんのことで気になることがあった際に、実際に園ではどのように過ごしているかわからず、不安になることもありますよね。

キンダーカウンセラーに相談すると、お子さんの園での様子を観察し保護者の方に伝えてくれます

家では気になることがある場合も、園では問題がないということもよくあります。家と外での様子の両面を把握することで、適切な問題解決の方法が見つけやすくなるでしょう。

 

4.こんなときはキンダーカウンセラーに相談しよう

では、親御さんはどのようなときにキンダーカウンセラーの力を借りることができるのでしょうか?

「こんなことを相談してもいいのかな?」と迷うかもしれませんが、お子さんのこと、子育てのことなど、困ったときにはまずは相談することをおすすめします。

キンダーカウンセラーへの相談の具体例をみていきましょう。

 

4-1.家での育児に困っているとき

・「子どもがこんな様子のとき、どう接していいかわからない」
・「仕事と育児の両立がしんどい」

など、日々の子育ての中でどうしていいか分からず、不安になることも多いのではないでしょうか。

そんなときに、心のプロに相談することで子どもの気持ちや発達を考慮した対応方法を教えてもらったり、心の保ち方を教えてもらったりすることができます。

子どもの心理についても精通しているプロなので、お子さんの発達面を考慮した上で現状の対応の中で上手にできていることや、さらによくなるためにするべきことなどを教えてもらえますよ。

 

4-2.子どもが園で問題を抱えているとき

・「園に行き渋るようになった」
・「お友達とのトラブルが多い」
・「園での活動に参加できない」

など、先生に相談しても解決しない場合や、園の先生には話しにくい内容についても、キンダーカウンセラーに相談することができます。

心理の専門家であるキンダーカウンセラーの目線からお子さんの園での様子を観察してもらうことで、解決方法を提案してもらえることでしょう。

必要に応じて園の先生との橋渡しも行ってくれるので、問題解決にスムーズに繋げることができます

また 「園の先生の対応について気になる点がある」 「子どもが先生に会うのを嫌がり、行き渋っている」 なども時にはあると思いますが、先生に直接伝えのはためらいますよね。

そんなときにキンダーカウンセラーに相談して悩みを聞いてもらったり、問題解決に介入してもらったりすることもできます。

 

4-3.子どもの発達に心配なことがあるとき

・「他のお友達より言葉が遅れている気がする」
・「他のお友達はひとりでトイレに行けるのに、うちの子はまだオムツが外れない」
・「園に飾ってある作品を見て、他の子よりも手先が不器用だと思った」

など、他のお子さんができていて我が子ができないことがあると、不安になりますよね。

キンダーカウンセラーは心だけでなく、子どもの身体面の発達にも詳しいので、心配がある場合には相談してみましょう

発達のスピードはひとりひとり違うため、専門家の目線から見て問題があるのか・ないのか、また個別でケアが必要なのかなどのアドバイスをもらえると、安心できることも少なくありません。

もし個別のケアが必要な場合は、福祉サービスと連携をとるきっかけにもなるでしょう。

 

5.ひとりで抱え込まず、キンダーカウンセラーに相談しよう

育児に関する困りごとを身近に相談できる存在がいなかったり、相談してもなかなか解決に至らなかったりすると、不安になることも多いでしょう。

そんなときには、心や発達の専門家であるキンダーカウンセラーに相談することで、具体的な解決方法が見つかるかもしれません。 お子さんやそれぞれの家庭の状況に合った解決方法を、一緒に考えてくれるはずです。

キンダーカウンセラーには守秘義務があるため、相談内容は親御さんの許可の範囲内でのみ開示されるようになっています。つまり、相談内容が許可なく園の先生に伝わることはありません

まずは、キンダーカウンセラーに相談できるかどうか、園の先生に声を掛けてみましょう。 親御さんの不安が解消されることが、お子さんにとって一番の安心材料になります。

様々な人の力を頼りにしながら、周囲の大人が協力してお子さんの成長を見守っていきましょう!

 

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参考文献
キンダーカウンセラー事業(一般社団法人大阪府私立幼稚園連盟)
学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知) 文部科学相
原口喜充. キンダーカウンセリングの特徴を生かした保育者支援, 2022

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