子どもの爪噛みはストレスの現れ?原因と対応のポイントを紹介
この記事を書いた人
多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
子どもが爪噛みをしていると、「育て方が悪かったのかな」「ストレスをためているんじゃないかしら…」などと心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。
子どもが爪噛みをするのは、親からの愛情不足が原因ではありません。
この記事では、子どもが爪を噛む理由や爪噛みの影響、家庭で実践できる対応法を紹介していきます。
子どもの爪噛み癖に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.子どもが爪を噛むのはなぜ?
子どもの爪噛み癖は珍しいことではありません。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局の「一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト」によると、爪噛み癖は10歳~12歳の子どもの40%に出現するとされています。
では、なぜ子どもは爪を噛むのでしょうか。その原因は、主に以下の2点と言われています。
1-1.ストレスを感じている
子どもが爪を噛むのはストレスを感じるときであるとされています。
寂しい・嫌なことがあった・環境が変わったなど、子どもでもさまざまな状況でストレスを感じることがあります。
また、子どもは大人と比較して経験が乏しく、ストレスをうまく受け流せません。そのため、心のバランスをとるために、無意識に爪を噛むことがあります。
ここで注意したいのは、必ずしも子どものストレス=親の愛情不足ではないということです。 生きていく上で、ストレスと無縁でいるのは難しいものです。家庭環境に問題のない子どもでも、学校や人間関係のストレスから爪噛みをするケースもあります。ですから、子どもに爪噛み癖があったとしても「愛情不足なんだ」と自分を責めないでくださいね。
1-2.癖になっている
精神的な要因がなく、単なる「癖」として爪噛みをすることもあります。 退屈したときなどに、気を紛らわすために行っていた爪噛みが習慣化してしまった場合などです。
ただし、そうしたケースでも爪噛みを放置するのではなく、爪噛みの裏に隠れたストレスがないか、慎重に見守ってあげるといいでしょう。
2.子どもの爪噛みはやめさせた方がいい?爪噛みの影響
子どもの爪噛みは一過性のものであることが多く、過度に心配する必要はありません。
しかし、爪噛みが長期間に渡ったり、頻繁に爪噛みをしたりする場合には、以下の影響が出る恐れがあるため、早めに専門家に相談しましょう。
2-1.身体面への影響
■歯並びや噛み合わせが悪くなる
爪を噛むことで歯に負担をかけ続けると、噛み合わせが変わる・歯並びが悪くなるなどのリスクが生じます。
■爪が変形する
爪噛み癖があると、爪がギザギザになる・爪の表面がデコボコになる・深爪になるなど、爪の形が変化してしまいます。また、爪を噛む癖が長期間続くと、爪の下の「爪床」(そうしょう)と呼ばれる皮膚が短くなり、指先が丸い形に変形してしまうこともあります。
■感染症リスクが生じる
爪に付着した微生物が口内に入ることで、感染症のリスクが高まります。さらに、爪周りの傷口から細菌の感染が起こる可能性もあるため、注意が必要です。
2-2.精神面への影響
成長し、周りの目が気になるようになると、「爪噛みの癖が恥ずかしい」「爪がボロボロなのを見られたくない」といった感情が芽生え、自己肯定感が低下する恐れがあります。
3.子どもの爪噛みをやめさせるには?対応法を紹介
一過性の場合が多いとは言え、さまざまなリスクを抱える爪噛み。できる限り早めに爪噛みをやめさせてあげたいと思う方も多いでしょう。
ここからは、家庭で実践できる子どもの爪噛みへの対応法を紹介します。
3-1.ストレスの原因を探す
子どもの爪噛みをやめさせるためには、まず子どもが何らかのストレスを抱えていないか、そのストレスの原因は何であるのかを考えましょう。
ストレスの原因を取り除かないまま無理やり爪噛みをやめさせても、ストレス発散の方法が爪噛み以外のものになるだけで、根本的な解決になりません。
子どもの様子を観察し、どのようなときに爪を噛んでいるかを把握することで、ストレスの原因を探っていきましょう。
例えば、「怒られた後に噛むことが多いな」「園に行く前に爪を噛んでる」など、爪を噛むタイミングによって子どもの心理状態が分かり、次の対応に繋げられます。
また、環境の変化も子どものストレスの原因となり得ます。 特に下にきょうだいが生まれた場合は、親と関わる時間が減ってしまい、子どもが不安を感じるケースが多いようです。
ストレスの原因は家の中にあるとは限りません。 「幼稚園でお友だちとケンカしてしまった」「習い事で失敗してしまった」なども爪噛みの原因となる場合があります。園や習い事の先生と情報を共有し、子どもの状況を把握していきましょう。
3-2.子どもとの時間を作る
子どものストレスの原因を取り除くとともに、子どもの心を満たすことも大切です。
子どもの心が満たされず、安定していない状況では、ささいなストレスを受け止めるのも難しくなってしまいます。
子どもの話に耳を傾けながら、スキンシップをとる時間を作ってみてください。子どもとの時間は5分程度の短い時間でも構いません。ただし、その5分間は携帯を見たり、作業をしたりしながらではなく、子どもに集中してあげましょう。
また、下にきょうだいが生まれた場合は、上の子と2人きりになる時間を作るのがおすすめです。下の子が生まれる前と同じ状況で親に甘えることができ、子どもの気持ちが満たされやすくなるでしょう。
「夜に下の子を寝かしつけた後の5分は、上の子とのスキンシップタイムにする」「パパが休みの日に下の子を預けて、上の子と2人だけで公園に行く」など、上の子が親を独占する時間を作ってあげてくださいね。
3-3.子どもの話を聞く
子どもの話を聞くのは、ストレスの原因を探るだけでなく、子どもを安心させてあげるためにも、非常に有効な方法です。
子どもの話を聞くときは、否定せず、子どもの気持ちに共感しながら聞いてあげてください。無条件に話を聞いてもらえることで、子どもは受け入れられている喜びを感じ、自己肯定感が高まります。
また、子どもが小さい場合は「ブランコで遊べなくて悔しかったんだね」などと、子どもの気持ちを言葉にしてあげてもいいですね。
自分の気持ちを言葉で理解することにつながり、やがて自分の気持ちを言葉で説明できるようになっていくでしょう。
3-4.癖に気づかせる
子どもが爪を噛んでいたら、指先や手全体を優しく包み込み、手を口元から離してあげましょう。
子どもが「今、爪を噛んでた」と自分で気づくようになりますよ。 このとき、「やめなさい」などと、声を荒らげて怒らないであげてください。怒ることで子どもにプレッシャーを与えてしまい、かえって爪噛みがひどくなる恐れがあります。
3-5.他の習慣に置き換える
爪を噛むタイミングが分かる場合は、そのタイミングに備えて、爪噛みの代わりになるものを準備しておきましょう。
例えば、粘土やブロックなど、手を動かす遊びに誘うことで、手を口元から離せます。
子どもがある程度大きくなっている場合は、ストレスボールなど、手持ち無沙汰を解消できるアイテムを使うのもいいですね。
3-6.爪を短く整える
物理的に爪が噛めないように、爪を短く切りそろえておくのも爪噛み癖の対策になりますよ。短くした爪は噛みにくいため、「噛みたい」という気持ちを抑える効果があると言われています。
爪を切るのを忘れないように、週に1度爪を切る時間を作ったり、「爪が伸びたら教えてね」と子どもに声をかけたりするのがおすすめです。
ただし、爪を短くして噛みにくくしても、爪の奥深くや皮膚を噛んでしまうケースもあります。爪を短くするだけではなく、引き続き子どものストレスの原因を探しつつ、子どもを安心させるサポートを心がけましょう。
3-7.マニキュアを塗る
子ども自身が「やめたい」という気持ちがある場合は、爪噛み防止のマニュキュアを利用するのもいいでしょう。
このマニキュアを塗っていると、噛んだときに苦味を感じるため、爪を口元にもっていかなくなる可能性があります。しかし、マニキュアを使って無理やり爪噛みをやめさせても、他の癖に移行する恐れがあります。
子どもが自発的に「爪噛みをやめるためにマニュキュアを使いたい」と思っている場合に限り、使用を検討するのがおすすめです。
3-8.成功体験を積ませる
爪を噛まずに過ごせたときは、「爪を噛まないでいられたね」と子どもに教えてあげてください。
「できた」という成功体験は子どもに自信をつけさせ、「次もがんばろう」というチャレンジ精神を育てます。
一度にやめるのが難しい場合は、「学校では爪を噛まない」「まずは右手の親指を噛むのをやめる」など、時間や場所を限定した目標を立ててもいいですね。
4.爪噛みの原因を理解し、子どもの成長をサポートしよう
爪を噛む子どもを見て戸惑ったり、自分の子育てに自信がなくなったりしてしまうこともあるでしょう。しかし、爪噛みは子どもの成長過程でよく見られるものであり、自然に治ることもあります。
まずは、子どもが爪を噛む原因を理解し、焦らず子どもに寄り添ってあげてくださいね。
様子を見ていても一向に改善する気配がなく、親が気になってしまう場合は、園や学校の先生・かかりつけの小児科の医師に相談してみてください。 専門家のアドバイスを受けることで、親の心の負担が減ることもありますよ。
参考文献
一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト,厚生労働省雇用均等・児童家庭局
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