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【年長】ひらがながスラスラ読めない原因と読むのが苦手な子への練習法

この記事を書いた人

みき みき

みき

  • 高等学校教諭
  • 司書教諭
  • 中学校教諭

高校の国語講師として約8年勤務していました。

中学、高校の教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を持っています。

現在は3人の子育てに奮闘中。

知識や経験を活かせるライターを目指し、勉強中です。

「ひらがなはだいたい読めるけど、単語や文章になるとスラスラ読めない」
「小学校入学までにスムーズに読めた方がいい?」

そんなお悩みをお持ちではありませんか。

この記事では、子どもがひらがなをスラスラ読めない原因や、読むことへの苦手意識を克服する方法について解説します。

文字に興味を持ってもらうための親の関わりについてもお答えしますので、ぜひご家庭でも取り入れてみてくださいね。

 

目次

 

1.年長で文字がスラスラ読めないのは問題?

「ひらがながスラスラ読めないけれど、小学校の勉強についていけるかな?」と心配になる親御さんも多いでしょう。まずは年長の子どもがどのくらいひらがなを読めるのか、就学前の読み書きの習得目安を解説します。

 

1-1.就学前の読み書き習得の目安

ある調査によれば、「かな文字(ひらがな・カタカナ)を読める」という設問に対して、年長児の97.2%が「とても当てはまる・まあまあ当てはまる」と回答しました。(※1)

最近は入学前の準備として、幼稚園や保育園でひらがなに触れるところが多いですよね。教育に熱心なご家庭では、年中や年長のうちから文字をスラスラ読める子もいるでしょう。

そんな姿を見ると、「うちの子は大丈夫かな?」と焦ってしまう方もいるかもしれませんが、年長の時点で文字がスラスラ読めなくてもさほど心配はいりません。

『小学校指導要領 国語編(※2)』には、

「平仮名の読み書きについては,各教科等の学習の基礎となるものであり,第1学年でその全部の読み書きができるようにする必要がある」

と説明されています。就学前にひらがなの読み書きが完璧ではなくても、小学1年生でしっかりと習得すれば問題ないでしょう。

筆者の子ども(小1)の小学校では、1年生の1学期にひらがな、2学期に2週間ほどカタカナに触れ、2学期後半では漢字に入るといったペース形で進んでいます。

上の子どもたちも同じような進度だったので、多くの公立小学校では学習のペースに大差はないでしょう。

どうしても心配なら、入学予定の小学校にすでにお子さんを通わせているママ友などから事前に情報収集するといいかもしれません。

小学校に入学する時点で、読み書きのレベルに多少の差はあっても、夏休み前にはほとんどの子がひらがなを習得しています。年長の時点で読めない文字があっても心配はいりません。

まずは自分や家族の名前から読んだり、書いたりすることなどから始めてみると、自信につながり、文字への興味関心にも結びつきやすくなります。

文字に興味を持ってもらう方法については、後ほど詳しく解説します。

 

1-2.小学校で音読の宿題が始まる時期

音読の宿題が始まる時期は、学校や先生によっても異なりますが、早いところでは入学後すぐに音読の宿題が導入されます。

最初は言葉遊びのような短い文から始まります。「あいうえお」に慣れてきたら、濁音や拗音などが混ざった文章に移り、しっかりした物語になるのは、2学期ごろです。

子どもが無理なく音読に取り組めるように、適切な文字量や難易度の文章が選ばれます。

小学校にスムーズに慣れていくために、年長のうちから文字に興味を持つ関わりを少しずつできるといいですね。

 

2.文字がスラスラ読めない原因は

文字を読むという行為は、想像以上に体のいろいろな機能を使います。そのため、覚えたばかりの文字を読むのは、大変な作業です。ここでは、子どもがスラスラ読めない原因を解説します。

 

2-1.文字を読むために必要な要素

まずは文字を読むために必要な要素を知り、お子さんがつまずいているポイントを探っていきましょう。

読むときは、眼球運動で文字をとらえることから始まります。認識した文字は脳の言語野という視覚情報を処理する部位に届き、そこで過去の単語、音韻、文法に関する知識と照合されます。

このとき、人は文字を1文字ずつ認識するというよりも、何文字か先まで見て、単語などのかたまりで認識し、意味を理解しています。知っている単語が多いとすんなり進んでいき、知らない単語では眼球運動が進まないということが起こります。

さらに、文字を声に出して読む場合は、文字を視覚的に捉えた後に、1文字ずつ音と文字を対応させる作業(音韻処理)が必要になります。

文字を覚えたばかりで、語彙力や経験値の少ない子どもにとって、文章をスラスラ読むのは難しいことなのです。

 

2-2.原因1「ひらがなを覚えきれていない」

ひらがなを覚えきれていないと、知らない文字が出るたびに詰まってしまいます。

特に、「わ・れ・ね」「た・に」など形が似ている文字は混同しやすいです。

ひらがなカードやカルタなどを活用して、ひらがなを1文字ずつ読むことに慣れましょう。

お風呂にひらがなポスターを貼って、親子でクイズを出し合うのも楽しいですね。

 

2-2.原因2「音のつながりを理解していない」

ひらがなは習得したけれど、文章や単語を読もうとすると、1文字ずつ区切ってスラスラ読めないことはありませんか。

これは単語を1つのまとまりとして読めていない状態です。文章を読むには、語彙の豊かさが欠かせません

親子の会話や絵本の読み聞かせを通して、子どもの語彙を増やす関わりを心がけましょう。

 

2-2.原因3「集中できていない」

文字を認識して、それを声に出す作業は、大人が思う以上に大変なことです。子どもは頭をフル回転で使っているため、集中力が続かないことも多いでしょう。

子どもの集中力は「年齢+1分」と言われています。年長の子どもなら6〜7分が目安です。ドリルや絵本などを使って、子どもが読む練習をするときは、時間内に読み終わる分量を選ぶといいでしょう。

一気にまとめてではなく、毎日少しずつ続けてみてくださいね。

 

3.読むのが苦手な子へ、おすすめの練習法

お子さんが文字をスラスラ読めないと、心配になりますよね。しかし無理やり本を読ませるのは逆効果です。

ここでは、読むのが苦手な子への練習方法をお伝えします。

 

3-1.まずは短い単語から始める

読む練習をするときは、身近にある短い単語から始めます。

ひらがなを読むのが苦手な子には、「て」「め」「あし」など体の部位を使う練習がおすすめです。

例えば、「て」「あし」などと書いたカードを見せて、子どもに読んでもらった後に「体のどこの部分かわかるかな?」と自分の手や足を指すようにすると記憶が定着しやすいですよ。

 

3-2.少しずつ文字数を増やす

ひらがなを1文字ずつスムーズに読めるようになってきたら、少しずつ単語の文字数を増やしましょう。

2文字から3文字、4文字と段階を踏むことで、無理なく読む力を育みます。その際、身近にあるものと文字を連動させると覚えやすいですよ。

「つくえ」「いす」「れいぞうこ」などと書いた紙を実際のものに貼り付けます。ゲーム感覚で楽しく覚えることができるのでおすすめです。

 

3-3.短い文章の絵本に挑戦する

単語が読めるようになってきたら、いよいよ絵本の出番です。まずは短い文章の絵本にチャレンジしてみましょう。いきなり子どもに読んでもらおうとせずに、はじめはママやパパが読み聞かせをするとスムーズです。

「今度は〇〇ちゃんが読んでみる?」などと聞いてみて、子どもが乗り気なら読んでもらいます。乗り気でない場合は、「じゃあ一緒に読んでみようか」と誘ってみても良いですね。

ここでは、1人で絵本を読めるようになってきたお子さんにおすすめの絵本を紹介します。

なるべくお子さんに馴染みのある単語で読むことができて、絵を見れば何が書いてあるかわかる絵本を選ぶと読みやすいです。

 

おすすめ絵本

くだもの(著/平山和子)

本物みたいな果物の絵がとても素敵な絵本。「さあどうぞ」で思わず、食べたくなるほどの瑞々しさがあり、子供と一緒におままごとをする感覚で読めます。

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あいうえお でんしゃ じてん (著/視覚デザイン研究所)

電車が好きの子さんにぴったりでしょう。好きなものの名前は覚えやすい上に興味があると集中力も途切れにくいのでおすすめです。

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すてきな ひらがな(著/五味太郎)

印象的なゴミ太郎さんの絵と写真で構成された絵本です。1ページに5個くらいの単語が載っているので飽きずに何度も読めるでしょう。

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4.文字に興味を持ってもらうための関わり

文字を読んでほしいという思いに囚われすぎると、子どもが拒否反応を示すこともあります。

無理強いはかえって逆効果なので、年長さんには「楽しく、少しずつ」をモットーに進めていきましょう。

ママやパパができる興味を持ってもらうための関わり方を紹介します。

 

4-1.子どもが興味のある本を選ぶ

図書館や書店で絵本を選ぶときは、親が読んでほしいものでなく、子どもが楽しく読めるものを尊重しましょう。

子どもがどんな絵本を選んだとしても否定はしません。「たくさん色を使った絵本を選んだんだね」「〇〇ちゃんの好きな新幹線の絵本があったんだ!楽しそうだね」など、子どもの選択を認める声がけをします。

子どもが文字に興味を持ち、読む練習をするときには、文字が少なく、テンポの良い絵本が向いています。

お子さんが好きなキャラクターなどで、言葉遊びやリズムに乗って発音できる絵本ものをお家にも揃えてあげると夢中になって読むかもしれません。

 

4-2.同じ絵本を繰り返し読む

子どもによっては、繰り返し同じ絵本を読みたがる子もいますよね。子どもにはいろんな絵本に触れてほしいと願うママやパパも多いかもしれませんが、実は「繰り返し読むこと」は、子どもの語彙力や表現力を伸ばす上で大きなメリットがあります。

新しい言葉を覚えるには、繰り返し聞くことが大切です。同じ絵本を読んでいると、自然と頭の中に同じ言葉が入ってくるので、言葉の意味や使い方を習得することができます。

わが家の子どもも(年長のとき)は「ちょうちょ はやく こないかな」という絵本を気に入って何度も読んでいました。

セリフを覚えるくらい読んでいるので、当時は、自分から本を開いて「ママ、聞いててね」と読み聞かせをしてくれるようになりました。

「1人で読めたね!」とほめると自信につながるようで、他の本をすすんで読むようになりました。

【コラム】絵本は1人で読ませた方がいいの?

ひらがなを覚えたての子どもにとって、ひとりで文字を追いながら、物語の内容まで理解するのは難しいことです。
文字が読めるようになってからも、読み聞かせはぜひ続けてください。読み聞かせを通して、子どもは日本語のリズムや抑揚を学ぶこともできます。

 

4-3.遊びの延長で楽しく学ぶ

ひらがなを読む練習だけでなく、学習全般に言えることですが、ママやパパが無理強いしないことが最も大切です。

子どもが乗り気でないのに、「これ読んでごらん」と親が強要すると、子どもの学習意欲を半減させ、読むことが嫌いになる恐れもあります。

家庭では「子どもが楽しくできること」を優先しましょう。

例えば、

・オムライスにケチャップで文字を書く
・お風呂に入りながら曇った鏡にひらがなを書いてクイズを出す
・お出かけ中に看板の文字でひらがなを探す

など、日常の中でゲーム感覚で取り入れられる方法がおすすめです。

 

5.焦らなくて大丈夫!親子で楽しみながら読む練習をしよう

年長さんがひらがなをスラスラ文章を読むのは、まだ難しいことです。まずはひらがなに慣れて、語彙力を増やすことで、文字を読むことへの苦手意識を減らしていきましょう。

読み聞かせを習慣にするなど、本を読むことが楽しいと思うようになれば、自分で読んでみようという気持ちも芽生えやすくなります。

お子さんが楽しんで取り組める練習法を親子で探ってみてくださいね。
 

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参考文献
※1:ベネッセ教育総合研究所,『幼児期から小学1年生の家庭教育調査』,2016年3月
※2:文部科学省,『小学校学習指導要領 国語編』,平成29年7月
※3:倉田 敬子,『読むという行為』,2012年

 

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