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病院を嫌がる子どもの不安をやわらげよう!現役司書がおすすめ絵本も紹介

この記事を書いた人

さやまる さやまる

さやまる

  • 司書
  • 保育士

5歳と3歳の息子がいます。

現在は大学図書館司書として働いていてます。

情報収集が好きで、色々な考え方や方法を調べ、取捨選択をしながら育児にも活かしています。

また育休中に保育士の資格を取得しました。

とはいえ、知識や情報のとおりにいかないのが育児です。

子どもに向き合い、楽しみながら毎日奮闘しています!

予防接種や定期健診、風邪をひいたときなど、子どもを病院に連れて行かなければならないシーンはたくさんあります。

ですが、「病院」「お医者さん」というキーワードを聞くだけで怖がってしまう子、待合室で嫌がってぐずついてしまう子、診察室で注射や検査を全力拒否する子など、病院に良いイメージを持たない子どもも多いのではないでしょうか。

そんな子どもの様子を見るのはママにとってもつらいですよね。できれば嫌がらずに受診してほしい、と願ってしまうでしょう。

この記事では、4〜6歳の子どもの不安感な気持ちをやわらげて、前向きな気持ちで病院に行けるようにする方法を紹介します。

現役司書である筆者目線でおすすめの絵本も紹介するので、子どもへの関わりにぜひ活用してみてください!

 

目次

1.病院を嫌がる理由は”怖い”から

まずは、子どもがなぜ病院を嫌がるのかを考えてみましょう。

幼児期の子どもにとって、自分の感情を理解し、言葉で説明するのはまだ難しいことです。うちの子はどうして怖がっているのかな?と考えながら様子を見てあげてください。

理由が分かると、なにをしてあげたらいいかが見えてきますよ。

 

1-1.病院の雰囲気が怖い!

大人の私たちにとっても、病院は普段の生活の場にはない雰囲気があると感じませんか?

広い空間に椅子が並んでいる待合室や、受付にいる白衣のスタッフさんたち、順番に名前が呼ばれていく様子は、病院特有のものです。

子どもにとっては、その雰囲気自体が未知で怖いものなのです。

 

1-2.何をされるのかがわからなくて怖い!

先ほどもお伝えしたように、病院では順番に診察室に呼ばれていくので、その中でなにをしているのかは待合室からは見えません。そのため、「あそこではなにをされるんだろう!」とドキドキしてしまうのでしょう。

実際に診察をされている最中にも、見慣れない器具で色々なことが行われます。

「次はなんだろう」と緊張した状態が続くので、疲れて嫌になってしまうのです。

 

1-3.過去にした検査や注射を思い出して怖い!

過去に病院で痛い思いをしたことがあると、子どもは病院を怖がるようになります。

例えば注射やウイルスの検査などを1度経験すると、器具を取り出した時点でなにが行われるかを思い出して、「痛いことは嫌!」と拒絶してしまうこともあるでしょう。

子どもが病院で泣いたり、暴れたりすると、診察がスムーズに進まずに疲弊した経験のあるママも多いのではないでしょうか。

それでも、予防接種などはお子さんの健康にも大事なことなので、行かないわけにはいきませんよね。そこで次の章では子どもの不安を和らげる方法を紹介します。

 

2.子どもの不安を和らげる方法

前章の2−2で、こどもが病院を嫌がる理由のひとつは、”何をされるかがわからないから”だと説明しました。

そこでこの章では、幼児期の子どもが病院について正しく理解できるように、医療現場で使われているプレパレーションの考え方を参考にして有効な伝え方を紹介します。

なお、プレパレーションとは病気や検査などへの恐怖心を最小限にして、その子に適した方法で心の準備やケアをしてあげることです。

 

2-1.ロールプレイで見通しをもたせてあげよう

この年頃の子は、実際に行動をすることによって、物事への理解を深めていきます。

ママがお医者さん役をして、子どもを診察するのもいいですし、子どもがぬいぐるみを治療してあげるのもいいですね。

このような方法で治療への理解を深めることは医療現場でも行われています。

筆者の長男は持病があり、1~5歳の間に合計5回ほど手術を受けていますが、4歳になって初めての手術の前夜には、看護師さんに教えてもらいながら人型のぬいぐるみに点滴や麻酔をしてあげました。

もちろんロールプレイを体験することで、まったく怖くなくなるわけではありませんが、子ども自身が見通しをもって心の準備ができるので子どもの心の負担が軽くなるようです。

 

2-2.声かけをするときは上手な言葉選びをしよう

病院へ行くことや予防接種、検査、診療などについてを伝えるときには、子どもがより安心できるような言い方をしてあげたいですよね。

難しい用語ではなく、子どもに親しみのある言葉を使って、痛みを連想させる言葉は使わないようにしましょう。

例えば以下のように言い換えるのもおすすめです。

  • 「針を刺す」→「針を入れる」
  • 「動かないように押さえる」→「じっとできるように支える」
  • 「このくらい大きい」→「~より小さい」

その他、選択肢を与えるのも良い方法です。例えば注射の際にはこんな風にいうのもいいでしょう。

「チクっとするけどすぐ終わるよ。その間、目をつぶってる?深呼吸する?抱っこしていようか?」

また、「がんばって」というと頑張らないといけないことが起きる?!と思ってしまう子もいるそうです。

筆者は「がんばろうね」と言いがちだったのですが、病院に来ている時点で子どもはもうがんばっているなとふと思い、そのときからこのように言葉を変えました。

「がんばらなくていいよ、お医者さんがなんとかしてくれるもん」

私たち親子にはこの言葉が合っており、長男がお医者さんへの信頼感を強めることにもなったと感じています。

 

2-3.どうしても怖いときは気分転換をしよう

事前にロールプレイや、やさしい言葉での説明をしても、その場にきたらやはり怖くて取り乱してしまうことは、よくあることです。

そんなときは正しいことを伝えたり、説得したりしようとせず、ひとまず気をそらせましょう。子どもなりに予防接種や治療など、病院の必要性は理解していても怖いものは怖いので仕方ない部分はあります。

もし子どもが「いや!」などと伝えてくれたら、「怖いんだね」「嫌なんだね」と気持ちを受け止めたあと、子どもが興味のありそうなもので気を引いて、診療行為に危険がない程度まで落ち着かせることだけ考えましょう。

成長とともに感情との折り合いもつけられるようになっていくので、いまはこの対応で問題ありませんよ。

 

3.絵本も強力なツール!怖い理由別におすすめを紹介

これまでに紹介した方法に加えて、病院やお医者さん、からだの仕組みをテーマにした絵本を取り入れてみるのもおすすめです。楽しいストーリー展開やイラストでより豊かに病院への理解を深めることができますよ。

ポイントは、発達段階と子どもの性格に合うものを選ぶことです。

 

病院に行くとなにをするの?主人公が病院へいくお話

主人公が病院にいくお話では、子どもが主人公に自分を重ね合わせて楽しむことができます。

ひとまねこざる びょういんへいく
(著/マーガレット・レイ 絵/H.A.レイ 訳/光吉夏弥)

あらすじ
おさるのジョージがパズルのピースをキャンディと間違えて飲み込んでしまいます。おなかが痛くなって入院することになったジョージは、病院でもいつものように色々ないたずらをしでかしてしまいます。

おすすめポイント
レントゲン室などの描写もあって、病院がどんなところかが分かるようになっています。ジョージのまわりの大人たちはみんな優しいですよね。病院のスタッフもみんな優しい人たちなんだと感じられそうです。

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お医者さんへいく(作・絵/マクシー・チェンプリス 訳/上野和子)

あらすじ
病院に行って診察してもらう流れが、しかけ絵本で楽しく理解できます。

おすすめポイント
お医者さんで使う器具やどんなことをするのかなどが丁寧に描かれており、病院行く心の準備が楽しくできそうな1冊です。

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お医者さんを身近に感じられるようになる、お医者さんが主人公のお話

おっちょこちょいだったり、実は怖がりだったり、絵本には色々なお医者さんが登場します。そんなお医者さんのすがたを知ると親しみを感じられそうですね。

やまねこせんせいおおいそがし(著/末崎茂樹)

あらすじ
やさしくって食いしん坊なお医者さん、やまねこせんせいは、おなかが痛くなったうさぎのミミちゃんの家へ急いで向かいます。ところが、道中でトラブル続出。
ようやくうさぎさんちに着いたと思ったら、ミミちゃんは「食べすぎだったみたい。」とすっかり元気になっていました。するとこんどは、やまねこ先生のおなかが痛くなって…。

おすすめポイント
やまねこせんせいがとにかく優しい様子で描かれているので、お医者さんて怖くないんだと感じられる1冊です。困っている子たちを助けてくれる姿に信頼感もアップしそうですね。

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おいしゃさんがこどもだったとき
(文/中川ひろたか 絵/丸山誠司 医学監修/吉澤穣治)

あらすじ
子どものころ注射嫌いだったという主人公に、お医者さんの意外な一面を発見できるかもしれない絵本です。

おすすめポイント
おもしろおかしい絵とお話は、「病院」や「注射」を思い出すことも忘れるくらい!小児科の先生が監修されており、子どもの気持ちに寄り添った内容には親も安心させられます。

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からだのなかで起きていることが分かる絵本

自分のからだのなかの「なぜ?」が理解できると、病院や検査の必要性も少しずつわかってくるかもしれません。

めくって学べる からだのしくみ図鑑(監修/阿部和厚)

内容
骨、筋肉、臓器などの器官や、消化などの仕組みがめくる仕掛けでたくさん分かる図鑑です。

おすすめポイント
大人でもなるほど、と興味深く読める内容になっているので子どもと一緒に楽しめます。

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なぜちゅうしゃをするの?からだの「なぜ?」えほん(作・絵/カーラ&ジョン・フローランス 監修/岩田健太郎 訳/吉山朱里)

内容
免疫と抗体、ワクチンの仕組みが可愛いイラストで分かりやすく説明されており、病気にならないために注射が必要だとわかる絵本です。からだのなぜ?えほんというシリーズで3冊あり、手を洗う理由、お医者さんに行く理由を説明したものもあり、そちらもおすすめです。

おすすめポイント
なぜ?の理由を教えてくれるので、お子さんにも「しなければならない理由」がわかり、納得して病院へ行くことができるかもしれない1冊です。

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4.めざすのは子どもが「自分は頑張れた」と思えること

この記事で紹介した方法で、子どもは病院のことや、病院で行われることを理解でき、未知への不安が減って落ち着けるようになっていくでしょう。

ですが、ドキドキしたり痛かったりといった感覚を消すことはできません。やはり泣いてしまう子もいると思います。けれども大切なのは子どもを泣き止ませて大人しくさせることではありません。

はじめは泣いたり嫌がったりしながらも、子ども自身が自分の気持ちを表すことや、怖いけれど乗り越えた自分に自信を持つことができるようになっていきます。

ゆっくりでも、子どもが自分のちからで前向きに病院に行けるようになるためにサポートしていきたいですね!

 

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主な参考資料
・「医療を受ける子どもへの上手なかかわり方 第2版」, 2018

 

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