子どものテンションが上がりすぎて困る!落ち着かせる方法を保育士が紹介
この記事を書いた人
宮先惟之
- 保育士
保育所や子ども園にて15年間勤務。
主に、3〜5歳児のクラス担任や障がい加配保育士をしてきました。
2児の父でもあり、子育ての大変さや楽しさを感じながら、日々子どものやる気を引き出す環境作りや言葉のかけ方を工夫しています。
子どもと出かけた際に、「テンションが上がりすぎて気持ちのコントロールができない」「興奮しすぎると、親の話が耳に入らない」といった様子に困ったことはありませんか?
周りの子と比べて落ちつきがないと、ケガをさせるなどのトラブルにならないか心配ですよね。
本記事では、保育士として子どもの心情を理解する筆者が、テンションが上がりすぎる子どもを落ちつかせる方法をお伝えします。
3歳~小学校低学年の子どもに効果的ですので、ぜひご覧ください。
まずは、どうしてテンションが上がりすぎるのか考えていきましょう。
目次
1.テンションが上がりすぎる原因は?
まず、子どもはまだ感情をコントロールする力が育っていないことがあげられます。
幼いうちは、自分の感情に折り合いをつけることが難しいですが、おおむね6歳頃から徐々に気持ちを切りかえたり抑えたりすることができるようになります。
また、テンションが上がる理由に「いつもと違う」がありますよ。
特別な状況やイベントだと、周囲の環境が刺激となり、テンションが上がりやすくなります。
年齢や個人差により感情をコントロールする力は異なるため、子どもだけで落ちつくのは難しく、親の理解やサポートが必要になるでしょう。
2.その場で役立つ!子どものテンションを落ちつかせる方法5選
それでは、子どものテンションを落ちつかせる方法を5つ紹介します。
どれも効果的な方法ですので、試してみてくださいね。
2-1.落ちついたトーンで話そう!
はじめに、話し方を工夫します。
興奮している子どもには、あえて落ちついた穏やかな口調で話しかけましょう。
子どもが冷静になるためには、まず大人が落ちついていなくてはなりません。
テンションが高い子どもに、大きな声で話すのと、小さな声で話すのでは、返ってくる反応が全く違いますよ。
大人の声が大きいと子どものテンションは変わりませんが、小さく落ちついた声では、一旦動きを止めたり、聞き取るために静かにしようとする姿があります。
行動に区切りができると、気持ちを落ちつかせるきっかけにもなりますよ。
2-2.場所を移そう!
場所を移すと、景色が変わることから気持ちを切りかえられます。
例えば、公園の遊具が楽しいことからテンションが上がりすぎた場合は、子どもを連れてその場から離れ、室内に入ったり、ベンチに座ったりしましょう。
ポイントは、気になっているものが見えないような場所で、一息つくことですよ。
子どもは視覚優位ですので、興味のあるものが見えていると、なかなか気持ちを切りかえられません。
子どもによっては狭いスペースの場所が安心するなど、それぞれですので、お子さんの様子をみながら対応してみてくだいね。
2-2-1.時間で区切る
子どもがすぐに場所を移らないときのおすすめの関わり方の1つは、時間を伝えて納得させる方法です。
保育の現場でよく行うやり方でして、子どもに「あと5分したら、○○に行くよ」や「(時計を見せながら)長い針が3になったら行くよ」と伝えると効果的ですよ。
子どもなりに見通しが持てると、気持ちをコントロールしようとする姿がありました。
2-2-2.気持ちを満たす
もう1つは、遊びたい気持ちを受け止め、満たす方法です。
具体的には、「あと○○を1回したら行くよ」と伝えましょう。
ときには、「あと3回!」と返ってくる場合もありますが、もちろん3回でもOKです。
子どもにとってみると、親に遊びたい気持ちを汲んでもらえたと感じ、満足して遊びを終えると納得してその場を離れることができますよ。
2-3.子どもが自分の様子に気づけるようにしよう!
遊びに夢中になっている子どもは、自分の姿に気づきません。
周りの子がどうしているなど、気にすることはないでしょう。
そこで、子ども自身が客観的に自分を振り返られる機会を作ります。
子どもにとって分かりやすい方法を2つお伝えしますね。
2-3-1.生き物に例えて伝える
まずは、子どもの様子を生き物に例えて伝えてみましょう。
例えば、興奮するあまり動きが大きい子どもには、「今、恐竜みたいになっているよ!もう少し静かにしようね」と伝えます。
言われた子どもは自然と想像し、落ちつくきっかけになりますよ。
2-3-2.数字に例えて伝える
数字を理解している子や興味が出だした子には、声の大きさを数字に例えて伝えても効果がありますよ。
数字を例に出す場合は、イメージしやすい10段階で伝えるといいでしょう。
筆者はよく保育現場で、テンションが上がりすぎた子に、「もう少し静かにしようか。声の大きさが、9くらいになっているよ」と知らせます。
すると、周りの様子をみて自分のテンションを調節しようとしていました。
お子さまの様子に合わせて、伝わりやすいものを試してくださいね。
2-4.安心できるグッズにふれよう!
お子さまは、よく持ち歩いているグッズや寝るときに近くに置いているものはありますか?
子どもにとって安心できるグッズは、心を落ちつかせる効果が期待できます。
もし、テンションが上がりすぎて、その場を離れても子どもの様子に変化がなかったら、お気に入りグッズの登場ですよ。
小さいものであれば、外出先でもさわれますね。
筆者の子どもは、興奮していても小さいぬいぐるみを見ると、優しくなでるうちに、心が安定し気分も切りかわっています。
2-5.おやつタイムや水分補給をしよう!
子ども達の興奮を抑える方法に、おやつタイムや水分補給も効果的ですよ。
食べたり飲んだりする時間は、自然とゆっくりすることができるため、テンションも落ちついてきます。
おやつタイムは、子どもにとって嬉しい時間ですよね。
遊んでいても、誘いに応じることも多いでしょう。
3.子どものテンションが加速してしまうNGな関わり
続いて、気をつけたい親の関わりを2点お伝えします。
よく見かけるやりとりですが、子どもにとっては逆効果ですので、注意してくださいね。
3-1.様子を見続ける
「いつかは、落ちつくだろう」、「今はそっとしておこう」と様子を見続けることはありませんか?
[1.テンションが上がりすぎる原因は?] で紹介したように、子どもは感情をコントロールする力がまだ育っていません。
見守っているうちに、テンションはどんどん上がっていってしまい、子どもがそれに気づくことは難しく、ブレーキをふむことはありません。
先ほど紹介した方法で、落ちつくきっかけを作ってあげてくださいね。
3-2.強く叱る
テンションが上がりすぎた子を見ると、すぐに静かにさせないとと思い強く叱ってしまうことはありませんか?
しかし、興奮している子どもを強く叱ると、ストレスがかかり、さらに感情が高まるため解決が難しくなります。
火に油を注ぐ形になりますよ。
また、子どもが自信を失うので、気をつけてくださいね。
あくまでも、親は冷静に対応しましょう。
4.テンションが上がりすぎないための日常的な対策
最後に、普段からできる対策を紹介します。
テンションが上がってからの対応ではなく、上がる前に効果のある方法ですよ。
4-1.ゆっくり息を吐く方法を身につける
呼吸の仕方に注目してみましょう。
もし、普段からリラックスできる呼吸の仕方ができていたら、テンションが上がりすぎることを予防できますね。
おすすめの呼吸法は、長くゆっくりと息を吐く腹式呼吸です。
胸いっぱいに息を吸い込んで一気に吐くのではなく、下腹部に空気を入れて膨らませるように息を吸い、口を少ししめつつ、長く息を吐きましょう。
ポイントは、空気を鼻から吸うようにすることですよ。
何気ないときに子どもと何度かやってみることで、呼吸の仕方が身につきます。
遊び出す前に行うのも効果的ですね。
一呼吸おいてから遊ぶのと、勢いのままに遊びだすのでは、子どものテンションは大きく変わってきます。
4-2.規則正しい生活をおくる
規則正しい生活は、安定した精神状態を作ってくれますね。
反対に、睡眠が足りていなかったり、栄養不足だと体調が整わず、心の状態も悪くなります。
保育の現場でも、生活習慣が整っていない子は、気持ちのコントロールが難しくトラブルが多い傾向にあります。
ただでさえ、難しい感情のコントロールはさらに厳しくなるでしょう。
4-3.遊び出す前に子どもと約束をしておく
子どもの好きな遊び場に行ったときに、「ここは、テンションが上がるだろうな」と予想できた場合、遊び出す前に約束をしておきましょう。
例えば、「〇時になったら、違う場所にいくよ」、「ここで遊ぶのは、〇時までね」など子どもと話をしましょう。
事前に約束をしていると、いざ遊び出してテンションが上がっても親の話を聞き、気持ちを切りかえる姿もありますよ。
子どもにとってみれば、自分が決めたことでもあるため、納得できるのでしょう。
5.子どもの気持ちを受け止め、気長に成長を見守ろう!
テンションが上がりすぎる子どもには、ゆっくり時間をかけて関わっていきましょう。
熱いものが少しずつ冷めていくように、テンションも徐々に落ちついていきます。
感情が高ぶった状態から落ちつくことも、子どもが成長するうえでは貴重な経験です。
積み重ねる中で、感情をコントロールすることを覚えていきますよ。
時間をかけて学んだことは、子どもの財産になります。
子どもの心情をくみながら、穏やかに関わっていきましょうね。
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