子どもが勉強嫌いになる原因と親ができる働きかけは?元教員が解説
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- 小学校教諭
小学校教諭として5年間勤務、主に低学年と特別支援学級の担任を経験。
身近に発達障がいの家族がおり、特別支援教育について勉強してきました。
現在は、1歳の息子の育児をしながら、教育や家事・育児に関することをブログやSNSで発信しています。
子どもとの時間を最優先にしながら、自分のやりたいことに挑戦していくのが目標です!
「うちの子、小学生なのにもう勉強が嫌いみたい…」
「自分から勉強をしてもらうにはどうしたらいいの?」
そんなお悩みはありませんか?
子どもが勉強嫌いになる理由と、克服する方法、親ができる働きかけを紹介します。
「どうして勉強嫌いになってしまうの?」「家庭ですぐ取り組める対策はある?」といった視点で、具体的な内容をまとめています。勉強嫌いなお子さまにお困りの方は、参考にしてください!
目次
1.子どもが勉強嫌いになる原因
まずは子どもが勉強嫌いになる4つの原因をご紹介します。
1-1.勉強が分からないから
子どもが勉強嫌いになる原因の一つは、「勉強が分からないから」です。授業の内容が分からず、学習を理解できなくなると、勉強が苦痛に感じてしまいます。
学年が上がるにつれて学習の難易度も上がるため、 小学校高学年ほど勉強嫌いの子どもが多くなります。
見方を変えれば、まだつまずきが小さい小学校低学年のうちから、子どもの勉強嫌いへの対策が大切です。
1-2.勉強を強制されるから
親や先生から勉強を強制されることも、勉強嫌いになる要因の一つです。
これは、「ブーメラン効果」と呼ばれる心理的現象で、説得されると逆に反発心が生まれ、やる気がなくなったりモチベーションが下がったりしてしまいます。
例えば、「勉強しよう!」と思った時に「勉強しなさい!」と言われると、せっかくのやる気がなくなってしまう、というのもこの現象です。他人に言われたから勉強をするのではなく、自分から取り組めるようにサポートすることで勉強への抵抗感も減るでしょう。
1-3.他の子と比べられるから
周囲との比較も、子どもの学習意欲を奪う原因になります。
「近所の〇〇ちゃんは、コツコツ勉強してるから、成績もいいみたいよ。それに比べてあなたは…」など、お子さんの成績や学力を他の子と比べてしまったことはありませんか?
他のお友だちや兄弟と比較をすると、子どもは劣等感を持ち、勉強にストレスを感じるようになります。誰かと比較するのではなく、その子自身の努力や頑張りを認めてあげることが大切です。
1-4.他にもっと面白いことがあるから
勉強より楽しいことはたくさんあります。
子どもの頃に友だちと遊んだり、本を読んだり、好きなことに熱中したりする経験は、子どもの健やかな成長に欠かせない時間です。
しかし遊びや楽しいことばかりに目がいって、勉強がおろそかになることがないように、保護者が「遊びと勉強の両立」をサポートする必要があるでしょう。
2.学習への「動機づけ」とは?子どもが勉強嫌いにならないために大切なこと
ここからは、子どもが勉強へのモチベーションを高めるために大切な「動機づけ」について解説します。
2-1.内発的な動機づけって何?
内発的な動機づけとは、「興味があるから」「好きだから」「楽しいから」といった自発的な理由で、行動そのものに喜びや満足感を感じて取り組もうとすることです。
子どもの勉強で例えると、「計算を解き終えた後の達成感が好きで、算数の授業になると張り切る」「物語を読んで、想像を膨らませるのが楽しい」という理由で、勉強を楽しんでいる状態です。
一方で、「ほめられたい」「ごほうびがもらえる」「点数や順位が上がる」「怒られたくない」といった、外部からの評価・報酬・賞罰に影響されて行動するものを「外発的な動機づけ」といいます。
2-2.内発的な動機づけが大切な理由とは?
内発的な動機づけは、「誰かにやらされている」「やらなければならない」というものではなく、「純粋に好き」「自分がやりたい」という状態です。
外部の要因に影響を受けないため、やる気が持続しやすいメリットがあります。勉強そのものを楽しむためには、内発的な動機づけは必要不可欠なものであると言えるでしょう。
2-3.内発的な動機づけを促す方法
内発的な動機づけを促すためには、「主体性」がポイントになります。
損得や目的ではなく、「それをしたい」と思う気持ちをもたせることが重要です。
何かを「したい」という気持ちは、「好き」や「楽しい」といった感情だけでなく、「自分で決めた」「自分は成長している」と実感することからも生まれてきます。
- 自ら学習に取り組んだ時…「自分から勉強をはじめてえらいね」
- テストが返ってきた時…「前できなかった問題ができるようになったね」
このような声かけが有効です。
子どもの主体性を尊重し、結果ではなく過程に目を向けることが内発的な動機づけを促すことにつながります。
3.子どもの勉強嫌いを克服する方法
子どもの勉強嫌いを克服するための具体的な方法についてご紹介します。
3-1.勉強時間を決める
まずは、学習習慣を身につけるために「勉強時間」を決めましょう。
「いつ、どれぐらい勉強するか」を明確にしておくのがポイントです。
3-1-1.学年×10分を目安に集中する
勉強する時間を決めるときは、具体的に「どれくらい勉強するか」を決めることが重要です。
小学生の場合は、学年×10分を目安に学習に取り組むと良いとされています。
-
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- 1年生なら1×10=10分
- 2年生なら2×10=20分
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もちろん、集中できる時間は人によって異なりますので、お子さんに合わせて調節してあげるようにしましょう。
3-1-2.勉強する時間を固定化する
「いつ勉強するか」を決めることも大切です。
できる限り時間を固定することで、勉強の習慣が身につきやすくなります。
- 帰宅したらすぐに取り組む
- おやつの時間の前に取り組む
- 友だちと遊んだ後や習い事の後、夕食前に取り組む
など、ご家庭の生活スタイルの中でお子さんが集中できる時間を見つけてあげるといいでしょう。
3-2.勉強に集中できる環境をつくる
子どもが率先して勉強に取り組めるように、集中できる環境を整えることも大切です。
以下の3つのポイントを参考に、お子さんの学習環境を見直してみてください。
3-2-1.テレビやスマホ、ゲームが視界に入らないようにする
勉強中は、ゲームやスマホなどが視界に入らないようにしましょう。
リビング学習をするお子さんも多いと思いますが、スマホやゲームが視界に入るだけで集中力が下がると言われています。
勉強する机の向きを変えたり、不要なものを片付けたりするだけで、勉強に集中できる環境を整えることができますよ。
3-2-2.机の上を整理整頓する
スマホやゲームと同様、不要なものは机の上に置かないようにすることも重要です。
特に低学年の子どもにとっては、目に映るものはすべて遊び道具になります。
「集中していると思ったら、いつの間にか手遊びをしていた!」なんてことはよくある話です。
勉強に必要のない筆記用具や教科書などは片づけて、すっきりとした机で勉強するようにしましょう。
3-2-3.わからないところをすぐ聞ける環境で勉強する
勉強中、分からない問題があると集中力が途切れてしまいます。
分からないところをすぐに親に聞ける環境であることも大切です。
「自分の部屋で一人にした方が集中できるのでは?」と考える親御さんも少なくありませんが、近くで家族が見守っている環境の方がお子さんもリラックスして学習に取り組むことができると言われています。学年や学習内容に合わせて勉強場所を変化させるという方法もありますよ。
3-3.勉強の記録を残す
勉強のモチベーションを上げるためには、「これくらい勉強できた!」という達成感を見える化してあげることが有効です。
ご家庭でも簡単に取り組むことができるアイデアを2つご紹介します。
3-3-1.勉強できたらカレンダーにシールを貼る
カレンダーを活用して、勉強できた日にシールを貼る、という方法は手軽ですぐにできるのでおすすめです。
お気に入りのシールを一緒に選んだり、特にがんばった日のごほうびシールを用意したりするのもいいでしょう。
継続する習慣が身につき、自分のがんばりが目で見て分かるのでモチベーションアップにつながります。
カレンダーを家族みんなが見える位置に置くことで、親が子どもをほめるきっかけにもなりますよ。
3-3-2.勉強アプリの活用もおすすめ
最近では、勉強を記録するアプリもあります。手軽に記録を残すことができるので便利です。
ただ、勉強の記録のためにスマホを触る時間が増えてしまうというデメリットもあるので、ある程度スマホに慣れてきた高学年以降になってから取り入れるか、スマホを使う約束を徹底してから取り入れた方が良いかもしれません。
4.勉強嫌いな子どもに効果的な親の働きかけ
ここからは、勉強嫌いな子どもに対する効果的な親の働きかけについてご紹介します。
4-1.勉強の選択権を子どもに与える
子どもが勉強へのモチベーションを高めるためには「内発的な動機づけ」が大切です。
内発的な動機づけを促すためには、子どもが「好きだから勉強する」「自分で決めたから勉強する」といった主体性を育ててあげることが必要になります。
例えば、勉強する時間を決めるときには、「10分間勉強しなさい!」「帰ってきたらすぐ勉強しなさい!」と、親が決めるのは避けましょう。
「何分くらい集中して勉強できる?」「いつ勉強する?」といったように、子どもに決定権を与えることが大切です。
自分で決められない子どもには、「1年生の勉強時間は10分くらいが目安だけど、どうする?」「遊びに行く前と後、どっちで勉強する?」など、親が選択肢を提示してもいいでしょう。
4-2.日常の中に勉強を取り入れる
勉強したことを日常生活の中で生かせると、勉強への抵抗感が減ってきます。普段から勉強の内容を生活に取り入れてみましょう。
例えば、
- ドライブ中に、「時速45kmで走っているから、30分後には何km進む?」といった速さの学習をする
- 天気予報を見て、「明日は高気圧におおわれるけど、天気は?」といった気象の学習をする
学校で学習したことを日常生活で復習する機会はたくさんあります。普段の生活で勉強が役に立つ経験を積ませることが大切です。
4-3.子どもの興味・好奇心を勉強につなげる
子どもの興味があることや好きなことに親が寄り添うことで、勉強への抵抗感を減らすこともできます。
例えば、
- 虫が好きなお子さんなら、一緒に虫を飼育する
- 植物に興味のあるお子さんなら、公園などで見つけた植物の名前を図鑑で調べてみる
子どもの興味関心や好きを大切にして、より伸ばしてあげることで、主体性ややる気が育ち、勉強嫌いの克服にもつながるでしょう。
5.勉強嫌いな子どもに避けるべき親の行動
勉強嫌いな子に対してとってはいけない行動もあります。ここからは、避けるべき親の行動について解説します。
5-1.勉強を強制する
勉強嫌いな子どもに対して、親が最もやってはいけないことは、勉強を強制することです。
「勉強しなさい!」と言われると、かえってやる気を失ってしまう子どもは少なくありません。
テレビやゲームばかりで勉強しない子どもには「勉強しなさい」ではなく、「いつ勉強する?」と聞いてみましょう。
自分で勉強するタイミングを選択させることで、「自分で決めたのだからやらなくては」という気持ちが生まれ、自ら机に向かうきっかけになります。
5-2.結果が出たらご褒美をあげる
ご褒美は、子どものやる気を一時的に高める効果があります。しかし日常的に繰り返されると、「ご褒美をもらえること」が目的となってしまい、勉強そのものへのモチベーションが下がってしまうことがあります。
「物を買ってあげる」「おこづかいをあげる」いった物理的な報酬ではなく、「たくさんほめて認める」などの心理的な報酬をご褒美にするのが理想的です。
また、テストの順位や点数のような結果ではなく、勉強の過程に目を向けてほめてあげることも重要です。
6.子どもの勉強嫌いを克服するには、親の関わり方が重要!
子どもが勉強嫌いになってしまう原因と、勉強嫌いを克服する方法、親ができる働きかけについて解説しました。
勉強嫌いになってしまう原因はさまざまありますが、内発的な動機づけを意識して親が働きかけるだけで、子どもは大きく変わります。
はじめのうちはなかなかうまくいかないかもしれませんが、子どもを信じて根気よく継続することで、確実に成長していきますよ。
子どもの勉強に対する苦手意識が大きくなる前に、ぜひできることから取り組んでみてください。
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